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基礎代謝量とは?
計算方法や筋肉量との関係、1日に必要なカロリーの考え方

2023年12月21日

基礎代謝量と筋肉量の関係!筋肉を増やすだけではだめ?

ダイエットしなきゃという時に、よく「基礎代謝」という言葉を聞きますよね。
知っているようでよく知らない基礎代謝。基礎代謝とは、体温維持、心臓や呼吸など、人が生きていくために最低限必要なエネルギーのことを言います。生きているだけで消費されるエネルギーで、私たちが1日に消費するエネルギーのうち、約70%を占めています。
脂肪を減らすにはエネルギー消費量が大事なので、基礎代謝はポイントの一つ。
また一般的に、基礎代謝が高い人は筋肉量が多いといわれます。その理由は何なのか、今回は、基礎代謝と筋肉量との関係を紐解いていきます。

筋肉は、私たちのからだを支えると同時に、体温をつくり出す働きを担っており、基礎代謝の中でも一番多くエネルギーを必要とします。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、その逆に、筋肉量が減ると代謝が落ちるだけでなく、体温が維持できなくなるため、体の熱を逃がさないように筋肉が減った分を脂肪で埋めようとします。そのため、肥満のきっかけとして多く見られるのが、筋肉量の減少です。

ちなみに、安静に座って過ごしている時の基礎代謝量を「安静時代謝量」と言います。運動や活動をしない人がどの程度のエネルギー消費ができているかの参考になります。

組織ごとの安静時代謝量の内訳は、次の通りです。

厚生労働省e-ヘルスネット「ヒトの臓器・組織における安静時代謝量」
(糸川嘉則ほか 編 栄養学総論 改定第3版 南江堂, 141-164, 2006.)

筋肉は22%となっており、安静時代謝量のうち約2割を占めています。
また、基礎代謝量は、身長と体重、年齢で、おおよその値を計算することができます。その基礎代謝量から一日の目安となる摂取カロリーも算出できるのです。
以下は、「ハリス-ベネディクトの式」(日本人式)というポピュラーな基礎代謝計算式です。

男性
66+13.7×体重(kg)+5.0×身長[cm]-6.8×年齢=1日の摂取カロリー目安

女性
665+9.6×体重(kg)+1.7×身長[cm]-7.0×年齢=1日の摂取カロリー目安

例えば、35歳の女性で身長が155cm、体重が50キロだったとします。
計算式は、665+(9.6×50)+(1.7×155)-(7.0×35)=1163.5
つまり、身長155㎝、体重50キロ、年齢35歳の女性の、一日の基礎代謝量は1163.5kcalということになります。

筋肉をつければ基礎代謝は上がると言われます。
しかし、安静時におけるエネルギー消費をみる安静時代謝量においては、筋肉が占める割合は全体の2割程度です。
安静時には骨格筋によるエネルギー代謝量は、肝臓などの他の内臓等に比べて少ないため、筋肉をつけるだけで劇的に脂肪が減るというのはむずかしいかもしれません。
それでも、筋肉はからだを支えたり、体温をつくり出す働きを担っており、筋肉を増やして運動を行うことで、活動時のエネルギー消費量を増やすこともできる大事な器官です。

「大きな筋肉」を鍛えることが重要であり、基礎代謝量を上げるのに効率的と言われています。「大きな筋肉」とは「大胸筋」「広背筋」「大臀筋」「太もも(大腿四頭筋&ハムストリング)」「ふくらはぎ(腓腹筋+ヒラメ筋)」のことです。
これらの中でも特に下半身の「大臀筋」「太もも(大腿四頭筋&ハムストリング)」で全身の筋肉の50%を占めており、優先的に鍛えていきたい筋肉です。
ここでは、「太もも」の代表的なトレーニングの1つ「スクワット」を紹介しましょう。

  1. 足を肩幅程度広げる
  2. 足先を少しだけ外側に向ける
  3. 背中を曲げずに、ゆっくりと腰を落としていく
    (3)の時、体重はかかとにかけておく
  4. 太ももと床が平行になるまで下げ、元に戻す
  5. この動作を20回繰り返す
  6. インターバル(30秒)
  7. 残り2セット行う
  8. 終了

筋肉をつければ基礎代謝が上がり、体温をつくり出し、体の支えにもなるので健康にはとても有効ですが、それだけでは脂肪は減りづらいものです。加えて、運動量を増やしてカロリー消費量を増やす必要があります。
さらに確実に余分な脂肪を減らすためには、意識的にカロリー摂取量と消費量のコントロールをする必要があります。カロリー摂取量を減らすか、運動量を増やすかのどちらかではなく、健康的にダイエットをするためにはいずれもが必要です。

一日に必要な摂取カロリーは、先ほどの自分の基礎代謝量に、日常生活における身体活動によるエネルギー消費量をプラスしたものになります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で使用されているデータによれば、日本人の一日における推定エネルギー必要量(kcal/日)は、年齢別に下記となっています。
推定エネルギー必要量(kcal/日)(身体活動レベル:ふつうの場合)

男性
12歳~14歳 2,600kcal
15歳~17歳 2,800kcal
18歳~29歳 2,650kcal
30歳~49歳 2,700kcal
50歳~64歳 2,600kcal
65歳〜74歳 2,400kcal

女性
12歳~14歳 2,400kcal
15歳~17歳 2,300kcal
18歳~29歳 2,000kcal
30歳~49歳 2,050kcal
50歳~64歳 1,950kcal
65歳〜74歳 1,850kcal

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」

これはあくまでデスクワーク程度の仕事で適度に動き、買い物や家事、軽いスポーツなどを行う一般的な活動レベルによる必要カロリーの目安です。

もっと運動が少ない場合、常に動き回っている場合などは、上下しますのでよく自分の日々の活動量を振り返ってみてください。

一日に必要な摂取カロリー量を上回って食べてしまうと、脂肪が蓄積されて、太る結果になります。反対に、これらのカロリー量より下回って食べる習慣を続けることで、やがて脂肪が減っていくということになります。

体脂肪は余った中性脂肪が蓄えられたものです。そのままの形ですぐに燃焼するわけではありません。運動をするとき、まずは血中の糖質がエネルギーとして使われ、そのうち糖質が不足すると、ようやく蓄えられていた中性脂肪が「遊離脂肪酸」という形になり血中に放出され、それが筋肉などの細胞でエネルギーとして燃焼されます。

そのため、短時間の運動では意味がなく、一定時間継続し、使用するエネルギー源が糖質から脂質にスイッチすることで脂肪燃焼が行われます。運動によるカロリー消費は、続けるのが大変な割にはカロリー消費量が少ないかもしれません。

ダイエット中の場合、一日に必要な摂取カロリーよりも下回って食べることが、ダイエットの近道だといわれています。しかし、摂取カロリーが推定エネルギー必要量よりも、大きく下回ることはよくありません。

推定エネルギー必要量以下のカロリー量で過ごすということは、常に生命活動レベルのエネルギーが不足するという危険な状態ということ。無理な食事制限が、体に支障をきたす原因にもなります。

ダイエットのために減らす摂取カロリー量の目安は、およそ200~300kcal程度といわれています。一日に2,000kcal必要な人は、1,700~1,800kcalからはじめてみましょう。

基礎代謝や筋肉量は年を重ねるにつれてどうしても落ちていきますので、太りやすくなったと感じる方は多いかもしれません。
ダイエットの基本は食事と運動です。日々の生活の中で効果的に運動を取り入れることはとても有効ですが、無理が続くと体に支障をきたす場合も出てきます。
食事、運動など、ご自身に合った代謝を上げる方法を試してみてください。

年々代謝が落ちていって、脂肪やむくみに悩む…そんな方には、脂質代謝や水分代謝を上げる漢方薬もあるのでぜひチェックしてみてください。
ドラッグストアでよくみる代謝を上げる漢方薬は4処方もあります。まずは自分の症状や体質に合わせて選ぶことが大切です。

選ぶポイント

①上げたいのは脂質代謝、余分な脂肪が気になる方へ
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」のタイプ:食べ過ぎや間食が多く、代謝が追い付かなくなることでお腹まわりに脂肪がつきやすくなるタイプ。このタイプは胃腸の働きが乱れて便秘にもなりがちです。

大柴胡湯(だいさいことう)」のタイプ:年を重ねることやストレスなどでホルモンバランスが乱れ、脂質代謝が低下し、上半身を中心に、筋肉の少ない二の腕・脇腹に溜まりやすいタイプ。また、このタイプは食生活が乱れやすく、便秘にもなりがちです。

②上げたいのは水分代謝、むくみが気になる方へ
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」のタイプ:筋力が弱い人や疲れやすい人は、水分代謝が悪く、余分な水分が重力などで下に溜まりやすいです。そのため、このタイプは特に夕方以降下半身にむくみが起きやすくなります。これにより、脚などが太く見えてしまいます。また、むくみを放っておくと、下半身に余分な脂肪がつく原因の一つとなると言われています。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」のタイプ:寒いのが苦手で、あまり汗をかかない、顔・手足の冷えとむくみがあるのが特徴のタイプです。冷えがあると水分代謝が悪くなり、体内に水分をため込んでしまいます。さらには、血管外の余分な水分は血管を圧迫し、血行を悪くしてしまうため、より冷えやすくなり、むくみと冷えの悪循環に陥ってしまうのです。その時に、特に体の末端である顔や手足にむくみがでやすくなります。

この4処方は、ドラッグストア等でクラシエ薬品のコッコアポとして販売されていることがあります。漢方薬で自分にあう脂肪やむくみの減らし方を探したいときは、ぜひチェックしてみてください。

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からだにいいこと
記事監修
からだにいいこと編集部
創刊18周年を迎えた女性向けの健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。