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むくみ(浮腫)とは?
原因や症状、解消法について解説

2023年7月25日

むくみは病気のサイン?むくみの原因や解消法は?

夕方になると足がだるくなったり、お酒を飲んだ次の日は顔がむくんだりしませんか? そんなむくみを効果的にケアするには、どうしてむくみが起こるのかを知り、解消法を実践することです。

むくみは「体の水分と大きく関わる」とは、何となくわかります。人の体は、約60%が水分でできているということを聞いたことがある人も多いはずです。
その体内の水分の3分の2は、「細胞内液」という細胞の中に含まれる水分で、残りは「細胞外液」といい、血液に含まれる水分や、細胞と細胞の間を満たしている水分です。

これらの水分は、細胞に栄養を送ったり、老廃物を除去する役割を担っています。細胞や血管の中を行き来して体内の水分のバランスを保っているのも特徴のひとつです。

でも、このバランスが崩れて、細胞と細胞の間に水がたまり、異常に増加したのが「むくみ」です。ちなみにむくみとは、いわゆる俗称で、医学用語ではこれを「浮腫(ふしゅ)」といいます。
多くの「むくみ」は、病的なものではありません。

「むくみ」は血流の低下によって引き起こされます。
私たちの体に必要な酸素や栄養は、血液によって体の隅々にまで届けられます。そして届け終わった後は、細胞から作られた二酸化炭素や老廃物を受け取って、心臓に戻ってきます。

この時、筋肉が動くことで血流を促し心臓に血液が戻されますが、動かないと血流が悪くなってむくみになります。

デスクワークの多い人が、夕方になると脚がパンパンになるのは、下肢の筋肉を動かさなかったために、足の血流が低下してしまうからです。

足は心臓からもっとも遠くにあるため、ふくらはぎの筋肉がポンプの役割を果たして、血液とともに水分を心臓に送ったり、全身に巡らせています。ふくらはぎの筋肉を使わずに『ずっと動かずにいる』と、重力の影響で水分が下半身にたまってしまい、足がむくむのです。

体がむくむ原因はいくつかあります。

・塩分の摂りすぎ

まずは、塩分の摂り過ぎ。体には、体内の塩分濃度を一定に保つという機能があります。そのため、塩分をたくさん摂取すると、体の塩分濃度を薄めようと、体内に水分を溜め込むようになります。

・アルコール

そして、アルコールもむくみの原因に。血中のアルコール濃度が高くなると血管が拡張して、血管から水分が漏れ出すためです。

・ホルモンの影響

また、女性の場合は、月経周期によるホルモンの関係で、月経前の時期には体に水分をため込みやすくなり、むくみやすくなるということも。

そのほかに、睡眠不足、運動不足、ストレスなど、むくみは様々な理由で起こります。また、むくみといっても、一過性のむくみと、慢性的なむくみがあり、それぞれ原因が異なります。

一過性のむくみの原因

立ち仕事やデスクワークなど同じ姿勢で過ごすことが多いと、血液を心臓に戻すふくらはぎのポンプ作用が弱くなり、血流が下半身に滞りがちに。さらに同じ姿勢でいることで、足の筋肉がこわばって伸縮しにくくなってしまいます。

夕方になると足がむくむのは、1日中血液が下半身にどんどんたまってしまったのが原因です。

他にも、塩分の摂り過ぎ、アルコール、生理によるホルモンの変化、睡眠・運動不足、ストレスなどの影響によるむくみも、一過性のもの
塩分やアルコールの摂取を控えたり、ゆっくり休んだり、ストレッチをして筋肉を伸ばすことで、改善されます。軽いものでは、夕方むくんでいても、寝て起きれば翌朝スッキリしていることも多いです。

慢性的なむくみの原因

慢性的なむくみが起こる原因として、心臓、腎臓、肝臓といった大きな臓器の疾患が疑われます

これらは一過性のむくみと違い、数日では治らない慢性的なむくみで、むくんでいる部位を押すと指の後がつくのが特徴です。

この場合、大きな病気が隠れている可能性がありますので、かかりつけの医師にできるだけ早く相談しましょう。

そのほかにも、食事の偏りによる栄養失調、ふくらはぎの血管が膨らんで足がむくむ下肢静脈瘤、手術でリンパを取り除いたことで起こるリンパ浮腫などもあります

むくみが、病気のサインとして体にあらわれる場合もあります。まず、むくみがひどい時に疑われるのが「腎臓」や「心臓」「肝臓」の病気。
押すと指の跡がつくのが特徴で、全身がむくみます。

腎機能障害:腎臓病、腎不全
腎臓は体のデトックス機能を担っており、血液をろ過して老廃物を尿として体外に排出します。腎機能が低下すると、体外に老廃物を含んだ水分を排出できなくなるため、むくみが起こります。

心不全
心臓が血液をうまくめぐらせることができなくなる病気で、体の血流が滞りむくみになります。

肝硬変
肝臓全体が硬くなるため、肝臓でアルブミン等のタンパク質が合成できなくなります。アルブミンは、水分を血管内に保持する働きがあるため、血液中のアルブミンが低下すると、水分が血管から間質に漏れ出し、全身のむくみが起こります。

その他のむくみの原因には、以下のようなものがあります。

栄養失調
栄養素の摂取量が不足してタンパク質が不足すると、血液中にアルブミンが不足し、全身のむくみの原因になります。

下肢静脈瘤
女性に多い病気で、ふくらはぎの部分の血管が膨らみ、足がむくみます。ひどい場合には表面にボコボコと静脈が浮き出てきます。病名の通り、下半身の静脈の血管がコブのように膨らみます。

リンパ浮腫
手術でリンパ節を取り除いたりしたことで、リンパの流れが滞り、その部分に水分が流れずにむくみます。

病気ではないけれど、不快を感じるほどのむくみが起こったら、下記の方法を試してみましょう。今日からすぐできるものなので、ぜひ試してみて下さい。

【顔】

冷水温水で交互に洗顔
朝、起きて顔がむくんでいると感じたら、冷水と温水で交互に洗顔をしましょう。冷水と温水で交互に顔を洗うことで、血管の収縮と拡張を繰り返し、むくみを解消します。

ホットタオル
ハンドタオルを水で濡らして絞り、電子レンジで1分ほど加熱(機種によって時間は調節を)。作ったホットタオルを、顔に乗せて温め、顔の血行を促し、むくみを解消。メイクののりもよくなります。

マッサージ
すべりのよいクリームを顔全体と首、手につけてマッサージを行います。まずは、顔の中心から外に向かって、手のひらでやさしく顔をさすりましょう。
次に、耳から鎖骨にむかって首のサイドをさするように流します。その後、鎖骨の上にあるくぼみを、ゆっくりと押してみます。鎖骨や首の周りにはリンパ節がたくさんありますので、強く押さなくても顔のむくみがすっきり。
いつものスキンケアのついでに行えば、普段からむくみ予防ができます。

【体】

ストレッチやエクササイズをする
むくみは血液やリンパ液など、体液が停滞することで起こります。その停滞をいち早く解消できるのがストレッチ。特に、むくみやすい足は、膝の曲げ伸ばし、足首をまわすなどして凝り固まった筋肉や関節をストレッチするのがおすすめです。また、つま先立ちになってかかとを上げ下げするエクササイズは、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用でむくみを解消します。

マッサージする
むくんだ部分は、手でマッサージをして血液やリンパの流れをよくしましょう。ポイントは、心臓から遠い部分から近い部分に向けて流すこと。例えば、足のむくみを取る場合は、足先からももに向かって行います。足首やひざの裏、足の付け根など、関節まわりもむくみやすいので、しっかりマッサージしましょう。

むくんだ部分をあげる
特に足に効果的な方法です。重力の影響でどうしても足はむくみやすくなりがち。足がむくんだら、オットマンなどを利用して足を水平にしましょう。そのほか、床に寝て足を壁やベッドなどに立てかける方法も。足を心臓より上の位置にあげることで、重力を逆手にとってむくみを解消します。

湯船に浸かる
お湯をためてゆっくり湯船に浸かれば、むくみもスッキリ! しっかり体を温めることで、血流促進。また、お湯の水圧で適度に体に圧がかかり、滞った水分を流してくれます。湯船に浸かるのがベストですが、湯船にお湯をためる時間のない人は、シャワーの時に足元だけお湯をためて足湯にするなどでも、効果アリ。

カリウムの多い食材を摂る
むくんでいるなと感じたら、積極的にカリウムが含まれる食品を摂りましょう。カリウムには、ナトリウム(塩分)を尿として体外に排出する働きがあり、代表的な食材は、バナナやリンゴ、メロンなどがあります。そのほか、野菜や果物に多く含まれるので、積極的に摂るようにしましょう。
腎機能が低下している場合には、カリウムを含む食材は控えるべきなので、主治医に相談してください。

むくみは、普段の生活で少し意識するだけでも予防できます。下記に、むくみの予防方法をまとめてご紹介します。ひとつでもいいので、取り入れるとむくみにくくなります。

体を動かす
普段から体の血行を良くしておくことがむくみ対策には有効です。定期的に運動を取り入れるほか、普段から階段を使う、できるだけ早足で歩くなど、特に足を動かすことを意識してみましょう。

塩分を摂りすぎない
体は常に体内の塩分濃度を一定にする働きがあります。そのため、塩分の多い食事を摂ると、体は水分を溜め込んで塩分濃度を下げようとします。それが、むくみになる可能性もあります。外食ばかりだとどうしても塩分を多く摂りがちです。また、自炊の場合でも、加工食品には精製された塩分が多めに含まれていますので、表示を確認してから使ってください。
自宅に常備する塩は、カリウムやマグネシウムも含む塩を選びましょう

塩分排出を助ける栄養素を摂る
日頃から、塩分の摂りすぎには気をつけたいものですが、忙しくて外食に頼りがちになってしまうこともあります。塩分は摂りすぎないのはもちろん、塩分の排出を助ける食材を摂ることも有効です。
利尿作用があり、塩分の排泄を助けるカリウムを多く含むウリ科の野菜である、すいかやきゅうり、冬瓜のほか、あずき、バナナや柿などの果物や、血管を緩めるマグネシウムも含む海藻類なども摂りましょう。

アルコールは飲みすぎない
ビール、ワイン、お酒など、アルコール類を飲むと、体の血管が広がって一時的には血行がよくなるのですが、喉が乾くので水分を多く摂ることに。
また、アルコールのつまみは基本的に塩分が高め。そのため、アルコール自体はもちろん、アルコールを飲む環境も、むくみをまねきやすくなります。
お酒の席は楽しいものですが、ほどほどにして、必ず休肝日をもうけましょう。

弾性ストッキングを着用する
足がむくみやすい人におすすめなのが弾性ストッキングやソックス。ふくらはぎや足首を圧迫することで、足にたまりがちな血管やリンパ管を刺激して、血液やリンパ液をもどしやすくして、むくみを予防します。

体を締め付ける服は避ける
きついブラジャーやガードルなど、体を締め付けるものは、血行を妨げます。特に、体の中心部を覆うブラジャーやガードルなどには配慮しましょう。手足など、もともと血行が悪くなりがちな部分にも影響します。自分のサイズにあった下着を身につければ、むくみを軽減する助けになります。

体を冷やさない
体が冷えると、血行が悪くなりむくみやすくなります。特に、足はむくみやすいので足首からふくらはぎを冷やさないこと。足を出すファッションの時は、レッグウォーマーを持参したり、薄手のストールを常備して、常に体は冷やさないように意識しましょう。また、足が冷えたと感じた日は湯船に浸かって体を温めるか、時間がない時は足湯をして冷えを解消してから就寝しましょう。

東洋医学の考え方では、むくみは「水(すい)」の排出がよくできていないとされ「水滞(すいたい)」と呼ばれます。水分代謝が悪く、水が体の中で停滞しているという意味です。

「水滞」のタイプの人は、お腹を触ると冷たい、夕方になると足がむくむ、曇りの日や雨の日は体調を崩しやすい、舌がぼってりして圧痕がついているというのが特徴。
水滞の人に使う代表的な漢方として、「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」と「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」があります。体に溜まった余分な水分を排出して、むくみを解消してくれるものです。この2処方が対処するむくみ体質は違うので、まずは自分の体質に合わせて処方を選ぶことが大切です。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」のタイプ:筋力が弱い人や疲れやすい人は、水分代謝が悪く、余分な水分が重力などで下に溜まりやすいです。そのため、このタイプは特に夕方以降下半身にむくみが起きやすくなります。これにより、脚などが太く見えてしまいます。また、むくみを放っておくと、下半身に余分な脂肪がつく原因の一つとなると言われています。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)タイプ:寒いのが苦手で、あまり汗をかかない、顔・手足の冷えとむくみがあるのが特徴のタイプです。冷えがあると水分代謝が悪くなり、体内に水分をため込んでしまいます。さらには、血管外の余分な水分は血管を圧迫し、血行を悪くしてしまうため、より冷えやすくなり、むくみと冷えの悪循環に陥ってしまうのです。その時に、特に体の末端である顔や手足にむくみがでやすくなります。

「防已黄耆湯」と「当帰芍薬散」の2処方は、ドラッグストア等でクラシエ薬品のコッコアポシリーズとして販売されていることがあります。漢方薬で自分にあうむくみの解消法を探したいときは、ぜひチェックしてみてください。

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からだにいいこと
記事監修
からだにいいこと編集部
創刊18周年を迎えた女性向けの健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。