ここから本文です

疲れが取れない原因と疲労回復のポイントをご紹介

2023年7月25日

疲れが取れない原因と疲労回復方法

寝ているのに疲れが取れないといった、現代人の疲れの原因と、今日からできる疲労を回復させる方法をご紹介します。

肩がこる、気持ちが落ち込む、集中できない…。これらすべてが疲労にあたります。

疲労には、大きくわけて3つの種類があります。
肉体的疲労、精神的疲労、神経的疲労です。体を動かすことによって起こる疲れやだるさが肉体的疲労。同じ姿勢をずっと続けたことによる疲労も肉体的疲労にあたります。精神的疲労は、ストレスが要因となって起こるもの。神経的疲労は、パソコン作業などで視神経を酷使したり、脳の緊張によって起こる疲労です。

疲労によって起こる、さまざまな症状

  • 仕事に集中できない
  • 思考力が低下している
  • 気持ちが落ち込む
  • よく眠れない
  • 朝、疲れが残っている
  • 体がだるい
  • すぐ座りたくなる
  • 頭痛がする

など、様々な症状が起こります。

現代人を取り巻く環境は、特に精神的疲労と神経的疲労が起こりやすい傾向にあります。

インターネットの普及で、生活にパソコンやスマートフォンなどが欠かせなくなりました。しかし、すぐに欲しい情報が手に入るという環境は、脳にとっては負担。必要以上の過剰な情報をインプットすることになると、素早くたくさんの情報を処理する必要があるからです。
これが神経的疲労につながります。そして、生身の人間同士が行うコミュニケーションが不足気味といわれる昨今、人付き合いをストレスと感じる人も増え、精神的疲労を感じやすい傾向に。

また、運動不足も疲れが取れない原因のひとつ。
運動をしないと筋肉量が低下し、筋肉内でエネルギーを生み出すミトコンドリアの量が減り、質が低下することで、代謝が悪くなります。エネルギーがきちんと作られないと「電池切れ」のような状態になる上、活性酸素が発生しやすくなります。
その結果、体が疲れやすくなり、動くのが億劫に。すると、さらに筋肉の力が弱くなり、疲れやすい体になってしまうという悪循環に陥ります。

下半身の筋力が弱く、たるみが気になるという人は、運動不足からくる疲れが原因です。こういったタイプの人は、摂取した栄養をエネルギーに変えたり、使ったりするのが弱いとも考えられます。また、このタイプは下半身の筋力が弱いことが原因で、水分代謝が悪くむくみやすいという特徴があります。
むくみがあると、さらに体がおもだるく感じます。

<PR>

このような理由から、現代は疲労が取れにくく、蓄積しやすくなっています。

疲れを回復させる方法として、まず取り入れたいのが睡眠の質の改善です。肉体疲労はもちろんですが、特に、精神的疲労や神経的疲労を回復させるには、積極的に睡眠環境を整えるのがカギとなります。

寝室の環境を整えたり、寝る前に準備することなど、睡眠の質を上げるコツをご紹介します。

十分な睡眠時間を摂る

人によって必要な睡眠時間は異なりますが、毎日7時間は確保したいもの。朝、起きなければならない時間から逆算して、ベッドに入る時間を決めましょう。テレビやスマホをダラダラ見る時間などを削減すれば、30分〜1時間は睡眠時間を長く確保できるはずです。

パソコンやスマホは寝る1時間前にストップ

脳を刺激して、覚醒を促すブルーライトを発するパソコンやスマートフォンは、寝る1時間前から使用をストップしましょう。ゆっくり本を読むなどして、脳を眠るモードに導きましょう。

寝室を暗くする

目の視神経はとても弱い光にも反応し、脳を活性化させ、眠りを浅くします。まぶたを閉じていても、携帯を充電している時に光る小さなライトやテレビの主電源の赤い光などにも反応。電気機器は寝室に持ち込まない、または主電源から切るなどで対応しましょう。

街灯の光が入る場合には、遮光カーテンをつけるなどして、寝室を真っ暗にするように環境を整えましょう。アイマスクをして、目元を覆うのもおすすめです。

ぬるめのお湯に浸かる

眠る1〜2時間前に、38〜40度のぬるめのお湯で半身浴をしましょう。ぬるめのお湯は、入眠をスムーズにする副交感神経を優位にします。
また、体は深部体温を下げることで、休息モードに入る仕組みです。お風呂で、体の深部体温を上げて発汗を促すことで、スムーズに体温が下がり寝つきがよくなります。

パジャマを着て寝る

眠る時、ジャージや適当な部屋着を着ていませんか? ゴムやファスナーの部分がかたかったり、通気性が悪い生地のものを着て眠ると、皮膚の神経を刺激してストレスを感じ、寝苦しく睡眠の質が悪くなります。体を冷やすくことなく、通気性も確保しているのがパジャマ。眠りの質を上げるため、着心地のよいパジャマでやすみましょう。

疲労回復には、食事でしっかり栄養素を摂ることが重要です。1日3回、バランスの取れた食事を摂ることを心がけましょう。
さらに、疲労回復に効果的な食材を取り入れたり、食事のタイミングを整えれば、疲れがたまりにくくなるはずです。

“イミダペプチド”が豊富な鶏胸肉を

鳥の胸肉に含まれる成分“イミダペプチド”には、疲労改善効果があります。疲労は、激しい運動や長時間の仕事などで、過剰に発生した活性酸素による酸化ストレスにより、細胞が傷つけられることで起こります。

イミダペプチドには、抗酸化作用があり、酸化ストレスから引き起こされる疲労を軽くする効果が期待できます

疲労回復のために必要なイミダペプチドの量は1日200〜400mgとされています。一番含有率の高い鶏の胸肉には100gあたり1200mg程度のイミダペプチドが含まれているとされますが、吸収率を考えると、1日100g程度の鶏の胸肉を摂取することが推奨されています。鶏以外にも、マグロやカツオなどの回遊魚の尾びれの部分にも含まれています。

こまめに“クエン酸”摂取で疲労回復

昔から、疲れた時にはすっぱいものを摂る習慣がありますが、これは理にかなった方法です。レモンなどの柑橘類、梅干し、酢など、すっぱいものに含まれる“クエン酸”は、ミトコンドリアのエネルギー産生をスムーズにする働きがあります

しかし、クエン酸は一度に大量にとっても排出されてしまいます。1日3回程度に分けてこまめに摂ることがおすすめ。紅茶にレモンを入れたり、お水にレモンを加えてレモン水で水分補給をすると手軽にクエン酸が摂取できます。
焼き魚やフライには、必ずレモンを絞りましょう。また、サラダチキンにレモンを絞っていただくと、イミダペプチドとクエン酸の両方を摂ることができます。
その他、梅干しやお酢にも含まれるため、これらを活用するのもいいでしょう。

エネルギー代謝を高める“ビタミンB群”

“ビタミンB群”は、ミトコンドリアのエネルギー代謝を高め、疲労感を解消します。豚肉、うなぎ、玄米等に含まれるビタミンB1は、糖質をエネルギーに転換する際に必要です。食欲不振や不安、集中力不足に効果があります。

また、レバーや納豆、卵に含まれるビタミンB2はストレス疲労に効果的。マグロ、カツオに含まれるビタミンB6は、精神を安定させるセロトニンや睡眠を促すメラトニンホルモンを分泌するのに不可欠です。ストレスによるイライラを改善、精神を落ち着ける働きが。

夕食は寝る3時間前までに

夕食の時間も睡眠に大きく影響しています。夕食は、寝る最低3時間前に済ませましょう。胃に未消化の食べ物が残ったまま眠ると、睡眠中に体は消化に力を使い、疲労回復に十分な力を発揮できません。

また、眠りについてから30分後に起こる深いノンレム睡眠中に分泌される成長ホルモンは、体の細胞の修復や脳、神経の疲労を回復させるためにとても重要です。ところが、血糖値が上がると成長ホルモンの分泌が低下してしまうため、夜間に血糖値が上がるような食事の取り方は睡眠の修復力を妨げます

夕食に糖質の多い食事を控えたり、血糖値がやや下がったあたりで睡眠につけるように、夕食と睡眠の時間を最低3時間程度空けましょう。
12時に眠るとしたら、9時までには食事を終える必要があります。もし、どうしても夕食が遅くなってしまう場合は、糖質が少なく、消化の良いものを選び、よく噛んで食べるようにしましょう。

できるだけ食事で必要な栄養を摂取し、サプリメントは補助的な役割として活用しましょう。疲労回復に有効なサプリメントは、ビタミンB1、パントテン酸、L-カルニチン、αリポ酸、コエンザイムQ10、鉄分などです。
これらの成分を、複合的に配合したサプリメントも販売されています。薬剤師や登録販売者に、「どういった疲れがあるのか」伝えると、適切なものを選んでもらえます。

また、漢方薬では「補中益気湯(ほちゅうえきとう)」などの気を補う補気剤と呼ばれる種類の漢方薬がおすすめです。胃腸の働きが弱く、食事で摂った栄養をエネルギーに変える力が弱いと、エネルギー不足に陥り、疲れやすくなると考えられています。「補中益気湯(ほちゅうえきとう)」は胃腸の働きを整え、摂取したエネルギーを使えるようにして、疲れにくい体に導きます。また、精神疲労でやる気が出ない場合にも選択されます。

漢方には、様々な種類があり、体質によって使い分けるものですので、医師や薬剤師に相談してから服用をしましょう。

疲れやすく、疲れがたまりやすい環境にある現代ですが、睡眠と食事を中心に疲労回復にフォーカスした生活習慣にすれば、体がラクになっていくはずです。疲れは溜まりすぎると、疲労感すら感じなくなり、うつ病などの重い病に至る場合も。
自分の疲れは何が原因か種類を把握して、「疲れたな」と感じたら、はやめに対処をし、ためないように気をつけましょう。

からだにいいこと
記事監修
からだにいいこと編集部
創刊18周年を迎えた女性向けの健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。