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防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)の効果とは?
肥満や多汗症に効く漢方薬

2023年12月21日

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)むくみや水太りに効果的な漢方薬

「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」って知っていますか?あまり聞きなれない方も多いかもしれませんが、実は、むくみや水太り、多汗症などに効く漢方薬で、薬局やドラッグストアでも販売されています。
防已黄耆湯は、自分の体質や症状に適した処方かどうか、ぜひ記事を読んでチェックしてください。

防已黄耆湯は、下半身むくみや水太りにお悩みの方におすすめです。

筋肉量の少ない方や疲れやすい方は、水分代謝が悪く、余分な水分が重力などで下に溜まりやすくなるため、特に夕方以降下半身にむくみが起きやすいのが特徴です。これにより、脚などが太くみえてしまいます。また、筋肉量の減少は新陳代謝の低下も招くため、体に締まりがなく、皮下脂肪のたまった水太りになってしまいます。

漢方では、そもそも筋肉量が少なく疲れやすい原因は、胃腸の働きが弱まっていて十分なエネルギーを作り出せないためだと考えてます。このタイプの方は少食で、胃腸が弱い傾向にあり、そのため、十分な活力がなく運動不足になりがち…筋肉量が落ちて脂肪がたまったり、身体の水分が低下してむくんだりします。

このような状態は、漢方では十分なエネルギー、いわゆる「気」が足りない状態と捉えて、「虚証(キョショウ)」タイプと定義しています。
「防已黄耆湯」は、「気(エネルギー)の不足」、「虚証(キョショウ)」のタイプ向きの漢方薬です。

防已黄耆湯タイプの人(気の不足、虚証体質)の特徴:

  • 見た目は、色白、弱々しい、食べ過ぎていないのに太ってしまう、体のたるみが気になる。
  • 水分代謝が悪く、身体の重だるさによる運動不足のため、筋肉量が少なくなり、寒がり、疲れやすい、寝ても疲れが取れない、ずっと立っているのが苦手ですぐに座りたくなる。
  • 食事はあっさり系が好きで、一回の食事の量が少ない、下痢になりやすい。

前述したように、防已黄耆湯はむくみの人に向いています。
では、むくみとはそもそもどんな状態なのか、それをよく理解して対処しましょう。

むくみが「体の水分と大きく関わる」ということは、何となくわかります。人の体は、約60%が水分でできているということを聞いたことがある人も多いはずです。
その体内の水分の3分の2は、「細胞内液」という細胞の中に含まれる水分で、残りは「細胞外液」といい、血液に含まれる水分や、細胞と細胞の間を満たしている水分です。

これらの水分は、細胞に栄養を送ったり、老廃物を除去する役割を担っています。細胞や血管の中を行き来して体内の水分のバランスを保っているのも特徴のひとつです。しかし、このバランスが崩れて、細胞と細胞の間に水がたまり、異常に増加したのが「むくみ」です。
自分がむくみかどうかをチェックするには、一般的に足先側や足の甲の辺りを親指で10秒程度圧迫してくぼみができるか観察します。

また、多くの「むくみ」は、病的なものではなく、一過性のむくみです。

  • 一過性のむくみ:時間同じ姿勢をとるや塩分の摂り過ぎ、アルコール、生理によるホルモンの変動、睡眠・運動不足、ストレスなどの影響によるむくみも、一過性のもの。軽いものはストレッチなどで改善されることが多く、早い改善が見られます。
  • 慢性的なむくみ:一過性のむくみと違い、数日では治らない慢性的なむくみで、むくんでいる部位を押すと指の後がつくのが特徴です。この場合、心臓、腎臓、肝臓といった大きな臓器に疾患が隠れている可能性があるので、医師に早めに相談しましょう。そのほかにも、食事の偏りによる栄養失調、ふくらはぎの血管が膨らんで足がむくむ下肢静脈瘤、手術でリンパを取り除いたことで起こるリンパ浮腫などもあります。

一過性のむくみであるが、繰り返したり、人に比べてむくみやすいのであれば、自分の体質を見極めて防已黄耆湯の服用も考えられます。

「防已黄耆湯」は、下記6種類の生薬で構成されています。
「防已(ボウイ)」、「黄耆(おうぎ)」、「白朮(ビャクジュツ)」「大棗(タイソウ)」、「甘草(カンゾウ)」、「生姜(ショウキョウ)」

これら6種類の生薬でできた防已黄耆湯は、胃腸を元気にすることで食べたものをエネルギーに変え、代謝を活性化させてくれる処方です。水分代謝の活性化で余分な水分を取り除いて、下半身のむくみを改善し、脂質代謝の活性化で脂肪を分解・燃焼して水太りを改善します。

また、気(エネルギー)の不足によって、汗腺の開閉機能が失調し、漏れ出るように汗をかくことがあります。そのため、体力が弱くてよく汗をかく多汗症にも、実は「防已黄耆湯」が効きます。他に、「防已黄耆湯」は主に下半身の水分代謝を上げる働きがあるので、膝に水分がたまった状態の関節痛にも効果があります。

6種類の生薬を組み合わせて様々な効果を持つ「防已黄耆湯」が最初に紹介された書物は『金匱要略(きんきようりゃく)』で、これは3世紀初めごろに中国の張仲景が著したとされています。「防已黄耆湯」は古くから使われてきた、歴史のある漢方薬なのです。

次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
医師の治療を受けている人 、妊婦又は妊娠していると思われる人 、高齢者 、今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人 、次の症状のある人:むくみ 、次の診断を受けた人:高血圧、心臓病、腎臓病

服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。

  • 皮膚の発疹・発赤、かゆみ
  • 食欲不振、胃部不快感

また、まれに間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害、黄疸といった重要な副作用が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けてください。
具体的な症状として、
発熱、から咳、息切れ、呼吸困難、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、体がだるくて手足に力が入らない、手足がひきつる、手足がしびれる、
体がだるい、皮膚や白目が黄色くなる
などが挙げられます。

上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。

詳しくは、サイト内にある各商品の添付文書をご確認いただき、正しく服用ください。

この商品の添付文書情報

Q. 妊娠に気づいてから飲むことができますか?
A. 「防已黄耆湯」に限らず、妊婦又は妊娠していると思われる人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。

Q. 「防已黄耆湯」と「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」を併用しても大丈夫ですか?
A. 「防已黄耆湯」と「防風通聖散」では、適した体質やタイプが異なります。自分の体質がどちらかを見極めて選ぶか、医師、薬剤師、又は登録販売者に相談して服用するようにしましょう。

Q. むくみで「防已黄耆湯」を飲んだら、どのぐらいで効果がでますか?
A. 人によって差異はありますが、むくみで服用する場合は、約2週間~1ヶ月程度で、排尿量が増えたり、むくみが軽くなったりといった改善効果が現れると考えられます。

普段の食事やストレッチでむくみケアもいいですが、繰り返すむくみには体質にアプローチする漢方薬を取り入れるのも選択肢の一つ。
胃腸が弱くて、筋肉量の少ない、疲れやすい「虚弱」タイプの方で、夕方の下半身のむくみや水太りが気になれば「防已黄耆湯」で対処することができます。
胃腸の元気にすることで食べたものをエネルギーに変え、水分代謝と脂質代謝を活性化させる「防已黄耆湯」は、下半身のむくみや水太りの原因に着目して症状を改善します。ぜひ自分の体質に合わせてチェックしてみてください。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」のタイプ:筋肉量が少なく疲れやすい人は、水分代謝が悪く、余分な水分が重力などで下に溜まりやすいです。そのため、このタイプは特に夕方以降下半身にむくみが起きやすくなります。これにより、脚などが太く見えてしまいます。また、むくみを放っておくと、下半身に余分な脂肪がつく原因の一つとなると言われています。
この処方は、ドラッグストア等でクラシエ薬品のコッコアポとして販売されていることがあります。漢方薬で自分にあうむくみ改善を探したいときは、ぜひチェックしてみてください。

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からだにいいこと
記事監修
からだにいいこと編集部
創刊18周年を迎えた女性向けの健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。