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当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)の効果とは?
むくみや冷え性に効果的な漢方薬

2023年12月21日

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)むくみや冷え、生理不順など女性特有の悩み改善に効果的な漢方薬

「手足や顔が冷えてつらい…」「よくむくむ…」「貧血ぎみ」「生理が遅れたり不定期になったり、生理痛もある…」など、こんな女性の方におすすめなのが、女性によく使われている漢方薬「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」です。「女性だからよくあること…」「体質だから仕方ない」などと我慢せず、漢方薬でそれらの悩みを改善する方法もあります。

当帰芍薬散は、虚弱体質で貧血ぎみ、寒いのが苦手、あまり汗をかかない方に向いています。
このような方は日頃から体が冷えて水分代謝が悪くなり、体内に余分な水が停滞して体の末端(手足や顔)にむくみが出やすくなります。また、虚弱体質で体内の栄養素が不足し、血液を十分に作ることができずに貧血ぎみになったり、女性なら女性ホルモンの分泌が足りなくなることで生理不順になったりします。

これらの症状は、特に女性に多く見られます。それは、男性に比べて女性は筋肉量が少ないため、熱産生が不十分で体液の循環が悪く、冷えやむくみを強く訴えるからです。

漢方では、体に必要なもの(例:筋肉や血液(栄養素))が足りないことを、「虚証(キョショウ)」と表します。「当帰芍薬散」は、漢方でいうと「虚証(キョショウ)」の方におすすめの漢方薬です。

当帰芍薬散タイプの人(血の不足、虚弱体質)の特徴

  • 見た目は色白、弱々しい、筋肉量が少ない、細身。
  • 手足や顔の冷えとむくみが気になる。
  • 生理が遅れがち、出血期間が短い。
    (遅れの目安:39日以上※)(※参考基準:39日以降は稀発月経と定義されます。)
  • 寒がり、貧血ぎみ、疲れやすい、低血圧で体がだるく朝が弱い。
  • 人に比べてあまり汗をかかない、便通は普通~下痢ぎみ。

見た目や体の特徴、症状から自分の体質は当帰芍薬散が合っているかどうかはある程度わかります。さらに詳しく知りたい場合は、漢方の専門家や医療関係者に尋ねるといいでしょう。
また、その体質になった原因をよく知ることは、日頃の生活習慣から体質改善に取り組むことができるのでとても大事です。
では、当帰芍薬散が向いている体質:冷えむくみ体質の原因について説明していきます。

そもそもなぜ身体が冷えるのでしょうか。
冷えの原因には以下の様なものが挙げられます。

  • 食生活
  • 基礎代謝の低下
  • 筋力の低下
  • 貧血
  • 自律神経の乱れ
  • ホルモンバランスの乱れ   …など

例えば、ダイエットなどで食事制限や偏った食事をしていると、熱を作るエネルギー源が不足して、体内で十分な熱量が作れなくなります。また、その偏った食事は筋肉量の減少や貧血につながることもあります。
筋肉は基礎代謝を支える重要な器官で、筋肉量に応じて熱の産生量が増減するため、筋肉量が減ると体も冷えやすくなります。他に運動不足、加齢なども筋肉量の低下につながり、冷えを悪化させます。
貧血は赤血球に異常があるため末梢までしっかりと酸素を運搬できない状態であり、熱産生にいとって必要な酸素が足りない上、老廃物もたまりやすく血流を悪化させます。貧血もまた、冷えを悪化させる原因となります。

冷えは一見ごく普通な悩みで、特に女性ならほとんどの方が冷え性と言われている今、冷え性は軽視されがちです。実は、東洋医学では冷えは万病の元と言われ、冷えを放置すると様々な病を招くことになります。むくみもまたその一つです
実は、むくみと冷えは密接な関係にあります。

医学用語では「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれるむくみですが、細胞の隙間にある細胞間液と呼ばれる体液があふれてたまることで起こります。
細胞間液は、元々血管やリンパ管にありますが、血管から栄養素を細胞へ届けるために染み出てその役割を終え、血管やリンパ管に戻ります。ただ、何らかのトラブルで役目を終えたあとも血管やリンパ管に戻ることができず、一か所に集中してたまることでむくみが起こります。
この細胞間液が血管に戻れない原因にはいくつかあり、冷えはその原因の1つです。
冷えは血管を収縮させ、血液や体液の循環不良を招くため、細胞間液の回収がスムーズに行えなくなります。この時、細胞間液は血管外の余分な水分となり、さらに血管を圧迫し血行を悪くしてしまうため、より冷えを招きます。冷えとむくみの悪循環に陥ってしまうのです。
特に体の末端である冷えやすい手足と顔にむくみが出やすくなります。
体が冷えてむくみやすい…そのような悩みを持っている方は、冷えとむくみを別々の病態だと捉えず、1つの病態として治療する事が大切です。

「当帰芍薬散」に含まれる生薬は、下記の6つになります。
「当帰(トウキ)」「芍薬(シャクヤク)」「川芎(センキュウ)」「茯苓(ブクリョウ)」「蒼朮(ソウジュツ)」「沢瀉(タクシャ)」

これら6種類の生薬でできた当帰芍薬散は、滋養強壮作用と水分代謝促進作用を併せ持つ漢方薬です
前述のように、食生活の乱れ、運動不足、加齢などによって低下した熱産生力を高め、冷えに負けない体づくりをすることで、足腰の冷え症を解消します。また細胞の隙間など組織に停滞した水分を、利尿作用により、体外へ排泄することでむくみを除きます。
滋養強壮作用には栄養素を補い、造血を促す働きも含まれるため、貧血傾向のある方にも適しています。
その他にもめまいや立ちくらみ、肩こり、腰痛、しもやけなど様々な効果があります。

次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
医師の治療を受けている人、胃腸の弱い人、今まで薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
また、1ヶ月位服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、添付文章など、商品の説明文章を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。

すべての人に副作用が起きるわけではないですが、服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、添付文章など、商品の説明文章を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。
皮膚の症状:発疹・発赤、かゆみ
消化器の症状:食欲不振、胃部不快感

Q. 妊娠中や授乳中でも服用できますか?
A. 妊娠中に処方されることもある漢方薬ですが、妊娠は体が特殊な状態になるので、妊娠が判明した時点で、服用についてまず主治医に相談しましょう。
授乳中についても同様、主治医又は薬剤師の判断に従ってください。

Q. 当帰芍薬散はどれぐらいで効果がでますか?
A. 顔や手足のむくみで服用される場合は、比較的に効果が早く、おおよそ2週間程度から、排尿量が増えたり、むくみが軽くなったりといった改善効果があらわれると考えられます。
足腰の冷え症や生理不順の場合も1ヶ月程度で、症状が軽くなったり改善が見られます。1ヶ月以上服用しても改善が見られない場合は服用を中止し、添付文章など、商品の説明文章を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。

Q. 更年期障害にも有効ですか?
A. 更年期障害でおこる様々な不定愁訴には、症状別に違う漢方処方が用いられています。冷え症で貧血傾向があり、むくみが気になる方の更年期障害には当帰芍薬散が有効です。イライラやほてり等の症状は、別の漢方処方が適切です。

Q. 生理痛で当帰芍薬散を服用してもいいですか?
A. 漢方の場合、一概に生理痛として同じ薬で治療するわけではなく、症状や体質によって異なる処方を用いることがあります。当帰芍薬散の服用がおすすめなのは、生理が遅れがちで経血量が比較的少なく、生理の中盤~後半に鈍痛があるような方です。生理の前半に強めの痛みがあり、経血に血塊がまじるような方は別の処方:「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」が適しています。

当帰芍薬散は冷えむくみタイプの方、特に日頃から貧血気味の女性におすすめです。この漢方薬は、体を滋養しながら内側から温めて、水分代謝を上げてむくみを改善します。生理不順などにも有効です。
病院での処方だけでなく、ドラッグストアや薬局でも販売されています。ぜひチェックしてみてください。

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からだにいいこと
記事監修
からだにいいこと編集部
創刊18周年を迎えた女性向けの健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。