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中性脂肪が低い原因とは?
低いことでリスクのある病気と対策とは?

2023年8月24日

中性脂肪が低い原因とは?
低いことで起こる病気とは?

中性脂肪を減らすための商品は数多くありますが、なぜ多くの人は「中性脂肪を減らしたい」と考えるのでしょうか? 確かに、血液中の中性脂肪の値が高すぎる状態は、「脂質異常症」と言われる生活習慣病です。しかし、逆に低過ぎても問題があるのです。
今回は、中性脂肪が低いとなぜよくないのか、その原因や対策を解説します。

中性脂肪とは、食事から摂取した栄養のうち、体内でエネルギーとして使われる脂肪のこと。
中性脂肪の多くは食事で摂取しますが、肝臓でも合成され、エネルギーとして使われます。
余った分は皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられていますが、身体を動かすために必要な主要エネルギーであるブドウ糖が不足した時、エネルギー源として消費されます。
このように、中性脂肪は人間の身体にとってなくてはならないものなのです。

中性脂肪の基準値は、血液検査で30~149mg/dlです。基準値より高すぎる状態は、生活習慣病の「脂質異常症」にあたります。逆に、中性脂肪が低く29mg/dl以下の場合にも異常値と判断されます。

では、中性脂肪の値が低い場合、どういった原因が考えられるのでしょうか? 主に以下の4つが考えられます。

  1. 極端な食事制限によるもの。脂質や糖質を制限したり、ほとんど食事を摂らなかったりすると、中性脂肪の値も低くなります。
  2. 過度な運動も、中性脂肪の値が低くなる原因の1つです。アスリート並みの運動を繰り返すことによって、蓄えられた中性脂肪が大量に消費されるので、中性脂肪の値が低くなります。
  3. なんらかの疾患が関係している場合もあります。例えば、肝機能に問題がある場合、中性脂肪の合成・貯蔵ができなくなるので、値が低くなります。女性ホルモンに関わる病気、甲状腺の病気も同様です。
  4. 体質や遺伝が原因の場合もあります。その場合は身体に必要なエネルギーが不足しないよう、意識的に脂質を多く摂取することが大切です。

中性脂肪の値が低過ぎると、どんな症状が出やすいでしょうか。
値が基準値より低いということは、体内にエネルギーの蓄えが少ない状態なので、「疲れやすい」「しっかり寝ても体力が回復しない」といった慢性疲労を感じやすくなります。
中性脂肪は体内の体温調節にも関係しているため、低体温になったり、末端の冷えがひどくなったりする場合もあります。
また、脂肪分に溶け込んで体内を巡っている「脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンDなど)」がうまく吸収されず、肌荒れや抜け毛が悪化したり、免疫力が低下したりすることもあります。
中性脂肪値が低い場合に疑われる病気としては、下記のようなものもあるので、健康診断で異常値を指摘されたら、すぐに専門医で詳しく調べてみることをおすすめします。

〈中性脂肪値が低い場合に疑われる病気や異常〉

  • 肝機能の低下
  • 副腎皮質機能低下症(アジソン病など)
  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)

近年、体内の脂肪細胞は、ホルモンを分泌していることが分かってきました。「痩せホルモン」や「長寿ホルモン」とも呼ばれるこのホルモンは、内臓脂肪が少なく、適度に皮下脂肪がついていることで分泌され、脂肪を燃焼させ体を老化させる炎症を抑える働きがあります。

つまり、適度な中性脂肪があることは、美容と健康にとって重要なことなのです。

中性脂肪は低いのに、その他の数値が高い場合があります。その違いについて疑問を持つ方も多いようです。それぞれについて説明しましょう。

〈中性脂肪は低いのにコレステロール値が高い〉

中性脂肪が低いのに、コレステロールのみが高くなるケースもあります。

例えば、閉経後。
痩せ型で中性脂肪が低い人であっても、閉経すると総コレステロールやLDLコレステロールが上昇します。コレステロールは女性ホルモンの原料でもあるのですが、女性ホルモンが作られなくなることで原料が余ります。

また、女性ホルモンはLDLコレステロールを肝臓に回収させ、過剰にならないようにする働きもあります。閉経後はこの働きが失われるため、LDLコレステロールが上がりやすくなります。

中性脂肪は、こうしたコレステロール代謝とは無関係のため、中性脂肪が低いのにコレステロールが高いケースも稀ではありません。

〈中性脂肪は低いのに血糖値が高い〉

血糖値は、血液中のグルコース(ブドウ糖)の濃度のこと。食前と食後で血糖値が大きく乱高下すると、体に大きな負担を与え、動脈硬化のリスクを高めます。
中性脂肪値と血糖値はどちらも血管内の数値ですが、この2つは連動した働きをしていませんので、血糖値が高い場合は、食後血糖値の急上昇を抑えるように、バランスの良い食事を心がけましょう。

〈中性脂肪は低いのに体脂肪率が高い〉

体脂肪率とは、体重に占める脂肪の割合を示したものです。中性脂肪が低いのに体脂肪率が高い場合、中性脂肪が血中ではなく肝臓や皮下に蓄えられていると考えられます。特に不調がない場合は体内の中性脂肪の量は十分と考えられるため、心配する必要はありません。

中性脂肪が低くても、脂肪肝になる場合はあります。脂肪肝とは、食べすぎや運動不足が原因で余った糖質や脂質が中性脂肪に変わり、肝臓に溜まった状態のこと。脂肪が肝臓全体の30%以上を占める状態を指します。

本来、食事から摂取された脂質と糖質は、分解されて中性脂肪として肝臓に蓄えられ、必要に応じてタンパク質と結合して、血液中に分泌されます。

ところが、ダイエットなどで過度な食事制限を行ってタンパク質が欠乏してしまうと、中性脂肪が肝臓から血液中に運搬できなくなります。すると、肝臓には中性脂肪が余っているのに、血液中には少ないというパラドックスが起きます。

見た目がスリムだと危機感も薄い上、初期にはほとんどの人が自覚症状を感じないものですが、脂肪肝だと、狭心症や心筋梗塞などの心疾患の合併率が高くなるので注意が必要です。油ものだけではなく、甘いものやお酒の飲み過ぎも脂肪肝の原因となるので、スリムだからと油断することなく、バランスのいい食事を心がけるなどして健康な身体を保ちましょう。

中性脂肪が低い場合は、食生活を見直して、体に必要な栄養をしっかり届けるようにしましょう。
まずは、1日3食決まった時間に食事することを心がけ、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂るように意識しましょう。
太りたくないということから、糖質や脂質を避けがちですが、中性脂肪を作るためにご飯やパンなどの主食、肉や魚などの主菜を適度に摂ることは必要。定番の和食は、栄養バランスが整えやすいのでおすすめです。

無理なダイエットや極端な食事制限は、中性脂肪を著しく低くしてしまう可能性があります。中性脂肪値が低い状態が続くと、慢性疲労など身体の不調を引き起こすことがあります。栄養不足にも気を付けながらバランスのよい食事で健康的に脂肪を減らすように心がけましょう。また、無理せずに余分な脂肪を減らしたいという方は、漢方という方法もあります。

余分な脂肪を減らす時、「健康的に減らしたい」「自分に合う方法がいい」という方には、バランスのいい食事制限や適度な運動に加えて、自分の体質に合わせた漢方を服用するのもおすすめです。
脂質代謝が乱れて便秘がちな方は、「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」と「大柴胡湯(だいさいことう)」の2処方が適しています。どちらも便秘を改善して、脂質代謝を上げて余分な脂肪を分解・燃焼する効果がありますが、それぞれが使う体質が違うので、まずは自分の体質に合わせて処方を選ぶことが大切です。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」のタイプ:食べ過ぎや間食が多く、代謝が追い付かなくなることでお腹まわりに脂肪がつきやすくなるタイプ。このタイプは胃腸の働きが乱れて便秘にもなりがちです。
大柴胡湯(だいさいことう)」のタイプ:年を重ねることやストレスなどでホルモンバランスが乱れ、脂質代謝が低下し、上半身を中心に、筋肉の少ない二の腕・脇腹に溜まりやすいタイプ。また、このタイプは食生活が乱れやすく、便秘にもなりがちです。
また、太って見えて脂肪が原因だと思うが、実はむくみの方もいます。そういう方には、「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」と「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」の2処方があります。普通~軟便気味な方が服用でき、むくみの原因にアプローチしながら水分代謝を上げて、むくみを改善します。こちらの2処方も使う体質が違うので、自分の体質に合わせて選ぶことが大切です。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」のタイプ:筋力が弱い方や疲れやすい方は、水分代謝が悪く、余分な水分が重力などで下に溜まりやすくなるため、特に夕方以降下半身にむくみが起きやすくなります。これにより、脚などが太くみえてしまいます。また、むくみを放っておくと、下半身に余分な脂肪がつく原因のひとつとなると言われています。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」のタイプ:むくみと冷え症、両方持っているタイプ。冷えがあると水分代謝が悪くなり、体内に水分をため込んでしまいます。さらには、血管外の余分な水分は血管を圧迫し、血行を悪くしてしまうため、より冷えやすくなり…このタイプは、むくみと冷えの悪循環に陥ってしまっています。特に冷えやすい手足と顔にむくみが出やすくなります。

上記の4処方は、ドラッグストア等でクラシエ薬品のコッコアポシリーズとして販売されていることがあります。漢方薬で自分にあう脂肪の減らし方を探したいときは、ぜひチェックしてみてください。

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からだにいいこと
記事監修
からだにいいこと編集部
創刊18周年を迎えた女性向けの健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。