坐骨神経痛の悩みを徹底解説!痛みに効くセルフケア

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目次

長い時間座っていられないお尻の痛みやうずき、腰痛、太ももの裏からふくらはぎにかけて電気が走るような痛みやしびれなど、下半身の裏側に起こる不快感はありませんか?それらは坐骨神経痛の初期症状かもしれません。
坐骨神経痛とは、腰からお尻、太もも、膝裏、足にかけて延びる坐骨神経の通り道で何らかの原因によって痛みやしびれなどの症状が現れる状態のことで、病名ではなく症状の総称です。様々な原因が考えられるため、痛みや不快感への対処法ではなくどこに原因があるかを見極めてアプローチをすることが大切です。

坐骨神経はどこにあるの?

坐骨神経は、人体の中で「いちばん太く長い末梢神経」だと言われています。腰椎の4番目や5番目(骨盤のすぐ上の腰部)、仙骨などから始まり、そのまま太ももの後ろ、膝の後ろ、ふくらはぎ、足元へと膝下の神経に分岐して延びています。痛みやしびれのある部分が原因の場合もありますが、神経の管轄範囲が広いため、厄介なことに影響を受ける筋肉が多く、離れた部位が原因の場合もあります。腰に原因があるのに太ももの裏にしびれを感じる、という場合などがその例です。特に神経が腰椎骨盤部(腰部から骨盤部まで)から足元まで伸びているためそのエリアに原因がある場合は広範囲に亘り痛みや違和感がでることが考えられます。

坐骨神経の位置 人体図のイラスト

坐骨神経痛になりやすい人とその対策

坐骨神経痛は誰にでも起こりうる症状ですが、なりやすい人には特徴があります。日常生活の対策についてもご紹介します。

☑ 同じ姿勢を続ける人(デスクワークや長時間の運転など)
<理由>
長時間同じ姿勢を続けることで腰周りの血流やリンパの流れが滞り、骨や筋肉に負担をかけるため
<対策>
骨盤を前後左右に動かす、かかとの上げ下げなどを行うなど下半身の血流促進を心がけましょう。かかとの上げ下げは座ったままでもふくらはぎの筋肉を動かせるので有効です。

☑ 中高年以上
<理由>
椎間板や靱帯の変性や脊柱管狭窄症などのリスクが高まるため
<対策>
姿勢を保つ体幹の筋肉を維持しましょう。バランスのよい食事で栄養を補給し、骨や神経を守るために筋力アップを心がけましょう。

☑ 肥満気味な人
<理由>
過剰な体重は腰や下半身に大きな負担をかけ神経の圧迫が起こりやすいため
<対策>
健康的な食生活を目指し、脂肪燃焼効果を意識した有酸素運動を取り入れましょう。

☑ 妊婦
<理由>
腰への負担が増すことと、ホルモンバランスの変化が影響するため
<対策>
可能な範囲でお尻や太もも裏の血行を促すストレッチを取り入れたり、温めたりすることで筋肉の緊張を和らげましょう。姿勢を補助するクッションや腰枕などを利用して腰周りを守ることも大切です。

☑ 重い物を扱う職業の人
<理由>
重いものを持ち上げる作業に従事している場合、腰椎骨盤部への負担が大きくなるため
<対策>
定期的なストレッチや筋トレを習慣付けて筋肉の柔軟性を保ちましょう。疲労の蓄積に注意し、腰への負荷を軽減させるベルト等のサポートアイテムを活用することも視野に入れ無理をしないようにしましょう。

☑ 運動不足
<理由>
体幹部の筋力が弱まることで骨への負荷が増えたり、筋肉の柔軟性が損なわれたりするため
<対策>
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を習慣付けることで血行を促し、むくみを予防しましょう。習慣付けることで筋肉の柔軟性が保たれ、動きやすいカラダにつながります。

☑ 冷え性
<理由>
血行不良によって筋肉が硬くなり、神経を圧迫するため
<対策>
定期的な運動で血流を促進したり、入浴や温熱療法でカラダを温めたりしましょう。カラダを温める食材を選んで摂ることも大事です。

中医学の 「病邪(びょうじゃ)」という考え方とは

中医学 では、「健康」とは体内に流れる「気(生命エネルギー)」と「血(栄養)」と「水(潤い)」が円滑に巡っている状態を指します。一方、この気血水のバランスを崩し、病気や不調の原因となるものを「病邪」と呼びます。病邪は常に身の回りに存在し、体調や環境の変化によって体内に侵入すると考えられています。痛みやしびれなどに関わる病邪は「風(ふう)」「寒(かん)」「湿(しつ)」の3つの邪気によって引き起こされると言われています。風邪(ふうじゃ)は、自然界の「風」が極端な状態になり、人体に侵入して発病する外感病因です。「風邪(かぜ)」という言葉からも想像しやすい病邪です。「寒邪(かんじゃ)」はカラダを温めるための力を奪い冷えや血行不良を促します。「湿邪(しつじゃ)」は湿度がカラダの潤いを滞らせ、むくみやだるさなどの不調につながります。
坐骨神経痛は寒邪と湿邪が原因となることが多いため、カラダを温めて冷えを取り、水分代謝を高めて自ら巡る力をつけることがポイントとなります。そして風邪が痛みをカラダの各所へ移動させることがないように、免疫力を高めておくことも大事です。

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坐骨神経痛がある場合の運動は?

坐骨神経痛の症状が出ている場合であっても、基本的には運動しても問題ありません。無理な運動をしすぎない限り、カラダを動かすことは坐骨神経痛の原因となる血行不良や冷えの改善につながります。ただし、痛みが強い場合、椎間板ヘルニアなど骨や組織に損傷がある場合、患部がズキズキと痛む場合は運動を見合わせ医師の指示に従いましょう。運動の最中に痛みが増す場合も別の要因が考えられるため、運動を中止し、速やかに医療機関を受診しましょう。
運動のポイントは坐骨神経が管轄している下半身(腰・お尻・太もも・ふくらはぎ・足元)の筋肉を丁寧にストレッチし血行を促すことです。ストレッチで筋肉を緩めた後は、しっかり使う(筋トレする)ことで筋肉の血流量を上げ温かい血が、すみずみまで巡るカラダを作りましょう。

<避けた方がよいこと>
・重い物を持つ
・カラダを冷やす
・長時間同じ姿勢をとる(座り続ける、立ち続ける)
・無理な姿勢や痛みが起こるような運動(側屈、ひねる)
・体重の増加
・柔らかすぎるベッド・椅子の長時間の利用

冷えたお尻にストレッチ効果を生むマッサージ

お尻の深層筋肉で坐骨神経をまたいでいる「梨状筋(りじょうきん)」は坐骨神経痛と関わりが深いことが知られています。座る・立つなどの動きで圧迫されたり酷使されたりすることが多く、凝り固まりやすい筋肉です。運動不足の場合は冷えて硬くなり痛みを引き起こします。一方で、激しい運動をするアスリートなどは梨状筋の酷使によって隣接する坐骨神経を刺激し、痛みを誘発することがあります。梨状筋はお尻の深層部にあるためアプローチがしにくいことから、テニスボールを利用したマッサージで丁寧に緩めていくことが有効です。

◆テニスボールを使う自重マッサージ
テニスボールに自分のカラダをあずけるように体重を用いて圧迫するマッサージです。ボールを当てる部分は梨状筋の始まりである仙骨(骨盤の裏側)の際①、片方のお尻の中間地点②、大腿骨に近いお尻の端③の3点です。力を抜いて自分の体重を利用してボールをお尻に埋め込んでいくようなイメージで痛気持ちいい程度で筋肉に刺激を加えましょう。

<やり方>
1)膝を立てて床(マット)に座り、テニスボールを片側のお尻の梨状筋の位置①に当ててお尻で踏むように体重をゆっくりと乗せます。
2)梨状筋の中心部である②の位置にボールを移動させ体重をゆっくりと乗せます。
3)梨状筋の外端である③の位置にボールを移動させ体重をゆっくりと乗せます。
※呼吸を止めずに各ポイントで30秒くらい圧迫します。
※痛みやしびれが強い場合は控えましょう。

テニスボールを使う自重マッサージ 梨状筋の位置【イラスト】
テニスボールを使う自重マッサージ やり方【イラスト】

◆テニスボールに座るだけマッサージ
座り仕事が長い人向け座るだけのマッサージ。
お尻の肉と太ももの肉の境目にテニスボールが当たるようにして、座るだけ。坐骨を避けるように坐骨の前と坐骨の後ろにボールを移動させるように複数箇所にボールを当てて座りましょう。太もも裏(ハムストリングス)や殿筋の冷えて凝り固まっているところをリリースできます。オフィスで1日数回、気分転換する気持ちで数分間座るとよいでしょう。片側ずつ行うと骨盤が適度に左右に傾くため腰周りの血行促進につながるため効果的です。

テニスボールに座るだけマッサージ  やり方【イラスト】

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那須久美子

那須久美子

広告会社、大手化粧品会社宣伝部にてCM、雑誌等の広告制作に携わる。
その後フリーランスとしてバレエ講師、ピラティスマスターストレーナー、ヨガセラピスト、介護予防運動指導員として老若男女へ伝える仕事に従事。
企業や官公庁での健康アドバイザーや研修講師も務める。
国家資格キャリアコンサルタントとしては企業内障害者ジョブコーチを経て自治体の就労支援事業で講師・カウンセラー、現場統括責任者を歴任。
現在は文化芸術振興事業の広報、キャリアコンサルタントのためのオウンドメディア監修も担当。

・ヘルスケアデザイナー
・バレエティーチャー
・ピラティストレーナー、ヨガセラピスト
・アスリートキャリアコーディネーター
・国家資格キャリアコンサルタント
・漢方アドバイザー
・介護予防運動指導員

HP:https://www.kandworks.com/about

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