目次
- 目の周りや顔にできる白いブツブツの正体は「稗粒腫(はいりゅうしゅ)」
- 稗粒腫の治療法と予防とは
- 二の腕の赤いブツブツは毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)
- 毛孔性苔癬の治療法と予防とは
- 肌へのアプローチはカラダの内側からが早道
- 肌の「キレイ」のためにシンバイオティクスを摂り入れる
- 肌の健康と毎日の美しさのために自律神経を整える
- 肌トラブルのない「すこやかな毎日」はカラダの中からつくりだす
- 肌のブツブツに関するよくある質問(FAQ)
目の周りの白いブツブツ。二の腕の赤い小さなブツブツ。ニキビとは違うことは分かるけれど、皮脂が多いわけではないエリアになぜブツブツができるのでしょうか?
目の周りと二の腕では生じるブツブツに違いがあります。どちらも日常に支障がでるものではありませんが見た目のコンプレックスにつながりやすい丘疹(きゅうしん)と呼ばれる皮膚トラブルです。
それぞれのブツブツの正体と原因、治療・予防方法、効果的な漢方薬について解説していきます。
目の周りや顔にできる白いブツブツの正体は「稗粒腫(はいりゅうしゅ)」
目の周りなどにできる1~2mmほどの盛り上がったブツブツ(丘疹)は、見た目が穀物の稗(ひえ)に似ていることから、「稗粒腫(はいりゅうしゅ/ひりゅうしゅ)」と呼ばれます。
カラダにもできる可能性がありますが、まぶたや目の下など目の周りに最もよく現れます。色は白色~黄白色をしており、触れるとしこりのような硬さを感じるのが特徴です。見た目から白ニキビと間違われることがありますが、白ニキビと違って痛みや炎症が生じることはありません。中身は角質(ケラチン)で、何らかの原因で毛穴の入り口付近に入りこみ排出されずに固まってしまったものです。
稗粒腫の原因は、まだ完全に解明されていませんが、先天的な影響でできる「原発性」と、皮膚の疾患や摩擦、やけど、外用薬等の長期使用による外的刺激によってできる「続発性」があると考えられています。
稗粒腫の治療法と予防とは
稗粒腫は痒みや痛みを伴わずウイルス性の感染原因でもないため、治療せず放置していても問題ありません。しかし見た目上の問題から、なんとかしたいという悩みが多い皮膚トラブルです。稗粒腫を自身で無理やり取る行為は、皮膚にダメージを与えることで炎症や細菌感染を起こしたり、傷跡や色素沈着が残ったりする恐れがあるためおすすめできません。
また、ニキビ、水いぼ、脂肪腫、汗管腫、粉瘤(アテローム)など、見た目が似ている皮膚疾患が多く存在するため自己判断せずに皮膚科を受診することがおすすめです。
皮膚科で受けられる稗粒腫の治療法としては、主に以下の2つがあります。
・圧出法(あっしゅつほう):
メスや注射針で稗粒腫の表面に小さな穴を開け、ピンセットなどで圧迫して中に詰まっている角質を押し出す方法です。
・炭酸ガスレーザー法:
炭酸ガスレーザーを照射し、皮膚内の水分と炭酸ガスを反応させて発生する熱エネルギーを利用して稗粒腫の組織を破壊する方法です。
稗粒腫の予防としては、肌への過剰な摩擦を避ける、保湿をしっかり行うなどの日常における適切なスキンケアが大切です。また、肌のターンオーバーを促すピーリング剤やレチノール配合の化粧品も予防に役立つことがありますが、これらは逆に肌への刺激となる場合があるため、自身の肌の状態に合わせて慎重に取り入れる必要があります。
二の腕の赤いブツブツは毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)
痒みがないのに気になる二の腕のブツブツは、触るとザラザラしていて赤や褐色のものがいくつもまとまって発生するのが特徴です。一見ニキビのようにも見えますが、顔などの皮脂の多い部分には発生せず、炎症を起こしたり痛みや腫れを引き起こしたりすることもありません。
これらの症状は「毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)」、又は「毛孔性角化症(もうこうせいかくかしょう)」と呼ばれる皮膚疾患で、通常は自然と剥がれ落ちていく角質がそのまま毛穴まわりの皮膚に残るために起こります。赤いブツブツした見た目と、触るとザラザラした感触が特徴的です。肌が乾燥しやすい人や敏感肌の人に発症しやすく、二の腕だけでなく太もも、背中などにできることもあります。
思春期から若い世代に多く見られ、年齢を重ねていくと徐々に減っていく傾向がありますが、中には長く続く場合もあります。両親のどちらかに症状があると子供に遺伝する可能性が高く、肥満体質の方に発症しやすい傾向があると言われています。
毛孔性苔癬の治療法と予防とは
毛孔性苔癬は、一定の期間を経て自然と目立たなくなることが多いため、積極的な治療は必要ないと言われています。しかし、その「一定期間」が長く続くことも多く、見た目が気になる場合は皮膚科での治療を検討するとよいでしょう。
皮膚科での一般的な治療は、不要な角質を柔らかくしたり取り除きやすくしたりする尿素やサリチル酸配合の外用薬 や、肌の潤いを保つ保湿剤 などが処方されます。新陳代謝の異常により肌のターンオーバーが乱れることが原因であることから、睡眠不足や食生活の偏りなど、ホルモンバランスの乱れを意識的に整えていくことも必要です。
皮膚に痛みや痒みがある場合や、赤いブツブツの炎症が片腕や片脚などに点在している場合は他の皮膚疾患である可能性があるため、皮膚科を受診 することがおすすめです。
肌へのアプローチはカラダの内側からが早道
稗粒腫も毛孔性苔癬も、皮膚のターンオーバー不良の問題が根底にあります。外側からのスキンケアだけでなく、カラダの内側からバランスを整える漢方の考え方を取り入れることも大切です。漢方は、個々の体質や症状に合わせて処方されるため、気になる皮膚トラブルだけでなくカラダ全体の調和をはかることを目指します。
処方の条件によっては漢方薬の処方が保険適用となることもありますので皮膚トラブルに悩んでいる場合は医師に相談してみるとよいでしょう。
漢方薬の中で、特に皮膚トラブルによく用いられるのが生薬製剤「ヨクイニン」です。ヨクイニンという成分は、雑穀でも知られるハトムギの皮を除いた種子の部分のことを指します。ハトムギは水分代謝を促し、余分な老廃物の排出をスムーズにすることで皮膚の水分と栄養の循環を促進させ、肌の生まれ変わりを正常に整えます。
■ヨクイニン
皮膚のターンオーバーを整えることで、古くなった角質の排出を促します。いぼ、肌荒れが気になる方におすすめ。
肌の「キレイ」のためにシンバイオティクスを摂り入れる
漢方の考え方では腸内環境と肌の関係が密接であるとされています。腸と肌は全く別の器官に見えますが、どちらも“上皮組織”という外界からカラダを守るバリア機能を担っています。腸の中には膨大な種類の細菌が住んでおり(それがお花畑のようであることから腸内フローラと言われています)これらがバランスよく存在している状態を「腸内環境が良い」と言います。腸内環境が乱れると腸内細菌と接している上皮細胞が乱れ、有害物質や未消化物質が体内に入り込みやすくなり、全身の免疫バランスに負荷をかけます。その結果、同じ上皮細胞である肌にトラブルが起きやすくなるのです。
肌の美しさのためには、腸内環境を整える食生活が重要です。プロバイオティクス(腸内フローラのバランスを整える生きた微生物=善玉菌を摂り入れる)の考え方と、プレバイオティクスは(腸内細菌によい影響をもたらす栄養素=善玉菌の栄養源)の両方を同時に摂取してよりよい働きを目指すシンバイオティクスという考えが推奨されます。
◆プロバイオティクスとプレバイオティクス
| プロバイオティクス | プレバイオティクス | |
| 定義 | 乳酸菌、ビフィズス菌、麹菌、納豆菌などの善玉菌を食事から摂取すること | 善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を摂取すること |
| 代表的な菌 | 乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌など | オリゴ糖、食物繊維 |
| 代表的な食材 | ヨーグルト、納豆、みそ、ぬか漬け、キムチ、甘酒など | ゴボウ、オクラ、アボカド、キウイ、りんご、バナナ、海藻類、きのこ類、芋類、豆類 |
肌の健康と毎日の美しさのために自律神経を整える
毎日の規則正しい肌リズムを維持するためには適切なスキンケアと睡眠環境の整備が必要です。そのためには、24時間ノンストップで機能している自律神経を整えることが非常に重要です。
自律神経は体温調節、呼吸の維持、脈拍、消化など、生命を維持するために意思とは無関係に働く自動操縦システムのようなものです。紫外線、汗、寒暖環境、乾燥などはダイレクトに肌ダメージとして蓄積されると同時に自律神経を乱してしまいます。自律神経を安定的に整えるためには日常的に適度な運動習慣 を持つことが、カラダの一番外側にある肌を健康に保つための対策の1つです。運動習慣によりカラダを巡る血(けつ)の流れやエネルギー(気)の流れを整え、発汗と水分補給が適切に行われることでカラダを潤す水(すい)が全身に巡りイキイキとした状態へ導きます。それにより自律神経が整い、睡眠の質も向上するなど好循環を生むことができるのです。
運動はウォーキングやランニング、水泳、ストレッチなどカラダ全体を動かすものがおすすめで、運動内容は簡単なもので問題ありません。忙しくて時間が取れない場合は入浴で血行を促して眠る前に全身で伸びをする、それだけでも効果があります。
肌トラブルのない「すこやかな毎日」はカラダの中からつくりだす
皮膚は生まれた時から高齢になるまで、様々な症状やトラブルに悩まされることが多い器官です。それは古より文化や医療が進化した今も変わらない困りごとです。いつの時代も肌はきめ細かくなめらかな状態が望まれますが、外的環境や内的ストレスによって常に不安定でもあります。全身を覆っている皮膚だからこそ、カラダの中を整えることですみずみに効果を促す漢方で、揺れる肌状態の安定化を目指しましょう。
漢方では、「血(けつ)」が全身の組織や器官をめぐり栄養を与えていると考えられています。「血」のめぐりが悪くなると、シミなどの色素沈着になりやすくなります。また、栄養がいきわたらないと、ザラつきなどの肌あれが現れやすくなります。
中でも 「桂枝茯苓丸料加薏苡仁(けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん)」は、滞った血の巡りを促し、肌に栄養を届けることでシミ、ニキビ、手足の 荒れなどのトラブルを内側から改善する漢方薬です。効果や症状にフォーカスしたい場合は「桂枝茯苓丸」と「ヨクイニン」のどちらかを選ぶという方法もあります。
■桂枝茯苓丸料加薏苡仁(けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん)
血流を促し、肌の新陳代謝を活性化することで、シミ・ニキビ・手足の荒れを改善する漢方薬です。
■桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血流を促進し、新陳代謝を活発にすることで体内の老廃物の排出を促し、カラダに栄養をスムーズに届けます。月経痛、月経 不順、肌の栄養不足などによる、しみ、湿疹・皮膚炎、にきびを改善。
■ヨクイニン
皮膚のターンオーバーを整えることで、古くなった角質の排出を促します。いぼ、皮膚の荒れ が気になる方に効果的です。
肌のブツブツに関するよくある質問(FAQ)
Q1:稗粒腫は自分で潰してもいいですか?
A1:おすすめできません。皮膚に傷がつき、細菌感染による炎症や、色素沈着、傷跡が残るリスクがあります。見た目が気になる場合は、皮膚科を受診し、専門家による処置を受けましょう。
Q2:毛孔性苔癬は放置しても大丈夫ですか?
A2:毛孔性苔癬は思春期から若い世代に多く見られ、加齢とともに自然に目立たなくなることが多い皮膚疾患です。しかし、自然に目立たなくなるまでの期間には個人差があり、数年にわたって続くこともあります。見た目が気になる場合や、症状が悪化していると感じる場合は、皮膚科で適切な治療を受けることをおすすめします。
Q3:稗粒腫と毛孔性苔癬は漢方薬で治療できますか?
A3:稗粒腫や毛孔性苔癬の効能効果を持つ漢方薬はありません。漢方治療では、皮膚の代謝を促進する漢方薬が用いられる場合があります。漢方は個々の体質や症状に合わせて処方されるため、まずは皮膚科医や漢方専門医に相談し、ご自身に合った漢方薬を選ぶことが大切です。
Q4:肌のブツブツを予防するために、日常生活で気を付けることはありますか?
A4:稗粒腫も毛孔性苔癬も、皮膚のターンオーバー不良が関係しているため、日々の適切なスキンケアや規則正しい生活習慣を続けることが予防につながります。具体的には、肌への過剰な摩擦を避けて肌の潤いを保つスキンケアを行い、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけることにより自律神経のバランスを整えることが大切です。
Q5:目の周りのブツブツが稗粒腫かどうかの見分け方はありますか?
A5:目の周りにできる白いブツブツは、稗粒腫以外にも白ニキビ、汗管腫、脂肪腫など様々な皮膚疾患が考えられます。稗粒腫は一般的に痛みや炎症がなく、触るとしこりのように硬いのが特徴です。しかし、ご自身での判断は難しいため、正確な診断と適切な治療のために、必ず皮膚科を受診することをおすすめします。
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那須久美子
広告会社、大手化粧品会社宣伝部にてCM、雑誌等の広告制作に携わる。
その後フリーランスとしてバレエ講師、ピラティスマスターストレーナー、ヨガセラピスト、介護予防運動指導員として老若男女へ伝える仕事に従事。
企業や官公庁での健康アドバイザーや研修講師も務める。
国家資格キャリアコンサルタントとしては企業内障害者ジョブコーチを経て自治体の就労支援事業で講師・カウンセラー、現場統括責任者を歴任。
現在は文化芸術振興事業の広報、キャリアコンサルタントのためのオウンドメディア監修も担当。
・ヘルスケアデザイナー
・バレエティーチャー
・ピラティストレーナー、ヨガセラピスト
・アスリートキャリアコーディネーター
・国家資格キャリアコンサルタント
・漢方アドバイザー
・介護予防運動指導員
HP:https://www.kandworks.com/about