漢方で考える体質別気血水ダイエット

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ダイエットは多くの女性にとって悩みの一つといえます。ファスティング、糖質制限、サプリメント、運動とさまざまな方法を試しても効果を感じられないのはどうしてでしょうか?すでに皆さんが色々経験して挫折した結果わかっているように、ダイエットをしている方全員に効果のあるダイエット方法はありません。
食べたいものも我慢してダイエットしたのに結果が出ず、途中でやめてしまいリバウンドした経験をした方も多いでしょう。「ダイエット」の検索ワードでこの記事を読んでいる方もいるかもしれません。今までダイエット法を自分の体質に合わせて選んだことはありますか?今回は、漢方視点の「気・血・水体質に合わせたダイエット方法」をご紹介します。

気血水診断で自身の体質チェック。

漢方では、カラダのバランスは「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の3つの要素で成り立っていると考えています。気はエネルギー、血はカラダの中を流れる赤い液体(血液)、水はカラダの中を流れる血液以外の水分を指しています。この3つのバランスを整えることで、健康的なカラダになり、ダイエット効果を得やすくなることが期待できます

まずは、「気・血・水」という考えをもとに判断する60秒の体質自己診断で自分の体質をチェックしてみましょう。診断では、体質は気虚・気滞・瘀血・血虚・水滞・陰虚の6タイプに分けられていますが、あなたはどのタイプでしたか?診断結果のタイプの内、4タイプ(気虚・気滞・瘀血・水滞)が太りやすいと言われています。今回は、この4タイプそれぞれの太りやすい原因、体調を整える方法(ダイエット方法)、してはいけないNGポイントをみていきましょう。

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気虚タイプへのダイエットアドバイス

気虚(ききょ)タイプとは、気(エネルギー)が不足しているタイプです。
気が不足しているため、代謝が低下します。筋肉がつきにくく、ぽちゃっとしやすい体質で、むくみやすく、疲れやすい、汗っかきといった特徴がみられます。

<ダイエット方法>
不足した気(エネルギー)を補い、代謝を良くしましょう。
食べる量を減らす、激しい運動するのは逆効果です。気を補う効果が期待できる食材を摂り入れ、運動をするならカラダが疲れない程度のウォーキングやヨガを試してみましょう。

【疲れないウォーキングのやり方】
① 歩く前にカラダをほぐす。
② 胸を持ち上げるイメージで姿勢をよくする。
③ 肩の力を抜く。
④ 頭を上下させず、足裏全体で着地して、やや小股で歩く。
⑤ 歩幅は骨盤幅を意識する。
※個人差があります、1日30分以上のウォーキングがおすすめです。自分の体力に合わせて、無理のない時間で行いましょう。

【食事のポイント】
カラダを温め、消化の良い食事を心がけましょう。よく噛む・水分を摂り過ぎないことも大切です。
おすすめ食材は、とうもろこし・じゃがいも・大豆などです。

【NGポイント】
汗をかくような激しい運動やサウナは控えめに。さらに気が不足します。

気滞タイプへのダイエットアドバイス

気滞(きたい)タイプとは、気が滞っているタイプです。
体内の気の巡りが悪いため、代謝が悪く、便秘がちな体質です。ストレスで食欲が増え、お腹が張る特徴がみられます。

<ダイエット方法>
汗をかくような運動をしてストレスを発散させることで、腸内や全身の気の巡りをよくしましょう。香りの良い香味野菜・果物などを食材に摂り入れる、深呼吸やストレッチをして気分転換をするのもおすすめです。大声を出してみる、お風呂にゆっくり浸かるなど、日常で手軽にできる息抜き方法もおすすめします。ストレスを軽減することで暴飲暴食を防ぐ効果も期待できます。

【深呼吸の仕方】
① 背筋を伸ばした状態で、両手をおへその下あたりに置く。
② 鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹を膨らませる。
③ 息を吸い込む時の2倍の時間をかけ、口からゆっくりと息を吐き出し、お腹をへこませる。
※両手でお腹の膨らみ・へこみを感じるように意識しましょう。
※数回繰り返しましょう。

【食事のポイント】
よく噛んで、ゆっくり食事をするように心がけましょう。
おすすめ食材は、クレソン・セロリ・みかん・グレープフルーツなどです。

【NGポイント】
辛いもの、お酒などカラダを熱くするものは控えめに。食欲が増進し、イライラしやすくなります。

瘀血タイプへのダイエットアドバイス

瘀血(おけつ)タイプは、血が滞っているタイプです。
体内の血の巡りが悪いため、老廃物を排泄しにくくカラダが冷えやすい体質です。手足の冷え・のぼせ、肩こりといった特徴がみられます。

<ダイエット方法>
血行を促進し、体内に溜まった老廃物をデトックスしましょう。
カラダを温める食事を意識し、相撲スクワットやランジなどの下半身トレーニングやヨガを試してみましょう。お風呂でゆっくりカラダを温めるのもおすすめです。

【相撲スクワット(ワイドスクワット)のやり方】
① 足を肩幅よりも大きく開いて、膝とつま先は外側にして立つ。
② 視線は前を向いたまま体幹に力を入れ、息を吸いながら膝を曲げて空気椅子に座るようにお尻を膝と同じ高さまで下げる。
③ 息を吐きながら、ゆっくりと元の位置に戻る。

相撲スクワット(ワイドスクワット)のやり方のイラスト

※猫背にならないように気をつけましょう。
※手は腰より上ならどこでもOKですが、初心者は胸の前で組むかカラダ正面に伸ばすのがおすすめです。
※10~15回 X 2~3セット。初心者は5回から始め、徐々に回数を増やしましょう。
④相撲スクワットに慣れ物足りなさを感じる方は、ダンベルやペットボトルを持ち①~③の動作を行いましょう。

相撲スクワット(ワイドスクワット)のやり方のイラスト②

【食事のポイント】
温かいスープ、スパイスを摂り入れてみましょう。
おすすめ食材は、青魚・たまねぎ・しょうが・サフランなどです。

【NGポイント】
油脂の多い食事、塩分は控えめに。ストレスと冷えに注意。

水滞タイプへのダイエットアドバイス

水滞(すいたい)タイプとは、水が滞っているタイプです。
水分代謝が悪いため、体内に余分な水分が溜まりやすい体質です。特に下半身が太りやすく、全身がむくみやすいといった特徴がみられます。

<ダイエット方法>
カラダに滞った水の巡りを良くし、余分な水分を外に排出しましょう。温かい食事を意識し、利尿作用のある食材を摂り入れる、程よく汗をかく程度の運動を心がけましょう。お風呂に浸かりじんわり汗をかいたり、むくみ解消が期待できるツボもおすすめです。

【むくみ解消におすすめのレシピ】
塩昆布の旨味と黒豆の香ばしさが引き立つ、簡単で栄養満点の炊き込みご飯です。昆布・黒豆は体内の余分な水分を排出する働きがあり、便秘やむくみのある方に向いています。

★塩昆布と煎り黒豆の炊き込みご飯★
材料:
塩昆布:20g
煎り黒豆:50g
お米:2合

塩昆布と煎り黒豆の炊き込みご飯の材料

作り方:
① 研いだお米を30分ほど水につけておきます。
② 炊飯器に1.のお米と2合の目盛りまで水を入れます。
③ 煎り黒豆・塩昆布を入れて、炊飯します。

塩昆布と煎り黒豆の炊き込みご飯の作り方

④ 炊き上がったらよく混ぜて盛り付けて完成です。

塩昆布と煎り黒豆の炊き込みご飯の完成イメージ

【食事のポイント】
豆のゆで汁やとうもろこし茶も利尿作用が期待できます。温かいお粥やスープもおすすめです。
おすすめ食材は、小豆・あさり・鮭などです。

【NGポイント】
冷たい飲み物や生野菜の食べ過ぎに注意しましょう。
※水分は少量をこまめに摂りましょう。また水分を意識しすぎて、水分不足にならないように。

血虚・陰虚タイプは太りにくく、乾燥しがちな体質になりますが、体重・体形が気になる方は、「クラシエの漢方診断」で診断された2番目のタイプや次にご紹介する「気血水ダイエットを成功させるポイント」をチェックしてみてください。

気血水ダイエットを成功させるポイント

前述した通り、ダイエットには気血水のバランスが重要です。体質別ダイエット方法と併せて、次の気血水を整える方法も心がけてみましょう。

① 1日3食きちんと食べる
1日3食規則正しく食事をしましょう。規則正しい食生活・バランスのよい食事は、気血水バランスを整えます。糖質制限で糖質を含む主食を極端に減らす人がいますが、その結果、お菓子や脂っこいものが食べたくなる場合があります。漢方では、ご飯は気を補うもの、ご飯を減らすとエネルギーが不足し代謝が悪くなると考えられています。1日のエネルギー源となる朝食ではご飯をしっかり食べ、昼食では定食のようなバランスのよい食事を心がけ、夕食でのご飯は控えめに。
何を食べたら良いか悩んだときは、旬の食材やカラダの体質にあわせた料理を摂りいれてみましょう。

② 砂糖を控える
漢方では、白砂糖(精製されたもの)はカラダに「湿(しつ)」を生じさせると考えられています。湿は体内の水分の巡りを妨げ、水滞を悪化させる原因になります。白砂糖を控え、気血水バランスを整えましょう。甘いものを食べたいときは、砂糖が入っているものではなく甘味のある果物や野菜などを活用しましょう。一方、バナナやさつまいもなどは甘く食べ応えもありますが、食べすぎてしまうと、カラダに余分な水分が溜まりやすくなります。カラダによい食材でも食べすぎに注意が必要です。

③ しっかりと寝る
睡眠不足は気血水の不足や乱れにつながります。十分な睡眠によりカラダを休ませることで、気血水のバランスを整えることができます。また、睡眠不足の場合には食欲を抑えるホルモン(レプチン)の分泌が減少し、食欲を高めるホルモン(グレリン)の分泌が増加するため、太りやすくなってしまいます。
十分な睡眠とは、個人差はありますが6~8時間が目安といわれています。睡眠不足の理由は様々ですが、自身が眠れない原因を確かめ対策してみましょう。
・趣味で夜更かししてしまう:ゲームや本、スマホ(SNS・アプリ)など原因となるものを手の届かないところに置く。
・眠れない:温かい飲み物を飲む、深呼吸をする、お風呂にゆっくり入る、アロマを焚いたり、リラックスする方法を試す。

あわせて読みたい>>質の良い睡眠とは?

◆ダイエットをつづけるコツ◆
ダイエットを続けるためには、自分に合ったペースで進めることが大切です。まずは、できることから少しずつ始めていきましょう。

1.達成できそうな目標・ご褒美を設定する
ダイエットは、高い目標を持つと続けるのが辛くなります。今まで何度もダイエットに挫折した人は、まず達成しやすい目標を持ちましょう。例えば、夜8時以降は食べないといったものです。目標を達成できたら、ご褒美で自分を喜ばせることが大切です。例えば、我慢していたおやつを一日だけ食べるといった楽しみを見つけるとモチベーションアップにつながります。小さな成功体験の積み重ねが自信につながります。

2.継続できる食事・運動習慣を身につける
ダイエットを続けるには、無理をしない工夫が大切です。例えば食事の場合、食事30分前に水を飲む・食事の最初に野菜を食べる「ベジファースト」をするだけでも、満足感を得られ食べ過ぎ防止になります。また、血糖値の上昇を抑える・消化も助ける効果が期待でき、お腹の調子を整えるとされています。
運動も気血水の巡りを整える上で重要な要素です。毎朝ラジオ体操をする、YouTubeを見ながらストレッチをするなど簡単に継続できる運動がおすすめです。
食事や運動習慣を少しずつ変えるだけで、カラダやココロの状態がゆっくり変わっていきます。

3.報告・相談できるダイエット仲間を作る
ダイエットはひとりで続けると、途中で諦めてしまいやすくなります。今までダイエットが続かなかった経験がある人は、気軽に報告や相談ができる仲間を作りましょう。身近な友達だけでなく、SNSなどオンラインでも仲間を見つけることができます。「今日は1万歩歩いたよ。」「今日は食べすぎたから、明日は控えめにする!」と報告や宣言をすることで、自分自身へのはげましにもなります。

4.他の人と比べない
ついつい友達やSNSで見かけた人と自分を比べたりしていませんか?「友達はどんどん痩せているのに、私は全然痩せない。」そんなふうに悩んでいると逆にストレスが溜まってしまいます。漢方では、人にはそれぞれ異なる体質があると考えています。同じダイエットをしても効果が出やすい人と出にくい人がいるのはそのためです。他の人と比べるのではなく、「過去の自分」と比べましょう。「過去の自分」からの小さな変化を確認することは自信にもつながり、モチベーション維持が期待できます。

5.全身の写真を撮る
ダイエットを始めよう!と決めたら、まずは今の自分の写真を撮りましょう。「今の自分の姿を見たくない。」という方もいるかもしれませんが、写真はダイエットのサポートになります。
・写真によって今の自分を客観的に見る。
・自分のカラダのどこが気になっているのか・どう変えたいのかを確認する。
・もっとよく見えるようになりたいとモチベーションをあげる。
・ダイエット経過の写真を見ることで、努力の成果を確認し自信を高める。
※ダイエット前後の変化を知る上で、同じポーズ・服装・環境での撮影をおすすめします。

肥満症改善に効果がある漢方薬

食事や運動を頑張っているのに、なかなか結果が出ない。そんなときは、体質改善に効果的な漢方薬が役立つことがあります。代表的な漢方薬を紹介します。自分の症状や体質に合わせた漢方薬を選びましょう。

■大柴胡湯(だいさいことう)
体力が充実して、脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、食欲にむらがある、肥満症で便秘がち、ストレスを感じやすい方におすすめの漢方薬です。胃熱の原因となるストレスを緩和する作用が期待されています。また、排便を促すことにより、体内の老廃物を外に出す働きもあります。

■防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
体力中等度以下で、胃腸が弱い、下痢気味、むくみがある、疲れやすい方におすすめの漢方薬です。胃腸が弱い方は、体内に水分が滞ることにより、むくみや肥満症などを引き起こします。体内の余分な水分を外に出す作用が期待されカラダのむくみなどをの症状改善にも用いられます。

■防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、食べすぎてしまう、にきびができやすい、便秘が気になる方におすすめの漢方薬です。 脂っこいもの、味の濃いものを食べると体内に熱が生まれ、食欲が増進します。おなかに溜まった便を排出させることにより、体内にこもった熱を外に排出する作用が期待されています。

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多田有紀

兵庫県在住。医療機関、薬局、IT企業での勤務経験を経て、2015年にライターとして独立。体の不調を感じたことをきっかけに、漢方・薬膳に興味を持つ。中医学スクール「薬膳アカデミア」に入学し「国際中医師(国際中医専門員)」を取得。現在は、ライターとして活動をしながら、漢方薬膳の知識を活かしたコンサルタント業務や、ワークショップ・初心者向け講座などを実施。特に女性の体に関する悩みに寄り添った活動を行っている。

実績:クラシエ薬品株式会社主催「KAMPO OF THE YEAR 2024」にゲストとしてトークショーに登壇
執筆書籍:「カラダのために知っておきたい漢方と薬膳の基礎知識」(淡交社)
資格:国際中医師(国際中医専門員)・医薬品登録販売者・漢方養生指導士・薬機法管理者・食品衛生責任者を取得

X:https://x.com/sora_writer
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