
目次
- まずは、漢方診断で体質チェック
- 「気滞」体質のあなたはどんな状態?
- 気滞体質の症状とは?
- 気滞体質におすすめの漢方薬6選
- おすすめの生活習慣アドバイス
- 気の巡りを助ける食べ物は?
- 気滞による神経症を治すには?
- 漢方薬の効果が現れるまでの期間は?
- ストレス起因の気滞の症状とは?
- 気血の巡りを良くする漢方薬
- 五苓散は頭が重い頭痛に効く漢方ですか?
漢方の考えでは、カラダは「気(き)」・「血(けつ)」・「水(すい)」の3つの構成要素で支えられていると考えます。この3つの構成要素のバランスが悪いと私たちのカラダには、さまざまなトラブルが出やすくなると考えられています。漢方ではこの3つの構成要素のバランスを元に、体質を気虚(ききょ)・気滞(きたい)・血虚(けっきょ)・瘀血(おけつ)・陰虚(いんきょ)・水滞(すいたい)の6つのタイプに分けて、体質ごとにトラブルの原因をさぐります。
今回は『気滞』体質について解説します。体質改善法として、漢方薬による改善、生活習慣に関するアドバイスとおすすめの食べ物なども紹介していきます。体質を改善することで、元気で、ウイルスに負けないカラダを目指していきましょう。
まずは、漢方診断で体質チェック
まずは、あなたの体質が60秒で分かる体質診断コンテンツ「クラシエの漢方診断」からスタートしましょう。
診断は漢方理論に則り、体質を6つに分類します。あなたの体質は何でしたか?
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診断結果が『気滞』だった方は、このまま読み進めてください。
その他の体質の方は、以下のリンクから該当体質の解説をご覧ください。
「気滞」体質のあなたはどんな状態?
気滞体質とは「気」の巡りが悪くなり、気が滞っている状態です。漢方では気は、元気や根気、やる気の源となる“生命エネルギー”であると同時に、精神をコントロールする気持ちの気、さらにはカラダのすべてを動かしコントロールする“機能”でもあると考えています。そのため気滞体質になり、気が滞るとカラダのあらゆるところで不具合が生じやすくなります。
気滞体質の症状とは?
イライラしやすいなど精神が不安定に
気は“気持ち”という言葉があるように、喜怒哀楽など私たちの精神状態をコントロールする役割をしていると漢方では考えます。そのため、気の巡りが良く安定している状態では精神も安定し穏やかになりますが、気の巡りが悪くなり滞ると、精神も不安定になり、イライラしやすい、怒りやすい、気持ちの浮き沈みが激しい、憂鬱になるなどの精神不安症状や、緊張しやすい、些細なことが気になる、神経質など神経症の症状が出やすくなると言われています。
のどに何か詰まっているような違和感
気の巡りが悪くなると、カラダのあちこちに滞った気が停滞しやすくなると漢方では考えます。気の停滞しやすい部位のひとつが“のど”です。のどに気が停滞すると、何か物がつかえたような違和感を感じやすくなると漢方では言われています。漢方では梅の種がのどに詰まった感覚と似ていることから“梅核気(ばいかくき)”とも呼ばれています。
胸やみぞおち部分が張って苦しい
気滞の状態が続くと、どんどんカラダの空洞に余分な気が溜まりやすくなります。気滞により余分な気が溜まると、カラダの空洞である胸やみぞおちが張ったように苦しくなったり、下着などでしめつけられるのが苦痛に感じたり、時には痛みを感じやすくなると漢方では考えます。
みぞおちの部分に指を入れ、抵抗があったり、苦しくなる、痛みを感じるという人は要注意です。ストレスなど精神不安によって症状が悪化することが多く、逆にリラックスやため息などで症状が軽減するのも気滞の症状の特徴です。
胃やお腹が張る、げっぷやおならが多い
胸やみぞおちと同じく胃腸も大きな空洞のため、気滞になると胃腸にも余分な気が溜まりやすくなり、胃の張りや膨満感、お腹の張りや痛み、ゲップやおならが多いなどの症状が出やすくなると漢方では考えられています。
生理周期がバラバラ、生理前に胸が張る
気滞は生理にも大きな影響を与えます。気滞になると生理周期が安定せず、バラつきやすくなると漢方では考えます。また、生理前に胸が張る、イライラしやすくなる、精神的に不安定になる、食欲が乱れるなどの症状も出やすくなると言われています。これらに悩む女性も増えており、その症状は月経前緊張症や月経前症候群(PMS)とも呼ばれています。生理痛の出やすさもあるようです。気滞が原因の生理痛はお腹の張ったような痛みなのが特徴で、ストレスにより悪化しやすいと言われています。
気滞体質におすすめの漢方薬6選
半夏厚朴湯
気分がふさぎやすく、のどにつかえたような違和感がある、ついせき払いをしてしまう、仕事や生活などに不安を感じやすいなどでお悩みの方におすすめです。
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桂枝加竜骨牡蛎湯
疲れやすい、ささいなことが気になって、心配したりそわそわしたりしてしまうなど精神的ストレスを感じやすい、神経過敏、緊張して、汗をかきやすい、眠りが浅いなどでお悩みの方におすすめです。
柴胡加竜骨牡蛎湯
精神的に不安定で、イライラしやすいなど普段からストレスを感じやすく、のぼせやすい、あれこれ考えてなかなか眠れない、寝つきが悪いなどでお悩みの方におすすめです。
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抑肝散加陳皮半夏
イライラしやすい、ちょっとしたことで怒ってしまう、ストレスで食欲がなくなるなどでお悩みの方におすすめです。
加味帰脾湯
顔色が悪い、よく夢を見る、眠りが浅く何度も目が覚めぐっすり眠れない、年とともに眠れなくなった、疲れやすく疲れが取れない、食欲がないなどでお悩みの方におすすめです。
加味逍遙散
あれこれ気になったり、何でもきちんとしたいタイプで、疲れやすく、イライラがあり、最近やる気が起きないなどとお悩みの方におすすめです。
おすすめの生活習慣アドバイス
一日に一回、呼吸を意識してココロのリラックスを
気滞タイプに一番必要なのはカラダにたまった余分な気(ストレス)を発散させることです。張りつめた気持ちを解き放ちココロをリラックスさせましょう。このとき呼吸を意識すると◎。溜まった気を吐き出すイメージで呼気を意識してゆっくり呼吸しましょう。適度な運動で気分をリフレッシュするのもおすすめです。カラダを動かし適度な汗をかくことで気の巡りも良くなります。
気の巡りをアシストする香りと酸味をプラス
気の巡りが良くなると余分な邪気が溜まりにくくなります。そこでおすすめなのが“香り”です。アロマやハーブなど心地のよい香りは気の巡りをアシストすると漢方では考えています。また酸味も◎。漢方では酸味は気の巡りを良くする肝(かん)をサポートすると言われています。柑橘類やお酢に甘味を足すなど強すぎないやさしい酸味がおすすめです。
気の巡りを助ける食べ物は?
柑橘類
適度な酸味と甘味のある柑橘類は気の停滞を取り除き、気の巡りを良くする働きを助けると漢方では考えられています。みかんやグレープフルーツ、キンカン、シークワーサー、ネーブルなどのフルーツや、すだち、ゆず、カボスなどの柑橘類もおすすめです。
香りの良い香味野菜
イライラしたり、怒りっぽいときにおすすめなのが、香りの良い野菜です。クレソンやせり、セロリなどの香味野菜は、イライラを鎮め気持ちを落ち着かせる働きを助けると漢方では考えられています。
ナッツ類
心をおだやかに安定させたいときにオススメなのがナッツ類です。漢方では、アーモンドや蓮の実は心を安定させる安神の働きを助けると考えられていて、漢方食材として有名です。
≪その他の気の巡りを助ける食べもの≫
(ココロを落ち着かせる)玄米、小麦、アーモンド、蓮の実、チンゲン菜、山伏茸、ゆり根、竜眼、あさり、あんきも、いわし、牡蠣、しじみ、豚の心臓、ウーロン茶、紅茶、珈琲、ジャスミン、緑茶、
(肝機能を整える)アロエ、菊花、金針菜、クレソン、ししとう、せり、セロリ、トマト、なずな、ピーマン、穴子、くらげ、にじます
(気の流れを良くする)米麹、さんざし、ヒマワリの種、エシャロット、たまねぎ、ピーマン、カボス、キンカン、グレープフルーツ、シークワーサー、すだち、たちばな、ネーブル、みかん、ゆず、かじきまぐろ、鮭、キンモクセイ、酒、ジャスミン、はまなす、白ワイン、赤ワイン、茴香、八角
※国立北京中医薬大学日本校監修、現代の食卓に生かす「食物性味表」より
気滞による神経症を治すには?
気滞体質で神経症の症状が気になっている方には、漢方薬の服用と生活習慣の改善をおすすめします。まず、気滞による神経症を改善する漢方薬として、前述の半夏厚朴湯や柴胡加竜骨牡蛎湯、抑肝散加陳皮半夏、加味逍遥散などをおすすめします。これらの漢方薬は、肝機能の調整や消化機能の向上を助け、神経症を改善していきます。また、ある程度、体力が充実している方の場合は大柴胡湯などの漢方薬が神経症の症状に効果を発揮しやすく、おすすめできます。
次に、生活習慣の改善として意識してほしいことは、適度な運動で気の巡りを良くしながら体力を高めること、ゆっくりとした呼吸(深呼吸)で余分な気(ストレス)を発散させることです。柑橘類や香りの良い香味野菜、蓮の実やアーモンドなどのナッツ類を食事に取り入れることも気の巡りを良くします。
漢方の知恵を借りて、気滞体質を改善し、健やかなカラダを維持していきましょう。
漢方薬の効果が現れるまでの期間は?
漢方薬の効果が現れるまでの期間は、服用する処方や、体質や症状の程度によって人それぞれ異なりますが、一般的には数日から数週間で効果が現れます。 但し、気滞の症状改善には少し時間がかかるのが一般的です。漢方薬は、気とカラダのつながりを整えて、症状を改善することを目的とします。よって、適切な漢方薬を選び、継続的に服用していくことが重要になってきます。効果を実感するまでの期間は個人差があるため、効果実感を焦らずに服用を続けることが大切です。
もし、漢方薬の選び方が分からない場合には医師、薬剤師又は登録販売者など専門家に相談してみましょう。また、漢方薬を1ヵ月程度服用してみても症状の改善がみられない場合は一度、服用を中止し、服用していた漢方薬の添付文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。
気滞による症状を改善するには、気の流れを良くすることが重要です。漢方薬はこの気の流れを調整し、体内のバランスを整えて症状を改善する役割を果たします。
ストレス起因の気滞の症状とは?
ストレスからくる気滞の症状は、体調にも多くの影響を与えます。自律神経の乱れや体調不良により、頭痛やのぼせ、目の疲れ、喉の違和感などが生じやすくなります。また、気分の落ち込みや食欲不振、手足の冷えの症状を感じる場合もあります。さらに、皮膚の不調や食欲の変動が見られる場合もあります。女性の場合は、ストレスが原因で体全体のバランスが崩れると月経周期に影響を与えるほか、胸が張って痛むなどの体調不良が続くことがあります。
ストレスによって乱れた気の流れを整え、巡りを良くすることによって、自律神経の乱れや体調不良を軽減し、心身の健康を向上させることができます。
気血の巡りを良くする漢方薬
気血(きけつ)の巡りを良くすることによって、気滞体質の症状を改善してくれる漢方薬があります。
代表的な漢方薬は加味逍遙散です。加味逍遙散は気の巡りを整え、自律神経のバランスを取り、更年期障害や不眠を改善する効果があります。また、血行を促進し、血の道症を改善できます。
※「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。
また、桂枝加竜骨牡蛎湯は気と血(けつ)のバランスを取り、イライラや神経の高ぶりを改善してくれる漢方薬です。
漢方薬は体質や生活習慣、症状の現れ方などによる選び方が難しい場合があります。上述の通り、選び方が分からない場合には、医師、薬剤師又は登録販売者など専門家に相談しましょう。
特に女性は、ホルモンバランスの影響のよる体調不良が起こりやすいため、漢方薬を服用して、気血の巡りを良くしながら神経症などの症状を改善することは効果的です。足の冷えや手足のしびれ、食欲不振などの症状が見られる場合には、漢方薬の力を借りて、体のバランスを取り戻しながら症状を改善することができます。
五苓散は頭が重い頭痛に効く漢方ですか?
最後に、五苓散という漢方薬を紹介します。
五苓散は、頭が重い頭痛やむくみ、急性胃腸炎などにお悩みの方の症状を改善する効果がある漢方薬です。この漢方薬にはカラダの水分代謝を改善し、体内の水分の停滞を解消する働きがあります。特に、水滞による頭痛を感じる場合に有効です。五苓散は体内の水分バランスを整え、むくみなどを解消するために使われます。これらの症状がある場合、五苓散を用いることで、体内の水分バランスが改善され、症状の緩和が期待できます。
漢方薬は、症状や体質に合わせて選ぶことが重要です。
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