
目次
- スパイスカレーを食べていたら痩せた!?
- 脂肪を燃焼するチリペッパー、ブラックペッパー、ジンジャー
- 漢方薬はカラダを癒し、カレーはからだを整える
- 基本のスパイス「タ・ク・コ」に燃焼系「チリペッパー」を入れて
ご自身がスパイスカレーで痩せた経験から、大学院で肥満とスパイスとの研究をし、いまやスパイスカレーの第一人者となった印度カリー子さん。脂肪燃焼や血行促進、整腸効果などが期待できるスパイスカレーの良さをお聞きしました。
スパイスカレーを食べていたら痩せた!?
スパイスカレーにハマったのは大学生の時。同居していた姉がカレー好きで、毎日のようにスパイスカレーを作って食べていたら、その奥深い魅力の虜になりました。さらに、スパイスカレーを食べるようになったらいつの間にか痩せていったことも興味を持つきっかけのひとつになりました。
スパイスカレーに興味を持ってからは『印度カリー子』として、ブログでレシピを発信し、自身で企画したスパイスセットをネットで販売するようになりました。さらに、スパイスカレーで痩せた理由を科学的に研究したいなと思い、東京大学大学院に入りました。
食材にはそれぞれ栄養素がありますが、それ以外にも〝機能性〟と呼ばれるものがあります。例えば、コーヒーのカフェインとかお茶のカテキン、ブルーベリーのアントシアニンなどは有名ですよね。機能性というのは、人間が生きていく中で、栄養素と味の次に重要といわれています。
その機能性について研究することで肥満とスパイスの関係を知りたくて、大学院に行きました。私は、細胞ベースの実験でスパイスを研究し、たった2年でしたがスパイスと健康に関する基礎を学ぶことができました。
脂肪を燃焼するチリペッパー、ブラックペッパー、ジンジャー
スパイスカレーがカラダに及ぼす影響は、皆さんの実感としてもあるかと思います。例えば、肌が乾燥しにくくなったとか、朝食で食べたら活力的になったとか、風邪をひきにくくなった、など。
私の本の読者には、花粉症の時期にカレーを食べると花粉の症状がすごくやわらぐという人がいます。私も花粉症なのですが、意識をしてみたら確かにカレーを食べた日は症状が落ち着くんです。スパイスカレーには代謝促進効果があります。私の場合は、アレルギー症状は、体温が上がるとやわらぐので、スパイスで体温が上がって、花粉症にも良い効果が出た……ということだと思います。
スパイスの中でも、〝カプサイシン〟という機能成分を持っているチリペッパーや、〝ピペリン〟を持つブラックペッパー、〝ジンゲロン〟を持つジンジャーは、代謝促進効果を持ち、体内の温度を感じるセンサーを作動させます。そのため脂肪燃焼効果を高め、体温を上げたり、脂肪代謝効果が期待できると考えられます。
これらは、肝臓にたまっているグリコーゲンを糖に分解し、それを血液とともに流してくれたり、脂肪を脂肪酸に変えて血流とともに流してくれたりする作用があるので、摂取したあとに運動をすれば、もっと効率よく脂肪を落とすことができます。
また、サフランとかターメリックは、抗酸化作用を持つ成分を含んでいます。抗酸化作用はからだにさまざまな良い影響を与えますが、その中の一つに、肥満を改善するという効果が期待されています。実は、大学院での私の研究ターゲットは、これでした。
肥満状態というのは、すごく脂肪細胞に負荷がかかっていて、炎症を起こしている状態です。その炎症を和らげるのが抗酸化作用。炎症を和らげてあげることでインシュリンを正常に稼働させることができ、肥満を改善させることができるのではないかと考えられています。
ただしまだ、これは解明された事実ではないので、やはりダイエットとなると、チリペッパー、ブラックペッパー、ジンジャーということになります。
漢方薬はカラダを癒し、カレーはからだを整える
カレーはインドで生まれた言葉ではないんですよ。植民地時代、宗主国のヨーロッパ諸国の人々が、インドで食べられていた、いくつかのスパイスを混ぜて作ったソース料理全般を「カレー」と言うようになったのが始まりといわれます。
カレーやスパイスは、日本人にとってのみそ汁に近いんだろうなと思います。私にとっても、みそやしょう油と同じくらい、日常に欠かせないものです。
ただ私は、実家でみそやしょう油を食べていた頃、毎日はイヤだな、飽きたなと思っていました。でも、スパイスは毎日でも飽きないんです。カレーを食べると整う感じというか、落ち着く感じがあります。
スパイスは、みそやしょう油に比べると組み合わせが多くて、なおかつ機能性もあるので、もっともっと奥深いものだとは思っています。組み合わせながら使うという点で、漢方薬の生薬に似てますよね。
スパイスと漢方の共通点として、例えば漢方薬に含まれる生薬名を見ると、ウイキョウ(茴香)が入っていたりしますよね。それってスパイスのフェンネルのことだから、漢方薬ってカレーだなって思ったりします(笑)。
そのように、スパイスも漢方薬の生薬も、どちらも植物などに含まれる機能成分がからだを整えるということでは似ています。
でも、漢方は人のカラダを癒したり調えたりする薬として、薬学として発展したものですよね。それに対して、スパイスは食べもの(香辛料)として発展して、なおかつその食文化によって日々の健康を整えようという考え方から、アーユルヴェーダとかが生まれていると思います。だから、似ているし共通点もありますが、少し違いますね。
例えば、漢方薬を毎日飲んでいる人がいると思いますが、それは、カラダを調えるという意味で摂られているのでしょう。
それに対してスパイスは、日常の食生活として摂っていて、それでなおかつちょっと体調が悪いなというときには、このスパイスを入れようとか、そんな程度だと思います。台湾の家庭で食べているスープや薬膳、日本の梅干しや長ネギなどのような存在ではないでしょうか。
基本のスパイス「タ・ク・コ」に燃焼系「チリペッパー」を入れて
スパイスカレーって難しそうとか、スパイスをたくさん揃えなきゃならないんでしょと思われがちですが、基本のスパイスを3種類揃えておけば、あとは家庭にある材料で作れます。
基本のスパイスとは、「タ」「ク」「コ」と覚えて貰えばいいですね。少し土のような香りで、味に深みを与えてくれる「ターメリック」、エスニック系の強い香りの「クミン」、レモンやミントのような爽やかな香りの「コリアンダー」。
この3つのスパイスを1:1:1で合わせたものが、基本です。でも、これらのスパイスは辛みの成分を持っていないので、辛いカレーを作るためには「チリペッパー」を加えます。これは一味唐辛子でも代用は可能なので、一味唐辛子を使っていただいても構いません。この辛みを増やせば増やすほど脂肪燃焼効果の高いカレーをつくることはできます。
では、実際にダイエットにおすすめのカレーのレシピを紹介しましょう。
【無限キャベツカレー】
超ヘルシーでめちゃめちゃ美味しいダイエッターの味方

◯材料(2人分)
・玉ねぎ 1個(200g)
・トマト 1個(150g)
・キャベツ 1/8玉(350gほど)
・にんにく 1かけ(すりおろす)
・しょうが 1かけ(すりおろす)
・油 適量
・塩 小さじ2/3
・水 50cc
・ヨーグルト 大さじ3
(ココナッツミルク100mlでもおいしい)
スパイス
・クミン 小さじ1
・コリアンダー 小さじ1
・ターメリック 小さじ1/2
・チリペッパー 小さじ1/2
(カレー粉の場合は小さじ2で代用可能)
◯下準備
・玉ねぎは皮をむき、みじん切りにする
・トマト、キャベツはざく切りにする
作り方
1. フライパンに油をひき、玉ねぎを加え、中火で3分ほど炒め、水気を飛ばす。
2. すりおろしたにんにく、しょうがを加え、弱めの火力でさらに5分炒める。
3. 玉ねぎが茶色くなったらトマトを加え、2分ほどしっかり炒める。トマトの実をつぶして炒めるのがポイント。
4. 弱火にし、塩、スパイス、水、キャベツを加え、蓋をし弱火で10分ほど煮る。
5. 蓋を開け、よくかき混ぜたヨーグルト(またはココナッツミルク)を加え、混ぜ合わせる。最後に塩(分量外)で、味を整える。
【スパイスサラダチキン】
電子レンジで簡単に作れるダイエッターの味方

材料(2〜3人分)
・鶏胸肉 1枚(250g)
A
|おろしにんにく 小さじ1/2 (チューブでもOK)
|おろししょうが 小さじ1/2 (チューブでもOK)
|レモン汁 小さじ1/2
|ごま油 小さじ1/2
|塩 小さじ1/2
スパイス
|クミンパウダー 小さじ1/2
|ターメリック 小さじ1/4
|コリアンダーパウダー 小さじ1/4
|チリペッパー 小さじ1/4
作り方
1. レンジ調理可能な耐熱容器に、Aとスパイスを混ぜ合わせてから鶏胸肉にまんべんなく合わせる。
※鶏肉をチルドルームで保存していた場合は室温で30分ほどおいておく。(冷たいまま加熱すると生焼けのままになってしまう)
2. 耐熱ふたをしてレンジ(600W)で3分加熱する。ふたがない場合ふんわりラップをかける。
3. そのままレンジの中で15分放置し、余熱で火を通す。すぐ取り出したい場合は、タオルなどで包み熱が逃げないようにする。
4. 食べやすい大きさに切ったら完成。
※火がきちんと中に入ってるか確認して、もし鶏肉が赤かった場合は30秒ずつ加熱しなおしてください。
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印度カリー子 |