目次
- 糖化の原因とは?「カラダのコゲ」ともいわれるAGEsの生成メカニズム
- 老化は「腎」が弱っている証。糖化はそこに追い打ちをかける!漢方で見る「腎」と「糖化」の関係
- 見た目の変化から重篤な病気まで!糖化によって起こる主な症状とは?
- 糖化や加齢による老化対策に役立つ漢方薬:タイプ別おすすめ処方
- 糖化対策で老化を予防しよう!今日からできる4つの生活習慣改善法
- 糖化対策は「内と外」から。漢方と生活習慣で若々しさをキープ!
最近、老化につながる大きな原因のひとつとして注目されているのが「糖化」。
カラダの中に糖分が過剰に溜まったことにより引き起こされる現象で、肌にシミやくすみができたり、髪がパサついて老けた印象になったりと、見た目年齢を上げてしまうといわれています。
そこで今回は、若々しさや美容と深い関係がある「糖化」について、漢方の視点から糖化対策や効果的な糖化予防法を解説します。
糖化の原因とは?「カラダのコゲ」ともいわれるAGEsの生成メカニズム
近年、カラダの老化現象を引き起こしていると考えられているのが「酸化」と「糖化」。
なかでも糖化は、普段私たちが食べている甘いものや、糖質の高い食事によって体内に蓄積された余分な糖が、体内のタンパク質や脂質と結びつき、老化促進物質のAGEs(糖化最終生成物)を作り出すため、「カラダのコゲ」とも呼ばれています。
このAGEsこそが、体内の細胞や組織にダメージを与え、様々な不調や老化を加速させる元凶となるのです。
AGEsが作られやすいのは、食後すぐの時間帯。血糖値が上がりやすい食事の後ほど、糖化は進んでしまいます。普段、何気なく食べているものが、糖化の原因を作り出している可能性も高いです。
糖化は、肌の老化や加齢など、カラダの衰えに影響を及ぼすだけでなく、進行すると糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞などの深刻な病気にもつながりかねません。一度体内で糖化が起こると、元には戻らないため、糖化を未然に防ぎ、AGEsの生成を抑制することが大切です。
老化は「腎」が弱っている証。糖化はそこに追い打ちをかける!漢方で見る「腎」と「糖化」の関係
私たちが老いや加齢による不調を感じているとき、漢方では五臓の「腎(じん)」が弱っていると考えます。腎とは、カラダの発育や成長、生殖といった役割を果たす「生命力の源」。腎の働きが低下すると、気力や体力、生殖機能が衰え、老化現象があらわれやすくなります。
過剰な糖分は、腎の持つ「精(せい)」と呼ばれるエネルギーを消耗させ、衰えた腎の機能をさらに低下させるなど、追い打ちをかける場合があるのです。また、ストレスや疲れ、過労、睡眠不足なども、腎の機能に悪影響を与えるでしょう。そこで、普段の食事や生活習慣を整えることが、「腎の強化=エイジングケア」につながります。
見た目の変化から重篤な病気まで!糖化によって起こる主な症状とは?
糖化によって引き起こされる症状は多岐にわたります。最もわかりやすいのは主に「老化」と「疲れ」です。朝起き上がれなかったり、慢性的な疲れで家事や仕事を頑張れなかったり、お昼を食べた後に眠くなるなどもあるでしょう。
また、肌にはシミやシワ、たるみといった老化現象が起こります。これは、肌のハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンといったタンパク質が糖化によって変性し、その機能が失われるためです。髪のパサつきや白髪、抜け毛といった髪トラブルにも糖化が関係している場合があります。
さらに糖化は内臓や血管にも影響を及ぼします。骨粗鬆症や心疾患、糖尿病、動脈硬化、白内障、アルツハイマー型認知症といった、病名がつく症状にも糖化が関係している場合があるのです。
最近ではAGEsの蓄積度を測る機器も開発されているので、これらの症状に心当たりのある方は、医療機関などでご自身の糖化具合について相談してみてもよいでしょう。
糖化や加齢による老化対策に役立つ漢方薬:タイプ別おすすめ処方
糖化や加齢によって腎の働きが衰え、心身のバランスが崩れやすいときは、漢方薬で対策するのがおすすめです。漢方薬は、体質や症状に合わせて選ぶことが重要です。
1.カラダを温め、新陳代謝を促して尿トラブルなどに対応
■八味地黄丸(はちみじおうがん)
地黄や山茱萸、山薬など8種類の生薬が配合されている漢方薬。腎の働きを補い、カラダを温めることで新陳代謝を促し、水分代謝を整えます。「最近、トイレが近くて夜中に何度も起きてしまう」「足腰が冷えてだるさが抜けない」といった方の、頻尿、下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目などに使われる処方です。
2.腎のエネルギーを補って、下肢痛、腰痛、しびれ、むくみに効きます
■牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
八味地黄丸に、牛膝(ごしつ)や車前子(しゃぜんし)を加えた10種類の生薬が配合されている漢方薬。腎のエネルギーを補って排尿異常やだるさに働きかけるため、弱っていた腎の働きを強化し、血行を促進することで下半身の症状を改善。とくにむくみやしびれを伴う不調に有効で、むくみ、下肢痛、腰痛、しびれ、排尿困難、頻尿などに効果があります。下半身の不調で辛い方に役立ちます。
3.加齢や糖化によって腎が弱り、元気が出ない人に
■人参養栄湯(にんじんようえいとう)
年齢などによって体力が乏しく、疲れやすい方や元気のない方に使用されている漢方薬。人参をはじめ、当帰(とうき)や地黄(じおう)など12種類の生薬を配合し、カラダの気血を補い、胃腸の働きを整えることで、カラダ全体の元気を取り戻すのに有効です。「なんとなく元気が出ない日が続く」「食欲がなく、風邪をひきやすい」体力虚弱な方の、病後・術後などの体力低下、疲労倦怠の回復、食欲不振、貧血などに効果があります。
糖化対策で老化を予防しよう!今日からできる4つの生活習慣改善法
糖化は日常生活の見直しからも防ぐことができます。食事、運動、水分補給、スキンケアなどで、カラダに糖を溜め込まない暮らしを心がけましょう。
1.血糖値をコントロールし、糖化を予防する食事を心がけよう糖化予防において最も重要なのが、食事による血糖値のコントロールです。食後の急激な血糖値上昇は、糖化を促進する大きな要因となります。そこで、次の4つの食事術を取り入れて、糖化を予防しましょう。
●低GI値の食品を食べる
玄米、全粒粉パン、野菜、きのこ、海藻類、肉、魚といった「低GI値」の食品を積極的に食べると、血糖値の急上昇が抑えられてインスリンの過剰分泌を防ぐため、糖化予防に効果的です。
GI値とは?
「グリセミックインデックス(Glycemic index)」の略。ブドウ糖を摂取した際の血糖値の上昇を100とし、それに対して食べ物を食べたときの血糖値上昇がどの程度かを測定して求めた値です。GI値が低い食品は、摂取後の血糖値が上昇しにくい食品とされ、肥満や糖尿病のリスクが低減するといわれています。
●食べる順番を意識する
食事をする際は、最初に食物繊維が豊富な野菜やきのこ、海藻類を食べることで、糖の吸収が緩やかになり、血糖値の急上昇を抑えられます。次に肉や魚などのタンパク質、最後に炭水化物を食べるという順番がおすすめです。
●よく噛んでゆっくり食べる
早食いは、糖化の原因となる血糖値の急上昇を招きやすいです。また、よく噛むことで満腹感も得られやすくなり、食べ過ぎを防ぎます。
●栄養バランスの取れた食事を心がける
食事は、特定の栄養素に偏りすぎないことが大切。タンパク質や脂質、炭水化物をバランス良く食べましょう。また、AGEsの生成を抑える抗酸化作用の高い食品(ベリー類、緑黄色野菜など)も積極的に取り入れたいです。
2.適度な運動で代謝を促し、糖を消費する習慣をつけよう食後に軽い運動をすると、食事で得た糖分をエネルギーとして消費するため、血糖値の急上昇を防ぐ上で効果的です。また、AGEsの生成につながる「体内の余分な糖とタンパク質の結びつき」も抑制できます。
●食後の軽いウォーキング
おすすめは、食後30分〜1時間以内に行う、15〜20分程度のウォーキング。インスリンの働きを助け、血糖値の上昇を穏やかにします。
>>運動不足解消!基礎代謝を上げるウォーキングテクニック
●継続できる運動を見つける
ウォーキング以外にも、ストレッチやヨガ、ピラティス、呼吸法、太極拳、筋力トレーニングなど、ご自身が楽しく継続できそうな運動を見つけて習慣にしましょう。無理のない範囲で毎日続けることが重要です。
>>ストレス発散できる簡単ヨガポーズ3選
3.抗糖化作用の高い飲み物を取り入れ、カラダの内側からもケアしようこまめな水分補給は、体内の老廃物を排出し、新陳代謝を促進する上で非常に重要です。とくに、抗糖化作用が期待できる飲み物を意識して飲むことで、内側からも糖化対策を行うことができます。選びたいのは、低糖質でエイジングケア効果の高いお茶やハーブティーなど。おやすみ前は、眠りを妨げないノンカフェインのものを取り入れましょう。
これらの茶葉には、ポリフェノールの一種であるカテキンが豊富に含まれているため、AGEsの生成を抑制する抗糖化作用が期待できます。
●ルイボスティー
ポリフェノールやミネラルが豊富で、抗酸化作用も高いハーブティー。ノンカフェインなので、寝る前でも安心して飲めます。
●どくだみ茶、甜茶
漢方でも使われる健康茶です。血行促進や利尿作用など、カラダの巡りを良くする働きが期待できるほか、糖化物質の排出を助ける働きもあります。
4.朝晩のスキンケアと紫外線ケアで肌の糖化を予防肌の糖化は、シミやシワ、たるみ、くすみといった見た目の老化現象に直結します。そこで、肌の糖化を未然に防ぐため、朝晩のスキンケアと紫外線ケアを心がけましょう。
●朝晩の保湿ケア
乾燥した肌はバリア機能が低下し、より糖化の影響を受けやすくなります。そのため、朝と晩に、化粧水や美容液、乳液、クリーム、オイルなどでしっかりと保湿を行い、肌の潤いを保ちましょう。
●抗糖化作用のある化粧品を選ぶ
スキンケアアイテムの選び方によっても、肌のコンディションは変わります。最近では、抗糖化作用のある成分(桜エキス、月見草エキス、ゲンチアナ根エキスなど)を配合したスキンケアアイテムも多く発売されているので、ご自身の肌に合うものを探してみましょう。
●紫外線ケア
晴れている日はもちろん、曇りや雨の日もUVケアは必須。紫外線は、肌の酸化を促進し、糖化も加速させる要因になります。日焼け止めは毎日塗るようにし、帽子や日傘なども活用しながら、肌を紫外線から守りましょう。
●クレンジングや洗顔で汚れを落とす
肌に古い角質やメイク、汗、ほこりといった汚れが残っていると、肌のターンオーバーが滞り、糖化したタンパク質が蓄積しやすくなります。そこで、朝と晩はやさしく丁寧なクレンジングと洗顔を行い、清潔な肌を保ちましょう。
糖化対策は「内と外」から。漢方と生活習慣で若々しさをキープ!
糖化は、日々の小さな習慣が積み重なって引き起こされる老化現象です。しかし、今日からできる食事や運動、そして漢方の力を借りることで、進行を食い止め、若々しい毎日を送ることができます。あなたの糖化対策、今日から始めてみませんか?
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執筆家、編集者、漢方スタイリスト、広告コピーライター。合同会社縁筆代表。出版社での雑誌制作、化粧品会社でのコピーライターを経て起業。自然療法や薬膳など、食と健康をテーマにした執筆活動を続ける。
