【Dr.日比野佐和子の昨日より若くなるケア】3つの「若返りホルモン」で老化を防ぐ方法

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目次

アンチエイジング界のトップランナー・日比野佐和子先生の連載第2回は、ホルモンがテーマ。体内では50種類以上のホルモンが働いていますが、中でも若さのキープに重要な3つのホルモンと、ホルモンの分泌を促す生活習慣についてお話します。

ホルモンは肌の再生や長寿をコントロール

ホルモンは、体の中での働き方から“メッセンジャー”とも呼ばれます。たとえば、肌が紫外線でダメージを受けたら「肌を回復させて!」という指令を、関係する器官に伝え再生を促します。
ホルモンが働かないと肌や筋肉、骨も再生が進まずに衰えていき、免疫力にも影響して病気にかかりやすくなるなど、全身の健康状態に深く関わっています。

そのため、ホルモンが加齢で減ってくると、心身共に老化を実感するようになります。疲れやすくなったり、肌が衰えたり、太りやすくなったり…さまざまな不調を感じることが増えてくるでしょう。アンチエイジングには、ホルモン分泌を高める生活習慣を日常に取り入れることが欠かせません。
特に今回は、若々しさを保つためにケアしたい、3つのホルモンをご紹介していきます。

① DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)
DHEAは「長寿ホルモン」とも呼ばれ、アンチエイジングに重要な働きをしています。さまざまな研究で、DHEAと長寿との関係が明らかにされているのです。
また「ホルモンの母」とも呼ばれ、多くのホルモンの材料にもなります。

その働きは多岐にわたり、まず免疫力を強くすることで、病気の予防に。糖や脂質の代謝にも関わるため、生活習慣病を防ぎ、太りすぎの抑制にも作用します。さらに集中力など脳の働きにも関与し、認知症の予防にもつながります。

② 成長ホルモン
子どもが大きくなるときに働くため「成長ホルモン」と名付けられていますが、大人になってからも、アンチエイジングに必須のホルモンです。

成長ホルモンは、傷ついたり、衰えたりした筋肉や皮膚、骨などの細胞の修復・再生に働きます。コラーゲンを生成してハリのある肌をキープしたり、脂肪を分解してダイエットに役立つなど。成長ホルモンが減ったり働きが低下すると、細胞が生まれ変わらず、見た目も体内も老化が進んでしまいます。

③ 女性ホルモン(エストロゲン)
女性ホルモンの基本的な働きは、妊娠・出産のサポートです。そのために、女性ホルモンはさまざまな形で女性の体に影響を与えています。
たとえば、女性としての魅力を高めるため、肌や髪を艶やかに保ちます。また血流や代謝をよくする働きで、生活習慣病などを防ぎます。骨を丈夫にしたり、認知症のリスクを抑制する作用などを含めて、女性の美と健康を多方面から支えています。

ただし、妊娠・出産の機会が減る40代以降、女性ホルモンの分泌量が大きく低下します。そして閉経により、ほとんど分泌されなくなります。すると、たるみやシワといったエイジングサインが増え、生活習慣病や骨粗しょう症が増えていきます。

ホルモンの低下を防ぐためにすべきこと

若返りホルモンを整えるカギは「運動・睡眠・栄養」の3本柱です。特別なことをしなくてもいいので、毎日の小さな習慣の積み重ねでホルモンの低下を防いでいきましょう。

なお、ホルモンUP習慣には、3つの若返りホルモンに共通のものと、それぞれに効果が期待できるものがあるので、順番にご紹介していきます。

●ホルモンが分泌される「睡眠時間」の充実
若さを保つ3つホルモンは、いずれも寝ている間に多く分泌されます。睡眠時間は、6~7時間を確保し、睡眠不足のときは、10~15分の昼寝でリカバリーを。さらに質の良い睡眠にするために、以下のような習慣を取り入れましょう。

  • 就寝の90分前に入浴する
    入浴でいったん体温を上げることで、就寝時、体温が下がり眠気が訪れるように。
  • 入浴は38~40℃のぬるめのお湯に10~15分浸かる
    自律神経がリラックスモードに。熱いお風呂は、興奮モードになるのでNG。
  • 寝る1時間前からスマホやパソコンをオフに
    ブルーライトで神経が覚醒モードになるので、寝る前は控えて。
  • 寝る時間と起きる時間はなるべく一定にする
    睡眠リズム(体内時計)を整えることで、深い眠り(ノンレム睡眠)を得られやすくなる。
  • 朝起きたら太陽光を5~10分浴びる
    体内時計をリセットする効果で、夜のスムーズな入眠につながる。

● それぞれのホルモンに働くケア
日常生活で取り入れられるケアや、分泌アップに必要な栄養素をご紹介します。

①DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)
〈生活習慣〉
DHEAはストレスや不規則な生活で減少しやすいため、心身を落ち着かせる習慣が効果的です。

  • 深呼吸を1日数回、意識して行う。吸う1:吐く2のリズムがポイント。
  • ウォーキングやヨガなどの適度な運動で、ストレスを軽減する。

〈栄養素〉
DHEAの合成を支える、ビタミンB群を意識的に摂って。豚肉、納豆、卵、玄米などがおすすめです。

②成長ホルモン
〈生活習慣〉
成長ホルモンは、運動の刺激で分泌がアップします。

  • 1日20~30分のウォーキングを習慣に。
  • 大きな筋肉を刺激すると効率的に分泌するため、スクワットで太ももに効かせると◎。

〈栄養素〉
成長ホルモンの原料となるタンパク質をしっかり摂りましょう。夕食で、鶏むね肉、卵、豆腐、魚などの良質なタンパク源を欠かさずに。

③女性ホルモン(エストロゲン)
〈生活習慣〉
エストロゲンの分泌を促すエクササイズや、血行をよくするケアが効果的です。

  • 卵巣から分泌されるので、骨盤周りを意識して、開脚ストレッチや股関節回しを。
  • 冷えを防ぐため、白湯やハーブティなどの温かい飲み物を取り入れて。
  • 睡眠前のアロマタイムでリラックスを。おすすめのアロマは、ゼラニウムやクラリセージなど。
  • 週末は自然の中を歩くなどして、心を穏やかに保つ時間をつくって。

〈栄養素〉
大豆に含まれる「イソフラボン」は、体内で「エクオール」という成分に変換されて、女性ホルモンのように働きます。納豆、豆腐、豆乳、味噌などの大豆製品を毎日摂りましょう。

大豆イソフラボンを活用できるのは日本女性の2人に1人

大豆イソフラボンは、腸内細菌で代謝されて「エクオール」という成分になることで、女性ホルモンのように働きます。しかし、この腸内細菌を持っていて活用できるのは、日本人女性の半分ともいわれています。自分がエクオールを作れるかどうかの検査「ソイチェック」は、婦人科などで受けられるので、大豆製品を摂っても効果が感じられない場合は確認してみてください。もしエクオールを作れない場合は、サプリメントなどを活用してもいいでしょう。

なお、体力の低下や睡眠の変化、肌トラブルが増えるといった悩みには、それぞれに対応する漢方薬もあります。

「年だから…」とあきらめず、ホルモンケアで人生100年時代を健やかに

加齢による変化は避けられませんが、日々の生活習慣でホルモンの働きを整えることで、若々しさや健やかさをキープできます。
自分の体をいたわる小さな習慣を、未来の大きな健康につなげていきましょう。

日比野 佐和子

日比野 佐和子

プロフィール
医療法人社団康梓会 SAWAKO CLINIC x YS 統括院長、大阪大学大学院 医学系研究科 未来医療学寄附講座 特任准教授。エイジマネジメント医療の第一人者として、基礎研究から臨床まで国際的に活躍。最先端の遺伝子解析を含む予防医療・ゲノム栄養学・分子栄養学指導を通じて「科学に基づくアンチエイジング医療」を推進している。テレビ・雑誌などのメディアでも最新の知見を発信。著書に『アンチエイジングドクターに教わる長生きダイエット』『最新医学で証明された最高の食事術』など多数。

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