【櫻井大典のまいにち養生】冬の朝はお粥スタートで「気血」を整える

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人気の漢方家・櫻井大典さんの連載、今回のテーマは寒い季節に心がけたい体の整え方です。エネルギーが弱くなるこの時期は、温かく静かに過ごすことがポイント。特に大切な1日のスタートとして、お粥でやさしく体を目覚めさせるのがおすすめです。さらに日常でできる冬の養生をお伝えします。

冬はエネルギーを収める「閉蔵」の季節

冬は太陽のエネルギーが弱くなり、あらゆるものが活動を控えて静かに過ごす季節です。木は根に栄養をたくわえて葉を落とし、動物は秋の収穫期にたくさん食べたら冬眠に入る。蔵に収めて戸を閉ざすように過ごすことから、中医学では冬の時期を「閉蔵(へいぞう)」といいます。

人もエネルギーを外に向けて使うことを控え、内に収めて守るように気血の流れを整えることが大事です。

そこでおすすめしたいのが、朝をお粥で始める養生です。寝起きは1日でいちばん体温が低く、中医学で「陽気が立ち上がっていない」とされる時間帯です。このタイミングで冷たい物を摂ると、立ち上げるべき陽気を落として消耗し、朝から疲れる要因となります。特に冬は体を温め補ってあげると同時にエネルギーを蓄えておきたい季節です。

お粥は温かくて消化もよく「脾胃(ひい)」をゆっくり優しく目覚めさせてくれます。脾胃とは、胃腸にあたり、気血を生み出す働きのある場所。ここが元気なら、食べ物からエネルギーである「気」と、栄養である「血」を生み出し、全身にめぐらせることができます。

お粥はとろみがあり、消化吸収がおだやかに進むのがポイントです。中医学的には、体を冷やしにくく暖かさを保ちやすく、乾燥した体にうるおいを補給してくれる、冬の季節の万能食。さらに、寒さに負けない気血を作り出し、1日の流れをスムーズにする働きで、朝のスタートに最適なのです。

お粥はスープジャーでも手軽に作れる

お粥はシンプルな食べ物ですが、心がけてほしい摂り方のポイントがあります。1つは「噛む」こと。お粥はズズッとすすって、噛まずに飲み込む人が多いのではないでしょうか。お粥は消化のよい食べ物ですが、咀嚼して唾液と混ぜて初期消化をしっかり行い、体に負担をかけないようにしましょう。

また、お粥は米から炊くもので、ごはんに水を足して加熱したものは雑炊です。実は、固いままのことが多いのですが、水分があるので噛まずに飲み込んでしまい、逆にお腹の負担になりやすいので要注意です。雑炊タイプにする場合は、やはりしっかり噛むことを心がけてください。

また、白粥のままで十分な働きがありますが、これをベースに、体調や目的に応じて食材を加え、健康効果をプラスするのもおすすめです。

【不調別おすすめのプラス食材】

  • ・冷えが強い…しょうが、ネギ
  • ・疲れやすい…ジャガイモ、さつまいも、長いも、カボチャ、栗(甘栗でもOK)
  • ・肌の乾燥が気になる…ごま、松の実
  • ・むくみやすい…ハトムギ、小豆

お粥は土鍋で作るとおいしくできるとされますが、スープジャーで手軽に作ることもできます。寝る前に仕込めば、起床時にはできているので、忙しい朝でもお粥を楽しめます。2週間ほどなら冷凍保存もできるので、続けやすい方法で朝食に取り入れてください。

【スープジャーお粥の作り方】

  • 1.米を洗ってスープジャーに入れ、沸騰した湯を注ぎ、2~5分余熱する。
  • 2.湯を捨て、米の6倍量の沸騰した湯を入れ、2時間ほど置けばできあがり。寒い時期は、タオルやカバーで覆って保温するとしっかり熱が通る。

※スープジャーの製品によっては保温力が低く、熱が通りきらないものもあるので、ご注意ください。

冬の養生で気をつけたい3つのポイント

厳しい寒さで、気血のめぐりが滞りやすい冬、日常生活で気をつけてほしいポイントを、さらにご紹介していきましょう。

まず、体には特に冷やしてはいけない部分があります。それは「首・お腹・足首」の3カ所。足首=くるぶしのあたりには、たくさんの「経絡(けいらく)」が走っています。経絡は、体の表面と内臓をつなぐ道。だから足首を冷やすと、内臓も冷えてしまうのです。これが体調を崩す原因に。生理痛がひどくなったり、頻尿になったり、腰痛が悪化するといった悪影響が出ます。上はしっかりコートを着ていても、足首が出ている人が多いですよね。くるぶしまでの短いソックスは控えて、足首まで隠れる服装を心がけてください。

首周りも冷やすと、咳が出やすくなり、養生的には体の抵抗力を低下させて、風邪の要因となることも。マフラーなどで、冷気にさらされないよう気を配りましょう。

さらにお腹、腰回りも冷やさずに。腰は「腎の府」とされる重要な場所。腎は成長、発育、生殖を司るので、ここが弱ると体も見た目も老けてしまいます。また、お腹は血液が集まっているので、お腹の冷えは血液を冷やし、冷たい血液が全身をまわって、冷えを広げることになります。冷えやすい人は、腹巻をするのもいいですし、湯船で温まってください。

長い夜は睡眠で体を鎮静させる

冬の養生の2つめは、睡眠をたっぷり取ること。冬の長い夜は、体を休めて鎮静させるように過ごすべきなのです。夜更かしすると、腎の中にためてある生命エネルギー「腎精」を損なってしまいます。ふだんより5分でも10分でも、できるだけ早寝して、気血のめぐりを悪くする夜更かしを控えてください。

そして朝起きるときは、布団から出る前に部屋を暖めておき、陽気の消耗を防ぎましょう。

「静」で過ごし運動も控えめに

冬の養生の3つめは「静」を意識すること。運動やさまざまな活動も、いつもよりやや控えめにするのが良いのです。中医学の古典によると、冬場の大量発汗は控えるようにとされています。漏れ出るものは、気血の消耗につながるためです。

乾燥する冬場は、呼吸をするたびに体から水分が奪われていきます。汗をかくのは、カラカラに乾いた体から、さらに水分を絞り出すということ。だから運動するにしても、いつもより軽くして、汗をダラダラかくほど行わないようにしましょう。

たとえば、雪の多い地方で、厚着をして雪かきをして大汗をかいてしまう、ということもあるでしょうが、その場合は、食べ物で補給したり、早寝するなどして、消耗した体を弱らせないようカバーすることが大切です。

サウナやヨモギ蒸しで体を温めることが流行っていますが、これも軽く汗をかく程度にしておかないと、体質によっては健康になるつもりが、逆に気血を損ねてしまいます。入浴も、長風呂は控えて、ジワッと汗をかくくらいにしてください。

お伝えしたように、冬は「休む」ことが大切な季節です。現代人は何かと、前向きにがんばることがよしとされがちですが、がんばらないことが冬の養生なのです。エネルギーの使い過ぎを防いで体力を温存し、春や夏の活動する季節につなげていく。私たちの体に刻まれた季節のリズム、四季折々の養生を身につけて、病気や不調を寄せつけない体を保っていきましょう。

櫻井大典

櫻井 大典

漢方コンサルタント、国際中医相談員、日本中医薬研究会会員。
アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を修める。漢方セミナーを開催し、年5000件以上の相談を受けて漢方での健康づくりの普及に務めている。プライベートでは、好きな和菓子や夜更かしの楽しみと養生を両立。趣味のバイク一人旅は、愛娘のイクメン作業優先で自粛中。著書に『まいにち漢方―体と心をいたわる365のコツ
』『病気にならない食う寝る養生』『二十四節気の暦使い暮らし』など多数。

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撮影(トップ画像)/長谷川梓

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