目次
- シーン①:お風呂に入ると、急に鼻が通る
- シーン②:鼻がつまって、頭も重い…肩が張る
- シーン③:鼻水が黄色っぽい。最近、肌も荒れやすくなってきた
- シーン④:朝、目覚めと同時に鼻がつまっている
- 胃腸をケア~鼻炎で気をつけるもう1つのポイント~
- 鼻炎に効果のあるツボ
毎年同じ季節になると鼻がムズムズしたり、鼻づまりが続いたりしていませんか?あるいは、朝から鼻がつまっていて、すっきりしないまま一日が始まる…そんな慢性的な鼻の不調に悩む方も多いのではないでしょうか。
漢方では、鼻の不調は「肺」の働きと深く関係していると考えます。肺は呼吸だけでなく、カラダの水分代謝や免疫にも関わる重要な臓腑です。鼻炎や鼻づまりには、鼻だけでなくカラダ全体のバランスの乱れが影響していることもあるのです。
そこで注目したいのが、カラダ全体のバランスを整える「漢方」の考え方です。
漢方は、カラダ全体のバランスを整えることが得意で、症状の出方や体質に合わせて鼻炎や鼻づまりの改善を目指します。
今回は、鼻炎に用いられる代表的な漢方薬を、日常の‘あるある’なシーンとともにご紹介します。自分の症状にぴったりのタイプを見つけて、漢方的セルフケアを始めてみませんか?
シーン①:お風呂に入ると、急に鼻が通る
「さっきまで息苦しかったのに、湯船に浸かった瞬間、スーッと鼻が通った。あれ?私の鼻ってこんなに空気吸えるんだっけ?」
次のチェックリストに当てはまる内容がある場合、カラダの冷えが原因で起こっている可能性があります。
☑チェックリスト
- •お風呂に入ると楽になる
- •水っぽい鼻水が垂れてきてティッシュが手放せない
- •くしゃみが止まらない
- •寒い場所や気温の低い時間帯に症状がひどくなる
- •気管支が敏感で、冷気やホコリで咳やうすい水様の痰が出やすい
●おすすめ漢方薬:小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
「透明でサラサラした鼻水が出るタイプ」
透明な水のような鼻水がたらりと垂れてくる、頻繁にくしゃみが出る、冷えると鼻や気管支の調子が悪くなる…そのような症状が出ていて、体力中等度又はやや虚弱な方におすすめの漢方薬が「小青竜湯」です。肺を温めて、カラダの中にたまった余分な水分を外に出すことで鼻水やうすい水様の痰のケアをし、鼻通りを良くして呼吸を楽にしてくれます。温めるタイプの漢方薬なので、熱感を伴う鼻炎(黄色い鼻水や、のどの痛みなどの症状を伴う場合)の症状がある方は控えましょう。
シーン②:鼻がつまって、頭も重い…肩が張る
「鼻がつまっていて息がしづらい。鼻水は奥に流れている感じで、のどに落ちてきて気持ちが悪い、頭が重くて肩や首の後ろが張っている感じがする。」
次のチェックリストに当てはまる内容がある場合、カラダに邪気が入り込んで炎症が起きている可能性があります。
☑チェックリスト
- •鼻水よりも鼻づまりが強い
- •点鼻薬が手放せない
- •かぜをひいた後、鼻づまりがなかなか治らない
- •おでこや目の奥がズーンと重い
- •肩こりや首のこわばりがある
●おすすめ漢方薬:葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
「鼻水も垂れる鼻づまりタイプ」
鼻がつまって息がしづらい、頭が重くて、肩や首にこりもある…そのような方におすすめの漢方薬が「葛根湯加川芎辛夷」です。肺を温めて鼻の通りをよくしながら、背中側も温めることで頭や肩周りの不快感がある方の、鼻づまり、慢性鼻炎をケアしてくれます。比較的体力がある方の風邪のひき始めに鼻の症状が強く出るときにもおすすめです。温めるタイプの漢方薬なので、熱感を伴う鼻炎(黄色い鼻水や、のどの痛みなどの症状を伴う場合)の症状がある方は控えましょう。
【シーン①・②の生活養生・食養生】
鼻がつまって頭も重い。肩までこわばる。でも、お風呂に入ると急に鼻が通ってラクになる。これは、カラダの冷えや滞りまたは炎症が原因で水分代謝が乱れているのかもしれません。漢方では、このような水の滞りを水滞と考えます。カラダが冷えると気の巡りが弱くなり、水が滞りやすくなりますが、温めると巡りがよくなるため症状が軽くなる場合があります。カラダの冷えや炎症を放置すると息苦しさや頭重感の原因にもなります。冷えを改善する食事や生活習慣を意識することで、鼻の負担を和らげ、呼吸も楽になります。
・生ものや冷たい飲食を控える
冷たいものは胃腸を冷やし、体内の水分代謝を滞らせて鼻水・冷えの悪化につながることがあります。なるべく温かいものを選びましょう。
・温かいスープや味噌汁を取り入れる
ネギ・生姜・紫蘇・シナモンなど、温める食材を組み合わせることで、カラダの巡りが良くなり、鼻の通りが改善します。
・首・肩・鼻を温める
ホットタオルや入浴、ネックウォーマーでカラダを温めることにより血流が改善し、鼻も通りやすくなります。冷えが気になる人は意識的に温めましょう。
・軽いストレッチで巡りをアップ
肩や首の筋肉が硬いと気血の流れが滞り、鼻づまりや頭重感につながりやすくなります。こまめなストレッチがおすすめです。
・アレルゲンを減らし、生活環境を整える
花粉やホコリによる刺激を減らすため、マスクの着用や空気清浄機を利用しましょう。さらに、布団や枕カバーをこまめに洗濯し、部屋を定期的に掃除することで、鼻の負担を軽くすることができます。
シーン③:鼻水が黄色っぽい。最近、肌も荒れやすくなってきた
「鼻水が黄色くてドロッとしていて、喉も痛くなりやすい。ニキビができやすく肌荒れも気になる。花粉の時期に症状が悪化しやすい。」
次のチェックリストに当てはまる内容がある場合、カラダの深いところに邪気が入り込んで炎症が慢性化している可能性があります。
☑チェックリスト
- •鼻づまりや、色の濃い粘り気のある鼻水がでる
- •喉が痛くなりやすい
- •ニキビなど肌荒れが気になる
- •花粉などのアレルゲンとの接触や、お風呂などでカラダが温まると症状が悪化しやすい
- •蓄膿症になりやすい
●おすすめ漢方薬:荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
「粘り気がある鼻水タイプ」
どろっとした黄色~緑色の濃い鼻水がでる、のどが腫れることがよくある、ニキビができやすい…そのような方におすすめの漢方薬が「荊芥連翹湯」です。体表部や内部の炎症を抑えながら、カラダの中に滞っている膿もケアしてくれるので、体力中等度以上で、皮膚の色が浅黒く、ときに手足の裏に脂汗をかきやすく腹壁が緊張している方の蓄膿症に適しています。肺や全身の余分な熱を冷ますタイプの漢方薬なので、冷えると症状が悪化するような鼻炎(サラサラとした透明な鼻水や寒気などの症状を伴う場合)の症状がある方は控えましょう。
シーン④:朝、目覚めと同時に鼻がつまっている
「目が覚めると、鼻がつまっていて息がしづらい。何度か鼻をかんでようやく出てきた鼻水は粘り気があって黄色っぽい。日中動いていると少し症状がよくなるけど、すっきりしなくて憂うつ…。」
次のチェックリストに当てはまる内容がある場合、熱と湿がカラダの上(鼻・頭部まわり)にこもっている可能性があります。
☑チェックリスト
- •鼻づまりがつらい
- •色の濃い、粘り気のある鼻水がでる
- •点鼻薬が手放せない
- •鼻に熱感だけでなく、乾燥感もある
- •蓄膿症になりやすい
●おすすめ漢方薬:辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
「乾燥感のある鼻づまりタイプ」
鼻がつまって息がしにくい、鼻やのどに乾燥感がある、鼻をかんでもすっきりせず、黄色~緑色の濃い鼻水が出る…そのような症状が出ていて、体力中等度以上で、ときに熱感を伴う方におすすめの漢方薬が「辛夷清肺湯」です。鼻の通りをよくしながら呼吸器を潤してくれるため、鼻やのどの乾燥感のある方の鼻づまり、慢性鼻炎をケアしてくれます。朝から晩まで鼻がつまっているような、鼻づまりの強い方にもおすすめです。肺の余分な熱を冷ますタイプの漢方薬なので、冷えると症状が悪化するような鼻炎(サラサラとした透明な鼻水や寒気などの症状を伴う場合)の症状がある方は控えましょう。
【シーン③・④の生活養生・食養生】
鼻づまりが強く、頭がぼんやりしたり、目の奥が重く感じたり、体に熱がこもったりする場合は、ストレスが原因で気の巡りが悪くなり、カラダの上部に余分な熱や水が滞っていると考えます。もしくは、症状が慢性化することにより、カラダの深いところに邪気が入り込んでいる可能性もあります。また、ストレスや寝不足、甘いもの・脂っこいものの摂りすぎは炎症が起こりやすくなり、鼻の通りを悪化させることもあります。生活習慣を整えながら、粘膜の腫れを落ち着かせ、熱や乾燥を抑えることが大切です。
・ストレスケアや睡眠の質を高める
ストレスや寝不足は自律神経を乱し、鼻粘膜の炎症や免疫バランスにも影響します。呼吸法や瞑想を取り入れ、リラックスする時間を意識しましょう。
・アレルゲンの刺激を減らす
花粉やホコリを避けるために、マスクの着用や空気清浄機を利用しましょう。布団や枕カバーをこまめに洗い、部屋を掃除することで、鼻の刺激を軽くすることができます。
・お酒とタバコを控える
アルコールやタバコは炎症を悪化させ、鼻粘膜を刺激します。お酒とタバコを控えることで鼻づまりや目のかゆみが改善しやすくなります。
・甘いものや脂っこいものはほどほどにする
糖質や油分の摂りすぎは、体内の熱や湿気を生み、症状の悪化につながります。食べ過ぎには注意しましょう。
・余分な熱を冷ます食材を取り入れる
ミントティー、ドクダミ茶、キュウリ、トマト、豆腐などは、体内の熱を冷まし、炎症やほてりをやわらげます。
・乾燥が気になるときは潤す食材を取り入れる
空気や鼻の中の乾燥が気になるときは潤いを補う食材を意識的に取り入れましょう。梨、ゆりね、胡麻、豚肉がカラダの潤いを補ってくれます。
胃腸をケア~鼻炎で気をつけるもう1つのポイント~
冒頭で鼻の不調は、肺の働きと関係しているとお話をしましたが、その肺の働きを支えているのが「脾(ひ)=胃腸のはたらき」です。
つまり、鼻の症状を悪化させないためには、肺だけでなく、胃腸を元気に保つことがとても大切です。食べすぎたり、冷たいものをとりすぎたりすると、胃腸の働きが弱ってしまいます。胃腸が元気をなくすと、カラダ全体のバランスが崩れやすくなり、鼻の不調にもつながることがあります。そのため、日頃から食べ方に気をつけることも大切です。また、胃腸の調子を整える食材には、お米、山芋、しいたけ、キャベツ、なつめなどがあります。これらの食材は、カラダを内側から支えてくれ、季節の変わり目や体調を崩しやすい時期の健康維持にも役立ちます。
鼻炎に効果のあるツボ
ツボは強すぎず、心地よい程度に3~5秒押します。お風呂上がりに押すと効果が高くなります。
迎香:小鼻の横にあるツボです。迎香は鼻の通りを良くして、香りを感じられるようにするという意味があります。鼻づまり・鼻水・くしゃみに効果的です。
印堂:眉間にあるツボです。アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎・鼻づまりに効果的です。
合谷:人差し指と親指の間にあるツボです。鼻づまりや鼻水・花粉症などの症状に効果的です。
兵庫県在住。医療機関、薬局、IT企業での勤務経験を経て、2015年にライターとして独立。体の不調を感じたことをきっかけに、漢方・薬膳に興味を持つ。中医学スクール「薬膳アカデミア」に入学し「国際中医師(国際中医専門員)」を取得。現在は、ライターとして活動をしながら、漢方薬膳の知識を活かしたコンサルタント業務や、ワークショップ・初心者向け講座などを実施。特に女性の体に関する悩みに寄り添った活動を行っている。
実績:クラシエ薬品株式会社主催「KAMPO OF THE YEAR 2024」にゲストとしてトークショーに登壇
執筆書籍:「カラダのために知っておきたい漢方と薬膳の基礎知識」(淡交社)
資格:国際中医師(国際中医専門員)・医薬品登録販売者・漢方養生指導士・薬機法管理者・食品衛生責任者を取得
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