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漢方はむくみに効く?
原因からおすすめの漢方薬、注意点まで紹介

そんな“むくみ”に悩まされている方は多いのではないでしょうか。
むくみは一時的なものと思われがちですが、体質や生活習慣が関係していることも少なくありません。
放っておくと、だるさや疲労感にもつながる可能性があります。
この記事では、むくみの仕組みや原因を解説しながら、体質に合わせて取り入れたい漢方薬や、
日常で気をつけたい生活習慣についても詳しくご紹介します。
むくみとは?

むくみとは、「浮腫(ふしゅ)」とも呼ばれ、血液中の水分が必要以上に血管の外にしみ出し、皮膚やその下にたまった状態のことを指します。身体の水分バランスと深く関わっており、誰にでも起こりうる身近な症状です。
一方、慢性的に続くむくみや、全身に強くあらわれるむくみは、心臓・腎臓・肝臓などの病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。まずは医療機関での受診を検討しつつ、生活習慣の見直しや、体質改善を目的とした漢方薬の力を借りることも選択肢の一つです。まずはむくみの原因を知り、自分に合った対策をとっていきましょう。
むくみの種類
むくみには、全身にあらわれるものと、体の一部だけに生じるものがあります。こうしたむくみの種類によって、生活習慣の見直しや漢方薬で対応できるケースもあれば、医療機関での受診が必要となる場合もあります。
まずは、むくみの種類について確認してみましょう。
全身のむくみの場合
全身にあらわれるむくみは、体質や生活習慣と深く関係しており、日常的に起こりやすいタイプのむくみです。顔や手足、足首、ふくらはぎなどがなんとなく腫れぼったく感じられたり、朝起きたときや夕方になると目立ってきたりすることがあります。こうしたむくみは、食生活や運動不足、冷えなどによって身体の巡りが滞り、水分の排出が低下することで起こります。生活習慣の見直しと併せて、身体のバランスを整える漢方薬によるアプローチも効果的です。
ただし、全身のむくみが急激に出てきた場合や、むくみに加えて息切れ・体重増加・疲労感などの症状を伴う場合は、心臓や腎臓の機能低下などの疾患が隠れていることもあります。その場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
体の一部のむくみの場合
むくみには、全身にあらわれるもののほかに、体の一部だけに起こるものもあります。たとえば、片足だけが急に腫れぼったくなったり、特定の部位が熱を持って腫れていたりする場合は、血管の詰まりや炎症などにより、血液やリンパの流れに異常が起きている可能性があります。
このようなむくみは、漢方薬での改善が難しく、放置すると重症化するおそれもあるため、自己判断せず早めに医療機関を受診することが大切です。
むくみの原因
むくみの原因は、生活習慣の乱れから体質的な傾向までさまざまです。なかでも女性は、冷えやホルモンバランスの影響を受けやすく、筋肉量が少ないことも相まって、男性よりもむくみが起こりやすい傾向があります。ここからは、むくみにつながりやすい主な原因を5つに分けてご紹介します。
塩分の摂りすぎ
塩分には水分を体内に溜め込む性質があり、摂りすぎるとむくみの原因になります。しょっぱいものや味の濃い料理を好む方、ラーメンのスープを飲み干す習慣がある方、ジャンクフードをよく食べる方は、知らず知らずのうちに塩分を多く摂取している可能性があります。また、日本食はヘルシーな印象がありますが、味噌や醤油などの調味料を多く使うため、実は塩分が高めです。健康的と思っていても、むくみの観点から見ると注意が必要な場合もあります。
水分の摂りすぎ
水分も、摂りすぎるとむくみの原因になります。体にとって水は必要不可欠なものですが、摂取量が巡らせる力を超えてしまうと、余分な水分が滞り、むくみにつながります。
「たくさん水を飲むといい」と言われることもありますが、漢方では一人ひとりの体質や状態によって、水分の必要量は異なると考えます。無理に水分を摂ろうとせず、自分に合った量を見極めることが大切です。
冷え
冷えも、むくみを引き起こす要因の一つです。体が冷えると血流や水分の巡りが悪くなり、余分な水分が滞ってむくみにつながります。
たとえば、薄着で過ごす、夏でも冷房の効いた室内に長時間いる、冬場に首や足首などを露出しているなど、日常のちょっとした習慣が冷えの原因になることもあります。
女性は筋肉量が少ないこともあり、特に冷えやすい傾向があります。季節を問わず、冷え対策を意識することが大切です。
運動不足
運動不足も、むくみの原因の一つです。デスクワークで長時間座りっぱなしだったり、移動がほとんど車中心だったりと、現代の生活では体を動かす機会が少なくなりがちです。
筋肉には、血液やリンパを全身に巡らせるポンプのような役割があります。下半身では、ふくらはぎなどの筋肉が重力に逆らって体液を押し戻す重要な働きを担っています。特に筋肉量の少ない女性は、筋力低下による巡りの悪さからむくみやすくなる傾向があります。
ホルモンバランス
生理前に顔や体がむくみやすい方は、女性ホルモンの影響が関係していると考えられます。排卵後に分泌が増える女性ホルモンの一つ、プロゲステロンには妊娠の準備を整える働きがあり、体内に水分を溜め込みやすくする作用があります。そのため、生理前にはむくみやすくなるのです。
また、更年期では女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが減少し、自律神経が乱れやすくなることで血行が悪くなり、むくみを引き起こしやすくなります。
出典:日本生気象学会雑誌.「体液調節と女性ホルモン」2017;54(2):57-64.
むくみに漢方薬がおすすめな理由

むくみに漢方薬がおすすめなのは、体内の水分をただ排出するのではなく、体のバランスを整えながら自然な巡りを促す点にあります。漢方では、むくみの背景には「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスの乱れが関係していると考えられています。
漢方薬は、そうしたバランスの乱れに働きかけ、水分代謝を整えることで、むくみの再発予防にも役立ちます。特に、体質に合った処方を選ぶことで、むくみだけでなく、冷えや疲れやすさ、月経不順、胃腸の不調など、日常の不調全体の改善につながるのも特徴です。体質や原因に応じて処方を選べること、そして全身のバランスを整えるという視点こそが、漢方薬ならではの魅力です。また、ドラッグストアで購入することができるので、気軽に試しやすいです。
むくみ解消におすすめの漢方薬
むくみの改善には、体質や原因に合わせた漢方薬を選ぶことが大切です。中でも「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」と「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」は、むくみによく使われる代表的な漢方薬で、ドラッグストアで購入できます。体質に合った漢方薬を選ぶには、薬剤師や登録販売者に相談するのも一つの方法です。ここでは、それぞれの漢方薬がどのようなタイプの方に向いているのかをご紹介します。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
防已黄耆湯は、次のような症状が気になる方におすすめの漢方薬です。
・下半身のむくみが気になる
・汗をかきやすい
・胃腸が弱い
・水太りしやすい
・体が重だるく、疲れやすい
・食事量は少ないのに太りやすい
このように、むくみだけでなく、体の重だるさや水太り、胃腸の不調などにも関わりのある処方です。漢方では、こうした状態を「気(き)」(体のエネルギー)が不足していると考えます。特に胃腸の働きが弱いと、十分な気が生まれず、水分をうまく巡らせる力も低下し、むくみの原因になります。
防已黄耆湯は、気を補いながら胃腸を整え、体内の水分循環を改善していくことで、むくみを改善してくれます。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)効果・副作用・注意点について解説
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
当帰芍薬散は、次のような症状が気になる方におすすめの漢方薬です。
・顔や手足のむくみがある
・貧血傾向がある
・顔色が悪く、血色が薄い
・冷えやすい
・疲れやすい
・月経痛や月経不順がある
・立ちくらみを感じることがある
このように、むくみだけでなく、月経や貧血といった女性に多い悩みとも関わりの深い処方です。漢方では、これらは「血(けつ)」(血液や栄養)が不足している状態と考えます。血が不足すると、体のすみずみに水分を巡らせる力が弱まり、むくみの原因になります。
当帰芍薬散は、血を補いながら水分の巡りも整えることで、体の内側からむくみや体調を改善していきます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)効果・副作用・注意点について解説
漢方でむくみ解消する際のポイント
漢方薬でむくみを改善していくには、生活習慣の見直しも併せて行うことが大切です。むくみの原因には、食事や運動、冷えなど日常の習慣が深く関わっているため、これらを意識することで漢方薬の効果をより発揮しやすくなります。
今回は、特別な道具や費用がかからず、無料で取り組めるセルフケアをご紹介します。ぜひ気軽に実践してみてください。
食事
まず見直したいのが塩分の摂取量です。塩分(ナトリウム)が多いと体内に水分を溜め込み、むくみの原因になります。出汁などの「旨味」を活かせば、薄味でも満足感が得られます。
一方、カリウムには余分な水分を体外に排出し、水分バランスを整える働きがあります。バナナや海藻類など、カリウムを多く含む食材を意識して取り入れましょう。
さらに、水分の摂り方も少し意識してみましょう。水分はただたくさん飲めばいいというわけではなく、巡らせる力を超えて水分が余ると、むくみにつながることもあります。喉の渇きを目安に、自分に合った量を摂取するのが大切です。
運動
また、日常生活の中に適度な運動を取り入れることも、むくみの改善には効果的です。身体を動かすことで血流や水分の巡りがよくなり、体が温まることで代謝も上がります。特に注目したいのが、ふくらはぎの筋肉です。ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、血液やリンパ液を下半身から心臓に戻すポンプのような役割を果たしています。そのため、かかとを上げ下げする運動や、階段の上り下りなどを習慣にすることで、足のむくみ対策につながります。日常のちょっとした時間に取り入れやすい運動なので、無理のない範囲で継続してみましょう。
入浴
むくみが気になるときは、シャワーだけで済ませず、湯船に浸かって体をじっくり温めるのがおすすめです。体が芯から温まることで血流が促進され、水分の巡りも整いやすくなります。特に冷えやすい方や、座りっぱなしの時間が長い方は、湯船につかる習慣を取り入れることで、むくみの改善が期待できます。少し汗ばむ程度の温度と時間が理想的です。さらに、入浴中にふくらはぎや足先をやさしくマッサージすると、滞っていた血液やリンパの流れが促され、より高い効果が得られます。
まとめ
漢方薬によるむくみ改善の特徴は、体内の水分を無理に排出するのではなく、体のバランスを整えて、水分が自然に巡る状態へ導くことです。むくみの原因そのものに働きかけるため、一時的な緩和ではなく、体質から整えていくことができます。その効果をしっかり引き出すには、体質に合った漢方薬の選択が大切です。
また、むくみは生活習慣とも深く関わっているため、漢方薬と並行して日々の習慣も見直すことで、より漢方薬の効果が発揮されます。自分の身体に合った方法で、むくみのないすっきりとした毎日を目指していきましょう。
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