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長寿の国、日本ですが、“健康で長生き”と“寝たきりで長生き”とでは、同じ長生きでも本人はもとより、家族への影響も大きく違ってきます。「健康な状態で長生きしたい」「家族に迷惑をかけたくない」と願うのは誰もが同じ。そのためには、寝たきりの手前の筋力や心身の活力が低下した状態「フレイル」を予防することが肝心です。そして、その鍵を握るのは、あなたを含む家族の「気づき」です。フレイル予防は、身近な人が「兆候」に気づいてあげることから始まります。 今回は、この関心の高いテーマ「フレイル予防」ゆえに大盛況を博した市民セミナーの内容をご紹介します。フレイルチェック、健康寿命と平均寿命、フレイルにおすすめの漢方薬など、あなたが知っておくことで、ご両親のフレイル予防にぜひお役立てください。 登壇者: 鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 漢方薬理学講座 特任教授 乾 明夫先生 熊本赤十字病院 総合内科 部長 加島雅之先生高齢者の外出・元気・食欲がないのは、寝たきりの一歩前?
人生100年時代。長い人生を健やかに全うするためには、筋力や心身の活力が低下した状態「フレイル」をいかに予防するかを考えていくことが不可欠です。フレイルとは、簡単にいうと「杖がいる状態」。骨格筋、とくに足の大腿四頭筋を中心とした筋肉の萎縮をはじめとする、ココロとカラダの疾患を指した非常に幅広い概念です。 足腰が弱り、気力が低下気味で、社会との関わりも減ってきている…そんな、寝たきりになる一歩前の段階であり、「フレイルかも?」と思ったら、早いうちに手を打って症状を改善していくことが大切です。 フレイルかどうかは、次の5つの項目で簡単にチェックできます。 <フレイルチェック> ☐ 疲れが取れにくくなった ☐ 食欲がなくやせてきた ☐ 歩くのが遅くなった ☐ 力が入らなくなった ☐ 出かけるのがおっくうになった いくつチェックがつきましたか? 5項目のうち、3つ以上に当てはまればフレイルかもしれません。転倒などをきっかけに寝たきりになる恐れもあり、早めに対策を! 日々の中でのささいな変化、衰えは、本人よりも周囲の方が気づきやすいので、ぜひご家族で気にかけてあげてください。気づきがあれば、それをきっかけに日常を変える機会ができますし、治療の前段階で医師に相談できるチャンスも生まれます。<PR>
今日からできる!高齢者の外出・元気・食欲を維持するためのポイント
フレイルは、骨粗鬆症などの「身体的フレイル」、うつや認知症などのココロの病気を指す「精神・心理的フレイル」、地理的な孤立や引きこもり、貧困などによる「社会的フレイル」の3つに分けて考えることができます。これらは「うつになって引きこもってしまい、社会活動が減って骨格筋萎縮になる」というように相互に関連し、負の連鎖を引き起こしやすいと考えられています。 したがって、フレイルにならないためには、カラダとココロの両面からケアをしていく必要があり、毎日の生活習慣がとても大切です。軸になるのは次の3つです。 ① バランスのよい食事 1日回、規則正しく、主食、主菜(肉・魚・卵・大豆製品)、副菜(野菜・キノコ類・海藻類)、牛乳・乳製品、果物をバランスよくとることを心がけましょう。また、肥満や生活習慣病のリスクを減らすこともフレイル予防には大切ですので、食べ過ぎ、お酒、たばこには注意してください。 ② 適度な運動 適切な運動量には個人差がありますが、息切れすることなく「もうちょっと続けられるかな」と感じるくらいが目安です。これまで運動習慣のなかった方は、軽くカラダを動かすことから始めて、徐々に運動量を上げましょう。もし運動後の痛みが翌日に残るようであれば、それは無理をしてしまったサイン。健康のために、安全な範囲で楽しくカラダを動かしてください。 ③ 楽しみを持つ 「精神・心理的フレイル」「社会的フレイル」の予防には、好奇心を絶やさず、趣味などの楽しみを持つことが大変有効です。好きなことや楽しいことに対するときは、ココロが弾むもの。誰かと情報交換をしたいという気持ちから社会に出るきっかけになるなど、ココロの健康、社会とのつながりの維持に良い影響をもたらします。高齢者の外出・元気・食欲を維持するために漢方薬はおすすめ?
フレイルは、東洋医学でいう「未病」にあたります。未病とは、「未だ病気ではないけれども、このまま放置しておくと病気になってしまう状態」のこと。そこで着目されているのが、未病の状態でも処方が可能な漢方薬です。 西洋薬は病気の診断が下って初めて投与できる薬ですから、たとえば食欲不振や倦怠感といった未病の状態では使えません。しかし、漢方薬であれば処方できるのです。 漢方薬の中には骨密度の維持や滋養強壮にはたらくものもあり、これらはフレイル予防にうってつけといえるでしょう。また、フレイルと関わりが深い運動器症候群(ロコモティブシンドローム)の予防や、がん患者のQOL(Quality of Life=生活の質)向上にも役立つといった報告もあり、近年、注目が高まっています。<PR>
監修 乾 真理子