アサーションとは?トレーニングでこころのバランスを保つスキルを上げる

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人間関係が上手くいかない、と悩んだ経験はありますか?「言いたいことがなかなか言えない」または「つい感情的になって自分の主張を押し通してしまい後悔する」など残念な感情を抱いたことがある人は少なくないかもしれません。職場、学校、家庭内でのコミュニケーションに有効なスキルとして「アサーション」という考え方があります。円滑なコミュニケーションができるようになるためのスキルで、教育現場や企業研修等でアサーショントレーニングは広く取り入れられています。アサーションについて詳しく解説していくと共に、アサーションスキルを日常で活用できる方法をご紹介します。

アサーションとは?

アサーションとは、自分も相手も大切にした自己表現やコミュニケーションのことです。アサーションの直訳は「主張」「断言」といったものですが、自分と相手の気持ちを両方とも尊重しようという相互作用の意味が含まれています。

つまり、単に身勝手な主張をするのではなく、意見の違う相手とも対等な意見交換を目指すもので自他尊重のコミュニケーションを指します。「アサーション」は名詞で「アサーティブ」な状態といった意味で用い、「アサーティブなコミュニケーション」や「アサーティブネス」とも言います。アサーションの起源は1950年ごろのアメリカで、心理学者ジョセフ・ウォルピによって行動療法として開発されました。

さらに、1970年代に人種差別を背景としたコミュニケーション課題を解決するため、相手を尊重する自己表現手法として発展しました。日本で広まったのは1980年代と言われ、今では医療・教育・企業等のさまざまな現場で活用されるようになっています。

自己表現タイプをチェック!

まずはあなたのコミュニケーションスタイルをチェックしてみましょう。アサーショントレーニングを行うにあたり、まずは自己表現のタイプを把握することが大切です。

<質問>
あなたはある流行りのレストランにランチを食べにきました。メインディッシュは肉あるいは魚が選べ、あなたは肉を注文しました。楽しみに待っていたあなたに運ばれてきたのは魚のランチでした。さてあなたはどのような言動をとりますか?

1. 他のお客さんも多く忙しいレストラン、魚で我慢しようとそのまま食べる

2. 肉だと言ったはずなのにおかしい、「どうなっているのか!」と店員を呼んで怒る

3. 自分が頼んだのは肉のはずだったが魚が運ばれた事実を店員に伝え、その上で作りなおしてもらうか、魚でもよいという旨を伝える

1.を選んだ方:非主張的自己表現タイプ(ノンアサーティブ)

自己主張が苦手で、相手に合わせようとする意識が強い自己表現スタイル。この質問の例では、もしかしたら魚を頼んだ人に肉のランチが運ばれたかもしれません。自分だけが我慢したわけではなく魚を待っていたお客さんの品を自分が食べてしまうことになるかもしれません。

2.を選んだ方:攻撃的自己表現タイプ(アグレッシブ)

相手の意見より、自分の意見や価値観を押し付けてしまう自己表現スタイル。この質問の例は単なる間違いであり悪意があるとは思えません。料理を運んできた店員に文句を言ったことで、仮にその人が傷ついた表情をした場合、それを見ている自分も嫌な気持ちになるかもしれません。

3.を選んだ方:アサーティブ自己表現タイプ(アサーティブ)

相手へ配慮しつつも、自分の意見を大切にする自己表現スタイル。この質問の例では、事実を伝えることで間違った内容の詳細を相互で確認することができます。運び間違いであれば交換することで解決でき、作り間違いであれば作り直すのかこのままにするのかといった対処の方法を相互で考えることができます。

アサーティブなコミュニケーションを目指すメリット

アサーティブなコミュニケーションが取れるようになると、自分らしくいられて本来の力を発揮でき、さらに相手を認めることができます。コミュニケーションが円滑になることで人間関係からくるストレスの解消にもつながります。

相手を尊重しながら自分のアイデアや意見をストレスなく伝えられることはビジネスの場面でも有効ですし、家族間であれば家族のためになる行動が取れます。自分も相手も大切にするアサーションのトレーニングを実践しコミュニケーション力を磨きましょう。

実践!アサーショントレーニング

コミュニケーションを取る中で対等に相手と向き合うには、「率直」「誠実」「対等」「自己責任」の4つの心構えを理解することが大事です。

自分の気持ちに率直であること

遠回しではなくストレートに、相手に“伝わる”言葉にしましょう

相手にも自分にも誠実であること

自分自身に正直になることで、相手にも誠実になれます

対等であること

上から目線でも卑屈でもなく、態度も心の中も対等に向き合いましょう

自分の言動に責任を持つこと

言った責任、言わなかった責任は、自分が引き受けましょう

I(アイ)メッセージ

アサーションのトレーニング方法は複数ありますが、その中でも実践しやすい「I(アイ)メッセージ」をご紹介します。

Iメッセージとは、主語を「わたし(I)」にして伝えることです。Iメッセージの反対を「You(ユー)メッセージ」と言い、主語を「あなた(You)」にして伝えます。日本語は主語がなくても誰を指しているのか、おおよそ判断できる便利な言語ですが、英語は必ず誰を指しているのかを要求されます。アサーショントレーニングをする場合はまず、あなた(You)を私(I)にしてみるところから始めてみるとよいでしょう。

エクササイズ①つい言いがちな言葉「何でこんなこともできないの?」をどのように言い換える?

のんびりした後輩や家族に向かってつい言いたくなる言葉です。これは実はYouメッセージで表現されています。これに主語をつけて表現すると以下のようになります。

Youメッセージ : あなたは何でこんなこともできないの?

これを主語が自分になるIメッセージにしてみるとこのような例文が考えられます。

Iメッセージ : 私はあなたにこうやってもらえると助かるわ。

Iメッセージで表現すると「率直」で「誠実」で「対等」になり、自分の言葉に「責任」を持つことができますね。普段から他者への声がけの言葉をIメッセージで表現する練習をしていくとアサーションを意識でき、コミュニケーション力を高めることができます。

エクササイズ②他者からほめられた時にどうやって応対する?

自分の容姿や成績を褒められた時に上手に言葉で返答できるとスマートですね。心では「恥ずかしい」「セクハラ!」「恐縮」などいろいろな気持ちが湧き上がるかもしれませんがどのような言葉で返せるとよいのでしょうか?

例文1:容姿を褒められた時の例

「ありがとうございます。新色メークのおかげかもしれません!」

例文2:成績を褒められた時の例

「ありがとうございます。チームのサポートのおかげです。これからも頑張ります」

褒められるようなことではないと思っていても、一度相手のお褒めの言葉を受け取ることが大事です。受け流したり、嫌な顔をしたりすることは誠実ではありません。

褒めてくれた相手の気持ちは誠実に受け止め、自分の意見を伝えることで自他尊重のコミュニケーションが成り立ちます。褒められ慣れていない人はつい黙ってしまいがちですが、双方向のコミュニケーションにできるといいですね。

気持ちが不安定な時のお守りに

こころはいつも万全なわけではないから。自律神経が乱れやすい季節や更年期には無理をしないで漢方を用いて気持ちを整えることも大事です。タイプに合う処方でこころとカラダをサポートしましょう。

アサーティブな考え方ができる人でもこころは揺らぎやすいから

こころはいつも万全なわけではありません。普段ならアサーションを意識できる人でもストレスや様々な要因から自律神経が乱れると気持ちが後ろ向きになったりイライラしたりしやすくなります。季節の変わり目や更年期といったカラダの変わり目も要注意。無理をせず漢方を用いて気持ちを整えることも大事です。自分のタイプに合う処方でこころとカラダをサポートしましょう。

ちょっとしたことでつい怒りやすくイライラしがちな方へ

■抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

自律神経の高ぶりを抑え、「気(カラダを巡るエネルギー)」「血(栄養)」の巡りを整え,神経症を改善します。さらに、胃腸のはたらきを整える作用があるため、胃腸の弱い方でも服用しやすい処方です。

気を使いやすくストレスをためがちな方へ

■半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

喉に何かつまった感じがする方、カラダを動かす機会が少なくストレスをためがちな方などにおすすめです。「気」の巡りを促すことでうつうつとした気分を高め,不安神経症を改善します。

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那須久美子

ヘルスケアデザイナー、国家資格キャリアコンサルタント、アスリートキャリアコーディネーター、漢方アドバイザー

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