漢方で考える“めまい”の話と漢方薬

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漢方で考える“めまい”の話と漢方薬

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梅雨明けから本格的に夏にかけ天候の移り変わりが激しく、体調不良に悩む方も多いのではないでしょうか?天気の変わり目や気圧の変化などが原因で、めまいや耳鳴りなどが起こる場合があります。特に、めまいは日常生活や仕事に影響を与えるため、憂鬱な気分になるという方も多いでしょう。漢方で考えるめまいが起きる原因や予防、解消法などについて紹介します。

【漢方流】めまいのタイプは4タイプ

また、気圧の変化しやすい台風シーズンなどにも起こりやすいめまいは、気血水で考えるカラダの中に水分が滞りやすい水滞タイプです。このタイプは、むくみやすい・汗がべたつく・カラダが重く感じるなどの症状があります。気血水の考え方は、「漢方の基礎知識(気血水とは)」を参考にしてください。

漢方の考えによるめまいが起こる原因を、4つのタイプに分けて紹介します。

1. 水滞(すいたい)

雨の日に起こりやすいタイプ。水太りでぽっちゃりしている人が多い。カラダの中に水分が滞りやすく、気の動きが悪くなるため、めまいやむくみなどの症状が起こる。水滞とは、カラダの中にある水分が滞ってしまう病的なものをさしている。

2. 腎虚(じんきょ)

老化や過労など腎の衰えによって起こるタイプ。腎とは、成長・発育などに関わる機能をさしている。腎の機能が低下すると、めまい・耳鳴り・白髪・足腰の衰えなどの老化現象が現れる。

3. 肝陽上亢(かんようじょうこう)

ストレスが原因により頭に血がのぼっているタイプ。肝の気がカラダの上の方に現れるとイライラしたり、頭痛がしたり、めまいが起きたりする。肝とは、全身の気をめぐらせ、精神状態を安定させる働きがある。

4. 気血両虚(きけつりょうきょ)

気血が不足することによりエネルギーが不足しているタイプ。気虚・血虚などが原因で頭の栄養不足が起こることによりめまいや疲れなどが起こる。睡眠不足や汗のかきすぎ、ダイエットなどでも起こる。

めまいが起こりやすい人は、普段の生活に問題がある!?

めまいがなかなか治らない方は、普段の生活を改善していくことが必要です。例えば、雨の日に起こりやすい水滞タイプは、カラダが冷えやすく水分代謝が悪いタイプです。体の中に水分が滞りやすいタイプは、基礎代謝を上げることが必要です。カラダの中の余分な水分を外に出すためには、ウォーキング・ヨガなどの軽い運動やぬるめのお風呂などに15分くらいつかって汗をかくなど、毎日の生活習慣の改善も必要となっていくでしょう。
ただし、お風呂は苦手という方は、足湯だけでもいいでしょう。洗面器やバケツに40度前後のお湯をいれて、10~15分くらいつかりましょう。冷え性を改善させるだけでなく、カラダのむくみの改善やリラックス効果もあります。
クーラーのある部屋で長時間過ごすときは、温かいお茶を常備しましょう。水はけをよくしてくれる、とうもろこし茶、黒豆茶がおすすめです。カラダが冷える前に準備しておきましょう。特に下半身の筋肉が少ない方は、カラダを温める力が弱いため、気血のめぐりも悪い可能性があります。

普段から、疲れやすい、食後眠くなる、立ちくらみなどの症状がある人は、慢性的な気虚・血虚の可能性があります。毎日、食べたものや、睡眠時間、体調などを手帳などに書き込み、いつどんなときに体調が悪くなるかをチェックすることをおすすめします。なぜなら、どんな天気の日に体調が悪くなるか、どんな食材がカラダに合っていないのかを確認することができるからです。自分の体調に合わせた養生を知ることによって、めまいが改善するだけでなく他の症状もよくなる場合があります。漢方は、一部の症状だけを改善するものではありません。普段の食事や生活習慣を改善し、漢方薬を併用することにより、カラダ全体の状態を改善させることも可能です。

気圧の変化によるめまい症状に悩む人へのアドバイス

気圧の変化しやすい台風シーズンなどにもめまいが起こりやすい人は、カラダの中に水分が滞る「水滞」を改善する食材を選びましょう。カラダを温める、便通がよくなる、または利尿効果のある食材がおすすめです。海藻・きのこ・黒豆・とうもろこしなどがあります。逆に、甘いもの・脂っこいものは控えた方がいいでしょう。
カラダの中に水がたまりやすくなります。水滞タイプは、水分のとりすぎにも注意しましょう。ただし、夏に水分摂取を控えるのはNG。その日の体調や環境に合わせて水分を摂取しましょう。屋外にいるとき、もしくは激しい運動をするときは30分に1回コップ1杯くらいの水を飲みましょう。夏は部屋の中にいても熱中症になることがあります。めまいが起こるから水分摂取を控えるのではなく、その人の体質やその場の状況に合わせて対応することが必要です。

また、下痢を起こしやすい、お腹がちゃぽちゃぽするといった体質の人は、胃腸の機能を整えることが大切です。胃腸の働きをよくするには、平性もしくは温性で甘味の食材を選んでいきましょう。薬膳では、カラダを温める食材(温性)・冷やす食材(涼性)・どちらにも該当しない食材(平性)があります。また、食材には酸(さん)・苦(く)・甘(かん)・辛(しん)・鹹(かん)の5つの味があると考えています。甘味は、砂糖などの甘い食べ物ではなく、野菜や果物など天然の甘味であるやまいも・さつまいも・桃などがおすすめです。胃腸の調子を整えることができれば気血の流れはよくなり、栄養不足・消化不良などの症状を改善させることもできます。

おすすめの食材や薬膳食材については、「薬膳食材図鑑」をご覧ください。

めまいに効果がある漢方薬

めまいに効果のある漢方薬はいくつかの種類があります。めまいが起きる原因は、低気圧などの気候の変化だけでなく、痰飲など胃腸の状態の悪化もあります。自分の体質やそのときの体調に合わせて、漢方薬を選んでいきましょう。

■苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

雨の日や気圧の変化などが原因により起こるめまいに適した漢方薬です。めまい・ふらつきがある。立ちくらみがする。ぐるぐる目が回る。耳が塞がったような感じがする。などの症状に利用されます。頭痛、動悸、神経症などにも応用されます。

■五苓散(ごれいさん)

雨の日や低気圧などによる頭痛やめまいに適した漢方薬です。お酒や水分のとりすぎによる頭痛にも効果があります。五苓散は、カラダ全体の症状を改善させるため、手足のむくみや下痢、吐き気などにも利用できます。

■半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

下肢が冷えやすく胃腸が弱い人に向いている漢方薬です。胃腸の機能を高めることにより、めまい・頭痛・立ちくらみなどを改善させます。蓄膿症(副鼻腔炎)の症状にも利用されています。

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監修
多田 有紀

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