目次
- 冬に腰痛が起こりやすくなる原因
- 寒さで活動量が減り腰への負担が増える
- ストレスで筋肉が緊張しやすくなる
- 今日からできる!冬の腰痛をやわらげる3つのセルフケア
- 【漢方解説】腰痛が起こりやすいカラダの傾向
- 漢方の考え方を取り入れた、腰痛が気になるときの食養生
- 冬のカラダの悩みに選ばれることがある漢方薬の例
- 病院を受診すべき?気をつけたい腰痛のサイン
- 冬の腰痛がつらいときは、できることから無理なくケアしよう
寒くなると腰に違和感や痛みが出やすいけれど、原因がよくわからないと感じている人もいるのではないでしょうか。厚生労働省によると、一般的な腰痛の約85%は、X線検査などでも原因が特定できないと報告されています。
そこで本記事では、冬に腰痛が起こりやすい原因や、日常で取り入れやすいセルフケアについて詳しく解説します。あわせて、冬の腰痛に対する漢方の考え方についても紹介しているので、参考にしてみてください。
参照:厚生労働省
冬に腰痛が起こりやすくなる原因
冬に腰痛が起こりやすい原因として、主に以下の3つが考えられます。
- ● 冷えによって筋肉がこわばりやすくなる
- ● 寒さで活動量が減り腰への負担が増える
- ● ストレスで筋肉が緊張しやすくなる
心当たりがないか、一度振り返ってみましょう。
冷えによって筋肉がこわばりやすくなる
気温が下がると、カラダは中心部の体温を優先的に維持するために、血管を収縮させます。その結果、腰まわりの筋肉への血流が少なくなり、筋肉が硬く緊張しやすい状態になるのです。
柔軟性を失った筋肉は急な動きに対応しにくく、ちょっとした動作でも腰に痛みが出やすくなります。とくに冬の朝は、就寝中に体温が下がって筋肉が固まりやすく、起き上がったときに腰に負担を感じがちです。
「温めると楽になる」「動き出すとやわらぐ」という実感がある人は、冷えによる筋肉のこわばりが関係している可能性があります。
冷え性が気になる方は、以下の記事も参考にしてみてください。
寒さで活動量が減り腰への負担が増える
冬は寒さから外出や運動の機会が減り、腰を支える筋力が低下しやすくなります。室内で過ごす時間が長くなると、同じ姿勢のまま過ごす場面も増えてしまうでしょう。
とくに寒さでカラダが縮こまる前かがみの姿勢は、腰まわりに大きな負担がかかります。
筋力の低下と悪い姿勢の固定化が重なると、腰への負荷がさらに強まり、腰痛の悪循環に陥りやすくなってしまいます。
ストレスで筋肉が緊張しやすくなる
精神的なストレスも冬の腰痛と関係があります。
過度なストレスや緊張状態が続くと、自律神経のバランスが乱れて血流が悪くなり、無意識のうちにカラダに力が入ってしまいます。とくに腰まわりの筋肉が緊張すると、骨や関節への負担が増えて痛みを感じやすくなります。
さらに、日照時間が短くなる冬は、気分が落ち込みやすい季節です。気持ちが沈むとカラダにも力が入り、緊張がほぐれにくい状態が続くため、結果として腰まわりの筋肉をさらに硬くさせてしまうこともあります。
今日からできる!冬の腰痛をやわらげる3つのセルフケア
冬の腰痛をやわらげるケアとして、以下の3つがあげられます。
- ● 腰まわりを温める
- ● ぬるめのお湯で入浴する
- ● ストレッチをする
腰痛をやわらげるには、腰まわりの血流をうながすことが大切です。
今回紹介するのは、いずれも自宅で手軽に腰まわりの血流をよくできる方法です。無理なく続けられそうなものから取り入れてみましょう。
腰まわりを温める
腰まわりを温めるには、使い捨てカイロを使うのが手軽です。
貼る位置は、おへその真裏あたりがひとつの目安です。漢方では、このあたりに「命門(めいもん)」というツボがあり、カラダを温めるうえで大切な場所と考えられています。
カイロは肌に直接貼らず、必ず肌着の上から使用します。長時間同じ場所に当て続けると低温やけどにつながることがあるため、就寝時の使用は控えましょう。
日中の冷え対策には、腹巻きを取り入れるのもひとつの方法です。あわせて、保温性のある肌着や腰まわりをカバーできるインナーを選ぶと、温めた熱を逃がしにくくなります。
カイロを貼る場所については、以下の記事で詳しく解説しています。
ぬるめのお湯で入浴する
37〜40℃程度のぬるめのお湯に15〜20分ほど浸かると、カラダの表面だけでなく深部まで温まりやすくなります。
また、お湯の中は浮力によってカラダが軽く感じられ、腰を支えている筋肉への負担がやわらぎ、リラックスしやすくなります。
熱すぎるお湯は交感神経を刺激してかえって筋肉が緊張しやすくなるため、じんわり温かいと感じるくらいの温度に設定してみてください。
浴室と脱衣所の温度差が大きいと、カラダに負担がかかることもあります。冬場の入浴前には、脱衣所をあらかじめ温めておきましょう。
入浴の方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
ストレッチをする
冬はカラダを動かす機会が減るぶん、意識的にストレッチを取り入れましょう。腰まわりの筋肉を無理なく伸ばすことでこわばりがほぐれ、腰にかかる負担がやわらぎます。
座ったままできるストレッチとして、椅子に浅く座って片足を前に伸ばし、膝を両手で軽く押さえながらゆっくりおじぎをする「ももうら伸ばし」があります。太ももの裏側から腰にかけてじんわり伸びるのを感じながら、10秒ほどキープしましょう。
立った状態では、足を肩幅に開き、腰に手を当てて息を吐きながら腰をそらせるイメージで背すじを伸ばす「腰伸ばし」がおすすめです。手で骨盤を前に押し込むイメージで行うことで、腰まわりが心地よく伸びます。
どちらも反動をつけず、呼吸を止めないように行ってみてください。痛みが強い場合は無理をせず、心地よいと感じる範囲にとどめましょう。
【漢方解説】腰痛が起こりやすいカラダの傾向
漢方では、腰痛は五臓の「腎」と深い関わりがあると考えられています。
そのほかにも、腰痛が起こる原因には、気の流れや血のめぐりなども関与していると考えられています。
漢方で考える腰痛が起こりやすいカラダの傾向を以下の表にまとめました。
| カラダの傾向 | 状態 |
| 腎虚(じんきょ) | 加齢・過労・乱れた生活習慣・慢性的な体調不良により、「腎」の働きが弱くなっている |
| 気滞(きたい) | ストレスや緊張状態が続き、カラダの中の「気(エネルギー)」の流れが滞っている |
| 瘀血(おけつ) | 運動不足やストレスにより、カラダが冷えて「血(けつ」のめぐりが悪くなっている |
ちなみに、外部からの悪い影響として、「寒邪(かんじゃ)」「湿邪(しつじゃ)」という考え方もあります。これは、寒さや湿気がカラダの中に入り込み、腰の痛みが強くなりやすい状態です。
自身のカラダの傾向と照らし合わせ、この後解説する食養生を取り入れる際の参考にしてみてください。
漢方の考え方を取り入れた、腰痛が気になるときの食養生
漢方には、食養生という考え方があります。
食養生とは、体調管理や健康維持のために、自身の状態や気候に合わせて日々の食事を工夫する、漢方の伝統的な考え方です。
ここからは、腰痛が気になるときの食養生について解説します。腰痛が気になるときには、以下の食材を意識的に取り入れていきましょう。
冬の腰痛全般に|漢方で「腎」と関わりが深い「黒い食材」
漢方では、黒い食材は腎との関わりが深いと考えられています。黒きくらげ・黒豆・ひじきやわかめなどの海藻類・黒糖などが代表的です。
あわせて、腎の働きをサポートするには「気(生命エネルギー)」を補うことも大切です。気を補うとされる山芋・牛肉・羊肉などを、エネルギー不足を感じる日に取り入れてみましょう。
ストレスが多い人に|気のめぐりに関わる食材
気滞の傾向がありストレスがたまりやすい場合は、気のめぐりに関わる食材を意識してみましょう。
野菜では、たまねぎ・らっきょう・春菊などがあげられます。果物では、みかん・ゆずなど柑橘系のものがよいです。
血行が悪い人に|カラダのめぐりに関わる食材
瘀血(おけつ)の傾向がありカラダの血行が悪くなっている場合は、カラダのめぐりに関わる食材がおすすめです。
野菜では、れんこん・チンゲン菜・くわいなど、果物では、桃やリンゴ、ぶどうがあげられます。
カラダが冷える人に|内側から温めるのに役立つ食材
寒邪(かんじゃ)の影響を受けやすく、カラダが冷えやすい人は、内側から温めるのに役立つ食材を意識してみましょう。
生姜・にんにく・シナモンは、漢方でもカラダを温める食材として用いられています。また、お酢や日本酒もカラダを温めるのに役立ちます。
気温の低い日には、これらの食材を使ったスープや鍋料理を取り入れると、食事をしながらカラダを温めるケアにもつながるでしょう。
雨の日や湿気の多い日に|水のめぐりに関わる食材
漢方では、湿気が多い環境ではカラダの中に余分な水分がたまりやすくなると考えられています。そのような日には、カラダの中の水分バランスを整えるのに役立つ食材を取り入れてみましょう。
とうもろこし・小豆・黒豆が代表的です。雨の日や湿度の高い日に意識してみてください。
冬のカラダの悩みに選ばれることがある漢方薬の例
冬のカラダの悩みには、以下の漢方薬が用いられることがあります。
- ● 八味地黄丸(はちみじおうがん)
- ● 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
気になる症状がある人は、医師や薬剤師、登録販売者に相談してみてください。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
八味地黄丸は、カラダが冷えやすく疲れやすい人に用いられることがある漢方薬です。8種類の生薬(地黄・山茱萸・山薬・沢瀉・牡丹皮・桂皮・附子・茯苓)で構成されています。
<効能・効果> 体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
当帰芍薬散は、体力虚弱で冷え症の傾向があり、一般的に女性特有の不調を感じやすい人に用いられることがある漢方薬です。6種類の生薬(芍薬・沢瀉・蒼朮・茯苓・川芎・当帰)で構成されています。
<効能・効果> 体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り
同じ腰痛であっても状態や症状によって適した漢方薬は異なるため、自己判断せず医師や薬剤師、登録販売者に相談しながら選ぶことが大切です。
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病院を受診すべき?気をつけたい腰痛のサイン
冷えや活動量の低下が原因の腰痛は、セルフケアでやわらぐケースもありますが、なかには早めの受診が必要な場合もあります。
受診が必要な腰痛の特徴は以下の通りです。
- ● 安静にしていても痛みがおさまらない
- ● 足のしびれや麻痺、排尿や排便の異常がある
- ● 腰痛とあわせて発熱がみられる
- ● 日が経つにつれて痛みが強くなっていく
いつもの腰痛とは違うと感じた場合は、早めに専門医に相談しましょう。
冬の腰痛がつらいときは、できることから無理なくケアしよう
冬は、冷えや活動量の低下、ストレスなど季節ならではの要因が重なって、腰痛が起こりやすくなります。
腰まわりを温めたりストレッチをしたりするなど、日々のケアが大切です。漢方の考え方を取り入れた食養生も、取り入れやすい工夫のひとつです。
ただし、すべてを一度にはじめる必要はありません。無理のない範囲で、続けやすいものから少しずつ取り入れていきましょう。
安静にしていても痛みが続く場合や、しびれなどいつもと違う症状がある場合は、自己判断で放置せず、早めに医療機関や医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。
多田有紀 兵庫県在住。医療機関、薬局、IT企業での勤務経験を経て、2015年にライターとして独立。カラダの不調を感じたことをきっかけに、漢方・薬膳に興味を持つ。現在は、ライターとして活動をしながら、漢方薬膳の知識を活かしたコンサルタント業務や、ワークショップ・初心者向け講座などを実施。特に女性のカラダに関する悩みに寄り添った活動を行っている。
実績:クラシエ薬品株式会社主催「KAMPO OF THE YEAR 2024」にゲストとしてトークショーに登壇 執筆書籍:「カラダのために知っておきたい漢方と薬膳の基礎知識」(淡交社)
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