目次
- 髪がどうしてもまとまらない!ミドル以降のヘア悩み
- 髪がうねる原因は主に3つ
- 髪のうねりをクセ毛から学ぶ
- 髪の毛はすでに死んでいる?
- 髪のうねりは『血』の不足?
- 髪のうねりの対策は土台から整える
- ミドルヘアを美しく保つヘアケアのコツ
- 美しい髪を生むためにカラダの中から整える
- 健康な髪を維持する元となるカラダのバランスを整えるのに効果的な漢方薬・生薬製剤
「髪のうねりが気になりはじめた」「うねりとパサつきで髪がまとまらない」など、白髪やダメージだけではないミドルエイジから始まる髪の悩みを感じる人は多いと思います。クセ毛ではなかった人で髪のうねりが気になりだしたり、髪がまとまらなくなったりする場合、加齢が原因の1つと考えられます。特に40代頃からそのような悩みが増えてくるようです。加齢によって髪がうねったりパサついたりする理由は頭皮や髪質の変化にあります。髪がうねる悩みを解消して扱いやすい髪を目指すために、うねりの対処法と髪のエイジングに効果的なヘアケアやおすすめの栄養素などをご紹介します。
髪がどうしてもまとまらない!ミドル以降のヘア悩み
加齢による髪の変化については個人差が大きいものですが、日本人女性は、だいたい30代頃から生えてくる髪が「変わった」と感じ始める人が多いようです。40代頃からは白髪や薄毛が気になり始めると同時に髪の手触りの変化やうねりを実感する人が増えはじめます。それは乾燥やパサつきだけじゃない「髪がまとまらない悩み」として日常のストレスにつながります。髪の質感の変化や髪がうねる原因は加齢によって“毛穴がゆがむこと”と“髪の構成成分バランスがくずれること”、さらに“ダメージの蓄積”の3つが大きな理由とされています。クセ毛も毛穴の形や髪の構成成分のアンバランスによって起こりますが、加齢によるうねりとは違い、基本的には遺伝的要素が強くクセの種類が複数存在しています。
髪がうねる原因は主に3つ
加齢により髪がうねる原因の1つは毛穴の『たるみ』です。加齢によって重力の影響に抗えなくなった顔のたるみをイメージすると頭皮の毛穴のたるみも理解できることでしょう。頭皮が加齢によってハリを失い垂れ下がることで毛穴もゆがみ、同時に頭皮の弾力も落ちてしまいます。ゆがんだ毛穴からは髪の毛が押しつぶされたような状態で発毛するため、扁平やいびつな形になり、まっすぐに生えずにうねってしまいます。2つ目の原因は加齢やホルモンバランスの変化により髪内部の構造に偏りがでるためです。髪内部の組織バランスが乱れることで髪に『クセ』のようなうねりが生まれてしまいます。原因の3つ目は白髪染めやカラーリング、パーマや紫外線といった長年のダメージによる蓄積があります。さらに睡眠不足、ストレスによる自律神経の乱れも加わる場合は、髪と頭皮の健康維持のためにしっかりとした対策を取る必要があります。髪と頭皮(毛穴)へのアプローチに加え、カラダの中からもトータルにケアし、髪のうねりによるストレスから解放されましょう。
髪のうねりをクセ毛から学ぶ
髪を輪切りにすると、外側から順にキューティクル、コルテックス、メデュラという3つの部分から構成されていることがわかります。
髪の一番外側を覆い、熱や摩擦から髪全体を守る働きをしているのがキューティクルです。キューティクルの内側には髪の85~90%を占めるコルテックスがあり、繊維状の束とそれを取り巻く構造でできています。この部分のタンパク質(ケラチン)・脂質の構造や水分量が、髪の柔軟性や太さに影響します。髪の中心にあるメデュラは、やわらかいタンパク質による網目状あるいは多孔質構造で、働きについてはあまり解明されていません。直毛の髪の断面は真円に近いのに対し、クセ毛の髪の断面は楕円形です。この断面のゆがみがクセやうねり、広がりに繋がります。コルテックスには、水を吸いやすいオルトコルテックスと、水を吸いにくいパラコルテックスという2種類が存在し、規則的に均一に並んでいると直毛に、不規則で配列に偏りがでるとクセ毛になります。雨の日にクセが強く出たり広がったりしやすいというのは湿度に影響されコルテックスの膨張率の差が顕著にでてしまうからです。同様に加齢によって2種のコルテックスのバランスに変化がでると、今まで直毛だった人でもクセやうねりがでるというわけです。もともとクセ毛の人は加齢によってパサつきやツヤのなさが目立つという変化を、これまでより顕著に感じやすくなるかもしれません。
髪の毛はすでに死んでいる?
ダメージの多い髪でもトリートメントをすることで復活できる、というようなイメージがありますが、髪の毛は爪や皮膚のアカと同じく「死滅細胞」、つまり死んだ細胞の集まりです。死んだ細胞であるため、当然傷む前の状態に戻すことはできません。しかし髪は毎日少しずつ伸び、髪の毛自体が成長しているように見えるのは何故でしょうか?髪は、頭皮から出ている『毛幹』と、頭皮の中にある『毛根』に大きく分けられます。毛根の根元に『毛球』という丸い部分があり、ここで毛母細胞が栄養を受けて細胞分裂を繰り返すことで増殖し、頭皮に向かって押し出されるように伸びて角化(角質化)したものが髪の毛になっていきます。すなわち、髪を作り出す根元は生きている細胞ですが、押し出されて角化した時点で死んだ細胞になっているのです。植物は先端部分が成長して伸びていくのに対し、髪は根元から伸びているため髪の毛が成長して伸びるように見えますが、毛母細胞が分裂して増殖をすることで古い角質を押し上げているだけで、髪の毛自体が成長しているわけではないのです。
髪のうねりは『血』の不足?
漢方では髪の栄養である『血(けつ)』が不足すると、頭皮まで十分な栄養が届かなくなるため、髪は弱り、パサつき、抜けやすくなると考えます。血液は重力の影響を受けるため心臓より上の頭皮まで血が行き渡るには血液中の栄養が充分にあり、血流が良くないと髪まで届きません。特に女性は毎月の生理や出産、授乳など血を消耗する機会も多くなります。また、考え事や悩み事が多い人や目を酷使する人、睡眠不足の人なども血を消耗すると考えられているので、男性も他人事ではありません。加齢により頭皮はハリを失いシワが生まれたりたるんだりするため、栄養補給や頭皮マッサージ等で血行を促進し土台から整えていく必要があります。イキイキとした髪を生み出すために、定期的に頭皮クレンジングで毛穴に詰まった皮脂や汚れを取り除く毛穴ケアも大事です。
髪のうねりの対策は土台から整える
<髪のための土台ケア>
・頭皮マッサージ
髪は濡れていると、乾いているときよりも柔らかいため摩擦に弱く、小さい力で傷んでしまいます。乾いた髪で、さらに髪に余計な負担をかけないようにブラッシングで髪の絡まりをといてから頭皮をマッサージしましょう。爪を立てないように、指の腹を使って頭皮を動かすように下から上に向かってマッサージします。軽い圧迫を感じる程度の強さで、頭皮が少し動くくらいが目安です。ストレスにより噛みしめ癖のある人は側頭部(両耳の上あたり)にコリがある場合がありますので念入りにほぐしましょう。専用ブラシ等でマッサージをする場合も頭部下から頭頂部に向かってブラッシングすることで血流を促せます。
・毛穴ケア
頭皮は髪で覆われているため汗をかきやすく皮脂が溜まり酸化しやすい環境にあります。酸化した皮脂は、毛穴詰まりだけでなくニオイや雑菌の繁殖にも発展し、髪の生まれる頭皮環境の悪化を招きます。シャンプー前にブラッシングで汚れを浮かせ、予洗いでシャワーが頭皮にしっかり届くようにしてから頭皮の状態に合ったシャンプーを選び、毛穴の汚れを落としましょう。洗い方のポイントは、シャンプーを泡立ててから地肌にのせ、指を立てて指の腹でしっかり頭皮を捉え、つまむように動かすと毛穴の汚れが落ちやすくなります。週に1度程度スペシャルケアとして頭皮用クレンジングを使うこともおすすめです。汚れを落としながら潤いを与え毛穴を引き締められるアイテムを選びましょう。
・髪のうねりの対策におすすめのツボ
★百会(ひゃくえ)
百会は、「百(多くの気)」が「会(交わる)」という意味で、万能のツボとされています。血管の機能をコントロールしている自律神経を整え、育毛や発毛に効果があるといわれます。
[ツボの位置]
頭頂部を上から見て、両耳を結ぶ線と鼻から頭頂部にのばした線が交差する部分。
両手を頭の横に持ってきて、両方の中指でツボを押し、他の各4本の指は頭を覆うように添えます。
回数:10~15回程度
※高血圧の人の血圧上昇時や、妊娠中の人は刺激しないようにしましょう。敏感な人は、下痢になる可能性もあります。
★完骨(かんこつ)
完骨のツボは、首から頭の血流をよくする他に、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンの分泌を安定させて、自律神経を整える効果も期待できるといわれています。
[ツボの位置]
耳の後ろにある出っ張った部分から指1本分後ろのくぼんだ部分。
親指の腹で片方の完骨を5秒程度押しゆっくり力を抜きます。
回数:左右各10回程度
指の腹をツボに当て、息を吐きながら押し、力を抜くときに息を吸うように意識するのがポイントです。
ミドルヘアを美しく保つヘアケアのコツ
髪にうねりを感じる場合、髪のバリア機能を担うキューティクルが傷ついている可能性もあります。バスタイムやスタイリングの際、日常的にキューティクルのケアを行うことで扱いやすい髪を目指しましょう。
<キューティクルケア>
・インバスケア
シャンプー前にブラッシングをして毛先の絡まりを取っておくと、シャワーのお湯が頭皮まで届きやすくなります。36~38度のお湯で頭皮と髪がしっかり濡れるまで予洗いを行うことで汚れが落ちやすくなり、シャンプーの泡立ちもよくなるため髪への刺激が緩和されます。シャンプーをしっかり泡立てたあと、指の腹を使って頭皮をもむように丁寧に洗うのがポイント。シャンプー後は洗い残しのないようすすぎをしっかり行いましょう。髪が乾燥しているとうねりがひどくなるため、トリートメントで必要な油分と水分を補給することが大切。髪はダメージを受けるとキューティクルがはがれ、外部からの刺激に弱くなったり髪内部のタンパク質(ケラチン)が流れ出しやすくなったりしてしまいます。ケラチンを補修するもの、キューティクルをコーティングできるものがおすすめです。
・アウトバスケア
濡れた髪は摩擦を与えないよう、タオルでこすらず叩くようにして水分をタオルに移すようにします。髪はすぐに乾かすのが基本ですが、髪が濡れたままブラッシングするとキューティクルが剥がれ落ちやすいので、ある程度乾かしてから行うのがコツ。アルガンオイルなどのヘアオイルや、油分が多めのヘアミルク・ヘアクリームなどで髪内部の水分蒸散を防ぎコーティングすることでうねり、広がりを抑え、まとまりのある髪に整えます。ドライヤーは頭皮や髪の根元に風を当てて内側の髪から乾かします。夜に洗髪して寝る場合は、半乾きのままだと雑菌が繁殖する可能性があるためしっかり乾かしましょう。さらに湿ったままだと寝返りや寝相の問題により髪が折れ曲がったり、擦れてキューティクルがはがれたりという恐れがあるため完全に乾かしておきましょう。ナイトキャップの使用やシルクの枕カバーで寝ている間の髪の摩擦や刺激を予防するということもうねり対策には効果的です。
・スタイリングのコツ
お出かけ前のセットは、スタイリング剤を両手になじませて少し温めた後、頭皮につかないように毛先から順につけていくと髪なじみがよくなります。キューティクルは髪の根元から毛先に向かって、うろこ状に重なっているので、スタイリングの際、ドライヤーはキューティクルのうろこを逆なでしないように上から下へ向かって風を送りながらうねりを整えていきます。冷やすと閉じるキューティクルの性質を利用して、最後に冷風をかけるだけで手触りと髪のツヤがアップします。ヘアアイロンを使うときは、あらかじめ熱をブロックするトリートメント剤を髪につけて保湿しておくとよいでしょう。うねりがひどく、普段のヘアケアだけでは手に負えない場合は、ヘアサロンでプロによるトリミングや施術で髪の健康と美しさを取り戻しましょう。
美しい髪を生むためにカラダの中から整える
髪を健やかに保つための原則は、バランスのよい食事を摂ることです。特に、髪を作る成分であるタンパク質が不足すると髪が弱ったりパサついたりする原因にもなるため、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品、ナッツ類などの食材やビタミン・ミネラルをしっかり摂りましょう。髪のために必要な栄養素で有名なものに『亜鉛』があります。髪の成分でもあるケラチンの合成を助け、髪だけでなく肌や爪等の代謝活動をサポートするミネラルです。亜鉛を多く含む食材としては牡蠣、豚レバー、卵黄等があります。髪の健康を守るビタミンには『ビオチン』があります。ビタミンB群の一種で『ビタミンB7』『ビタミンH』とも呼ばれるビオチンはいろいろな食品に含まれ、腸内細菌によっても合成されるので通常の食生活で欠乏することはあまりありません。しかし偏食や慢性的なアルコール摂取、喫煙、妊娠などにより体内でのビオチンの消費量が増えて髪の栄養までいかない場合は意識的に摂取するとよいでしょう。ビオチンはナッツ類、レバー、肉類、きのこ類、大豆製品、卵等に多く含まれています。必要に応じ栄養の補助としてサプリメントを摂り入れることも大事ですが、過剰摂取とならないように気を付けて取り入れるとよいでしょう。
また、睡眠不足は頭皮の代謝が悪くなり、ハリの低下や毛穴へのダメージを招きます。ストレスにより自律神経が乱れることで血行不良を起こし、頭皮に悪影響を及ぼします。髪の主成分であるタンパク質の合成には成長ホルモンが関わっています。成長ホルモンの分泌は睡眠中に行われるため美しい髪を作るためには、できるだけたくさんの成長ホルモンを分泌させる必要があります。成長ホルモンの分泌は副交感神経の働きによるもので、副交感神経は夜10時~深夜2時の時間帯に最も活発に機能すると言われています。人体は無意識のうちに生活サイクルを記憶します。毎日夜10時~朝6時の睡眠を続けていれば、眠っている間に活動する副交感神経もその習慣を覚えているため、その8時間の間は高い活動効率を発揮します。それに伴って成長ホルモンも充分に分泌できると言えます。逆に睡眠サイクルがバラバラの場合、睡眠時間は充分であっても副交感神経の活動効率が低いため、成長ホルモンの分泌が不安定になります。髪のためには規則正しい睡眠習慣を身につけ睡眠の質を向上させることが大事です。
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健康な髪を維持する元となるカラダのバランスを整えるのに効果的な漢方薬・生薬製剤
漢方では髪のことを「血余(けつよ)」と言います。血(けつ)が余ってできたものが髪であり、血が足りないと髪にまで栄養が届きません。どういうことかというと、血液は栄養や酸素を運ぶ媒体のため、カラダの最も重要な臓器への血液供給が第一優先です。余った血が髪になるため、しっかりと血を余らせて頭皮まで巡らせる力を残さないとイキイキとした髪が作られないのです。髪につやがなくパサついたり加齢でうねりがでたりしている場合、血が不足しているか、血を巡らせる力が足りないと考えられます。また「腎(じん)の華は髪にある」ともいい、生命エネルギーの貯蔵庫である腎(腎臓、泌尿器)の元気度を髪が表すとされ、老化によって腎の働きが悪くなったり、肝の機能が低下して血の量が減ったりすると白髪が増えるとも言われています。健康な髪を維持するためには、適切な栄養を摂取することが大切です。血の不足により生じる症状を改善し、カラダのバランスを整えるのに効果的な漢方薬をご紹介します。
■四物血行散(しもつけっこうさん)
血液の循環を整え、婦人科系諸疾患による不眠、不安感などの神経症状に効果的です。また血行不良と共に水分代謝を整えるため、貧血に伴う倦怠感のある人に向いています。
■六味丸(ろくみがん)
腎陽虚(腎のエネルギー不足)を補う作用が期待されています。体内の水分バランスを整えるように働きかけることで、内側からのカラダの乾燥を緩和すると共に血行を促進し、むくみや排尿困難を改善します。体力がなく疲れやすい方に相性のいい漢方です。
■補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
補中益気湯の「中」は胃腸を指し、「益気」には「気」を増すという意味があります。気の不足を補い、低下した消化機能を改善してカラダの底上げへと導く補気剤です。体力虚弱で、元気がなく、胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすい方の疲労感や食欲不振どの症状改善にも用いられます。
那須久美子
広告会社、大手化粧品会社宣伝部にてCM、雑誌等の広告制作に携わる。
その後フリーランスとしてバレエ講師、ピラティスマスターストレーナー、ヨガセラピスト、介護予防運動指導員として老若男女への伝える仕事に従事。
企業や官公庁での健康アドバイザーや研修講師も務める。
国家資格キャリアコンサルタントとしては企業内障害者ジョブコーチを経て自治体事業の就労支援プログラム講師とカウンセラーを兼任。
現在は就労支援事業の現場統括責任者を務める傍らキャリアコンサルタントのスクールにおいてオウンドメディアの監修も担当。
・ヘルスケアデザイナー
・バレエティーチャー
・ピラティストレーナー、ヨガセラピスト
・アスリートキャリアコーディネーター
・国家資格キャリアコンサルタント
・漢方アドバイザー
・介護予防運動指導員
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