喉の異物感があるのはなぜ?漢方で考える季節の変わり目とストレスの関係

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春は、自然界の「気」が大きく動く時期です。人のカラダも自然の中の一部であるため、その影響を受け体調不良として現れることがあります。季節の変わり目や春に起こりやすい体調不良の中のひとつに、喉の異物感があります。喉に何かが引っかかると感じたり、胸のあたりがすっきりしないと感じたりします。中医学では、この症状を喉だけの問題とは考えず、季節の変わり目や春に乱れやすい気の動きや、肝の働きの乱れと考えます。

春に「喉の異物感」が増えやすい理由

春になると、喉の異物感が増えるのはストレスや環境の変化があげられます。春は自然界のエネルギーである陽気が上がる季節です。その影響を受けて、人のカラダの気も上半身に集まり不調として現れます。 また、春は五臓の「肝」が活発になる時期です。肝は本来、全身の気の流れを整える役割を担っていますが、この働きが乱れると気の巡りが滞りやすくなります。 さらに、寒暖差や生活リズムの変化が続くことで、カラダが緊張しやすくなります。この緊張も気の巡りを悪くします。 このような複数の原因が重なるため、春は喉や胸の詰まりを感じやすくなるのです。

喉の異物感が起こるのはどんなとき?

喉の異物感は、ストレスや気の巡りの乱れ、生活リズムの崩れなどが原因で起こります。特に季節の変わり目は心身が不安定になり、次のような症状が出やすくなります。

1.生活の「リズム」が乱れたとき(物理的要因)春は進学や就職などで、起床・就寝・食事といった生活のリズムが変化しやすい季節です。生活リズムの崩れは自律神経を乱し、体調にも影響を及ぼします。その結果、喉まわりが無意識に緊張しやすくなります。

2.「新しい環境」に気を張っているとき(心理的要因)職場や人間関係が新しくなると、「早く馴染まなければ」という心理的なプレッシャーが続きます。常に緊張のスイッチが入った状態(交感神経が優位な状態)になることで、喉に締め付けられるような違和感を生じることがあります。

3.「呼吸」が浅く、気のバランスが乱れているとき(エネルギーの停滞)忙しい日が続くと、無意識のうちに呼吸が浅くなりがちです。呼吸が浅い状態が続くと、気の巡りが乱れやすくなります。特に春は、気がカラダの上へと向かうため、喉まわりに不快感が集中しやすくなります。

4.「言いたいこと」を我慢しているとき(感情の抑圧)新生活で周囲に気を遣い、本音を飲み込んだり感情を抑えたりしていませんか? 言葉にできなかった思いや感情を抱え込むことで気の巡りが滞り、喉の違和感が生じることがあります。

5.「寒暖差」で心身のバランスが崩れているとき(季節的要因)季節の変わり目は、気温や湿度、昼夜の長さなど、自然界の環境が大きく切り替わる時期です。私たちのカラダも自然の一部であるため、その変化を体調不良として感じやすくなります。

喉の異物感とストレスの深い関係

上記でも紹介した通り、喉の異物感は、生活環境の変化や緊張、感情の抑制など、心身にかかるストレスと深く関係しています。言いたいことを我慢したり、気持ちを抑え込んだりすると、喉がつまった感じがします。またストレスで呼吸が浅くなると、気の巡りも悪くなり、喉に異常がないのに喉が狭くなったように感じる場合もあります。つまり、喉の異物感は、心の負荷を受けているサインなのです。

漢方で考える「梅核気(ばいかくき)」とは?

梅核気は、喉に梅の種が詰まっているような感覚が続く状態のことです。検査をしても明らかな異常が見つからず、喉の異物感やつかえ感が続きます。

漢方では、 ・気の巡りの滞り ・肝の働きの乱れ が重なって起こると考えられています。 特に春は、肝の働きが活発になる季節です。環境の変化やストレスの影響を受けやすく、気の巡りが乱れやすいため、梅核気の症状が現れやすくなります。 漢方では、人のカラダは自然界の動きとつながっていると考えます。春は草木がのびのびと成長し、エネルギーが上へと上がる季節です。この上昇する気に人のカラダも連動するため、気が上半身へと向かいやすくなります。さらに春は「肝」がもっとも活発になる時期で、環境の変化やストレスの影響を受けると、気の巡りが乱れやすくなります。その結果、胸から喉にかけて気がうまく流れず、何かがつかえているような症状として現れます。

病気との違いをどう見分ける?

喉の異物感があると、「何か病気ではないか」と不安になる人も少なくありません。 痛みが強い場合や、食事がとれない状態が続く場合は、医療機関での検査が必要です。
  • 食事や水分はとれる
  • 日によって症状の強さが変わる
  • 忙しいときや緊張したときに強く感じる
といった場合は、ストレスや気の巡りの乱れが関係している可能性があります。

喉の異物感が生じたときの養生

喉の異物感が気になるときは、ココロとカラダを休めましょう。日々の生活の中で、まずは次のようなことから取り入れてみましょう。
  • ・深く息を吐く時間を意識的につくる息を意識的に吐くことは、気の巡りを整えるためにとても重要です。ゆっくりと長く吐くことで、胸まわりがゆるみ、自律神経も整いやすくなります。
  • ・食事や休憩のリズムを整える生活のリズムを整えることは、気の巡りを安定させるために必要です。不規則な生活が続くと胃腸(脾)の働きが乱れ、気の停滞を招きやすくなります。
  • ・気持ちを言葉にして外に出す気の巡りを整えるための大切な養生のひとつです。誰かに話したり、短いメモに今の気持ちを書いたりするだけで、ココロの中の感情が整理されます。
  • ・温かい飲み物でカラダを温める白湯や温かいお茶は気の巡りを助け、喉まわりのこわばりをゆるめます。冷えは気の停滞を招きやすく、喉のつかえ感を強めることがあります。
春は気持ちが前へ向きやすい季節ですが、実はゆるめることも欠かせない時期です。

喉の異物感がある人におすすめの漢方薬

季節の変化やストレスで気の巡りが乱れると、喉に異常がなくても違和感が出ることがあります。このような喉の異物感には、気の巡りを良くする漢方薬が役立ちます。

■半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

体力が中程度で、気分が落ち込む、喉に違和感があるなど、仕事や生活などで不安がある方に用いられることがあります。不安神経症・神経性胃炎にも効果が期待される漢方薬です。 ※自己判断での長期連用は避け、医師・薬剤師へ相談してください。

よくある質問(FAQ):梅核気編

春は喉の異物感について悩む人が多くなります。よくいただく質問についてまとめてみました。

Q1. 喉の異物感は何日くらい続く?
A1. 数日で軽くなる人もいれば、数週間続く場合もあります。これは、ストレスや季節の変化などの影響をどれくらい受けているかによって異なります。特に春はストレスの影響を受けやすく、増える傾向があると感じる方もいます。
Q2. 春以外でも起こる?
A2. 梅核気は春以外でも起こります。梅核気が起こる理由は、ストレスによる気の滞りがあるからです。例えば、梅雨は湿気でカラダが重くなり、気の巡りが悪くなります。春とは違った理由で喉のつかえを感じやすくなります。
Q3. 病院と漢方はどちらに行くべき?
A3. 心配な症状があるときは、まず病院で確認することが大切です。喉の異物感は、他の病気が隠れている場合があります。検査で異常がなければ、梅核気によるものと考えられます。西洋医学と漢方を上手に使い分けることが大切です。

こんな人は参考にしてほしい

◯ 新生活で疲れやすい人 ・引っ越し、職場や人間関係の変化がある ・新年度のプレッシャーを感じている ・緊張しやすい性格

◯ 我慢しがちな人 ・言いたいことを飲み込む ・ストレスをため込みやすい ・ものごとを考えすぎる

◯ 春になると喉や胸が詰まる人 ・季節の変化に敏感 ・喉の違和感が出る ・なんとなく息苦しい

多田有紀 兵庫県在住。医療機関、薬局、IT企業での勤務経験を経て、2015年にライターとして独立。体の不調を感じたことをきっかけに、漢方・薬膳に興味を持つ。現在は、ライターとして活動をしながら、漢方薬膳の知識を活かしたコンサルタント業務や、ワークショップ・初心者向け講座などを実施。特に女性の体に関する悩みに寄り添った活動を行っている。

実績:クラシエ薬品株式会社主催「KAMPO OF THE YEAR 2024」にゲストとしてトークショーに登壇 執筆書籍:「カラダのために知っておきたい漢方と薬膳の基礎知識」(淡交社)

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