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忙しい毎日の中で後回しになりがちな心と身体のケアは、美味しく豊かな食事から。元気が出ない、なんとなく不調という方は食事から見直してみてはいかがでしょうか。
特別の技術や材料がなくても健やかな身体は作れます。
今回のコラムでは出来たてのお菓子を届けるPOPOE the bake shop 店主が食事でできるセルフケアの新習慣やこの時期におすすめのレシピをご紹介します。
ニュートリションレシピとは
ニュートリション(nutrition)とは、「栄養物の摂取」「栄養作用」「栄養学」を意味する英単語です。そして、「ニュートリションレシピ」とは、健康的な栄養バランスを考慮した食事のレシピのこと。単に美味しいだけではなく、体に必要な栄養素をしっかり摂取できるよう工夫されたレシピを指します。
栄養バランスの良い食事は、健やかな心と体の基盤を築きます。この基盤があればこそ、充実した日々を送り、必要な時に最大限の力を発揮することができます。
仕事や学業、家事などで忙しい現代の私たちは、日々の食事で自分自身を労り、すり減ったものを補うことが大切になってきているように感じます。心身に効果を与える食材や料理例を意識することで「美味しいと思ったら、それが健康的だった」そんな食生活をおくれたら理想的ですね。
ちゃんとした食事ってなんだろう
食べ物に関わる仕事をしていると、お客様から料理に関するお悩みの相談をいただくことがよくあります。料理が苦手で、身体にいいものを食べないといけないのは分かっているのだけど何から始めて良いのか分からないという方が非常に多いように感じます。
苦手な方からすると「キッチンに毎日立ち、献立を考え、限られた時間の中で調理する」ということはとてもハードルの高いことのようです。
そして皆さん「ちゃんと作らないといけない」「ちゃんとできていない」と、「ちゃんと」という呪文に縛られていますが、この「ちゃんと」の正体は?
SNSで知らない人の豪華な食卓を見て、自分は出来ていないと落ち込んでしまうなんていう方もいらっしゃいますが、ライフスタイルは人それぞれであり、必要な栄養も人によって異なります。自分の健康は自分のものですからあまり難しく考えずに、歯磨きやお風呂と同じように気楽にはじめてみませんか。
かんたん!秋の心と体に効く癒やしのニュートリションレシピ
秋は季節の変わり目、心身に様々な不調が表れやすい時期です。日照時間の減少により、セロトニンの分泌が減少しやすく、気分が沈んだり、「肺」や「大腸」が弱りやすくなったりする季節とされています。そして夏は汗をかくので水分を多く摂っていたのに涼しくなる秋にはその量が減り、乾燥により腸の動きが鈍ることも。そんな季節の心と身体に効く癒やしのニュートリションレシピを2つご紹介します。
「なんとなく不調」の予防にお料理を始めましょう。
① 「おやつはやめなくても大丈夫」
食べると幸せな気分になるおやつ。美容や健康の“敵”というイメージから、好きなのに罪悪感を抱いてしまう方も少なくありません。ですが、食事で基本的な栄養をしっかり摂っていればおやつに甘いものを適量いただくことは問題がないと思います。
もちろん食事の代わりに菓子パンやお菓子を毎日の習慣とするのはおすすめできません。あくまでおやつは“楽しいおまけ”です。
さて、ではおやつに何を食べたらよいでしょう。
せっかくですから、栄養のあるものはいかがでしょうか。スナック菓子やファストフードなど、カロリーはあるものの含まれる栄養素が極端に低いエンプティーカロリーフードを避けて、ナッツや果物、乳製品など食事の補助になるものが理想です。迷ったら「これは自分の身体の一部になるかな?」と考えてみると、選びやすくなるかもしれません。
★おすすめニュートリションレシピ
「くるみきな粉」
くるみはオメガ3脂肪酸が豊富、また油分があるので便秘の予防にも。
材料(作りやすい分量)
・くるみ(生)150g
・甜菜糖 80g
・きな粉 大さじ3
作り方
- 1. くるみは150℃に予熱したオーブンで10分焼く。またはフライパンで焦がさないように乾煎りしておく。
- 2. 鍋に甜菜糖を入れ弱火にかけ、ゆっくりと溶かしていく。全体が溶けたら火からおろし、1のくるみを加え全体に甜菜糖が絡まるよう木べらで手早く混ぜ合わせる。
- 3. 2のくるみをきな粉を敷いたバットに移し手で触れる温度になったら一粒ずつきな粉をまぶしながら食べやすい大きさにばらす。(火傷に注意する)
② 「オイルで作る健やかな肌と髪」
私はお菓子を作る仕事をしていますが、お料理も大好きです。朝ごはんには少し手をかけること、夜はカロリーを抑えてなるべく早めの時間にいただくことを心がけていますが、日中はゆっくり座ってバランスの取れた食事をいただくことが難しかったりするのが現状です。そんな私の毎日の食事の支度に重宝しているのがオイルです。オリーブオイルやごま油、くるみのオイルなど数種類を常備して気分に合わせて使い分けます。香りや風味が異なるのでお料理のアクセントにもなりますし、食べた時の満足感が増します。
私自身はもともと濃い味付けが好きでしたが、オイルをよく使うようになってからは他の調味料の出番が減りました。気になっていた肌の乾燥や髪のパサつきも抑えられているようです。
★おすすめニュートリションレシピ
「ベジタブルドレッシング」
野菜を食べるドレッシング。サラダ以外にも納豆や焼き魚、お鍋のたれにも使える万能ドレッシングです。
材料(作りやすい分量)
・人参100g
・玉ねぎ120g
・ニンニク5g
・りんご酢 75㏄
・醤油 75㏄
・本みりん 75㏄
・お好みのオイル 180㏄
作り方
- 1. 人参は皮のついたまま、玉ねぎは皮を剥きざく切りにする。
- 2. すべての材料をミキサーに入れ滑らかになるまで撹拌する。
清潔な保存容器に入れて冷蔵庫で保存すれば、1週間ほど日持ちします。
まとめ
心地よい食習慣を続けるためのマインドセット
私が子供時代を過ごした40年前、世の中は今ほど慌ただしくなく、専業主婦だった母が手間をかけて作る食事を、家族が揃って楽しむのが日常でした。当時はSNSもなく、食べ物に関する知識はすべて食卓を通じて学ぶものでした。母の手伝いをしながら、子ども心に野菜や果物から季節の移ろいを感じたり、食事の準備手順を見て学んだり、そんな贅沢な時間が広がっていました。
しかし、現代は40年前とは比べ物にならないほど忙しくなりました。健康ブームや『タイパ(タイムパフォーマンス)』『コスパ(コストパフォーマンス)』といった概念が重視されるようになり、食事の時間に込められた温かさが軽視されがちです。計算された栄養バランスフードを手軽に取り入れるのは便利で有効ですが、一方でキッチンに漂う香りや、鍋から立ちのぼる湯気、テーブルでの楽しい会話といった数値化できない“心の栄養”も大切です。
日々の食卓で、このような心の豊かさを忘れずに取り入れながら、無理のない工夫と意識で、心と体に必要な栄養をバランスよく摂れるよう心がけたいですね。
食事は活力の源であり、車に例えるなら燃料のようなもの。走った分だけ燃料を補給し、調子が悪いときは整備をするように休んで整えることが大切です。そんな日々の食事に、ニュートリションレシピを取り入れることで、体に必要な栄養素をしっかり補給しながら、心身のバランスも整えることができます。こうした小さな積み重ねが、快適に走り続けるコツではないかと思います。
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POPOE the bake shop 店主
パティスリー勤務を経て2024年POPOE the bake shopをオープン。
季節の素材を使った食の提案や、プラントベースのお菓子のレシピ開発などを行う。