【漢方で対処】「不安感」が強いあなたの解消法 -不安症の原因と体への影響、不安症のメカニズム

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【漢方で対処】「不安感」が強いあなたの解消法 -不安症の原因と体への影響、不安症のメカニズム

目次

ストレスが多いといわれる現代の社会ですが、以前のコロナ禍では思うように行動ができず、働き方自体も変化し、さらにストレスを感じていらっしゃる方も多いと思います。そんなストレスの多さからココロに不調を感じる方が増えているといわれています。今回はココロの不調の中でも「不安感」に焦点を当て、不安感との付き合い方やおすすめの漢方薬などをご紹介します。

不安とは一体どんなもの?

不安は誰もが必ず感じるものです。心理学では何らかの危険が迫っている状況に警戒心を抱くときに生じるものを「不安」ととらえています。不安とは生きていくために必要なもの、危険を知らせてくれる大切なものといえるかもしれません。不安は人間に備わっている自然なココロの状態の一つなのですね。
ですが現代のようにストレスが多くさまざまな情報が飛び交う社会では、ココロを揺り動かすものが多いため不安を感じやすくなっています。

不安感との付き合い方は、不安を感じている自分に気づくこと

不安に感じる危険の正体が一体何なのか、どう対処したらいいのか。それらが分かっている場合や分からない場合にも不安に感じる強さや大きさが異なってきますが、どのようなものでも不安を感じている状態はつらいものです。それではその不安感と上手に付き合っていくには、どうしたらいいのでしょうか。

どのような不安でも不安を感じたらまず一呼吸おきましょう。そうして「今自分は不安を感じている」ということにはっきりと気がつきます。不安だ不安だと「不安の中にいる」のと、そこから一歩ひいて「不安を感じている自分に気づく」ことは、似ているようで大きく違うものです。

不安を感じている自分に気づき「不安を感じているのだな」と優しく受け入れることで、次第にココロが落ち着いてきます。落ち着いたココロの時間が増えてくると、気持ちの整理がついたり不安の原因が見えてきたりします。

このように自分の状態への気づきを続けていくことが、昨今企業のメンタルヘルスなどにも取り入れられているマインドフルネス瞑想です。興味のある方は、マインドフルネス瞑想を日常生活に取り入れてみるのもいいかもしれません。
※マインドフルネス瞑想…東洋の仏教瞑想と西洋の心理学を統合し開発された「マインドフルネス」の実践手法。

不安感が強いときに考えられる原因とは?

不安感は、人間が生きていく上で必要な感情の一つです。危険や困難な状況に対して警戒したり、準備したりするために役立ちます。しかし、不安感が過剰になって、日常生活に支障をきたすような場合は、別の原因の可能性もあります。

日常生活に影響が出るほど不安感が強いときの一つの原因として、「不安症」と呼ばれるものがあります。不安症では、精神的な不安から、心や体に様々な不快な症状が起こることが多いです。

不安症には、以下のような種類があります。

パニック症:突然、強い恐怖や動悸・めまい・発汗などの身体症状が起こるものです。パニック発作と呼ばれるこの状態は数分から数十分で収まります。パニック発作になったときの苦しさや状況の恐怖から、再発することを恐れて避けるようになることもあります。

社交不安症:人前で話すことや注目されることなどに対して過度な不安や恐怖を感じるものです。心臓がドキドキしたり、汗をかいたりして、パニック発作を起こすこともあります。他人からどう思われているかについて過剰に気にしたり、自分の行動や言動に対して強い緊張を感じることで、人と接する場面を避けるようになることもあります。

強迫症:不安で同じことを何度も繰り返したり、考えたりしてしまうことに苦しむものです。例えば、繰り返し手を洗ったり、何度も物を整理し直したりすることです。自分の思考や行動に対して完全さや正しさを求めすぎてしまい、日常生活に影響が出てくることもあります。

全般性不安症:特定の原因がなくても日常のいろいろなことに不安や心配を感じるものです。将来のことや日常生活の些細なことまで気になってしまい、極度に不安や心配になる状態が続くことがあります。

不安症は、ストレスや性格、自律神経の乱れなどが影響して起こると考えられています。治療法としては、薬物療法や心理療法が中心となります。薬物療法では、抗うつ薬や抗不安薬などを用いて不安感や身体症状を和らげます。心理療法では、カウンセリングやリラクゼーション法などを用いて苦手なことや場所に少しずつ慣れさせていきます。

極度に緊張しすぎると体にどんな影響がある?

極度の緊張や不安感は、ココロとカラダに深刻な影響を及ぼすことがあります。心配事やストレスを受けた状況が長期間続くと、ココロの健康に悪影響を及ぼす可能性があります。家事や仕事のパフォーマンスに影響を及ぼすこともあります。

緊張や不安感は、カラダにも直接的な影響を及ぼします。例えば、ココロが過度に緊張することでカラダの筋肉も緊張して痛みやこりが生じたり、睡眠不足から免疫機能が低下したりすることがあります。また、心臓の鼓動が速まり、血圧が上昇することもあります。

緊張や不安感に対処するためには、ストレスの原因を明確にし、適切な方法で対処することが大切です。ココロの健康を守り、カラダに悪影響を及ぼさないようにするために、専門家のアドバイスを受けることも重要です。薬物療法には漢方薬などの選択肢もあります。自分に対して厳しくなりすぎないようにしましょう。

不安症の原因は?

不安症の原因は、人によって異なりますが、一般的には以下のような要因が関連していると考えられています。

心理的な要因:仕事や家庭、人間関係などでストレスを感じたり、トラウマや失恋などで心に傷を負ったりすると、不安感が強まることがあります。ネガティブな考え方や完璧主義に偏ることや自己評価が低いことも、不安感を増幅させることがあります。

身体的な要因:甲状腺機能亢進症や低血糖症などの身体的な病気や、動悸やめまいなどの身体的な症状が不安感を引き起こすことがあります。また、睡眠不足や栄養バランスの乱れ、アルコールやカフェインの摂り過ぎなども、不安感に影響を与えることがあります。

環境的な要因:暗い場所や閉鎖的な空間、騒音や人混みなどの刺激的な環境にいると、不安感が高まることがあります。

不安症には、薬物療法や心理療法などの対処法があります。自分の不安感の原因や程度に合わせて、適切な治療法を選ぶことが大切です。また、リラックスできる趣味や運動、呼吸法や瞑想法なども有効です。不安症に悩んでいる人は、医師やカウンセラーなどの専門家に相談することもおすすめです。

自律神経が乱れているサインを見逃さないためには?

自律神経は、心臓や血管、内臓などの全身の機能を調節する神経です。自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスで構成されていますが、ストレスや緊張などの影響でこのバランスが乱れてしまいます。

自律神経が乱れると、さまざまな症状が現れます。例えば、不眠や頭痛、肩こり、めまい、動悸、吐き気、手足の冷えや汗、脈の乱れなどです。これらの症状は、自律神経失調症と呼ばれる病気の兆候かもしれません。自律神経失調症は、放置すると重篤な病につながる可能性があります。自律神経が乱れているサインを見逃さないためには、まずは自分のココロやカラダの状態に注意を向けることが大切です。

自分のココロやカラダの状態に注意を向けることで、自分の人間関係や仕事などにおける緊張や不安感の原因を見つけることができます。自分のココロやカラダの状態を客観的に把握するのが難しいときは、医師や専門家に相談しましょう。また、自律神経のバランスを整えるためには、生活習慣の改善やリラックス法、漢方薬などの方法があります。自分に合った方法を見つけて、自律神経の乱れを改善しましょう 。

自律神経の乱れを改善する方法

緊張や不安感が続くと、気分の落ち込みやイライラ、不眠、食欲不振などの症状が現れます。これらの症状は、自律神経のバランスが乱れることで引き起こされます。自律神経の乱れを改善する方法は、以下のようなものがあります。

緊張や不安感の要因を特定する
緊張や不安感は、仕事や人間関係、健康などさまざまな要因によって引き起こされます。自分が何にストレスを感じているかを明確にすることで、対処法を考えやすくなります。

相談する
緊張や不安感に悩んでいるときは、一人で抱え込まずに誰かに相談しましょう。家族や友人、職場の同僚など信頼できる人に話すことで、気分が楽になったり、解決策が見つかったりすることがあります。また、専門家に相談することも有効です。心療内科や精神科などの病院では、カウンセリングや薬物療法などの治療を受けることができます。

リラックスする
ストレスによって緊張した精神をリラックスさせることも大切です。好きな音楽を聴いたり、読書や映画鑑賞などの趣味を楽しんだり、マッサージやアロマテラピーなどのリラクゼーション法を試したりしましょう。その他にも深呼吸や瞑想などの呼吸法も効果的です。

生活習慣を改善する
緊張や不安感は、生活習慣からも影響を受けます。睡眠不足や食事の乱れ、運動不足などは、自律神経のバランスを悪化させます。逆に、規則正しい睡眠やバランスの良い食事、適度な運動などは、自律神経のバランスを改善します。生活習慣を見直してみましょう。

漢方薬を利用する
自律神経のバランスを整えたり、気の流れを良くしたりする効果のある漢方薬があります。体質や症状に合わせていろいろな種類がありますので、医師や薬剤師などの専門家に相談することもおすすめです。

ストレスや不安感に悩んでいる人は多くいます。自分に対して厳しくなりすぎずに対処していきましょう。

不安感は漢方薬で対処

上手に不安感とつき合おうと思っても、なかなか最初はうまくできないかもしれません。そんなときは漢方薬の力をかりてみませんか?漢方薬ってココロの不調、不安感にも効果的なの?と思われるかもしれませんが、実は漢方薬はカラダの不調だけではなくココロの不調にも用いられます。どんな漢方薬がよいか分からない場合は、漢方を処方してくれる病院に相談してみるとよいでしょう。

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漢方では「心身一如」という言葉があるようにココロとカラダを一体のもの、切り離せないものと考えています。ココロに不調が出ていてもカラダに不調が出ていても、全体を見て大もとになる原因を考え、その原因にアプローチします。結果ココロとカラダのどちらにも自然と作用し、たとえ不安感などココロの不調であっても、和らげるための力となってくれるのです。

「不安感」や「ストレスからくる不眠」におすすめの漢方薬をご紹介

ここでは「不安感」だけでなく、「ストレスから起きてしまう不眠」にも効果的な漢方薬を4種類ご紹介します。
漢方では生命活動の源となる大切なものを「気・血・水」という3つの働きに分けて考えます。それぞれ「気(き)」は生命エネルギー、「血(けつ)」はカラダを巡り栄養するもの、「水(すい)」は潤し冷やすものという働きを持っています。それらがバランスを保ちながらカラダを巡っているのが健康な状態です。

ストレスや生活習慣、寒さ暑さなど何かをきっかけにしてそのバランスが崩れてしまうと、次第にココロやカラダに不調があらわれてきます。漢方薬はその崩れたバランスを整え、健康な状態を取り戻すための助けになってくれます。

加味帰脾湯(かみきひとう)

体力中等度以下で、心身が疲れ、ストレスや不安を感じている方、不眠でお悩みの方に。
その他の症状として、顔色が悪く貧血気味で、熱感を伴うこともあります。

「気」や「血」がしっかりカラダを巡っていると、カラダだけでなくココロも安定します。その「気」「血」をつくる胃腸の力が弱っていると、十分な量をつくることができません。加味帰脾湯は弱った胃腸の力を高めることで不足している「気」「血」を増やしてくれます。さらに巡りもよくすることで、ココロを落ち着かせカラダを整えてくれます。

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

体力中程度をめやすとしてやや消化器が弱く、神経が高ぶり怒りっぽくイライラしやすい方で、不眠にお悩みの方に。
その他の症状として、歯ぎしりをともなうこともあります。月経や更年期などホルモンの変動による不安や不眠にも。

「血」が足りないとストレスに対する耐性が低くなり、ちょっとしたストレスでも「気」の巡りが悪くなって、神経が高ぶってイライラします。抑肝散加陳皮半夏は「血」を補いながら、「気」「血」の巡りをよくすることで、高ぶった気持ちをしずめ精神を安定させてくれます。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

体力中程度をめやすとして、気分がふさいでいる方、のどのつかえ感・異物感を感じてお悩みの方に。

カラダを巡っている「気」がストレスなどで滞ってしまうと、気分がふさいでしまいます。また、のどの部分の「気」の巡りが滞ると、のどのつかえ感・異物感などとして感じることもあります。半夏厚朴湯は「気」の巡りをよくすることで、ふさいだ気分やのどのつかえ感・異物感を和らげてくれます。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

体力中等度以上で、精神的な不安がある、考え事で眠れない、イライラしやすいなどお悩みの方に。
その他の症状として、動悸がしたり血圧が高いこともあります。

カラダやココロは、「気」がしっかり巡ることで健やかさを保っています。ストレスはその大事な「気」の巡りを阻害してしまいます。また「気」が滞ることで熱が発生し、その熱がカラダとココロにいろいろと悪さをします。柴胡加竜骨牡蛎湯は「気」を巡らせ、カラダにこもった熱を冷ますとともに、ココロを落ち着かせてくれます。脳の興奮をしずめ、不眠やカラダの不調を改善に導きます。

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長く続く不安感、強い不安感には気をつけよう

自分で何とかしたい不安感ですが、もしその不安感がずっと続いたりだんだん強くなってきたら医療機関を受診することも考えましょう。特に以下のような症状が2週間以上続き日常生活に支障が出ている場合は、辛い状態を一人で我慢せず、すみやかに専門医の診察を受けましょう
☑ 必要以上に不安を感じる
☑ はっきりしない不安が続く
☑ 不安と緊張の連続で余裕がない
☑ 人前で異常に緊張する
☑ 人混みなどに恐怖を感じる

元気に毎日を過ごすためにできること

不安感だけでなくココロの不調を上手に乗り切るには、規則正しい生活を送ることがとても大切です。ココロの不調があるとなかなか眠れなかったり朝起きられなかったり、食事の時間も不規則になったりして体内時計のリズムが大きく乱れがちです。

「〇時に起きて△時に寝る」「□時に食事をとる」など生活リズムを整えることで、体内のリズムも整い次第に気分は安定していきます。規則正しい生活を送りながら周りの人や漢方薬の力をかりて、明るい毎日を過ごしましょう。

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