酒さ、赤ら顔。漢方で、夏の肌トラブルやほてり・炎症に働きかける

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酒さ、赤ら顔。漢方で、夏の肌トラブルやほてり・炎症に働きかける

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強烈な日差しに照りつけられてエネルギーを消費し、暑くて汗をかいてノドがカラカラに乾き、室内に入れば冷たいエアコンの風にさらされて冷えが気になる夏。水分補給には、冷たい飲み物が多いのではないでしょうか。心と体に影響する暑さを和らげるのは大切なことですが、夏はさまざまな「冷え」との戦いでもあります。
「暑い」と「涼しい」を繰り返して体温調節がうまくいかなくなると、血流が滞ったり、心と関係の深い自律神経を乱したりすることも。不眠や疲れを感じるときもあるでしょう。

そして私たちは今、当たり前の日常を暮らしているだけで、たくさんのストレスにさらされています。ストレスは、カラダ本来の機能を邪魔してしまう刺激の一種。ストレスが溜まると気のめぐりが滞り、カラダの熱をうまく外に発散しづらくなります。

もし、カーッと顔にほてりを感じたり、肌にプツプツと赤みが出たりしたときは、夏のさまざまな影響による「酒さ(しゅさ)」の可能性があります。

酒さとは、主として中高年の顔面に生じる原因不明の慢性炎症性疾患と定義されています。酒さでは刺激に過敏に反応したり、鼻や頬など顔が赤くなったりするため、“赤ら顔”と呼ばれることがあります。

酒さや赤ら顔が起きる原因は「血管」と「自律神経」!?

肌が赤くなる理由のひとつに紫外線や気温の急激な変化、刺激のある食べ物やアルコールによる「血管の拡張」が考えられます。本来は、カラダに備わっている自律神経が、外の環境に合わせて血管を拡張したり収縮したりして、健康のバランスをとっているのです。しかし、何らかの理由によって血管が拡張したまま戻らなくなった場合、肌に赤みが発生します。漢方では、酒さや赤ら顔を主に4つの原因から探ります。

原因1.血管の拡張の問題による血流の滞り

漢方では血のめぐりが滞ることを瘀血(おけつ)と言います。東洋医学では、瘀血や余分な熱がこもることによって酒さの症状が起きると考えます。

原因2.ストレスやイライラで乱れた自律神経

メンタルの不調はカラダを緊張させ、自律神経のバランスを乱します。また、肌が刺激に敏感になり、赤みが出やすくなる「デリケート肌」に傾きやすいです。

原因3.冷えで崩れた自律神経

冷えはカラダを緊張させ、自律神経のバランスが崩れて血管の流れを乱します。ちなみに、ストレスもカラダを冷やす原因のひとつです。

原因4.うるおい不足

余分な熱を発散できず、カラダに溜め込むことで炎症を引き起こし、体内のうるおいが足りなくなって口の中やノドの乾きを感じます。

汗をかいて水分不足になったり、エアコンの効いた場所で冷えたり、蒸し暑さでストレスを感じたりと、夏は酒さや赤ら顔が起きやすい条件が揃っている季節。
また、肌の炎症だけでなく、かゆみや不眠、胃腸の不調、イライラ、めまいといった、他の症状もあわせて起きる方もいらっしゃるかもしれません。不調が重なる前に、次でご紹介する体質に合った漢方薬や生活習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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酒さや肌の赤みに効果が期待できる漢方薬

漢方薬の中にも、酒さや赤ら顔、炎症などの肌トラブルに対応できる種類があります。今回は3種類の漢方薬をご紹介します。

肌やノドの乾燥を潤し、熱を冷ます

■白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)

肌やノド、口の乾燥を潤し、カラダにこもった熱を冷ます働きを持つのが白虎加人参湯です。体の灼熱感やほてり感、発赤、異常な口の乾きや多尿、よく水を飲むといった方に使われます。
ハナスゲの根茎である知母(ちも)、石膏(せっこう)、粳米(こうべい)、甘草(かんぞう)からなる白虎湯(びゃっことう)に、人参(にんじん)を加えた処方で、暑気あたりや熱中症による症状にも効果が期待できます。
この漢方薬の名前にある「白虎」とは、四神の一つで西方を守る神のことです。石膏の色が白いことから名付けられたと言われています。

肌の炎症や赤み、かゆみを抑える

■黄連解毒湯(おうれんげとくとう)

漢方では、肌に炎症ができるのは、カラダの上部に熱がこもっているからだと考えます。余分な熱は、赤みの伴う肌トラブル、口内炎、鼻血などの原因に。そこでよく使われるのが黄連解毒湯です。この漢方薬は、漢方の古典といわれる中国の医書『肘後方(ちゅうごほう)』に初めて収載された充血、炎症、興奮を伴った症状に対する働きが期待できる清熱剤(せいねつざい)です。胃炎などの炎症や動悸、肌のかゆみなどを鎮めるほか、カラダを冷やして熱をとり、炎症を鎮める作用で肌トラブルを緩和します。
シソ科の植物の一種でもある黄芩(おうごん)、黄連(おうれん)、山梔子(さんしし)、黄柏(おうばく)といった生薬を配合し、更年期障害や血の道症といった女性ならではの不調にも働きかける方剤です。比較的体力があり、のぼせを感じたり、イライラしたりする人に向いています。

たまった水や熱を発散して肌をととのえる

■十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)

患部の皮膚がジュクジュクと化膿しているときに使われる処方。溜まっている水(すい)や熱を発散させ、肌を正常にととのえていきます。一般的に膿が出るような肌トラブルを改善するため、湿疹やじんましん、ニキビ、水虫などにも使われることが多いです。
バラ科のヤマザクラ又はカスミザクラの皮である桜皮(おうひ)や桔梗、柴胡など11種類の生薬から構成された十味敗毒湯は、日本で最初に麻酔手術を行った江戸時代の外科医、華岡青洲(はなおかせいしゅう)が、中国の処方をもとに日本人向けに創った漢方薬としても知られています。

あなたの食生活、カラダに余分な熱を生み出していませんか?

肌に炎症が起きているときは、胃腸が弱っている可能性があります。そんなタイミングで、消化に時間がかかる食べ物でお腹を満たすと、胃腸にさらなる負担をかけてしまう可能性が。とくに脂っこい揚げ物や甘いスイーツ、かき氷などの冷たい食べ物はおいしいけれど、ほどほどに。
選ぶなら、胃腸の働きを助ける大根やキャベツ、白菜、旬の野菜を取り入れた食事がおすすめです。献立を考えるなら「冷やし●●」ではなく、内臓の働きを助ける温かいメニューを。食べる量は、胃腸にやさしい「腹八分目」にとどめておきましょう。

また、ぐっすりと眠ることは心とカラダを癒やします。夜遅くまで起きていると、体力や不調の回復が遅れるので早寝が肝心。胃腸への負担を和らげ、適度に休む習慣を続けることで、蒸し暑さやストレスに負けない、強い肌をつくることができるでしょう。

監修
ほう皮フ科クリニック
許郁江 先生

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