口の中の苦味が気になるときの対策は?原因と受診する診療科、漢方薬も解説

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ふとした瞬間に口の中に苦味を感じ、それがなかなか消えずに気になっているという方はいませんか。はっきりした原因が思い当たらないまま違和感が残り、不安に感じている人もいるでしょう。

口の中の苦味には、ストレスや自律神経の乱れ、薬の副作用など、さまざまな原因があります。

本記事では、口の中に苦味を感じる7つの原因と、その苦味が気になるときの対策について詳しく解説します。口の中の苦味に対する漢方の考え方も紹介しているので、参考にしてみてください。

口の中が苦くなるのは「味覚障害」の一種

口の中に苦味を感じる症状は、味覚障害のひとつに含まれます。

味覚障害とは、食べ物の味がわかりにくくなったり、本来の味とは違う味に感じたりする状態です。たとえば、甘いものや酸っぱいものを食べても苦味を強く感じる、といった症状がみられます。

そもそも、私たちは舌の表面にある「味蕾(みらい)」という器官で、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味の5つの味を感じ取っています。

味を正しく認識するには、唾液の分泌や噛む力、嗅覚の働きが必要です。しかし、これらのどこかに変化が生じると、味の感じ方に違和感を覚えることがあります。

味覚障害は食事が楽しくなくなるだけでなく、食品の傷みや変質に気づきにくくなるおそれもあるため、違和感を見過ごさないようにしましょう。

口の中に苦味を感じる7つの原因

口の中に苦味を感じる原因は、主に以下の7つです。

  • 1. 口内環境の乱れ
  • 2. ストレスによる自律神経の乱れ
  • 3. 偏った食生活による亜鉛不足
  • 4. 薬の副作用
  • 5. 風邪や新型コロナウイルスなどの感染症
  • 6. 女性ホルモンの変化
  • 7. 糖尿病や逆流性食道炎などの疾患

あてはまる原因がないか、ご自身の状態と照らし合わせてみましょう。

1.口内環境の乱れ

口の中の苦味は、唾液の減少や舌苔(ぜったい)の蓄積など、口内環境の乱れによって生じることがあります。

唾液には、口の中を洗い流し細菌の増殖を抑える働きがあります。しかし、加齢やストレス、口呼吸によって唾液の量が減ると、口が乾燥して話しにくくなったり、苦味やネバつきを感じたりする場合があるのです。

また、舌の表面に白い汚れである「舌苔」が厚くなるのも、原因のひとつです。本来、味は唾液に溶けた成分が味蕾に触れて感じられますが、舌苔がこの働きを妨げるため、味がぼやけたり苦味として感じたりする場合があります。

2.ストレスによる自律神経の乱れ

ストレスや強い緊張が続くと、自律神経のバランスが乱れ、唾液の分泌にも影響を与えることがあります。交感神経が優位な状態が続くと口の中が乾きやすくなり、苦味を感じやすくなるのです。

仕事や育児で忙しい時期や、睡眠不足が続くときに苦味が強まる場合は、自律神経の乱れが関係している場合もあります。

漢方におけるストレスの考え方について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

3.偏った食生活による亜鉛不足

亜鉛は、味を感じる細胞である「味蕾」の代謝に関わる栄養素です。亜鉛が不足すると味蕾の働きが低下し、本来の味を感じにくくなったり、苦味を感じやすくなったりすることがあります。

インスタント食品や加工食品中心の食生活が続くと、亜鉛が不足しやすくなります。また、過度な減量や偏食も亜鉛不足につながる原因です。

成人の1日あたりの亜鉛推奨量は、男性でおよそ10mg、女性で8mg程度です。亜鉛は体内に多く蓄えられないため、日々の食事から継続的に摂取する必要があります。

4.薬の副作用

服用している薬の影響で、口の中に苦味を感じるケースもあります。

一部の抗うつ薬や降圧薬、睡眠薬などでは、口の乾燥や味覚の変化がみられる場合があります。また、薬の成分が唾液中に分泌されることで、直接苦味を感じる場合もあるでしょう。

自己判断で薬の服用を中止することは危険なため、気になる症状がある場合は、処方医や薬剤師に相談してみてください。

5.風邪や新型コロナウイルスなどの感染症

風邪や新型コロナウイルスなどの感染症も、口の中の苦味につながる要因のひとつです。

ウイルス感染により味蕾が一時的に炎症を起こしたり、嗅覚が低下したりすると、味の感じ方が変わることがあります。

発熱やのどの痛みといった症状とともに味の違和感がある場合には、感染症が関係している可能性も考えられます。症状が長引く場合には、医療機関へ相談しましょう。

6.女性ホルモンの変化

妊娠初期や更年期は、女性ホルモンの変化が大きい時期です。こうしたバランスの変化が唾液の分泌量に影響し、口の中に苦味や違和感を覚えやすくなります。

つわりの症状として口の中が苦く感じたり、金属のような味を覚えたりするのも、妊娠初期によく知られる現象です。また、つわりの嘔吐症状がひどい場合は、胃酸が逆流することで口の中に酸味や苦味が広がる場合もあります。

また、更年期も女性ホルモンの変化が大きいです。個人差はありますが、更年期は40代後半から50代にかけて訪れます。この時期には女性ホルモンである「エストロゲン」の低下により唾液の分泌が減少するため、口腔内の乾燥が進みやすくなります。

更年期に対する漢方の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。

7.糖尿病や逆流性食道炎などの疾患

口の中の苦味が長く続く症状は、以下のような疾患で起こる可能性があります。

  • ● 糖尿病
  • ● 消化器疾患(逆流性食道炎・慢性胃炎など)
  • ● 神経障害
  • ● 脳障害
  • ● 腎障害
  • ● 肝障害

たとえば、糖尿病では、唾液の分泌低下や感染症リスクの増加により、口腔内環境が悪化しやすくなります。逆流性食道炎では、胃酸が食道へ逆流することで胸やけが起こり、口の中に酸味や苦味を感じることがあります。

症状が数週間以上続く場合や、体重減少や強いだるさを伴う場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

逆流性食道炎の原因やセルフケアの方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。

病院へ行くべき?受診する診療科の判断基準

口の中の苦味が一時的であれば、まずは生活習慣や口腔ケアを見直しながら様子を見るのもひとつの方法です。

症状が長引く場合は、以下を参考に医療機関への相談を検討してみてください。

症状 診療科
味を感じにくい 耳鼻咽喉科・口腔外科
胸やけや吐き気を伴う 消化器内科
鼻づまりや嗅覚の異常がある 耳鼻咽喉科
風邪症状や倦怠感がある 内科

薬を服用している場合、その薬が影響している可能性もあるため、気になる場合はかかりつけ医や薬剤師に相談してみましょう。

今日からできる!口の中の苦味が気になるときの対策3選

口の中の苦味が気になるときの対策として、以下の3つを紹介します。

  • ● こまめな水分補給
  • ● 丁寧な口腔ケア
  • ● 食生活の見直し

無理なく続けられそうなものから、日々の生活に取り入れてみましょう。

こまめな水分補給

唾液には口腔内を洗い流す働きがあり、味の成分を味蕾まで届ける役割も担っています。口の中が乾燥すると、苦味やネバつきを感じやすくなるのはそのためです。

口の中の苦味が気になるときは、水やお茶を少量ずつ、こまめに口に含むことを意識してみましょう。一度に大量に飲むのではなく、回数を分けて摂ることで口の中がうるおいやすくなります。

酸味のあるレモン水や炭酸水でうがいをするのも、唾液の分泌を促す方法のひとつです。

丁寧な口腔ケア

口の中の苦味が気になるときは、一度口腔ケアを見直しましょう。

舌の表面に汚れがたまると味を感じにくくなるだけでなく、細菌の増殖によって苦味や不快感につながることがあります。

口腔ケアとして意識したい習慣は、以下のとおりです。

  • ● 食前後にうがいをする
  • ● 食後に歯磨きをする
  • ● 1日1回、舌のブラッシングを行う

舌のブラッシングは強く擦りすぎると味蕾を傷つけるおそれがあるため、歯ブラシや舌ブラシを使って優しく行いましょう。

食生活の見直し

口の中の苦味が気になるときは、食事内容の見直しも大切です。

主食・主菜・副菜をそろえた食事を1日3回摂ることで、必要な栄養素や水分をバランスよく補えます。味付けは塩分を控えめにし、ごまやみそ、酢を活用すると、苦味が気になりにくくなることがあります。

また、亜鉛を含む食品を意識して取り入れるのも、ひとつの方法です。亜鉛を多く含む食品としては、牡蠣・うなぎ・牛もも肉・豚レバーがあげられます。

口の中の苦味に対する漢方の考え方・検討される漢方薬

漢方では、口の中の苦味は「気」や「熱」の滞りと深く関わるとされています。このような気や熱のバランスの乱れには、以下のような漢方薬が選択肢となります。

  • ● 茵ちん蒿湯(いんちんこうとう)
  • ● 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

気になる症状がある場合は、医師、薬剤師又は登録販売者に相談してみてください。

茵ちん蒿湯(いんちんこうとう)

「茵ちん蒿湯」は、体内の余分な熱を冷まし、胆汁の流れを整えることを目的とした処方です。比較的体力があり、便秘しやすく尿量の減少や口の渇きを感じやすい方に用いられる漢方薬として知られています。

【効能・効果】 体力中等度以上で、口渇があり、尿量少なく、便秘するものの次の諸症: じんましん、口内炎、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

「半夏瀉心湯」は、胃腸の機能を整え、気の巡りを助けることを目的とした処方です。みぞおちのつかえや吐き気、食欲不振などを感じやすい方に用いられる漢方薬として知られています。

【効能・効果】 体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向のあるものの次の諸症:急・慢性胃腸炎、下痢・軟便、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症

口の苦味が続くときは原因に合わせた対処を

口の中の苦味は、一時的な不調で自然におさまることもありますが、ストレスやホルモンの変化、疾患が関係している場合もあります。まずは、自分の体の変化にゆっくり向き合ってみましょう。

こまめな水分補給や丁寧な口腔ケア、食生活の見直しといった日々のセルフケアに加え、自身の体の状態に合わせて漢方の考え方を参考にしてみるのも選択肢のひとつです。忙しい毎日のなかでも、無理なく続けられる工夫からはじめてみてください。

ただし、症状が長引く場合や強い不快感がある場合は、自己判断で放置せず、医療機関へ相談することも検討しましょう。

多田有紀 兵庫県在住。医療機関、薬局、IT企業での勤務経験を経て、2015年にライターとして独立。体の不調を感じたことをきっかけに、漢方・薬膳に興味を持つ。現在は、ライターとして活動をしながら、漢方薬膳の知識を活かしたコンサルタント業務や、ワークショップ・初心者向け講座などを実施。特に女性の体に関する悩みに寄り添った活動を行っている。

実績:クラシエ薬品株式会社主催「KAMPO OF THE YEAR 2024」にゲストとしてトークショーに登壇 執筆書籍:「カラダのために知っておきたい漢方と薬膳の基礎知識」(淡交社)

X:https://x.com/sora_writer オフィスかなで:https://officekanade.com/

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