リスクマネジメント
クラシエグループは、企業価値の持続的な向上とステークホルダーへの責任を果たすため、リスクマネジメントを経営の重要課題として位置づけています。当社は非上場企業ではあるものの、企業規模や取り扱い商品等を踏まえると、東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード(CGC)」への対応を含め、上場企業並みのガバナンス構築を目指すことが重要であるとの認識に立っています。この方針に基づき、2023年10月の「クラシエの綜合化」を契機に、全社的なリスク管理体制(ERM)の再構築・再整備を進めています。
リスクマネジメントの基本方針と運営体制
クラシエグループでは、「内部統制システムの整備に関する基本方針」を制定し、「損失の危険の管理に関する規定その他の体制」および「業務の適正を確保するための体制」を整備しています。これらは取締役会の監督のもと、リスクマネジメント委員会を中心に運営されています。リスクマネジメントにおいては、リスクの顕在化による損失を回避・極小化するために、重大な影響を及ぼすリスクを統括的に管理する体制を整備し、リスクの低減等に取り組んでいます。内部統制においては、「3ラインモデル」を採用し、リスクの発見から対応、監査までを一貫して実施する体制を構築しています。
リスクの特定と評価・改善プロセス
クラシエグループでは、外部環境分析や部門別リスク評価を通じて潜在的なリスクを抽出し、「影響度」と「発生可能性」を基準に評価します。評価結果に基づき優先度を設定し、リスクを分類・タイトル単位で整理したうえで、影響度×発生可能性でプロットしたリスクマップを作成します。重要リスクについては対応策を検討・策定し、継続的なモニタリングを実施します。リスクマップは原則年1回更新し、リスクシナリオに対する「現在の対応策状況」および「追加対応策」をリスクマネジメント委員会で確認・協議します。さらに、リスク管理はPDCAサイクルに基づき、定期的なレビューと改善を行います。
内部監査やリスクマネジメント委員会、取締役会への報告を通じて透明性を確保し、リスク発生件数などの管理状況を評価します。なお、緊急時にはグループ危機管理委員会が危機対応を行います。
リスクの特定と評価・改善のPDCAプロセス
リスクの特定・評価・改善は、PDCAプロセスの繰り返しとなります。
重要リスクとその対応
クラシエグループは、取り巻く環境が劇的に変化する中、毎年、経営に大きな影響を及ぼすリスクシナリオを詳細に検討するとともに、そのリスク内容の見直しを講じながら、大きく7つのリスクを選定し、重点的にそのリスクへの対応策の管理・整備等を行っています。それぞれのリスクについては、さまざまな内容が含まれますが、主な内容を抜粋して記載しています。
| リスク分類 | リスク内容 | 主な対応策 |
|---|---|---|
| 地政学リスク | 国際情勢の悪化に伴う貿易停止による原料・資材の供給不足や、現地代理店との取り引きへ及ぶ影響のリスク | 代替品、代替ルートの調査や状況に応じた在庫確保を行い有事に備えるとともに、現地社員の安全確保に努める。 |
| 災害・事故・ 感染症リスク |
大規模地震、パンデミック等による企業活動停止・制限に対するリスク | BCP対応マニュアルの策定を推進し、体制整備や訓練活動を実施する。また、出社制限時の本社機能継続の検証を行い、緊急時の運用に備える。 |
| 競争環境・ 市場構造リスク |
ビジネス環境や流通構造の変化による企業価値の毀損や営業体制の見直しリスク | 環境変化に常に留意し継続的な情報収集を行うとともに、発生した課題については全社的な流通戦略検討体制を構築し、その中で適宜議論を重ねて迅速に変化へ対処する。 |
| 参入領域における技術革新や破壊的イノベーションの登場によって企業価値が毀損するリスク | 新技術情報を継続的に監視するとともに、これに伴う生活環境や購買行動の変化を見据え、新たな研究開発テーマや情報コンテンツの開発・拡充を積極的に推進する。 | |
| 情報システム リスク |
サイバー攻撃によって業務に影響が生じ、停止に陥るリスク | セキュリティ対策の強化に加え、情報セキュリティポリシーの定期的な見直しや社内教育によるリテラシー向上を図り、さらにインシデント発生時の対応ルールと体制を整備する。 |
| 生成AI導入による機密情報漏洩や、AI導入の遅れによって環境変化への対応が遅れるリスク | 生成AI業務利用ガイドラインなどの社内ルールを周知・徹底し、理解度調査によるフォローを実施するとともに、AI導入遅滞を含むリスクの調査と対応策の検討を進める。 | |
| 市場経済リスク | 日本国内における医療政策決定により医療用漢方薬の取り扱い状況が変化するリスクや、品質・製造管理の要求レベル強化への対応が必要となるリスク | 加盟する業界団体を通じた関係省庁への提言やエビデンスの集積を進め、医療用漢方薬の有用性を訴えるとともに、要求レベル強化に対しては業界活動を通じて意見を発信し、継続的な情報収集と対応を行うことで製品の品質と安全性の確保を図る。 |
| 諸外国における薬事規制や食品添加物規制の強化に関するリスク | 規制情報を随時収集・確認し、変化に応じて迅速に対応する。 | |
| サステナビリティ リスク |
グローバルレベルでプラスチック規制が強化され、対応が必要となるリスク | プラスチック使用量削減に向けた包材の検討と導入を推進するとともに、バイオPETの活用や3R+Renewableを意識した新製品・改装品の生産を進める。 |
| 人事戦略リスク | 採用難や離職者増による人員確保の困難化リスク、ならびに国際ビジネス強化における人材面での阻害リスク | 生産事業場での地元採用強化や省人化設備の導入、一部外国人労働者の受け入れを進めるとともに、業務効率化推進のためのDX教育を実施している。さらに、国際事業に携わる人材の育成プログラムの検討に着手し、将来的な体制強化を図る。 |