レジリエンス~ココロとカラダのしなやかな回復力

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みなさんは「レジリエンス」という言葉をご存じでしょうか。

ダメージを受けても元の状態に戻る力。日本語では「回復力」と表現されます。いま私たちが生きている予測しにくい時代において、この回復力こそが、ココロとカラダを支える基礎体力になります。

このコラムでは、変化に抗わず、揺らぎに飲み込まれず、自分らしさを保ちながら立ち上がるためのヒントを、日々のセルフケアの視点からお届けします。

現代の暮らしにひそむ“ゆらぎ”

もはや現代は、予測不可能時代に突入したといってもよいでしょう。

パンデミック以降、戦争、動乱、震災、気候変動、食糧危機、AIの台頭、急激な市場の変動など、さまざまな大きな波が人類全体に影響を及ぼしている中で、これまでの考え方や備えが通用しなくなっています。

こういった価値観ごと揺らぐ時代においては、「変化することを怖がらず、でも翻弄されずに、焦らず過ごす」こと。その姿勢こそが、この時代をしなやかに生き抜くための鍵なのかもしれません。

レジリエンスとは“折れない強さ”ではなく“しなやかに戻る力”

大きな波は、避けようとしても必ずやってきます。

けれど、それに頑なに抗うと心も体も疲弊してしまうもの。むしろ、乗っかるような気持ちで変化を楽しむことでやり過ごす。そして、時期を待つ、焦らない。そして、しっかり回復したら次の波を楽しむ。そんな調子で生きることが、しなやかなレジリエンスにつながっていきます。

目標やゴールも、きっちり決めすぎると苦しいかもしれません。

もしかしたら思わぬ形でもっと素敵な形になるかもしれないし、旅路そのものを味わうような心持ちでいれば、自然と得られる物事はあるはずです。そんな“ゆとり”を心のどこかに置いておくことが、これからの時代の備えになるのだと思います。

なにも、無計画に無目的に、といっているわけではありません。本当に成し遂げたい思いがあればこそ、その夢をしっかり抱いて挑戦と冒険の旅に出る。仲間を集め、繋がり、結んで委ねていく。全てを学びにするつもりでいれば失敗も成功への教科書に変わります。

これからのウェルネスは“心の時代”へ

これからの時代は、物質的・金銭的・権力的価値の評価がどんどん下がるのではないかと思います。それよりも人との繋がりやその人の在り方など、非常に本質的で根源的で数値で評価しにくいことがとても大きな意味を持つようになる気がしています。その価値観のシフトを受け入れられた人が、次の時代に頭角を現し、幸せに生き残るのだと思います。

ウェルネスの世界も、より、心の時代に入ります。今でも、ストレス対策や潜在意識のような分野は花盛りですが、もっと根源的な「生き死に」をテーマにした人生哲学や死生観などもディスカッションされていくのではないでしょうか。

心とカラダのレジリエンスを育むためのヒント

私のまわりには、魅力的な人がたくさんいます。

そういう人たちに共通しているのは、圧倒的な経験や大きな失敗、どん底のような出来事をくぐり抜けてきたということ。そして不思議なことに、その“試練”こそが、その人の深みや魅力になっているのです。ピンチをチャンスに変えられる人には、独特の輝きがあるのだと感じます。

先日、私のPodcast番組に出演くださったゲストが「普段から心の筋トレをしている」と話してくれました。具体的には“自分の身の上には良いことしか起きない”という前提で日々を過ごすようにしていると。そうやって心を整えておくと、ピンチは糧になり、相違さえも面白がれるのだと語っていました。

起きる出来事がどんなものであっても、そこには必ず意味がある。そう思って過ごすだけで、後になって感謝へと変わることがある。もちろん、簡単ではない場面もあります。けれど、それもまた心のトレーニングであり、一見ネガティブに見える出来事でさえ「それがあったから今の自分がある」と思えたとき、レジリエンスは確かに育っているのだと思います。まさに、レジリエンスの達人の心得ですね。こうした心の姿勢を日々の暮らしに落とし込むための小さなヒントをいくつか挙げてみます。

ココロ> ●自立と依存のバランスを整える 自分で対処できる力を育てつつ、必要な場面では適切に他者を頼る。この“可動域”が広いほど、心のレジリエンスは高まります。そのためには、心を開いて信頼関係を築きながらも、相手に過度に依存しない姿勢が重要です。互いに自立した関係性であるほど、尊厳と品格を保ちながら長く健全に支え合うことができます。

●SOSを出せる信頼できる仲間・コミュニティが心の支えになる 心のレジリエンスを高めるうえで、安心して弱さを見せられる人間関係は不可欠です。限界に近づいたときにSOSを出せる環境は、心理的な安全基地となり、回復力を大きく底上げします。 「友達がいない」と感じている人でも、心の支えは必ずしも“親友”である必要はありません。価値観を共有できる小さなコミュニティや、ゆるやかにつながれる仲間が一人いるだけで、人は驚くほど回復しやすくなります。大切なのは人数ではなく、“安心して弱さを預けられる場所があるかどうか”です。 本当に苦しい局面でそばにいてくれる存在は、人生における重要な資源です。だからこそ、日頃から自分が心地よくいられるつながりを育てておくことが、心の健全性を支える基盤になります。

カラダ> ●ココロのしなやかさ=カラダのしなやかさ 心のしなやかさは、体のしなやかさと密接に結びついています。筋肉や関節が固くなると呼吸が浅くなり、自律神経も乱れやすくなるため、まずは“ゆるめる”ことがレジリエンスの土台になります。

  • ・ 朝:首・肩・股関節をゆっくり10秒ずつ回す
  • ・ 日中:1時間に一度、椅子から立って背伸び
  • ・ 散歩中:「3歩吸って、5歩吐く」の呼吸リズムを意識
  • ・ 夜:お風呂上がりに太もも前側とふくらはぎを10秒ずつ伸ばす

呼吸が深まり、心の緊張が抜けやすくなることで、ストレス耐性を高める効果が期待できます。

●“軽い運動”で心の安定ホルモン(セロトニン)を育てる 適度な運動は、セロトニン分泌を促し、心の安定と回復力を高める“養生”そのもの。激しい運動である必要はなく、むしろ毎朝続けられる軽いリズム運動こそが、レジリエンスの強化に直結します。 セロトニンの分泌を活性化させるポイントは、「朝の光を浴びながら、一定のリズムで身体を動かすこと」。これは歩くことに限りません。屈伸のようなシンプルな動きでも、朝食をよく噛むことでも、立派なリズム運動になります。

まとめ

誰もが順風満帆に生きられるわけではありません。むしろ、ただ日々を過ごしているだけでも闇に引きずられそうになるほど、いまの時代は目まぐるしく揺れています。だからこそ、人生というゲームを“楽しむ”という姿勢は、レジリエンスそのものを楽しむことに近いのかもしれません。

便利さや効率、映えや比較が渦巻く社会の中で、他人の評価に振り回されず、自分のレジリエンスを保ちながらしなやかに受け流す在り方は、これからますます価値を持つでしょう。生身の自分を認め、愛おしむことのできる人の美しさは、AIでも美容医療でもつくれません。自分の時間を、自分の速度で生きるレジリエンスを内側に育てていくこと――それこそが、この時代を生き抜くための確かなサバイバル戦略です。

どれほど時代が揺れても、自分の内側にレジリエンスがあれば、人生は何度でも立ち上がれます。比較や評価に惑わされず、自分の物語を生きること。その姿勢こそが、これからの時代を照らす“静かな希望”になるはずです。

レジリエンスとは、生きる力そのもの。あなたの中にあるその力を、どうか大切に育てていってください。

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岸紅子

岸紅子 ウェルネスプロデューサー

・NPO法人日本ホリスティックビューティ協会代表理事 ・環境省「つなげよう、支えよう森里川海」アンバサダー ・サステナブルコスメアワード審査員⾧

東京・渋谷区生まれ。慶應義塾大学卒。一児の母。2020年より富士山麓との2拠点生活。自身や家族の闘病経験をもとに、2006年にNPO法人日本ホリスティックビューティ協会(HBA)を設立。多数の美容・健康・医療関係者とともに女性の心と体のセルフケアの普及につとめ、資格検定や人材育成を行う。また、自らも自然治癒力や免疫力を引き出すためのウェルネス講座を幅広く実施。2016年~環境省つなげよう、支えよう森里川海プロジェクトに参画。環境アクティビストとしても、ライフスタイルを通じた人にも地球にも優しい循環アクションを多く提言している。

Instagram: https://www.instagram.com/kishibeniko/ NPO法人日本ホリスティックビューティ協会: http://h-beauty.info/

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