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【医師に聞く】40歳以上の喫煙者は要注意!その咳、もしかしてCOPDかも?

全国に約500万人以上の患者予備軍がいるといわれる、COPD(慢性閉塞性肺疾患)をご存じでしょうか。主に長年の喫煙習慣によって生じる疾患で、加齢によりカラダが弱っていく「フレイル(虚弱)」との関係も深いやっかいな病気ですが、早期に気づく人は少ないようです。

そこで今回は、COPDの特徴や治療について、昭和大学病院 病院長 / 昭和大学医学部内科学講座 (呼吸器・アレルギー内科学部門) 主任教授の相良博典先生にお伺いしました。フレイルをともなうCOPDに対しては、漢方薬の可能性に注目が集まっており、その点についても興味深いお話をしていただきました。

COPDを疑うのは、どんなとき?

― COPDといっても、ピンとこない方が多いかもしれません。まずはどのような病気で、どのような症状があるのか教えてください。

相良先生:COPDは慢性閉塞性肺疾患の総称です。具体的には慢性気管支炎や肺気腫など、いわゆる「肺の生活習慣病」を指します。

症状は、最初は「咳」「痰」から始まります。ただ、咳や痰は、風邪をはじめ、ほかの病気でも見られる症状ですので、ポイントはどのくらい症状が続いているかです。目安は8週間。「40歳以上の喫煙者で、咳、痰が8週間以上続いている」場合はCOPDを疑った方がよいでしょう。それから、息切れも典型的なCOPDの初期症状です。「40歳以上の喫煙者で、ちょっとした動作をする際にも息切れや息苦しさを感じる」のなら、COPDを疑って検査を受けることおすすめします。

―「40歳以上の喫煙者」が前提になる理由は?

相良先生:理由は二つあります。まず、COPDの原因は9割以上が喫煙であること。それから、症状が非常にゆっくり進むという特徴があることがもうひとつの理由です。
COPDは、喫煙を始めてから発症までに、おおよそ20〜30年を要することがわかっており、20歳で喫煙を始めたとして、症状が出るのは早くて40歳を過ぎてから。つまり、40歳以上の喫煙者は、COPDになるリスクが非常に高い人というわけです。

ちなみに、電子タバコや加熱式たばこであっても、リスクは変わりません。また、「今はやめているけれど一時期吸っていた」という元喫煙者の方も注意が必要です。

“相良博典先生”

― 自分では気づきにくい病気ともいわれていますが?

相良先生:その通りです。先ほどお伝えしたようにCOPD は長い歳月をかけてゆっくり病状が進行するため、変調を自覚することが難しいのです。加齢とともに体力や筋力が低下したり、呼吸機能が衰えたりするのは当たり前ですから、少々息が切れても「年齢のせい」とやり過ごしてしまいがちです。

また、「息苦しくて、動くのがつらい」となると、人は本能的に動かなくなります。動かないことで余計に気づきにくくなり、受診が遅れて重症化するケースも少なくありません。たとえば、階段や坂道をのぼるときに苦しかったり、同年代の人と歩いているときに自分だけ遅れたり、追いつこうとすると息切れがしたり…そういったことが起き始めたら、とにかく一度医師の診察を受けてください。

― 咳、痰、息切れのほかに 特徴的な症状はあるでしょうか?

相良先生食欲不振です。COPDになると気道が狭くなり、息を吐こうとしても、うまく吐けなくなります。その結果、肺の中の空気が増え、胃が圧迫されて苦しいため食欲が落ちてしまうのです。

COPDによる食欲不振からカラダが弱ると「フレイル」から要介護へ進む可能性が…

― 食欲不振は、家族など周りの人も注意してあげる必要がありますね。

相良先生:十分に食事が摂れなければ、どんどん痩せていきます。痩せれば体力、筋力が落ちて、動くのがつらくなりますし、息切れもひどくなります。そのせいで、ますます動かなくなり、さらに食欲も減退する。そんな悪循環を起こして、カラダが弱っていくと、「フレイル(虚弱)」の状態につながって、QOL(Quality of Life:生活の質)が低下し、放置すれば要介護へと進むことになります。人生の終盤を人間らしく過ごすためには、早い段階での受診が何よりも大切です。ぜひご家族の方が気にかけてあげてほしいですね。

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― COPDとフレイルは、とても関係が深いのですね。

相良先生:COPD患者のフレイルの割合は19%、プレフレイル(フレイルの前段階)の割合は56%、という報告もあり、高率に生じる可能性があります。

COPDは、心疾患や糖尿病、骨粗鬆症など、いろいろな疾患を併発しやすい病気です。そして、そこにフレイルが合併すると症状がより悪化しやすく、入退院を繰り返したり、治療をしても期待する効果が得られなかったりと、非常にやっかいなことになります。COPDの悪化を抑えられるか否かは、「脱・フレイル」にかかっているといってもよく、そのための対策が大きな課題です。

“相良博典先生”

COPD患者の一般的なフレイル対策は二つ。ひとつは運動療法で、歩行訓練や体操、患者のレベルに合わせた筋力トレーニングなどを行い、体力、筋力の向上、呼吸機能の回復を目指します。もうひとつは栄養療法で、食事指導を中心に、必要に応じて栄養補助食品なども活用します。しかしながら、外来時の食事指導だけで患者の栄養状態を改善していくには限界があり、食欲を高めるために漢方薬が使えるのではないかと考え、取り組みを始めました。中でも「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」の研究に力を注いでいます。

― 数ある漢方薬の中で、「人参養栄湯」に着目したのはなぜでしょうか?

相良先生:「人参養栄湯」は、古来より食欲不振や疲労倦怠感などの症状改善を目的に幅広く用いられており、近年ではフレイルに対する有用性が広く報告されている点に着目しました。

― COPD、そしてフレイルに対する「人参養栄湯」の今後の可能性について、お考えをお聞かせください。

相良先生COPD患者の脱・フレイル、予後改善を図るために、「人参養栄湯」に期待するところは大きいです。COPDは、病状が進行して肺の機能が低下し、酸素投与が必要な状態までいってしまうと元に戻すことは難しくなります。そうなる前の治療手段のひとつとして「人参養栄湯」が寄与できる可能性を探り、さらに研究を進めている最中です。

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新型コロナウイルス感染症と喫煙の関係性は?

― 最後に、新型コロナウイルス感染症と喫煙の関係性についてもお話を聞かせてください。喫煙者は感染リスク、重症化リスクが高いといわれていますが…

相良先生:喫煙者は肺の機能が低下していることなどから、新型コロナウイルス感染症の感染リスクや重症化リスクが高いといわれています。私の病院でも多くのコロナ患者を受け入れていますが、やはり喫煙者は重症化する傾向にある印象です。

― ということは、COPD患者も重症化のリスクは高くなりますよね?

相良先生:はい。重症化しやすいのは、基礎疾患がある人や高齢者です。肺に炎症をきたすCOPDは特に重症化しやすい基礎疾患のひとつで、さらにCOPD患者は、高齢者が多い為、当然リスクが高くなります。

― 喫煙者やその家族は、コロナ禍において、どのようなことに気をつけるべきでしょうか?

相良先生まずは禁煙です。本数を減らしてもあまり意味はなく、きっぱりやめることが肝心。あとは、感染対策の基本である「ソーシャルディスタンスの確保」「マスクの着用」「手洗い」の徹底です。そして、ワクチンの接種が始まったら、基礎疾患がある方や高齢者、そういった方と同居をしている家族は、できるだけ接種を受けることをおすすめします。とにかく一人ひとりが正しく自衛すること。これに尽きると思います。

主任教授 相良博典先生

この記事で語っていただいた先生
主任教授 相良博典先生
昭和大学病院 病院長 昭和大学医学部内科学講座 (呼吸器・アレルギー内科学部門)




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