夏場の皮膚疾患の原因は?漢方の知恵を取り入れて、解消へ

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夏場に悪化する皮膚トラブルの原因は?カラダの中から改善する方法

目次

夏は、肌荒れやべたつき・にきびなどに悩まされる方が増えます。漢方ではこれらの肌トラブルが起きる原因は、外から侵入する邪気(夏は暑さなど病気の原因となるもの)だけではなく、普段の食事や生活習慣、七情といった人間の感情も関係があると考えます。夏の皮膚トラブルについて悩んでいる方に、その原因や漢方による解消法をお伝えいたします。

夏になると現れる皮膚トラブルとは

夏に起きる肌トラブルには、にきびや肌の乾燥などがあります。にきびができる原因は、皮脂の分泌量が増えることで毛穴が汚れやすくなり、その汚れが酸化することによってアクネ菌などの雑菌が繁殖しやすくなるからだと考えられています。本来皮膚は外からの刺激や紫外線などの侵入を防ぐバリア機能があります。しかし、大量に汗をかくことによって肌の潤いが失われるため、皮膚のバリア機能が低下することにより、ちょっとした刺激(紫外線や汗など)で炎症が起きてしまいます。

漢方によるにきびができやすい体質の人は?

漢方では、にきびなどの皮膚トラブルが起きる原因には、外因・内因と食事や生活習慣にあると考えています。

・外因と内因

外因」とは、外から侵入する邪気のことで、夏に起こる皮膚トラブルは、暑邪(しょじゃ)・湿邪(しつじゃ)が関係しています。暑邪は熱に影響を受けるため、上昇・発散といった特徴があり、上半身に症状があらわれます。例えば、顔が赤くなる・喉がかわくなどです。湿邪は、湿気で水分が多く重いため、下半身に症状があらわれます。例えば、下痢・むくみ・だるさなどです。湿邪はねばねばしているため、アトピー性皮膚炎といった慢性症状は長引きます。暑邪と湿邪は一緒に侵入することが多いため、同時にどちらの症状も引き起こす場合があります。

内因」とは感情のことで、皮膚トラブルには七情のうち怒・思・憂が関係あると考えます。「怒」怒りすぎると、カラダの上半身に症状があらわれ、気は上昇し、肌トラブルの原因となる熱がこもりやすい状態になります。「思」思いすぎると、脾(胃腸)の状態が悪くなり消化機能が低下します。胃の不調も肌トラブルにつながります。「憂」憂いすぎると、肺の気を消耗するため、肌が乾燥したり、体力が低下することがあります。

・食事や生活習慣

脂っこいものや味の濃いもの・辛いものを食べ過ぎるとカラダに熱がこもるため皮膚トラブルを起こす原因になります。また、偏った食事は栄養バランスが崩れるため、気血の流れが悪くなりにきびなど肌トラブルを引き起こしやすくなります。逆に、食欲がなくなり食べる量が少なくなると、気(エネルギー)・血が不足し、皮膚に栄養が届かなくなるため肌に艶がなくなります。また、働きすぎや精神的ストレスは気を消耗するため、肌のハリがなくなります。

夏の肌トラブルを起こさないようにするためには

皮膚トラブルを防ぐためには、カラダの余分な熱や水分を発散させることが必要です。暑い日は、一度にたくさんの水を飲むのではなく、こまめに時間をかけて水を摂りましょう。体の熱を冷ますには、トマト・きゅうりなどの夏の野菜がおすすめです。冷たいドリンクや食べ物、甘いものは、脾(胃腸)の不調を引き起こす原因になります。できるだけ、常温・もしくは体温に近い飲み物・食べ物を摂ることをおすすめします。

雨の日など湿気の多い日、または水滞体質の方は、カラダの冷えに注意しましょう。カラダの中の余分な水分を排出するには、ハトムギや小豆などがおすすめです。飲み物・食べ物は温かいものをとりましょう。脾(胃腸)は、湿気に弱いため、消化のよいものを意識して食べることをおすすめします。にきびができやすい方は、カラダに熱がこもっている可能性があるので、甘いもの・脂っこいもの・辛いもののとりすぎに注意しましょう。

気虚体質の方は、気を消耗するため汗のかきすぎに注意が必要です。気温の高い時間は外出を控えたり、屋内で運動するなど、その日の体調や気温に合わせましょう。気虚の方は、穀物・豆類など食事で気(エネルギー)をおぎなうことができます。瘀血体質の方は、ストレスと冷えに注意しましょう。カラダの冷えはしょうが・にんにくなどで血の巡りをよくすることができます。

にきびなど肌トラブルによく使われる漢方薬

皮膚トラブルは毎日の食事や生活習慣などカラダの中から改善することが必要です。肌トラブルがなかなか改善しない方は、毎日の食事と、自分の体質や症状に合わせた漢方薬を選んでいきましょう。

・じゅくじゅくした膿のある皮膚トラブルの方に

「十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)」

体力は中程度の方で、じんましんや湿疹・にきび・水虫などで、膿をもつような皮膚トラブルに使われる漢方薬です。患部が赤い・じゅくじゅくしている・かゆみがある場合はカラダの熱を冷ます「清熱剤」を用います。アレルギー体質や化膿しやすい方にもよく使われます。

・血のめぐり悪くにきびがよく出来る方に

「桂枝茯苓丸料加薏苡仁(けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん)」

比較的体力がある方で、肩こり・下腹部痛、唇が紫色、冷えのぼせ、にきびやしみなどに使われる漢方薬です。桂枝茯苓丸は瘀血体質の方によく使われます。桂枝茯苓丸料加薏苡仁は桂枝茯苓丸に薏苡仁(ハトムギの皮を除いた種)を加えた漢方薬です。桂枝茯苓丸料加薏苡仁は、血のめぐりをよくし、肌に不足している栄養をおぎなうことができる漢方薬です。

・にきびがよくできてカラダに余分な熱が滞っている方に

「荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)」

体力中等度以上の方で、皮膚の色が浅黒く、手足の裏に脂汗をかくことが多く、腹壁が過敏で緊張している方に使われる漢方薬です。カラダに熱がこもっている方で、にきび・慢性鼻炎・慢性扁桃炎などによく使われます。荊芥連翹湯は体を冷やし、炎症を抑えることで、鼻粘膜の炎症を抑えたり、皮膚の炎症症状であるニキビを改善します。

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監修
とりい皮膚科クリニック
院長 鳥居 靖史先生





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