更年期の不眠の原因とは?漢方で改善!?

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更年期の不眠の原因とは?漢方で改善!?

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毎日すこやかで快適な生活を送るためには、睡眠はとても大切だということは多くの方はご存知でしょう。ところが、寝る時間になると「今日は眠れるだろうか?」「夜中に目が覚めたらどうしよう」などと不安になる方もいるかもしれません。特に、女性の更年期はホルモンバランスやライフステージの変化などが原因となり、不眠や精神的な不安などカラダやココロにいろいろな変化が起こりやすい年代です。そこで、今回は更年期世代の女性の不眠について、漢方の考え方による原因や改善方法、よく使われる漢方薬を紹介します。

女性の不眠の原因はライフステージによって異なる

女性は、ホルモンバランスの変化により不調が起こりやすいため、イライラする、夜眠れなくなるなどといった悩みを持つ方はたくさんいます。「今日は疲れたから早く寝よう」と思ってはみたものの、ベッドに入るといろいろなことが気になって眠れない、夜中に心配事を思い出して眠れなくなってしまった、そんな経験を持つ方も多いでしょう。
厚生労働省の「女性の睡眠時間の取れている度合い」に関する調査によると、「寝付くまで時間がかかった」37.0%、「睡眠途中に目が覚めて困った」22.8%と多くの女性が悩んでいることがわかります。
参照:平成30年度 健康実態調査結果の報告
女性が不眠になる原因はライフステージで異なり、大きく分けて「月経」「妊娠・出産」「閉経」の3つが考えられます。「月経」の時期は女性ホルモンの変化によるイライラや不安、「妊娠・出産」の時期は妊娠中の体の変化や出産後の育児、「閉経」(更年期)の時期は女性ホルモンの減少や加齢など、それぞれ不調の原因はことなります。特に更年期では、のぼせ・ほてり・関節痛・不安感など心身にさまざまな症状が現れることがあります。

更年期の不眠の原因とは

更年期の女性が不眠になる原因は、女性ホルモンの減少だけでなく、家庭環境の変化、仕事に対するプレッシャー、体力の衰えなどがあります。例えば、40代から50代の女性は、子供の受験や親の介護、過労など原因になることが多く、カラダは疲れているのに眠れないといった方がいます。
厚生労働省の調査によると、不眠で悩む40代の女性は28.4%、50代では33.7%もいると報告されており、不眠が原因でカラダの不調を感じている人が多くいることが予測されます。
参照:厚生労働省国民生活基礎調査
女性の更年期の症状には、イライラする・不安で眠れない・心身ともに疲れて眠れないなどがあります。その中でも更年期女性の不眠には、なかなか眠れない(入眠困難)、夜中に目が覚めてしまう(中途覚醒)、朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)があると考えられています。更年期の不眠の治療には漢方薬も使われることが多く、それぞれの女性の体質や症状に合わせて処方されます。漢方薬を服用することで不眠が改善され、寝付きがよくなった、カラダのだるさがなくなった、仕事に集中できるようになったという報告もあります。

【漢方体質】更年期の不眠が起こりやすい体質は?

漢方による不眠は、気(エネルギー)や血の異常によって起こることが多いと考えられています。
体質には気滞・気逆・気虚・血虚があります。

不安で眠れない気滞タイプ

気滞は、カラダの中の気が滞っている状態で、いろんなことが気になり不安で眠れないタイプです。長時間の緊張・ストレスなどによって起こります。のぼせ・ほてり・イライラや不安感・お腹が張る・喉がつかえるといった症状があります。

神経過敏で、神経が高ぶることにより眠れない気逆タイプ

気逆は、気の流れが通常とは逆に流れる状態で、イライラしてなかなか眠れない方に多いタイプです。ストレス・食事などによって起こります。咳・嘔吐・吐き気・のぼせなどの症状が起こります。

体力がなくて眠れない気虚・血虚タイプ

気と血の両方が不足する気虚と血虚が同時に起こるタイプです。気虚は気が不足しているため、疲れやすい・汗をかきやすい・息切れがする、下痢しやすいなどの症状が起こります。血虚は、カラダに必要な栄養(血)が不足しているため、不安になる・熟睡できない・便秘になりやすいなどの症状が起こります。

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更年期の不眠によく処方される漢方薬は「加味帰脾湯」

更年期によく使われる漢方薬には「加味帰脾湯」があります。

■加味帰脾湯(かみきひとう)
更年期の症状によく使われる漢方薬です。体力は中等度以下で、血色が悪く、精神不安があり、微熱や寝汗がある方に向いている漢方薬です。更年期世代の方で、不安感がある・倦怠感がある・寝付きが悪い・眠りが浅い・疲れやすい・やる気がでないといった方によく処方されています。加味帰脾湯はニンジン・ビャクジュツ・ブクリョウ・サイコ・サンソウニン・リュウガンニク・オウギ・トウキ・サンシシ・オンジ・タイソウ・カンゾウ・モッコウ・ショウキョウが含まれています。加味帰脾湯には、不安を取り除く作用や自律神経を調節する作用があるので更年期の不眠にも効果を示すと考えられています。

不眠の症状によく処方される「その他の漢方薬」

不眠に使われる漢方薬は、その人の体質や症状に合わせて処方されます。不眠には、次のような漢方薬もよく利用されています。

■抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
体力は中等度で、神経が高ぶりイライラする、消化器が弱い方に向いています。抑肝散加陳皮半夏は、カラダに必要な栄養(血)を補い、気・血のめぐりをよくする働きがあります。
■黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
体力は中等度以上で、いらいらして落ち着きがない・のぼせぎみといった方に向いています。黄連解毒湯は、カラダの余分な熱をとり、イライラ・のぼせなどを改善する働きがあります。
■柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
体力は中等度以上で、不眠・動悸・精神不安などがある方に向いています。柴胡加竜骨牡蛎湯は、気をめぐらせることにより、カラダの熱を冷まし、精神不安などを改善する働きがあります。
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監修
聖隷健康サポートセンターShizuoka
所長 鈴木 美香先生




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