【岸紅子解説】肌に触れる、心に触れる~スキンケアは脳ケア

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【岸紅子解説】肌に触れる、心に触れる~スキンケアは脳ケア

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皮脳同根(ひのうどうこん)という言葉をご存知ですか。字のごとく、皮膚(肌)と脳は同じ根を持つという意味になります。本コラムではこの言葉をわかりやすく解説し、皮膚と脳が同じルーツを持っているからこそできるスキンケアによる脳ケアをお伝えします。

皮脳同根の由来は生命発達のプロセスにあり

皮膚はたくさんの役割を担っていますが、その中に何かを"感じる"という機能があります。温度、湿度、空気圧、明暗、色彩、電磁波、化学物質…など、驚くほど多岐にそして繊細に常に情報を感じています。
なぜそんなことが可能なのか?それは、実は皮膚の発達の過程に理由があります。
私たちが受精卵として生を受けた瞬間から、生命のプログラムはすさまじい勢いで細胞分裂を開始しますが、その途中で、運命的な岐路を迎えます。
「原腸胚期」というステージで、これまで一緒くたになっていた細胞に分類を行うのです。

「あなた達は骨格や筋肉系ね」(中胚葉)
「あなた達は消化器系になってね」(内胚葉)
「あなた達は神経系ね」(外胚葉)
このような感じで3つに大別され、分類された細胞たちはグループ毎に密に連絡を取り合い連携することを運命づけられます。その中で「神経系」と分類された細胞たちこそ、後に皮膚(表皮細胞)と 脳になる細胞たち。だから「皮脳同根」なのです。彼らは強い結びつきを保ちながら増殖し、成長していきます。いわば皮膚と脳は兄妹筋なわけです。
皮膚と脳の兄妹は、超高性能センサー(皮膚)と超高性能コンピューター(脳)として、その後の私たちの命の営みを見事に支えていきます。

【皮脳同根】脳と皮膚のコミュニケーション

しかし、忙しすぎる現代社会では、本来なら緊密に連携するはずの兄妹が思わぬ喧嘩を始めることがあります。
情報量が多く、しかも展開が早いために起こると言われる脳のキャパオーバーは社会問題にもなっています。皆さんも実感としてあるのではないでしょうか。
街を歩けばあらゆるところに広告コミュニケーションがあって、視覚からも聴覚からも嗅覚からも情報攻めにあいます。家でテレビを見ていても、SNSを使っていても、ゲームをしても常に人工的な刺激を受けます。
脳は一旦情報刺激を全て受け止め、その中から必要なものだけをより分けるという処理の仕方をしますが、さすがにこの速度と情報量ともなると、処理が追いつかなくなるし疲弊してしまうのです。

そうなると兄妹喧嘩の勃発です。「言ったじゃん!」「いや、聞いてないよ!」「ちゃんと聞けよ!」「お前がちゃんと伝えろよ!」 という具合に。
余裕がなくなった者同士のコミュニケーションミスが火種のバトル・・・それは人間社会でも、細胞社会でも変わらないのかも知れません。
「あなた達は神経系ね」(外胚葉)
しかし、できた溝は放っておきすぎたり、もしくは何度も同じことを繰り返したりすると、トラウマになり音信不通になったりもします。だから早めに埋めたいわけですが、その方法というのもこれまたどの社会でもいつでも結局は、"丁寧なコミュニケーション”しかありません。
「ごめんな、おまえの話ちゃんと聞いてなかった」
「うん、こっちも怒って大人気なかったよ」となるように、落ち着いて話し合ってもらう必要があります。
そのために有効なことは何だと思いますか?

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五感からのいたわりこそが脳を慰める

実は、皮膚の触覚、舌の味覚、網膜の視覚、鼻の嗅覚、鼓膜の聴覚など、体表面にある“感じる”細胞群からの労りこそが脳を慰めます。
“感じる”細胞は体表面に分布し、無数のレセプターを持っていて、レセプターで受けた刺激を逐一脳に伝えていますが、その情報量を少なくして脳が落ち着いて情報処理できるようにしてあげると脳は機能を取り戻します。
例えば、視覚情報は全情報の80%と言われるので、少しだけでも目を閉じてみる、自然のほのかな香りをかぐ、テンポがゆっくりで繰り返しの多い曲を聴くなど。五感からの労りこそが脳の余白を作ってくれます。
毎日朝起きてから夜寝るまでの折に触れてゆっくり呼吸をしてみたり、じっくり食感を楽しんでみたり、画面ではなく自然の風景に目をやってみたり。特別なものは必要ないので、小さなアクションを脳のヒーリングに変える意識を持ってみてはどうでしょう?

スキンケアは脳ケアだった

日常のさまざまな動作を癒やしの機会にできますが、その中でも、スキンケアの時間は特に良い機会だと思います。何故なら、顔には全ての五感が集約されているから。
そして私たちの指先は、本当に敏感に変化を察知し、驚くほど繊細に何かに触れることができます。例えば、赤ちゃんをそっと抱き、沐浴をさせるときの母の手は、ほんの小さな凹凸も、些細な温度変化も見逃さず完璧な仕事をします。

また、この指先には微弱な電流が流れていて、そのエネルギーを触れたものに伝えることができるのです。それは、指紋認証システムから愛情表現まで。実は触れるという行為は、オキシトシンという脳内ホルモンを増加させることがわかっています。
オキシトシンは、絆ホルモン・愛情ホルモンなどと言われ、心を温かく穏やかな気持ちにしたり無償の愛を感じたり、脳内のストレスを軽減したりする働きがあります。これらを総合すると、顔を手で丁寧に触るスキンケアは、日常の中にありながらとてつもない癒しの可能性があると言えます。そう、スキンケアは脳ケアだったのです。

いつものスキンケアを瞑想タイムに

皆さんは大人になってスキンケアを始めてから今まで、スキンケアに関しては、メーカーが提供するアイテムの使い方や順番くらいしか気にしてこなかったかもしれません。でも、今こそ見直しの時です。一日の終わりに、自分自身にご褒美のようなスキンケアをしてあげて下さい。

おすすめのケア法として私が開発した「スキンケア瞑想」には、脳科学、皮膚科学、心理学、微生物学、五感生理学の観点から以下のようなポイントを盛り込んでいます。

  • ・目を閉じる
  • ・深呼吸をしながら行う
  • ・ゆったりしたテンポの音楽をかける
  • ・香り(なるべく天然香料)を嗅ぐ
  • ・薬指、中指、手の平で優しく触れる
  • ・ポジティブなイメージをいだく

これらを守るだけで、スキンケアに動的な瞑想になり、脳ケア効果が格段に上がります。もちろん肌ケアの仕上がり感も翌日の潤いやハリも、まるで別物になります。日本の楽曲はだいたい1曲約4分。その間、このルールに従ってゆっくりとスキンケアをしてみて下さい。
このホリスティックビューティ式スキンケア瞑想と名付けたメソッドは、タッチセラピー研究の第一人者で桜美林大学リベラルアーツ学群 教授・博士(人間科学) 山口 創 氏ご協力のもとおこなった実証実験で、「スキンケア瞑想によってオキシトシンの分泌量が高まる」というエビデンスを得ました。このメソッドを誰もが自宅で実践できるよう、YouTubeで公開していますのでよろしければ、こちらもお試しください。
日本語版:https://youtu.be/oU4PvUWWxQs
英 語版:https://youtu.be/wDDSE1Rts5Y

スキンケアは、深いところに届くと素晴らしい癒やしの多幸感が生まれるのです。それは、他の誰でもなく自分だけが起こせるヒーリングです。
けっして高いコスメでケアをするということではありません。必要なのはいつものコスメとあなたの手だけ。新たにお金がかかるわけでもないですし、とてもマインドフルネスな時間になりますよ。

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執筆
岸紅子/ウェルネスプロデューサー
NPO法人日本ホリスティックビューティ協会 代表理事
https://h-beauty.info/

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