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更年期以降、「口臭が気になる」「口の中が乾く」「食べ物が喉につかえる」といったこれまでになかった“口の中の変化”に悩む方は少なくありません。更年期になると女性ホルモンの減少により唾液分泌量が低下することで口腔トラブルが発生しやすくなります。唾液は口内の水分量の調節や自浄作用を担い、雑菌の繁殖を抑えるなど様々な役割を果たしているためです。加えて生活習慣の乱れ、ストレス、歯周疾患などによってさらに“口のエイジング”が進む可能性があります。潤いをカラダ全体で考える漢方思想や唾液分泌を促すオーラルケアを日常のセルフケアとして取り入れて口腔環境を快適に整えていきましょう。
更年期と口腔環境の関係
更年期は女性ホルモンの減少によって自律神経のバランスが乱れやすく、その影響で唾液の分泌量も低下するようになります。さらに加齢とともに喉の周囲の筋肉が衰えることで咀嚼回数が減ることも唾液の減少につながります。このような状態を「ドライマウス(口腔乾燥症)」といい、口の中が乾いたり、食べ物が喉につかえたり、飲み込みにくくなったりします。唾液は口の中を潤すだけでなく、自浄作用や殺菌作用もあり、雑菌の繁殖を防いでいます。そのため唾液が減って口の中が乾燥すると雑菌が繁殖して口臭につながることがあります。 ※更年期はホルモンの変化により口腔環境が不安定になりやすいため、定期的な歯科検診を受けることで、虫歯や歯周病、唾液分泌量や口腔粘膜のトラブル、噛み合わせの変化などを早期発見することができます。
「ドライマウス」セルフチェック
唾液はとても大切な働きをしています。日常の感覚や状態を振り返ることで、ある程度のセルフチェックができます。ドライマウスに当てはまるかどうかをチェックしてみましょう。
- ☑ 口の中が乾く
- ☑ 口の中がネバネバする
- ☑ 口の中がヒリヒリと痛い
- ☑ 口の中が苦い、又は口の中が酸っぱい
- ☑ 口臭がある
- ☑ 乾いた食品が食べにくい
- ☑ しゃべりにくくなった
- ☑ 虫歯・歯周病になりやすい
- ☑ 夜間に起きて水を飲む
- ☑ 口内炎ができやすい
- ☑ 舌や唇がひび割れる
- ☑ 味覚がおかしい、違和感がある
- ☑ 義歯で口の中が傷つきやすい
多く当てはまるほどドライマウスの可能性が高まります。ホルモンバランスの変化や特定の薬の副作用、疾患などが影響していることもあります。ドライマウスの背景として自律神経の働きが関与している可能性もあります。ストレスや不規則な生活が自律神経に影響を及ぼすため、改善には生活習慣の見直しが必要です。気になる項目が多い場合は早めに歯科やドライマウスの専門外来等の医療機関を受診しましょう。
4つの「口の力」を維持しよう
オーラルケアというと歯磨きやうがいなどの口内清浄をイメージする人が多いかもしれませんが、必要なケアはそれだけではありません。「口の力」には大きく分けて以下の4つの要素があります。それぞれを意識して整えることでイキイキとした「口の力」を維持したいものです。
① 食べる力 食べ物を口に入れる「摂取」、歯で細かく噛んで唾液とよく混ぜ飲み込みやすくする「咀嚼(そしゃく)」、それらを飲み込む「嚥下(えんげ)」によってカラダに栄養を補給し、吸収を促進させます。
② 話す力 唇、舌、歯、口周りの筋肉や呼吸筋などを使って言葉を発することで、コミュニケーションを活性化することができます。
③ 表情をつくる力 笑顔や困った顔などの表情も非言語としてのコミュニケーション方法になります。表情をつくるためには、口周りの筋肉が大きな役割を担っています。
④ カラダを守る力 口はカラダの入り口であるため清潔に保つことが大事です。そして口の中で分泌される唾液には、様々な免疫物質や抗菌物質が含まれており、外から侵入してくる菌などを防ぐ働きがあります。
口腔環境を漢方思想で整える
漢方ではドライマウスを、「口乾」(こうかん)と呼びます。この状態は「気(カラダを巡るエネルギー)」の力が弱いために、「水(血液以外のカラダの水分)」を体内にうまく循環できていないと考えます。体質としては陰虚(いんきょ)と腎陰虚(じんいんきょ)、気虚(ききょ)が考えられます。ひとつずつ見ていきましょう。
① 陰虚(いんきょ)と腎陰虚(じんいんきょ) すべてのものは「陰(潤い、水、休息)」と「陽(乾燥、火、活動)」の2つの性質を持ち、そのバランスで成り立っています。陰が不足することを「陰虚」といい、相対的に陽が強くなりカラダに熱や乾燥が現れやすくなると考えられています。「腎陰虚」の「腎」は生命エネルギーの源とされ、人間の成長・発育、生殖機能、ホルモン分泌、老化などに深く関与します。腎陰虚は腎の陰気、つまり体内の水分や栄養素が不足している状態で加齢により現れやすくなるとされています。 「陰虚」体質とは?▼
② 気虚(ききょ) 食べ物を消化し、栄養や水分をしっかり吸収できていれば、カラダは陰虚に傾きません。しかし、胃腸が弱っていると吸収力が落ちてしまいます。「気」とはカラダを巡るエネルギーと捉えます。気虚はこのエネルギーが不足している状態のことで、食べ物を消化したり栄養や水分を吸収したりする力が落ちるため、カラダが乾燥に偏ることがあります。 「気虚」とは?▼
漢方の考え方では、症状の背後にある体質のバランスを整えることが重要です。漢方薬は、体質に合わせて選ぶことで、唾液分泌への効果だけでなく、全身の健康維持にも役立ちます。「気」の流れはストレスの影響を受けやすいものです。自分なりのストレス発散も心がけ、カラダ全体で生活習慣を整えることも重要です。
自分でできる更年期の簡単オーラルケア
唾液の分泌を促し、口腔乾燥によるトラブルを防ぐために、普段から取り入れやすいセルフケア対策を紹介します。
① 咀嚼回数を増やす 咀嚼(食べ物を噛む動作)は唾液腺への直接的な刺激となるため唾液分泌が促されます。噛む回数が増えると、その分だけ唾液の分泌量も増えます。食事で咀嚼回数を増やすため、一口を少なくして噛む回数を増やしたり、硬さや弾力のある食材を使用したり、野菜などを大きめにカットしたりすることも効果的でしょう。チューインガムを噛むなど、食事以外でも噛む習慣を取り入れると、咀嚼筋の強化や唾液分泌機会の増加に役立ちます。唾液には消化酵素が含まれているため栄養素の消化吸収にも有効です。
② 唾液の出る食べ物を摂る 酸味のある食べ物(梅干し・酢の物・柑橘類)を食事に取り入れることで唾液の分泌を促すことができます。食べなくても、酸っぱいものを思い浮かべるだけで唾液が出る人もいるでしょう。
③ 唾液腺のマッサージ 顔周りにある唾液腺をマッサージすることで唾液の分泌を促す方法もあります。食事の前に行うことで、唾液が出やすくなります。
・耳下腺(じかせん)マッサージ 上の奥歯のあたり、頬の上部に人差し指〜小指の4本の指腹を当て、後ろから前へ円を描くようにやさしくマッサージします。最大の唾液腺が刺激されます。 目安:10回程度
・顎下腺(がっかせん)マッサージ あごの骨の内側の柔らかい部分に親指を当て、耳の下からあごの下まで数か所を順に、軽く押し上げるように刺激します。 目安:10回程度
・舌下腺(ぜっかせん)マッサージ 両手の親指をそろえ、あご先の骨の内側から舌を押し上げるように、ゆっくりグーッと真上に向けて押します。喉を押さないように気を付けましょう。 目安:10回程度
舌のエクササイズ 舌回し運動で、口周りの筋肉を動かし唾液腺を目覚めさせるエクササイズです。 やり方:口を軽く閉じ、舌先を上唇の裏で上の歯茎部分に当てるところからスタート。上下の唇を合わせたまま舌を歯茎に沿わせるように、右回りにゆっくり10周まわします。唇が離れないように閉じておきましょう。同様に左回りでも10周行います。 目安:1日1〜3セット
デンタルケア 更年期の女性ホルモンの変化により歯周組織の防御力が下がることで、歯ぐきに炎症が起きやすくなります。唾液が減少していると口内の雑菌が繁殖しやすいため食後の歯磨きと歯間ケアを丁寧に行いましょう。しかし、歯や舌をゴシゴシと強い力で磨くことは逆効果になります。
よくある質問(FAQ)
Q1:なぜ更年期に口臭や口の乾きが気になるのでしょうか? A1:女性ホルモンの減少により唾液分泌量が低下することで口腔トラブルが発生しやすくなるためです。
Q2:ドライマウスのセルフケアは? A2:咀嚼回数を増やすこと、唾液が出やすい食材を食べること、唾液腺のマッサージ、舌のエクササイズ、デンタルケアなどがあります。

広告会社、大手化粧品会社宣伝部にてCM、雑誌等の広告制作に携わる。 その後フリーランスとしてバレエ講師、ピラティスマスタートレーナー、ヨガセラピスト、介護予防運動指導員として老若男女へ伝える仕事に従事。企業や官公庁での健康アドバイザーや研修講師も務める。 キャリアコンサルタントとしては講師やカウンセラーの他にオウンドメディアの監修等も担当。
専門領域
- ・ダンス運動指導(バレエ・ピラティス・ヨガ等)
- ・キャリア支援(国家資格 2級キャリアコンサルティング技能士)
- ・介護予防・健康づくり支援(介護予防運動指導員)