寝違えは治るの?漢方の専門家が解説|漢方とツボ・冷やす/温める の安全な使い分け

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朝起きたら首が痛い!誰でも一度は経験したことがある首の寝違え。そのうちよくなると分かっていても、ひどいときは首が全く動かせず仕事や家事など日常に差し支えてしまうことも…。寝違えはどうして起きるのでしょう?

今回は起こってしまったときのために、首の寝違えの治し方や効果的なツボ、おすすめの漢方薬をご紹介します。

寝違えの痛みは和らげられる?4つの対処

寝違えが起きた場合、まず痛みのある部分を安静にすることが大切です。無理に動かそうとしてはいけません。特に痛みが出る方向へは動かさないようにしましょう。炎症がひどくなり、よけい痛みが増す場合があります。

痛みが出てすぐは、一時的に冷湿布やアイスパックなどを使い冷やすことで、痛みを和らげることができます。ただし長く冷やすと血行が悪くなり回復が遅くなってしまうので、短時間にとどめておきましょう。

また、お風呂などで温めるのは、炎症が落ち着くまでしばらく控えます。安静にしていると、ふつうは数時間から1週間ほどで徐々に痛みが和らいでいきます。

効果には個人差があるため、無理のない範囲で試してみて、自分に合う方法を見つけることが大切です。ここでは、寝違えによる痛みを和らげる4つの方法を、具体的に紹介します。

漢方「独活葛根湯(どっかつかっこんとう)」の使い方の目安

漢方薬は内側からカラダに働きかけることで、寝違えのつらい症状の改善が期待できます。カラダをめぐるエネルギーや栄養である「気・血・水」の状態や流れをしっかり整えることで、現れている症状は回復に向かうと漢方では考えられているからです。

寝違えもカラダのバランスが崩れているために痛みなどの症状が起きています。今回はその崩れたバランスを整え、寝違えに効果的な漢方薬をご紹介します。

独活葛根湯は、体力中等度又はやや虚弱な方の四十肩、五十肩、寝ちがえに効果があります。「葛根湯」をベースに2つの生薬をプラスしたものです。

「気」や「血」が補われることでカラダの血行がよくなり、冷えや湿気を取り除き、カラダを温め、肩周辺の血行を促し、肩や首筋の筋肉をほぐすと同時に、しびれや痛みを緩和し、肩こりや五十肩、寝違えの症状を改善します。

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ツボマッサージをする

寝違えが起きたときは、ツボを刺激することで症状の緩和が期待できます。ただし、痛みのある部分を直接押したり強くマッサージしたりすると、症状が悪化するおそれがあるため避けましょう。

今回ご紹介するツボは、首から離れた位置にあるものです。寝違えが起きているときは、関連する部位に違和感や圧痛がみられることもあります。

ツボの場所付近を、少し押しながら探ってみましょう。様子を見ながらゆっくり5秒ほど、2~3回押すとより効果的です。

落枕(らくちん)

落枕(らくちん)

手の甲側で人差し指と中指の骨が交わるところにあり、寝違えを表す「落枕」という言葉そのもののツボです。寝違えたときに使われる代表的なツボになります。まずはこのツボを使ってみましょう。

後渓(こうけい)

後渓(こうけい)

手を握ったときに小指の付け根にできるシワの先端にあり、手から肩、首へとつながっているツボです。肩こりや寝違えに効果的です。こわばっている筋肉を緩めたり痛みを緩和してくれる作用があります。

外関(がいかん)

外関(がいかん)

手首の外側にあるシワから肘に向かって指三本分上がったところにあり、手から肩、首へとつながっているツボです。全身の巡りをよくして、カラダの緊張や筋肉の緊張を和らげてくれます。

脇の下(広背筋・前鋸筋)ストレッチで首の可動域を助ける

脇の下を緩めると、首まわりの緊張が間接的に和らぎます。首と肩甲骨、脇の下の筋肉(広背筋や前鋸筋など)は筋膜を介して首や肩まわりとつながっているため、肩まわりや体側の緊張を緩めることで、首が動かしやすくなると考えられています。

首を直接強く回すのではなく、肩甲帯から体側にかけての連動を利用してアプローチする方法です。具体的には、痛みのない側の手を上げて壁やドア枠に軽くかけ、体をゆっくり反対側へ倒します。

次に、脇の下から体側が心地よく伸びる位置で20〜30秒ほどキープします。呼吸を止めず、反動をつけないことがポイントです。無理に首を動かすよりも安全に行いやすい方法ですが、痛みのない範囲で行い、強い痛みが出る場合は中止しましょう。

正しい方法でアイシングをする

発症直後で熱感やズキズキした痛みがある場合は、まず冷やすことで炎症の広がりを抑えられます。寝違えは筋肉や関節周囲に軽い炎症が起きている状態であるため、保冷剤や氷をタオルで包み、痛む部位に10〜15分ほど当てます。

これを、間隔をあけながら1日数回行うのが目安です。直接肌に当てると凍傷の恐れがあるため、必ず布やタオルで包みましょう。発症から時間が経ち、熱感が落ち着いてこわばりが中心になった場合は、温めたほうが楽になる場合もあります。

状態に合わせて冷却から温めへ段階的に切り替えることがポイントです。強く揉んだり、長時間冷やし続けたりする行為は、避けましょう。

寝違えの悪化を防ぐために避けたほうがよい行動

寝違え直後は、首まわりの筋肉や関節周囲に炎症が起きている場合があります。誤った対処をすると、かえって痛みが長引くこともあるでしょう。

ここでは、寝違えの悪化を防ぐために避けたい行動を紹介します。無理に可動域を広げようとせず、体の反応を見ながら少しずつ動かすようにしましょう。

首を無理に動かす

痛みを我慢して、首を無理に回したり伸ばしたりするのは逆効果かもしれません。寝違えは首まわりの筋肉や関節に炎症が起きている可能性があるため、強く動かすと炎症が広がり、痛みが悪化する場合があります。

「固まっているから動かしたほうがよい」と考えがちですが、寝違えた直後は安静にしたほうがよいでしょう。

無理にストレッチをしたり、ボキボキ音を鳴らしたりするのも避けて、痛みの出ない範囲でゆっくりと動かす程度にとどめることが重要です。特に発症直後は刺激を与えすぎず、回復を待つ姿勢が悪化防止につながります。

同じ姿勢で長時間過ごす

痛いからといって首をかばい続け、同じ姿勢で長時間過ごすのも悪化の原因です。動かさなすぎると血流が滞り、筋肉のこわばりが強まって回復が遅れることがあります。

例えば、デスクワーク中に首を固定したまま画面を見続けたり、横になった姿勢を長時間保ったりすると、周囲の筋肉が緊張しやすくなります。「無理に動かす」のではなく、「痛みの出ない範囲でこまめに姿勢を変える」ことが大切です。

1時間に一度は立ち上がる、肩を軽く回すなど、小さな動きを取り入れることで血流を保ち、寝違えが和らぐ効果が期待できます。

発症直後に長時間温める

発症直後にすぐ温めるのも、避けたほうがよいでしょう。寝違えは首まわりに炎症が起きている可能性があり、温めることで血流が増えると、痛みが強く感じられる場合もあります。

特に、痛みとともに熱感や腫れを感じる場合は、まず冷やして様子を見る方法が一般的です。入浴やホットタオルなどの温めは、炎症が落ち着いた後に段階的に取り入れましょう。

発症から時間が経ち、熱感がなくなってこわばりが中心の状態に変わった場合は、温めることで楽に感じる人もいます。状態を見ながら、初期は冷却、落ち着いてきたら温めへ切り替えるという段階的なケアを意識することが大切です。

寝違えの主な原因

「寝違え」は医学的な病名ではなく、正式には「急性疼痛性頸部拘縮(きゅうせいとうつうせいけいぶこうしゅく)」といいます。不自然な姿勢で長時間寝たりすることで首に無理な負担がかかり、筋肉や靭帯などに急性の炎症が起こって痛みや動かしにくいといった症状が現れます。

このように不自然な姿勢で寝てしまう原因としては、次のことがあげられます。

  • ・疲れ
  • ・ストレス
  • ・深酒

こういったことから、寝返りを打つ回数が少なくなって首に負担がかかる姿勢が長く続いたり、枕などの寝具が合っていなかったりすることがあげられます。

また寝違えが起こりやすいのは、前日に手や腕を使いすぎていたり、普段から首や肩まわりの血行が悪くなっている時が多いです。

現代医学では、不自然な睡眠姿勢や寝具のミスマッチ、日中の前かがみ姿勢やスマートフォン使用による前方頭位なども、首への負担を高める要因と考えられています。ここでは、寝違えが発生する主な原因を解説します。

不自然な睡眠姿勢

首がねじれたまま、あるいは反ったままの姿勢で眠ると、寝違えが起こりやすくなります。

例えば、うつ伏せで顔を横に向け続けたり、高すぎる枕で首が前に曲がった状態が長く続いたりすると、首や肩の筋肉に負担がかかり、起床時の痛みにつながる場合があります。ソファで寝落ちしたり、車内でうたた寝したりする状況も同様です。

予防には、枕が首の自然なカーブを支えられているかを確認することが大切です。仰向けでは後頸部の隙間を支え、横向きでは首のラインが床と平行に近い状態が目安です。日中は耳・肩・腰が一直線になる姿勢を意識し、定期的に体を動かすことも負担軽減につながります。

寝具のミスマッチ(枕・マットレス)

枕やマットレスが体に合わないと首の支えが不安定になり、寝ている間に首へ余計な負担がかかる恐れがあります。枕が高すぎると首が前に倒れ、低すぎると首が反って筋肉が緊張しやすくなります。

また、枕の幅や硬さが合わないと寝返りのたびに頭の位置がずれ、首がねじれた姿勢で固定されやすくなります。マットレスが柔らかすぎて体が沈むと、肩が内側に入り首の角度が崩れて筋肉の左右差が生まれる点に注意が必要です。

一方で硬すぎると肩甲骨まわりがこわばり、首の筋肉が緊張しやすくなります。寝具のミスマッチは毎晩繰り返されるため、軽い負担でも積み重なって寝違えにつながります。

日中姿勢(PC・スマホ)と筋緊張

日常生活の姿勢のクセで首・肩の筋肉が硬くなっていると、ちょっとした寝姿勢の乱れでも寝違えが起きやすくなっている可能性があります。

例えば、スマホやPC作業で頭が前に出る姿勢(いわゆる猫背)が続くと、首の後ろ側の筋肉が常に引っ張られ、肩まわりも緊張しやすくなります。その結果、筋肉の柔軟性が落ち、寝返りでわずかな角度がついただけでも筋肉や関節に負担が集中するのです。

さらに、片側でカバンを持つ・頬杖をつく・車の運転で片手姿勢が多いなどの習慣は、首の左右バランスを崩しやすい原因です。こうした日中のこり・歪みがあると、睡眠中の固定や冷えが引き金になり痛みが表面化します。

寝違えの予防法(再発させない生活設計)

寝違えは日々の姿勢や睡眠環境を整えることで、予防効果が期待できます。ここでは、首に負担をかけず、寝違えを再発させない生活設計を解説します。

睡眠環境の見直し(枕・室温・湿度)

寝違えを防ぐためには、首に負担をかけない寝姿勢を意識しましょう。まずは、枕の高さと硬さを見直すことが重要です。仰向けで寝たときに首の後ろの隙間を自然に埋め、横向きでは首が床と平行になる高さが理想です。高すぎても低すぎても首に負担がかかります。

また、寝返りが打ちやすいマットレスを選ぶことも、寝違えの予防に大切です。体が沈み込みすぎると姿勢が崩れ、逆に硬すぎると肩まわりが緊張しやすくなります。寝室の温度や湿度を整え、体を冷やさないこともポイントです。

毎日の睡眠環境を整えることで、首への慢性的な負担を軽減できる可能性があります。

日中姿勢の改善(モニター高・1時間ルール)

日中の姿勢を整えることで、寝違え予防の効果を期待できるでしょう。スマホやパソコン作業で頭が前に出る姿勢が続くと、首や肩の筋肉が常に引っ張られた状態になります。

耳・肩・腰が一直線に並ぶ姿勢を意識し、画面は目線の高さに調整しましょう。また、長時間同じ姿勢を続けず、1時間に一度は立ち上がって肩や首を軽く動かすことも大切です。

片側だけでカバンをもつ、頬杖をつくといったクセも左右差を生みます。日常の小さな姿勢改善の積み重ねが、首への負担軽減につながります。

安全なストレッチの習慣化(※肩甲帯から)

※肩甲帯とは、肩甲骨や鎖骨などで構成される、腕と体幹をつなぐ部分のことです。

首や肩まわりの柔軟性を保つことが、寝違えの予防につながる可能性があります。筋肉が硬い状態では、少しの負担でも痛みが出やすくなります。

肩甲骨を大きく回す運動や、脇の下から体側をゆっくり伸ばすストレッチなどがおすすめです。首を強く回すのではなく、肩や背中からほぐす意識を持つと、安全に行えます。

入浴後のような体が温まっているタイミングに行うと、筋肉が伸びやすくなります。毎日数分でも継続することで血流改善が期待でき、筋肉のこわばりの予防が期待できます。無理のない範囲で習慣化することが大切です。

生活習慣(飲酒・睡眠リズム・冷え対策)

生活習慣の乱れや過度な飲酒は寝違えのリスクを高めるため、日々の過ごし方を整えることも寝違え予防において大切です。

特に飲酒は一時的に眠気を促しますが、睡眠の質を低下させやすく、筋肉の十分な回復を妨げます。その結果、首や肩の緊張が残り、寝違えが起こりやすくなります。また、就寝時間が不規則な生活も自律神経のバランスを乱し、筋肉のリラックスを妨げる要因です。

毎日できるだけ同じ時間に寝起きすることで睡眠の質が安定し、筋肉の疲労回復が促されるでしょう。体をしっかり休ませる習慣づくりが、寝違え予防の土台といえます。

寝違え以外が疑われる首の痛み(受診の目安)

寝違えだからそのうち治るだろうと思っていても以下の項目に当てはまるような場合は、椎間板ヘルニアや感染症、腫瘍など別の病気が隠れている可能性があります。その場合は放置せず、一度専門医の診察を受けましょう。

  • ☑︎痛みが非常に激しい
  • ☑︎首を動かすと手足も痛い
  • ☑︎手足が動かしにくい
  • ☑︎めまいやしびれがある
  • ☑︎発熱している

受診を急ぐサイン

首の痛みが寝違えだけではない可能性もあるため、症状によっては医療機関の受診を検討することが大切です。

例えば、1週間以上経っても痛みが改善しない場合や、腕から手にかけてのしびれ、力が入りにくいなどの症状がある場合は医療機関を受診しましょう。また、発熱や強い頭痛を伴う場合や、転倒・交通事故などの外傷のあとに首の痛みが出ている場合も、別の原因が関係している可能性があります。

こうした症状が見られるときは、自己判断で様子を見続けるのではなく、整形外科のような専門医に相談しましょう。

寝違えに関するよくある質問

寝違えは身近に起きる症状だからこそ、入浴や湿布の使い分けなどの場面で、どうすればいいのか悩む人もいるでしょう。

ここでは、寝違えに関するよくある疑問にわかりやすく回答します。

お風呂で温めると早く楽になる?

発症直後は入浴により温まることで、かえって痛みを強く感じる可能性があります。

寝違えの初期は首まわりに炎症が起きていることもあり、特に熱感やズキズキする痛みがある場合は、まず冷やして様子を見る方法が基本です。

一方で数日経って熱感が落ち着き、こわばりが中心になってきた場合は、ぬるめのお湯で体を温めることで筋肉がゆるみ、楽に感じる可能性があります。症状の段階に合わせて、冷やすか温めるか切り替えることが大切です。

冷湿布・温湿布の使い分けは?

寝違えの症状に応じて、冷湿布と温湿布を使い分ける方法があります。発症直後で熱感やズキズキした痛みがある場合は、冷感タイプの湿布が合っている可能性があります。

一方、数日経って熱感が落ち着き、筋肉のこわばりが主な症状になっている場合は、温感タイプが合うと感じる人もいるでしょう。ただし、湿布はあくまで補助的な対処法です。皮膚が敏感な方はかぶれに注意し、長時間貼り続けないようにしましょう。

使用する際は製品の説明を確認し、違和感がある場合は使用を中止することが大切です。痛みが続く場合は、医療機関を受診しましょう。

寝違えで首が痛いときは、状態に合わせて無理なく対処しよう

寝違えを防ぐには、日常生活の見直しが重要です。枕や寝具が合っているかを確認し、疲れをためないよう意識しましょう。首は約4〜6kgの頭を支えているため、スマートフォンやパソコン使用時の姿勢にも注意が必要です。

こまめなストレッチで、首や肩まわりの血行を保つことも予防につながります。寝違えは突然の痛みを伴いますが、適切な対処により悪化を防ぎ、回復を助ける可能性があります。独活葛根湯などの漢方の考え方を参考にしつつ、ツボ押しやストレッチ、アイシングを状況に応じて取り入れる方法もあります。

ただし、無理に動かすことや発症直後に温める行為は控えましょう。痛みが強い場合や長引く場合は、医療機関を受診することが重要です。

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