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腸内環境を整える方法とは?
おすすめの食べ物や効果について徹底解説!

2023年8月24日

腸内環境とは、腸のなかの細菌を含めた、腸内全体のことを表します。

人の腸には、体内に住む細菌の9割にあたる1000種類・100兆個もの細菌が住んでいるといわれます。なんと細菌の重さだけで1〜2kgあるとか。

細菌は種類や性質によって集まり、腸の中で生態系を作り、毎日活動しています。その様子が品種ごとに並んだ「お花畑(Flora)」に似ていることから「腸内フローラ」とも呼ばれることもあります。

正式名称は「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」です。

腸内細菌には、一般的に3種類のグループがあり善玉菌と悪玉菌、どちらでもない日和見菌があるとされています。しかし、悪玉菌であっても全体のバランスが良ければ特に悪さをしなかったり、善玉菌と言われる種類だけが多くてもバランスが悪かったりと、単純に善悪では語ることはできません。

そして、腸内細菌のパターンは、人によって違い、母親の腸内細菌をベースに、食生活や生活環境によっても変化。抗生物質や食中毒によって細菌のバランスが崩れたとしても、元に戻る力があります。

腸内環境は、体に大きな影響を与えます。 細菌のバランスが崩れることで、お腹が痛くなったりするほか、便がかたくなりすぎたり、ゆるくなりすぎたりすることも。
この他にも、腸は体の免疫力、代謝、脳機能などの全身の働きに深く関わっています。

腸内環境を整えるメリット1:免疫力が上がる
外部から入ってくるウイルスや細菌から体を守るのが免疫。腸には、体の免疫細胞の70%が集まっていて、これを「腸管免疫」と呼びます。口や鼻からウイルスや細菌が入ってくることが多いため、これらの外敵から体を守るための免疫部隊です。
腸内細菌が免疫細胞のサポートもしているので、腸内環境を整えることは体の免疫力アップにもつながります。

腸内環境を整えるメリット2:代謝が上がり太りにくくなる
腸内環境がよいと、栄養をスムーズに吸収することができるので、体の隅々に栄養が行き渡りやすくなります。
代謝の役割を担っている肝臓にも栄養が効率よく運ばれて活発に働けるようになるので、代謝が上がります。そのほかの内臓も正常に働くので体温が上がり、カロリーが消費されやすい体になります。

腸内環境が悪いときに起こること

1.便秘や下痢
腸内環境が悪化したときに、すぐ症状が現れるのがお腹。便秘や下痢になったり、腹痛が起こったりします。
これは悪玉菌が優勢になったりして、腸内環境全体のバランスが崩れているために起こる症状です。
腸内環境がよい場合、食べ物は胃を通って小腸に届き、そこで栄養が吸収されたのちに、残りが大腸に送られて水分が吸収され、便として排出されます。

悪玉菌が優勢だと、腸内は悪玉菌が排出する毒性物質の影響で、便を送り出す蠕動運動の働きが鈍くなり、便秘になります。悪玉菌の毒性物質は、蠕動運動を活発化させすぎることもあり、この場合は下痢に。また、毒性物質が腸に吸収されて全身にまわると肌荒れを起こします。

クラシエ コッコアポ カラダのお悩みコラム(便秘)

2.免疫力の低下
腸内環境が悪いと免疫力も低下します。
なぜなら、小腸にある免疫細胞の集まる器官の働きが弱くなるためです。
細菌やウイルスが口や鼻から侵入して、ほとんどは胃酸で死滅しますが、一部は小腸まで侵入します。小腸の腸壁には、バイエル板という免疫細胞が集まる器官があり、体にとって悪影響のある細菌やウイルスを判断して、排除することができます。
しかし、腸内環境が悪くなると、バイエル板がよく機能せず免疫力が下がります。

腸内環境が悪い人の特徴とは?

腸内環境を悪化させる原因は、食べ物だけではありません。生活習慣や精神面も腸に大きく影響します。
下記のチェックシートで、あなたの腸内環境をチェックしてみてください。

当てはまるものが3個以下「腸内環境に注意」
4〜6個の人は「腸内環境が悪化ぎみ」
7個以上の人は「腸内環境改善必須」

□お肉が好きでよく食べる
□お菓子やスイーツをよく食べる
□野菜やきのこ類、海藻類をあまり食べない
□インスタントやレトルト食品をよく食べる
□満腹になるまでどか食いをしがち
□生活習慣が不規則である
□睡眠時間が6時間以下、または不十分と感じる
□運動が嫌い、運動しない
□まじめで几帳面と人からよく言われる
□コロナの前から、除菌・抗菌グッズを愛用

腸内環境を整える方法1:食事

腸内環境を整える食品は、実はたくさんあります。

ヨーグルトのほか、発酵食品、海藻や野菜・果物、大豆製品、チーズなど。食事だけでなくおやつにも、この中の食品を活用できると腸内環境が整いやすくなります。

・ヨーグルト
乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を食品で摂ることができるので、腸内フローラのバランスを整えて腸内環境を改善することができます。 最近では、さまざまな機能性を持った菌種で発酵したヨーグルトがありますから、自分の目的にあったものを選んでみましょう。

・海藻類
わかめ、寒天などの海藻類は、食物繊維が豊富。
海藻類の特徴は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」を両方含んでいることです。
水溶性食物繊維は、大腸のビフィズス菌や酪酸菌などの善玉菌のエサになる他、ミネラルの吸収をよくしたり、食物の消化吸収を穏やかにする作用があります。
不溶性食物繊維は、便を送り出す腸のぜん動運動を促す作用のほか、便の量を増やす作用も持っています
便秘の場合、不溶性食物繊維だけを摂ると、逆に悪化する場合があり、水溶性食物繊維だけ摂ると下痢をする場合がありますが、海藻は2種類の食物繊維を含んでいるので、腸内環境を整えるのに最適です。

・キムチ
白菜やきゅうりなどを発酵させたキムチは、生きて腸まで届く乳酸菌が豊富食物繊維も摂れるため、腸内環境改善に期待できます
ただし、あまりに辛いものは胃腸の刺激になるので注意を。

・納豆
納豆に含まれる納豆菌は、元々土壌に含まれる枯草菌の仲間で、腸内環境の改善に役立ちます
大豆のタンパク質やイソフラボンも摂れるので、とても栄養価の高い食品です。大豆に含まれる食物繊維は、腸内細菌のエサになりやすい種類です。
腸内環境を整えるなら、キムチやめかぶなどの食材と組み合わせるとなお◎。

・ぬか漬け
植物性の乳酸菌や酵母が含まれるぬか漬け。発酵によりビタミン類やミネラル類も増えるため、生野菜よりも栄養価がアップできるといわれます。 毎食、少しずついただくのがおすすめです。

・味噌
大豆を発酵させて作る味噌には、麹菌や酵母菌、乳酸菌などが含まれており、腸内環境を整える作用があります
特に、味噌汁は発酵食品の味噌と、食物繊維豊富な野菜やキノコ類を掛け合わせて作る最強の腸内環境改善メニュー。毎朝、1杯のお味噌汁は腸活に最適です。

・塩麹や醤油麹
発酵食品を食べるのはもちろん、調味料も発酵調味料にすると、腸内環境を整える作用がよりアップします
使い方はかんたん、塩の代わりに塩麹、醤油麹を使うだけ。ドレッシングの味付けにも塩麹や醤油麹を使って作れば、発酵メニューにグレードアップ。炒めものやスープにも活用できます。

・甘酒
飲む点滴と言われるほど栄養価が高い甘酒は、お米を発酵させていて、腸内環境を整える作用もあります
甘酒は、ビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖、食物繊維と似た働きを持つレジスタントプロテインを含んでいます。また、植物性セラミド「グルコシルセラミド」には善玉菌を増やす効果が。甘くておいしい甘酒は、食欲がない時の朝食代わりや手軽な腸活おやつにも。ただし ブドウ糖も含み糖質が多いので、血糖値の上昇には注意が必要です。

・きゃべつ、たまねぎ、ごぼう、りんご、ぶどう、バナナ(オリゴ糖を含む野菜や果物)
オリゴ糖はビフィズス菌など大腸の善玉菌のエサになる栄養素。これらの野菜や果物には、オリゴ糖が含まれているほか、食物繊維も豊富です。
腸内環境を整える栄養素がたっぷり含まれた食材は、積極的に食事に取り入れましょう。

・豆腐、きなこ、豆乳(大豆製品)
大豆にもオリゴ糖が豊富に含まれています。オリゴ糖は小腸から大腸まで届き、腸内の善玉菌を活性化してくれます
大豆イソフラボンが大腸のエクオール産生菌に代謝されると、女性ホルモンの不足による女性特有のゆらぎに役立ちます。
大豆製品は、毎食摂り入れたい食品です。豆腐は味噌汁の具や副菜として食事に、豆乳やきなこは混ぜておやつ代わりにも。

・チーズ
ヨーグルトほど乳酸菌は多くありませんが、チーズも乳酸菌を含む発酵食品です。 フランス料理では、消化を促すため食後に熟成したチーズを食べます。
腸内環境を整える作用を期待するなら、しっかりと発酵したパルメザンやカマンベールなどの熟成タイプを選びましょう。
プロセスチーズは、ナチュラルチーズを原料にして作られた加工食品で、加熱殺菌により乳酸菌や発酵食品に含まれる酵素が失われています。

腸内環境を整える方法2:運動

腸内環境を悪化させる原因は、食べ物だけではありません。生活習慣や精神面も腸に大きく影響します。

気持ちが良いと思える範囲の適度な運動は、全身の血流をよくし、自律神経のバランスを整え、腸内環境を整える作用があります。
散歩やストレッチなどの軽めの運動のほか、お腹に刺激を与えるために腹筋を鍛えるのもおすすめ。
ただし、激しい運動はストレスになり、腸内環境には逆効果です。無理のない範囲で続けられる運動を見つけましょう。

腸内環境を整える方法3:睡眠

脳と腸は、互いに影響し合う関係であることがわかっており、これを「脳腸相関」といいます。緊張やストレスでお腹の調子が悪いのは、脳と腸が深く関わっているからです。
睡眠は、脳の疲労を取るための大切な時間。脳をしっかり休ませて機能を回復させることで、腸内環境を整えることができると考えられます。
十分な睡眠時間はもちろん、ぐっすり寝てスッキリ起きられるように寝具を見直すことも、腸内環境の改善に繋がります。

腸内環境を整えることは、免疫力のアップ、脳への影響など、私たちの体全体の健康につながることがわかっています。
そのためには、規則正しい生活をベースに、腸によい食品を食事で摂取、適度な運動をし、質の良い睡眠を取りましょう。
生活習慣全体が腸に大きく影響するため、できるところから少しずつ腸内環境を整える生活にシフトしていきましょう。
どれも続けることが重要なので、自分にとって取り入れやすいところからはじめると習慣になりやすくなります。

腸内環境が悪化して、便秘に悩んで余分な脂肪もたまった人には、漢方を取り入れるのもおすすめです。
西洋医薬では、便と余分な脂肪、それぞれ局所的に対処していますが、漢方は便秘と脂肪の関係性から、体全体を整えて症状を一緒に改善します。
複数の生薬を組み合わせた「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」と「大柴胡湯(だいさいことう)」の2処方は便秘のほか、脂肪にも効果があることでよく用いられています。
ただし、それぞれ使う体質がちがうので、まずは自分の体質に合わせて処方を選ぶことが大切です。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」のタイプ:食べ過ぎや間食が多く、代謝が追い付かなくなることでお腹まわりに脂肪がつきやすくなるタイプ。このタイプは胃腸の働きが乱れて便秘にもなりがちです。
大柴胡湯(だいさいことう)」のタイプ:年を重ねることやストレスなどでホルモンバランスが乱れ、脂質代謝が低下し、上半身を中心に、筋肉の少ない二の腕・脇腹に溜まりやすいタイプ。また、このタイプは食生活が乱れやすく、便秘にもなりがちです。
「防風通聖散」と「大柴胡湯」の2処方は、ドラッグストア等でクラシエ薬品のコッコアポとして販売されていることがあります。漢方薬で自分にあう脂肪の減らし方を探したいときは、ぜひチェックしてみてください。

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からだにいいこと
記事監修
からだにいいこと編集部
創刊18周年を迎えた女性向けの健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。