不眠

ストレスが原因の症状に効く漢方とは? 症状別のおすすめ漢方を紹介

仕事や家事、育児など、職場や家庭で日常的にストレスを感じている人は多いとされています。ストレスに漢方がいいと聞いたことがある人も多いのでは? ここでは、そんなストレスに伴うさまざまな症状を軽減するために漢方を検討中の方に向けて、ストレスによる健康への影響やおすすめの漢方、そのほかの対処法などをご紹介していきます。あなたのストレスの軽減に役立つ情報をチェックしてみてください。

目次

ストレスによる健康への影響

なにかとストレスを感じやすい現代では、「眠れない」「疲れがとれない」といった症状を訴える人が増えています。ストレスは、心や体などのデリケートな変化によって、さまざまな病気を引き起こす要因になることもあります。

からだに与える影響

ストレスによって体にあらわれる症状としては、主に以下のようなものがあげられます。

  • 頭痛(片頭痛、緊張型頭痛)
  • めまい
  • ぜんそく
  • 高血圧
  • 胃痛
  • 下痢、便秘
  • 腰痛
  • 更年期障害
  • 睡眠の不調(寝つけない、睡眠中よく目が覚める、寝過ぎてしまう)
  • 食欲がなくなる

現代社会で生活していくうえで、ストレスは避けて通れないものですが、過剰なストレスは注意が必要です。ストレスを抱え過ぎていないか、ときどき自分が普段と変わりないかを見つめてみて早めに対処するように心がけましょう。

心に与える影響

ストレスは心にも大きく影響し、以下のような変化が現れることもあります。

  • これまで楽しんでいたことへの興味が薄れる
  • 憂うつ感、焦燥感
  • イライラして怒りやすい
  • つねに落ち込んでいる
  • 集中することができない
  • 心の病(うつ病、不安症)

深刻な状況になる前に、今感じているストレスを軽減することで、症状を抑えられる可能性があります。また、こうしたストレスから来る変化は、誰にでも起こりうることである、と自覚しておくのも大切です。上記のような不調のサインを知っておいて、自分にあてはまっていないかどうかをときどき考えてみましょう。

未病を引き起こすストレス

病気ではないものの、なんとなく具合が悪いという、病気と健康の間の状態は、未病と呼ばれています。自律神経のバランスが乱れ、免疫力が低下している状態です。未病のサインは疲れといわれ、いろいろな生活場面でストレスが体調に関与し、疲れを起こすため、未病の最も大きな要因のひとつがストレスだと考えられています。また、仕事や家事などがストレスを生み、ストレスが未病をまねいて、結果的にまた未病が仕事や家事にも影響するという悪循環が起こりやすいとされています。

忙しい毎日のなかでは、疲れやストレス、体調不良に気づいていながら、改善しようとするまでには至らないのが実情です。しかし、未病の状態を放置すると、悪化しやがてさまざまな病気へとつながります。未病の段階でいち早く変化に気づけば、ストレス要因に気づいて、病気になる前に、本来の健康な体へ戻すことができます。つねに自分の体と向き合うよう心がけたいですね。

症状別おすすめ漢方

「病は気から」とよくいわれるように、ときとして心の状態は体に大きな影響を与えます。漢方薬は、こうした心と体のデリケートな変化にも細やかに対応し、ストレスによる不安神経症、神経質、不眠の症状などを改善していきます。

ストレスなどでイライラする不眠症の方に

精神的に不安定で、なかなか眠れない方

  • 柴胡加竜骨牡蛎湯のイメージ
  • こんな症状に心当たりはありませんか?

    • 寝つきが悪い
    • イライラしやすい
    • 普段からストレスを感じる
    • のぼせやすい
    • あれこれ考えて眠れなくなる

おすすめの漢方処方

柴胡加竜骨牡蛎湯

「クラシエ」漢方柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒

第2類医薬品

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、小児夜泣き、便秘

貧血や疲れやすい方の不眠症に

顔色が悪い、ぐっすり眠れない方、疲れが取れない方

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  • こんな症状に心当たりはありませんか?

    • 眠りが浅く何度も目が覚める
    • よく夢をみる
    • 疲れやすい
    • 食欲がない
    • 年とともに眠れなくなった

おすすめの漢方処方

加味帰脾湯

加味帰脾湯エキス顆粒クラシエ

第2類医薬品

加味帰脾湯(かみきひとう)

体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うものの次の諸症:貧血、不眠症、精神不安、神経症

ストレスへの対処法

ここでは、漢方薬でのアプローチ以外の養生法やストレス軽減方法をご紹介します。

十分な休養を取る

「休養」は疲労やストレスと関連があり、2つの要素からなっています。1つは「休む」ことです。仕事などによって生じた心身の疲労を回復し、元の活力ある状態に戻していきます。2つ目は「養う」ことです。鋭気を養い、身体的、精神的、社会的な健康能力を高めていきます。

「休養」といっても、単に家でごろごろして過ごすだけでは真の「休養」とはなりません。質の高い睡眠を十分にとったり、リラックスしたり、自分と向き合う時間をつくったりすることで、心身のエネルギーをチャージすることが重要になります。体力、気力を養い、明日へ備えることなどが真の休養につながります。

リフレッシュできることをする

リフレッシュ方法は心と体の双方をケアすることが大切です。まず、心のリフレッシュでは、疲れた心を上手に休ませてあげるのがポイントです。たとえば、買い物に出かける、美味しいものを食べに行く、自分の趣味に没頭する、などです。次に、体のリフレッシュでは、良質な睡眠を取る、マッサージや温泉で癒される、スポーツで汗を流してスッキリする、などです。

単にダラダラ休むというより、自分に合った体力、気力のチャージ方法を見つけて、積極的に行いましょう。

生活習慣を変える

ストレスの対処法は、健康的な生活習慣も影響するといわれています。健康的なライフスタイルはストレスケアの基本となりますので、以下の項目について、とくに気をつけておきましょう。

  • 十分な睡眠をとる
  • 規則正しく食事をとる
  • 標準体重を保つ
  • 適度に運動を行う
  • 禁煙する
  • お酒を飲む場合は適度な量を心掛ける

まとめ

ストレスをためこむと、心と体にさまざまな影響を及ぼします。日頃から自身の不調のサインを気にするようにして、もし、心や体に変化が現れたら早めの対処が大切です。心と体のデリケートな変化にも症状別に対応できる漢方薬でのケアを試してみて、それでも、不十分な場合は、医療機関での受診をおすすめします。

不眠Q&A 漢方のギモンを解決!

Q 何か飲み込んでひっかかっているようなのどの違和感・・・私も経験あるのですが、普段から気をつけることってありますか?
A ストレスや疲労のせいで自律神経がバランスを崩し、気管や食道の平滑筋が緊張したり、けいれんしたりして起こると考えられています。漢方的には、気が滞っていると考え「梅核気(ばいかくき)」と呼びます。不快なのに実際には何もないので、吐いても何も出ず、飲み込んでも楽にならないという、やっかいな状態です。体を動かさないでいると症状が悪化することもあるので、適度な運動を心がけましょう。ほかに、香りの強い食べ物やお茶などは、気の通りを良くするといわれています。
Q 細かいことがどうしても気になる性質なのですが・・・。気にしないで過ごす方法ないですか?
A 人間は、体を活発にさせるためにはたらく交感神経と体を落ち着かせるためにはたらく副交感神経が交互にはたらくことで健康を維持しています。二つの神経のバランスがストレスなどによって崩れ、交感神経ばかりがはたらいている状態になってしまうと、上手く気分を切り替えることができず、些細なことを必要以上に気にしたり、クヨクヨしたりします。副交感神経がはたらかないことで食欲がわかず、十分な栄養や休息がとれなかったりするために、疲れやすく体力がないのも特徴です。バランスのよい食事と十分な休養を心がけ、適度にストレス発散できる趣味を持つことが大切です。
Q 不眠の効能のある漢方薬は即効性がありますか?
A 漢方薬は服用してすぐに眠くなるというものではなく、体の不調を改善して、不眠を改善していこうというものです。朝、昼、夜ときちんと服用することで、体が眠りのサイクルをとり戻していきます。不眠の漢方治療の特長は、自然な眠りに導くこと、そして最終的には、薬に頼らなくても眠れるようにすることです。
Q 不眠の漢方薬を長期に服用しても大丈夫ですか?
A 習慣性や依存性のある成分は配合されていませんので、基本的には長期に服用しても大丈夫です。ただし、1カ月ぐらい服用しても症状の改善が見られない場合は、その漢方薬が合っていない可能性がありますので、もう一度症状を確認して薬を選び直してください。
Q 不眠の漢方薬の効果的な服用方法はありますか?
A 西洋薬のように、眠れないときに頓服的に服用するのではなく、漢方薬は朝、昼、夜ときちんと服用してください。きちんと服用することで、体の不調を改善し、眠りのサイクルを取り戻して、不眠を解消していきます。
Q 眠れないので寝酒をついついしてしまうんですけど、これって問題ありますか?
A 寝酒は寝つきを良くしますが、眠りを浅くして、夜中や早朝に目が覚めやすくなります。また、眠るために毎日お酒を飲み続けていると、だんだんと眠るまでに必要な量が増えてしまうことも。肝臓などに悪影響が出ることもあるので、寝酒はできるだけ控えるようにしましょう。