漢方について知る

漢方薬みんなのギモン

漢方薬の定義について

Q 漢方薬とはどのようなものですか?
A 漢方薬は、植物、動物、鉱物などの生薬を組み合わせて作られる治療薬です。漢方薬に使用している生薬は、食品として利用されているものも多くあります。さまざまな症状を改善するために、これらの生薬をどのように組み合わせて服用すれば効果的か、経験のなかからまとめ、体系づけたのが漢方薬で、医療用では148品目が医薬品として保険の適応が認められています。
Q 和漢診療とは何ですか?
A 一般的に漢方薬を用いた内科のことを指します。「漢方」と「西洋医学」の長所を伸ばし、短所を補う診療です。漢方的な診断と西洋医学の診断をあわせて行い、治療は、漢方薬を中心に、必要であれば、西洋医学の治療法を併用していきます。
Q 証(しょう)とは何ですか?
A 漢方治療の最も大きな特徴は、漢方医学的に診断して治療することにあります。これを「証をみる」といいます。証をみて漢方薬を選ぶと、高い効果を発揮し、かつ、副作用を少なくすることができるとされています。「証」とは、自覚症状及び他覚的所見からお互いに関連し合っている症候を総合して得られた状態(体質、体力、抵抗力、症状の現れ方などの個人差)をあらわす漢方独特の用語で、治療の指示(処方の決定)につながります。言い換えると、からだが病気とどんな戦い方をしているかをみるもので、体質や抵抗力、病気の進行度などをあらわします。漢方では、その時のからだの状態を次のような観点から判断していきます。

例えば、
  • 冷えや寒さなどを感じているのか、ほてりがあって暑がっているのか。
  • 体力があり病気に対する抵抗力がある状態なのか、体力が低下していて病気に対する抵抗力が弱い状態なのか。
  • かぜの場合には、かかったばかりなのか、かかってから何日か経過して胃や腸の具合も悪くなっているのか。

こうした診断をすることが民間薬との最も大きな違いです。漢方の優れたところは漢方薬そのものもさることながら歴史に裏付けられた「証」の考え方と使い方にあります。

漢方薬の違いについて

Q 病院などで処方してもらう漢方薬と、ドラッグストアなどで自分で選べる漢方薬の違いは何ですか?
A 漢方薬(漢方製剤)に含まれる生薬成分は同じです。医療用漢方製剤が医師の診察に基づいて選ばれるのに対し、ドラッグストアなどで売っている一般用漢方製剤は、服用者自身で選び、購入することができます。なお、一般用漢方製剤は安全性を考慮して、1日の服用量中の成分量が少ない場合があります。
Q 漢方エキス剤と煎じ薬の違いは何ですか?
A 漢方エキス剤は煎じた液の水分を飛ばして粉末にしてから顆粒や錠剤にします。どちらも全く同じとは言えませんが、煎じ薬とエキス製剤は、生活スタイルなどを考慮して、使い分けができます。なお、エキス製剤は持ち運びも便利で煎じる手間もいらず、手軽に服用できるので広く用いられています。
Q 漢方薬と民間薬はどう違うのですか?
A 漢方薬と民間薬はどちらも生薬を使用して、何らかの薬効があり、古くから伝統的に使われてきたという点では同じです。しかし、漢方薬は漢方医学の理論に基づいた処方の構成がなされており、原則として複数の生薬が配合され、製法・用法・用量が決まっています。一方で、民間薬は伝承的・家伝的な薬で、多くが1種類の生薬からなり、用法・用量も詳細な規定は無いといえます。

漢方薬の効果について

Q 漢方薬を服用しても症状が改善しない場合は、どのようにすればよいでしょうか?
A 漢方薬は証・体質や症状などによって合う、合わないがあります。症状が良くならない場合は薬が合っていない可能性がありますので、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。
Q 漢方薬の効果を高めるにはどのような方法がありますか?
A 少しでも早く症状が楽になるよう、効果的にするには「養生(ようじょう)」も必要です。食生活の見直し、規則正しい生活、腹八分目、体を冷やさない、適度な運動で血行を良くする、などをあわせて行えば体内が活性化して効果も高まりやすくなります。処方にあった具体的な養生法は、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。

注意点・副作用について

Q 漢方薬に副作用はありますか?
A 「漢方薬に副作用はない」というイメージがありますが、副作用がまったくないとはいえません。生薬のなかで、副作用の反応を起こしやすいものをあげると、以下のようになります。

・附子(ブシ)
使われている漢方薬:八味地黄丸、桂枝加苓朮附湯など
注意したい副作用:熱感、ほてり、発汗、しびれなど

・大黄(ダイオウ)・芒硝(ボウショウ)
使われている漢方薬:桃核承気湯、防風通聖散、大黄甘草湯など
注意したい副作用:腹痛、下痢、食欲不振など

・麻黄(マオウ)
使われている漢方薬:葛根湯、麻黄湯、麻杏甘石湯、小青竜湯など
注意したい副作用:食欲不振、多汗、不眠、動悸など

・甘草(カンゾウ)
使われている漢方薬:芍薬甘草湯など漢方薬の約7割に配合されている
注意したい副作用:むくみ、血圧上昇など
Q 高齢者が漢方薬を飲むときに注意することはありますか?
A 高齢者の方の特徴として、「代謝・排泄機能の低下」があげられます。よって、薬の種類や量に対する反応もさまざまです。必ず服用前に医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。
Q 漢方薬は西洋薬に比べて、副作用が少ないですか?
A 漢方薬は一般的に副作用が少ないと思われている方がいるようですが、どんな薬でも薬効があるのと同時に副作用があります。
詳しくは医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。
Q 漢方薬を飲んでアレルギーが発生する場合はありますか?
A 漢方薬を服用することで発疹などの過敏症を呈することがあり、まれではありますが、アレルギー性の肝炎、間質性肺炎、膀胱炎なども報告されています。漢方薬は、動植物の抽出物であり、成分の種類が多く、多糖類やたんぱく質も含んでいることから、アレルギーを起こす可能性があるという認識をもっておきましょう。

購入時について

Q 初めての漢方薬は、どのように選ぶのが良いですか?
A 漢方薬を選ぶには、自分の体質と症状を正しく知ることが大切です。「漢方セラピー」では、体質チェックや症状・悩みから漢方薬を知るコンテンツがありますので、自分にあった漢方薬を見つけてみてください。購入時には、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。
Q 友人と同じ漢方薬を購入するにはどうすれば良いですか?
A 漢方医学は、個人個人の体質を重んじる医学であり、他の人に良かった漢方薬と同じものが本人にも良い、という保証はありません。また、西洋医学の診断で同じ病名がついても、漢方医学的な診断が違う場合には使う薬も違います。自己判断で服用せずに必ず医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。
Q 病院でもらっている漢方薬を購入するにはどうすれば良いですか?
A 医療機関を受診して処方される医薬品は、原則的に医師の診断が必要になりますので、医療機関を受診してください。なお、同一処方で成分量が少ない一般用医薬品の漢方薬は、ドラッグストア等で購入することができます。購入時には、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。
Q 漢方薬を購入するにはどうすれば良いですか?
A 漢方薬には、医師が処方する医療用のものとドラッグストア等で購入できる一般薬があり、医師、薬剤師または登録販売者からの説明をよく受け、注意して使うようにしましょう。漢方薬は漢方に詳しい医師・薬剤師と相談のうえ服用するようにしましょう。

服用方法について

Q 期間はどの程度服用すると効果が出ますか?
A 症状の度合いや期間の長さ、体質や生活習慣などで効果の発現は個人差があります。添付文書をよく読んでから試してください。1~2カ月間服用して効果が出ない場合は、継続か変更かの判断は医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。
Q 服用して効果が出た場合、服用をやめても問題ないですか?
A 服用前の気になる症状がなくなった時点で服用を中止してください。ただ、気になる症状が残っていても、医師、薬剤師または登録販売者から服用中止の指示があった場合は、その指示に従い、服用を中止してください。
Q 漢方薬を他の薬と服用しても問題ないですか?
A いくつかの漢方薬を併用した場合や、西洋薬の成分が漢方薬と重なった場合、とくに甘草(カンゾウ)、麻黄(マオウ)、大黄(ダイオウ)、附子(ブシ)などが含まれている漢方薬は注意する必要があります。服用前に医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。
Q 効き目が感じられない場合、飲む量を増やしても問題ないですか?
A 「用法・用量」に従って服用してください。効き目がないからといって、服用量を増やさないでください。効果が強く出過ぎてしまったり、好ましくない症状が出やすくなる可能性がありますので、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。
Q 漢方薬(顆粒剤)を飲みやすくするコツはありますか?
A 漢方薬(顆粒剤)を口に入れる前に、まず、水を口に含みます。その水の上に漢方薬を落として、水と漢方薬をいっしょに飲みます。そのあと、また水を飲んでください。
Q 何時頃を目安に服用するのが適切ですか?
A 漢方薬は一般的には、食前(食事の30分~1時間前)や食間(食事と食事の間のことで食後2時間位)に飲みます。用法・用量を確かめて、指示に従って飲んでください。何らかの理由で、どうしても食前や食間に飲めない場合は、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。
Q 飲み忘れた場合、1回で複数回分を服用しても問題ないですか?
A 2回分を1度に飲むことは止めて、1回分だけ飲むようにしてください。その場合、1日2回服用の薬は次の服用までの間隔を6時間以上、1日3回服用の薬は4時間以上あけるようにしてください。
Q 漢方薬を複数種類、まとめて飲んでも問題ないですか?
A 複数の漢方薬を同時に服用してしまうと、それぞれの漢方薬に含まれる生薬のバランスが乱れ、適切な効果を発揮することができない場合があります。相反する効果を持つ漢方薬を併用してしまうと、それぞれのよい効果が得られない場合もあります。併用については、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。

保管方法について

Q 漢方薬の保管方法はどのようにするのが適切ですか?
A 生薬・漢方エキス剤ともに風通しの良い、直射日光の当たらない湿気の少ない涼しいところに保管しましょう。品質を保持するため、また誤用をさけるため、他の容器に入れ替えないようにしましょう。
Q 漢方薬に使用期限はありますか?
A 一般的に未開封では3年~5年といった期間で使用期限が設定されています。ただし、漢方薬はそのときの症状、体質にあわせて処方されています。現在の症状と処方当時の症状が同じかどうかはわかりませんので、以前使用した漢方薬をそのまま服用することはおすすめできません。処方された医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。

くすり全般について

Q 女性によく使われる漢方薬を、男性が使用することはできますか。
A 「証」と症状が合えば、男性もご使用いただけます。
Q 漢方薬の製品名で、「料」がつくときとつかないときの違いは何ですか。
A 行政通達により散剤・丸剤で服用する漢方薬をエキス剤にした場合に、処方名の後には「料」という字を加えるようになっています。
Q 市販の漢方の錠剤ですが、5歳未満がのめないのはなぜですか。
A のどに詰まりやすいという理由から、錠剤の大きさが6mm以上のものは5歳未満は服用できません。また、6mm未満の場合でも、錠剤は3歳未満は服用できません。
Q 添付文書に「服用前に高齢者は医師、薬剤師または登録販売者に相談すること」と書いてありますが、高齢者とは何歳からをいいますか。
A 高齢者とは一般的には65歳以上の方をいいます。高齢者の方は肝臓や腎臓など体の代謝機能や心臓の機能が低下している場合があるため、服用前に医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。