漢方について知る

漢方は効かない?
効果を得る方法や漢方のメリットについて解説

西洋薬と比較して、漢方は効かないのではないかと考えている人もいるかもしれません。果たして漢方は自分の病状に効くのか。漢方の効き目を知って、体質の見直しに役立ててください。

漢方は効く? 効かない?

漢方とは

さまざまな生薬の組み合わせによって、その人の体質に合わせて症状に対応できる漢方薬は、何千年もの歴史があり、治療効果のあるものが今日も医薬品として用いられています。「漢方」とは鍼灸や食養生も含めた医学を意味しており、「漢方薬」は、漢方医学の理論に基づいて処方される医薬品のことです。

漢方の基本は、“人間の体も自然の一部”という考え方です。“病気ではなく病人をみる”、という考えで、体の一部分だけにスポットをあてるのではなく、体質や生活習慣から体全体の状態のバランスを総合的に見直し、整えるといった特徴があります。


漢方薬の副作用

漢方薬は一般的に副作用が少ないと思われている方がいるようですが、どんな薬でも薬効があるのと同時に副作用もあります。生薬のなかで、比較的副作用が起こりやすいとされているものをあげると、以下のようになります。

附子(ブシ)注意したい副作用:熱感、ほてり、発汗、しびれなど
大黄(ダイオウ)・芒硝(ボウショウ)注意したい副作用:腹痛、下痢、食欲不振など
麻黄(マオウ)注意したい副作用:食欲不振、多汗、不眠、動悸など
甘草(カンゾウ)注意したい副作用:むくみ、血圧上昇など

西洋薬・西洋医学との違い

西洋医学と東洋医学の違いは、体の治し方にあります。西洋医学は投薬や手術といった方法で、体の悪い部分にピンポイントにアプローチして治療していきます。一方、東洋医学は病気や症状の発生部位ではなく、体質にアプローチして改善していく治療法です。東洋医学の領域では、具体的には鍼灸やあん摩、漢方薬といった方法で治療を進めていきます。また、病気を未然に防ぐため、日頃から疲れを溜めず抵抗力をつけておくというのも、東洋医学の考え方です。西洋医学と東洋医学は、どちらが良い悪いというものではなく、個人個人のからだの状態に合わせて選んでいくことが大切です。

飲み続けないと効かない? 漢方の服用期間とは?

顆粒の場合、漢方薬を口に入れる前に、まず、水または白湯(さゆ)を口に含みます(この時点では水は飲み込みません)。漢方薬を口漢方薬は長く飲み続けないと効果がない、慢性的な症状にしか効かない、というイメージをもつ方も多いかと思いますが、速効性のある漢方薬もなかにはあります。薬効や症状によって大きな差がありますが、たとえば、こむら返りに使う漢方薬「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」は比較的少ない服用回数で改善が期待できます。

効きめで選ばれている! 漢方の効果とは?

漢方の歴史と効果

漢方という名前は、江戸時代に日本で盛んになった西洋医学を「蘭方」と呼んだことに対して、漢の時代に伝わった東洋医学として「漢方」と名づけたことに由来します。漢方薬は長い歴史の中で、さまざまな作用を持った植物や動物、鉱物など、天然の素材を複数組み合わせて作られてきました。体のバランスを整えたり、巡らせたりといった考え方が根本にあります。

日本漢方生薬製剤協会が行った医師への漢方薬の処方実態についての調査(2011年)を見てみると、漢方薬を処方している医師は約9割にのぼり、治療の効果や、患者さんの満足度等で高い評価を得ていることがわかります。


女性特有の悩みへの効果

女性の体は、毎月の月経によって女性ホルモンの分泌の波に影響され、冷えたり、むくんだり、イライラしたりと、さまざまな不調を感じやすくなっています。また、ホルモンバランスの変化によって左右される体調コントロールの難しさに、悩んでいる人も少なくありません。女性ホルモンの変化は、女性の人生にも大きく影響します。思春期、妊娠・出産期、更年期はホルモンの分泌が大きく変動し、さまざまな不調が起こりやすい時期です。漢方は、こうした女性特有の悩みに対しても、心身全体の調和をはかることで対応していきます。

漢方が効かない場合には?

漢方薬は証(※)や症状などによって合う、合わないがあります。こういった条件をそろえて使用しても症状が良くならない場合は薬が合っていない可能性がありますので、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。
※証:自覚症状及び他覚的所見からお互いに関連し合っている症候を総合して得られた状態(体質、体力、抵抗力、症状の現れ方などの個人差)をあらわす漢方独特の用語で、治療の指示(処方の決定)につながります。

「漢方が効かない」を回避するための選び方

専門家に相談する

漢方薬は、その人の体質や症状に合っていないと十分に効果を発揮してくれません。漢方では症状だけではなく、一人ひとりの体質に合わせて漢方薬が処方されています。体質や体型、体力、症状の現れ方などを考慮して、最も合っている漢方薬を選ぶことが大切です。医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。


併用は専門家に相談する

まず、漢方薬に限らず、薬を併用する場合は、必ず、医師、薬剤師に相談しましょう。西洋薬でも漢方薬の成分と重複することがあるため、注意する必要があります。2種類以上の薬を同時に服用する場合に問題となるのは、一方の薬の薬効が期待通りに現れなかったり、逆に薬効が増強されたりするなど、思わぬ現象(相互作用)が起きることです。2カ所以上の病院や薬局でもらったお薬を自分の判断で併用することは、絶対に避けてください。


病状に合った漢方を選ぶ

漢方薬は基本的に病名に合わせて薬を選ぶのではなく、症状に対して使用するため、「ほかの人に効いたから自分にも効く」とは限りません。自分の体質に合った漢方薬を選ぶ事が大事です。

まとめ

いかがでしたか? 漢方の効果を得るための方法についてご紹介してきました。暮らしのなかに漢方をうまく取り入れて、その効果を実感してみてください。

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