かぜのときに出る鼻水、対処法は?
止まらない鼻水や鼻炎の原因も解説 最終更新日 2023年11月30日

鼻水はかぜの時の代表的な症状のひとつです。しかし鼻水がなかなか止まらず、つらい思いをすることも。
そもそも、かぜをひいた時の止まらない鼻水はどこからどんな理由で出てくるのでしょうか。また、鼻水にも何か役割があるのでしょうか。

ここでは鼻水にまつわるさまざまな疑問について解説し、鼻水がひどい時の対処法を紹介します。

かぜのときに鼻水が出るのはなぜ?

かぜのときに鼻水が出るのは、かぜの原因となるウイルスなどの異物を洗い流して排除する「生体防御反応」です。

鼻水は、鼻粘膜から分泌された水分や粘液、血管から漏れ出た水分などが合わさって作られています。そのほとんどは鼻から入る空気の加湿・加温や、ゴミなどの異物をからめ取って排除するのに利用されています。

しかしウイルスなどの病原体が鼻腔に入ったり炎症が起きたりすると、脳から鼻水の分泌を増やすように指示が出ます。
その結果、普段よりも多くの水分が鼻粘膜の鼻腺から分泌されたり、血管から漏れ出る水分が増えたりすることで、鼻水の量が増えて流れ出てくるのです。

かぜのときに鼻づまりが起きる理由は?

かぜの時に鼻づまりが起きる理由は、主にふたつあります。

まず、かぜの時にウイルス感染などにより鼻粘膜に炎症が起きると、鼻粘膜に通っている細い血管に作用して鼻水の量が増えます。また、鼻粘膜の血管を拡張するため鼻粘膜が腫れて狭くなり、結果として鼻づまりが起こります。

もうひとつの理由として、鼻の「甲介(こうかい)」という部分が腫れて鼻づまりが起こります。
甲介とは、鼻の左右を隔てる「鼻中隔(びちゅうかく)」という仕切りの両側に、ひだ状の粘膜をもつ軟骨のような組織のことです。
甲介には、伸び縮みして入ってくる空気を加湿・加温する役割があるのですが、この組織がかぜのウイルスなどに感染して炎症が起きると、腫れて空気が通りづらくなり、鼻づまりとなります。

これはかぜ?症状で見分ける
鼻水の原因

鼻水が出る原因として、かぜやアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などがあります。それぞれ鼻水の症状やともなう他の症状、経過などの特徴が異なります。

鼻水の症状などの特徴は、鼻水の原因を見分ける判断材料になります。かぜの原因の主な特徴を説明していきましょう。

かぜのときには?

かぜのときの鼻水は、最初は水っぽく、次第に粘り気のあるもの(色つき)に変わることが多いのが特徴です。鼻の周りにある骨の空洞部分である副鼻腔の粘膜にも炎症が起きると、さらに黄色い粘りのある鼻水へと変わります。

鼻水の原因がかぜの場合、鼻水の症状の他に、以下のような症状や経過も目安になります。

〈 かぜの特徴 〉

  • 鼻水の状態

    最初は水っぽく、次第に粘り気のあるもの(色つき)に変わることが多い

  • その他の症状など

    発熱、寒気、頭痛、関節痛などの症状をともなうことが多い

  • 症状が起きる期間の目安

    一連の症状は1週間程度で治まることが多い

アレルギー性鼻炎(花粉症など)の
ときには?

花粉症などのアレルギー性鼻炎の鼻水は、透明で水のようにサラサラした鼻水が多量に出るのが特徴で、かぜのときのように色の付いた鼻水が出ることはあまりありません。
ただし、鼻粘膜の炎症がひどい場合には粘膜細胞が傷つき、死んだ細胞が膿となって排出されると色の付いた鼻水が出る場合があります。

鼻水の原因がアレルギー性鼻炎の場合、鼻水の症状の他に、以下のような症状や経過も目安になります。

〈 アレルギー性鼻炎(花粉症など)の特徴 〉

  • 鼻水の状態

    透明で水のようにサラサラした鼻水が大量に出る

  • その他の症状など

    ・くしゃみが連続して出ることが多い
    ・目がかゆくなることが多い
    ・発熱しない

  • 症状が起きる期間の目安

    アレルギーの原因物質(アレルゲン)がある限り症状が続く

副鼻腔炎のときには?

副鼻腔炎の鼻水は、黄色く粘りがあるのが特徴です。鼻水がのどに流れる後鼻漏(こうびろう)や鼻づまりをともなうようになります。

ウイルス性のかぜに引き続いて起こる急性副鼻腔炎は、通常1週間程度で自然に回復しますが、膿が排出されにくい鼻の構造的な問題やアレルギーなどの基礎疾患があると、細菌感染に移行しやすくなります。
慢性副鼻腔炎になると色が濃い緑色で粘りの強い鼻水に変わり、臭いが出ることもあります。

鼻水の原因が副鼻腔炎の場合、鼻水の症状の他に、以下のような症状や経過も目安になります。

〈 副鼻腔炎の特徴 〉

  • 鼻水の状態

    ・黄色から緑色の粘り気のある鼻水
    ・鼻水の色が濃くなりがち

  • その他の症状など

    頭痛や頬の痛み、倦怠感などをともなうことも。

  • 症状が起きる期間の目安

    症状が気になったら、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

出典:急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン(2013年追補版)/2.急性鼻副鼻腔炎の診断―スコアリングと重症度分類

かぜのひきはじめ~治りかけにおける
鼻水の役割

かぜのときの鼻水は、かぜの経過にしたがって水っぽい鼻水から粘り気のある鼻水へと変化します。
それぞれどのような役割があるのでしょうか?説明していきます。

ひきはじめの
「サラサラした水っぽい鼻水」

かぜのひきはじめの鼻水の役割は、鼻腔に侵入したウイルスなどの病原体などを洗い流して排出することです。
鼻の粘膜にある神経がウイルスなどの病原体を察知すると、生体防御反応のひとつとして病原体を排出するために、脳から通常より多くの粘液や血漿成分由来の水分を分泌するよう指令が下り、さらさらとした水っぽい大量の鼻水が出るのです。

治りかけの「粘り気が強い鼻水」

かぜが治りかけてくると、鼻水は黄色くなり粘りが強くなりますが、これは免疫機能が働いている証拠です。
ウイルスや細菌の死がいなどの膿、免疫細胞である白血球などが混ざるため、鼻水に色が付き粘り気が強くなります。

かぜの鼻水がひどいときの対処法

かぜの鼻水がひどいと、鼻が赤くなってヒリヒリしたり集中力が欠如したりしてつらいものです。ここでは、少しでも楽になる対処法を紹介します。

タオルや蒸気などで鼻を温める

蒸しタオルを鼻や顔にあてると血行が良くなり、温かい蒸気が鼻腔にひろがり加湿されることで鼻水の症状が和らぎます。

熱いお湯をマグカップなどに入れて、やけどに気を付けながら直接蒸気を吸うのもおすすめです。また、鼻や顔だけでなく体を温めると全身の血行が良くなり鼻水も和らぐので、かぜのときでも熱がなければシャワーや入浴するのもよいでしょう。

体を温めて安静にする

水っぽい鼻水が出はじめたら、体をあたためて安静にし、免疫力を高めて早くかぜが治るように努めることが大切です。
栄養をしっかり摂り、十分な睡眠を心がけましょう。

加湿や保温を心掛ける

鼻水がひどい時には、鼻腔の加湿や保温を心掛けると鼻水が和らぎます。鼻が乾燥したり冷たい空気を吸い込んだりすると刺激となり、さらに鼻水がひどくなることがあるからです。

鼻の加湿や保温にはマスクが効果的です。また冬は空気が乾燥し、夏でもエアコンで室内は乾燥しがちなため、加湿器などを利用して部屋の湿度を50~60%に保つようにしましょう。

出典:鼻水(サラサラと水っぽい)が止まらない原因と対処法/老木医院

漢方を活用する

つらい時には漢方薬を活用するのもおすすめです。鼻水に効果が期待できる漢方薬を紹介しましょう。

葛根湯(かっこんとう)

葛根湯は、からだをあたためて免疫力を高め、かぜの回復を助ける漢方薬です。
水っぽい鼻水が出はじめる「かぜのひきはじめ」に服用すると効果的です。体力が中等度の方に適しています。

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麻黄湯(まおうとう)

麻黄湯も葛根湯と同様、体を温めてかぜの回復を助ける漢方薬です。
水っぽい鼻水が出て、体がぞくぞくして寒気で震えるような時に服用すると効果的です。葛根湯より体を温める力が強いため、日頃から体力のある方におすすめです。

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小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

小青竜湯は、体を温めることで身体の水分代謝を整える漢方薬です。体力が中等度または虚弱な方に適しています。

詳しくはこちら

葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)

葛根湯加川芎辛夷は、体を温める葛根湯に余分な水分を排出させる生薬を配合することで、鼻水・鼻づまりに効果が期待できる漢方薬です。
鼻づまりが強く息苦しい時や、鼻づまりが長引いている時に適しています。

正しい鼻のかみ方は?

正しく鼻をかむために、正しい鼻のかみ方と、鼻をかむ時に注意することについて説明します。

正しい鼻のかみ方

  • ① 片方の鼻をしっかり押さえます。

    片方ずつ鼻をかむために、反対の鼻をしっかり押さえましょう。

  • ② 口から息を吸います。

    鼻水を押し出すために、口から空気を吸って鼻から空気を出すのを助けましょう。

  • ③ ゆっくり少しずつかみます。

    一気に勢いをつけて鼻水を押し出すのではなく、ゆっくり少しずつかむようにしましょう。

鼻をかむ時に注意すること

  • ① 強く鼻をかまないこと

    鼻血が出たり、耳が痛くなったりすることがあるため、強くかんではいけません。

  • ② 両方の鼻を一緒にかまないこと

    ウイルスや細菌が鼻の奥の方に流れて副鼻腔炎の原因になることがあります。

  • ③ 鼻をすすらないこと

    ウイルスや細菌を含んだ鼻水を吸いこむと、副鼻腔炎や中耳炎の原因になることがあります。鼻水はすすらずこまめに鼻をかむようにしましょう。

鼻水がいつまでも止まらない、
長引くときは?

鼻水がいつまでも止まらず、長引く時はどうしたらよいのでしょうか?目安になる症状や時期、対処法について説明していきます。

鼻水が7〜10日続いている場合

一般的なかぜの経過です。ウイルスが原因のかぜの鼻水の場合には、くしゃみ・鼻水・鼻づまり、のどの痛み咳などの症状のピークは、かぜの発症から2~3日目で、その後7~10日前後で回復するのが一般的です。
かぜの症状が治るのに2週間程度かかる方もいるので、悪化する傾向がなければ様子をみてみましょう。

出典:島田 茉莉:日耳鼻感染症エアロゾル会誌 (8 3): 172–175, 2020

粘り気のある鼻水が
4週間ぐらい続いている場合

急性副鼻腔炎を発症している可能性があります。
鼻水のほかに、のどに鼻水が流れる後鼻漏(こうびろう)や頬の痛み、圧迫感、頭痛などをともないます。

急性副鼻腔炎は発症から1週間を目安に回復します。5日たっても良くならない場合は細菌感染に移行している可能性があるため、耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

出典:山中昇:急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン(2013年追補版), 日本内科学会雑誌 105 巻 12 号, 2016

3ヵ月以上鼻水の症状が長引く場合

3ヵ月以上長引く場合には、慢性副鼻腔炎が疑われます。
色の濃い粘りの強い鼻水や後鼻漏、嗅覚の衰え、頬の痛みや圧迫感をともないます。鼻茸など鼻の構造が原因となる場合もあるため、手術をすることもあります。いずれにしても、耳鼻咽喉科を受診し、診断と治療を受けるようにしましょう。

出典:山中昇:間島雄一:慢性鼻副鼻腔炎の成因・診断・治療 耳展 55:2;118~125,2012

まとめ

鼻水は主に、鼻粘膜で作られ分泌された粘液や分泌液と、鼻粘膜の細い血管から漏れ出た水分でできています。鼻水は、普段から常に出ていて、鼻から吸い込む空気の加湿や加温、鼻から入ったゴミなどをからみとって取り除くなど、さまざまな役割があります。

鼻水でつらい時には、鼻や顔、体を温めて血行を良くしたり、加湿したりすることで和らげることができます。何より大切なのは、温かく安静にして免疫を高めてかぜの回復を促すことです。

漢方薬を服用する場合、体を温める葛根湯や麻黄湯、体の水分代謝を整える小青竜湯や葛根湯加川芎辛夷などがすすめられます。長引いたり、鼻水の状態に変化があったりした場合には、医療機関で相談するようにしましょう。

小谷敦子

薬剤師免許取得後、病院薬剤師として就職。ライフステージの変化にともない、調剤薬局の薬剤師とメディカルライターとしての実績を積んできた。東洋医学専門診療科のある大学病院の門前薬局では、漢方薬の処方に対する数多くの服薬指導を経験。