PMS(月経前症候群)
公開日:2025年04月30日最終更新日:2025年06月20日
PMS(月経前症候群)には漢方薬を|その効果と対策法を紹介
月経前に現れるイライラや不安感、頭痛など体の不調に悩んでいる女性は多いのではないでしょうか。ここでは、桂枝茯苓丸や桃核承気湯などPMSで現れる症状に適した漢方薬の種類や効果を紹介します。自分の症状に合った漢方薬を見つけてみましょう。
目次
PMS(月経前症候群)とは
PMSとは月経前に現れる疲労感や胸部の張り、肌荒れ、便秘といった身体的症状や、不安感、イライラ、眠気といった精神的症状のことで、月経前か月経がはじまって2~3日以内に収まるものです。このうち精神が不安定な状態が強い状態のものをPMDD(月経前不快気分障害)といいます。
PMSの原因
PMSの原因は、現在のところ判明していません。月経周期に関連することから、エストロゲン、プロゲステロンの分泌バランスの乱れが想起されますが、症状の有無と血中の女性ホルモン濃度との相関が見られないことが分っています。また、体重増加については、体内の水分やナトリウムのバランス不良が影響していることも考えられましたが、こちらも関係が浅いと考えられています。近年ではセロトニンを中心とした神経伝達物質が女性ホルモンに影響を与え、それがPMSの要因になっているという説もあります。
PMSで現れる主な症状
PMSの代表的な症状を、精神的症状と身体的症状に分けてご紹介します。
精神的症状
- 憂うつ感
- 不安感
- 精神の高ぶり(イライラ)
- 眠気
- 集中力の低下
など
身体的症状
- 疲労感
- 頭痛
- 乳房の張り、痛み
- むくみ
- ニキビ、肌あれ
- 食欲亢進
- 体重増加
- 便秘
など
PMSの症状の程度には個人差はありますが、多くの女性が経験していると言われます。重度の場合は日常生活や人間関係に支障がでることもありますが、月経開始とともに症状も軽くなるため、治療意向が低くなりやすいのも特徴です。
PMSと漢方
漢方では、PMSの症状は、瘀血(おけつ=血液の循環障害で滞留した状態)によって気滞(きたい=体の中を流れるエネルギーのようなものが停滞した状態)や水滞(すいたい=体内の水分が滞留した状態)が生じ、その影響で精神・身体的症状が現れると考えます。
瘀血状態の特徴としては、以下のようなものがあげられます。
- 経血に血の塊がある
- 首や肩が凝りやすい
- しみやあざができやすい
PMSが現れる時期は、月経に向け血を集めている繊細な時期でもあります。症状に合わせて漢方薬を使い分けてみてください。
PMSで現れる症状に効果的な漢方薬の種類と選び方
のぼせて足が冷える方の生理痛、生理に伴うイライラがある方
おすすめの漢方処方
「クラシエ」漢方桂枝茯苓丸料エキス錠
第2類医薬品
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
月経前のイライラや月経期前半に強い痛みがある方には、桂枝茯苓丸がおすすめです。血流を整え瘀血状態を改善する効果に優れ、月経痛や月経不順のほか、肩こりやめまい、シミといった症状にも効果があります。
比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび
(注)「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。
便秘がちな方の生理痛、生理時の精神不安がある方
おすすめの漢方処方
「クラシエ」漢方桃核承気湯エキス顆粒
第2類医薬品
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
月経期前半に痛みが強いほか、イライラなど精神不安の症状が強い方で便秘しやすい方におすすめの漢方薬です。瘀血の状態を改善する生薬に加え便通を整える生薬で構成されているので、イライラといった精神的症状を改善しながら便通も改善してくれます。
体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちなものの次の諸症:月経不順、月経困難症、月経痛、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)、痔疾、打撲症
ホルモンバランスが乱れ肩がこり、疲れやすくイライラなどある方
おすすめの漢方処方
「クラシエ」漢方加味逍遙散料エキス錠
第2類医薬品
加味逍遙散(かみしょうようさん)
イライラや疲れやすさに加え、胸部や腹部に張るような痛みがあったり、のぼせ感など女性ホルモンの変調によって現れたりするような症状には加味逍遙散がおすすめです。足りなくなった血を補い巡らせることで溜まった気を巡らせ、伸びやかにさせることで月経困難を改善します。
体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症
(注)「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。
まとめ
女性の社会進出の機会が増えるにつれて、日常生活にも影響があるPMSに注目が集まってきています。PMSの改善には血液の循環が大きな要因になっています。症状には個人差もあり、複数の症状が現れる方もあるでしょう。体質だからと我慢せず、症状に合わせてうまく漢方薬を選び分け、快適な日々を過ごしましょう。

