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生理痛

生理痛に効く漢方薬とは|おすすめの漢方薬4選と日常的にできる対策

生理痛は女性にとっての大きな悩みのひとつです。ときには日常生活に支障をきたすことも…。本記事では、漢方によって生理痛の症状を改善する方法をご紹介します。また、自分でできる対策もご紹介するので参考にしてみてください。

目次

生理痛とは

生理中に起こる痛みのことを生理痛と呼びます。生理痛は、月経期、あるいは月経前後の下腹部痛、あるいは腰から尾てい骨の痛みで、生活に支障をきたすほどの場合を指します。ひどい場合は激痛で吐き気をもよおしたり、ときには気絶したりすることも。多少腰やおなかが重く感じたり、ごく軽い痛みを感じたりする程度なら問題はありませんが、仕事や家事を休まなければならないほどの痛みを感じるなど、症状が重い場合は病院で診察を受けることをおすすめします。

腹痛や腰痛のほか、随伴症状として、悪心、嘔吐、貧血、頭痛、頭重、食欲不振などを伴うことがあります。

生理痛の原因

生理は、妊娠の準備として厚くなった子宮内膜が、妊娠しなかった場合には必要がなくなり、血液と一緒に排出されることをいいます。このとき、子宮口から経血を押し出そうと子宮の筋肉が収縮します。この収縮のときに起こるのが生理痛です。ストレス、疲労、睡眠不足、自律神経の乱れ、冷え、食生活の乱れなどでホルモンバランスが崩れたりすると、生理痛が起きやすくなるほか、その痛みの程度も大きくなりがちです。生理痛のおもな原因に、プロスタグランジンというホルモンの過剰分泌があげられ、ほかにも子宮の発達未熟などいくつかの原因が考えられています。

中医学・漢方医学的な生理痛のとらえ方

中医学・漢方医学的には、「通じざれば、すなわち痛む」と言われていて、生理痛は、「血(けつ)」のめぐりが滞っている状態(瘀血)と考えられています。すなわち、「血」のめぐりが滞ると、痛みが出たり、経血にレバーのような塊が混じったりします。

漢方では主に、生理痛は実証タイプと虚証タイプに分けることができ、身体にとって必要な「気・血・水」、が上手く流れず滞ってしまう実証タイプと、「気・血・陰・陽」不足による虚証タイプがあります。
※医学的には生理痛のことを月経痛と呼びます。

生理痛に効果的な漢方薬4選

次に、生理痛の症状別におすすめの漢方薬をご紹介します。


便秘がちな方の生理痛、生理時の精神不安がある方

桃核承気湯 第2類医薬品

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)


体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちなものの次の諸症:月経不順、月経困難症、月経痛、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)、痔疾、打撲症



一般的に「生理痛」に使われる漢方薬
「桃核承気湯」の解説を見る


顔がのぼせて足が冷える方、生理痛の方

桂枝茯苓丸 第2類医薬品

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)


比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび
(注)「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。



一般的に「生理痛」に使われる漢方薬
「桂枝茯苓丸」の解説を見る


足腰の冷え、貧血や生理不順の方

当帰芍薬散 第2類医薬品

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)


体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り



一般的に「生理痛」に使われる漢方薬
「当帰芍薬散」の解説を見る


ホルモンバランスが乱れ肩がこり、疲れやすくイライラなどある方

加味逍遙散 第2類医薬品

加味逍遙散(かみしょうようさん)


体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症
(注)「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。



一般的に「生理痛」に使われる漢方薬
「加味逍遙散」の解説を見る

日常でできる生理痛の対策

毎月、生理痛に悩んでいるという方は、生理痛を予防するために、毎日の生活を少し見直してみましょう。


身体を温める

冷えは生理痛にとって大敵です。保温性の高い下着やカイロなどを使って、おなかや腰まわりなどを温めるようにしましょう。また、お風呂は温かめのお湯にゆっくりとつかるようにしましょう。


冷えに注意する

体が冷えると血行が悪くなり、生理痛を悪化させる原因になります。素足にミニスカートといったような服装はあまりよくありません。とくに、夏は強めの冷房に要注意です。


軽く運動をする

月経の前は骨盤内の血流の流れがうっ滞しやすいです。これを改善するために適度な運動は有効です。月経の始まる1週間くらい前からジョギング、ウォーキング、スイミングをすると効果的です。また、エアロビクスやもっと簡単な全身の屈伸運動などでも効果があります。


ストレスを溜めない

部屋でゴロゴロする、好きな音楽や映画、本など趣味を楽しむ、好きな香りで心をリラックスする、などのリフレッシュ方法で日頃からストレスを溜めないようにしましょう。


規則正しい生活を心掛ける

生理を起こす女性ホルモンの分泌は、生活のリズムの乱れに影響を受けやすいものです。分泌が乱れると、生理痛だけでなく、さまざまな生理トラブルの原因にもなるため、規則正しい生活を心掛けるようにしましょう。

生理痛は我慢しない

生理痛をただじっと我慢するのは、つらいだけです。出血量が多いときや痛みがひどいときは、激しいスポーツやハードな仕事などはできるだけ避け、痛み止めなどもうまく使いましょう。生理痛は痛みを我慢をしないで、快適に過ごしましょう。

まとめ

いかがでしたか。生理痛について、その原因やおすすめの漢方薬をご紹介しました。毎日の生活の中でもつらい生理痛をやわらげることができます。無理に我慢せず、ノンストレスの健やかな毎日を送りましょう。

よくある質問

Q 生理痛はなぜ起こるのですか?
A 月経痛(生理痛)は、子宮内で月経血を押し出そうとするホルモン(プロスタグランジン)のはたらきによるものです。なお、月経痛が強く、日常生活に支障をきたす場合を月経困難症といい、腹痛、腰痛、悪心、嘔吐、貧血、頭痛、頭重、食欲不振などがよくある症状です。
Q 生理痛とPMSの違いってなんですか?
A 生理痛とPMSとの違いは、症状が月経前に出る(PMS)か、月経中に出る(生理痛)かです。なお、月経前症候群(PMS =Premenstrual Syndrome:プレメンストラル シンドローム)とは、月経前の女性の心身に現れるさまざまな症状のことで、日本産科婦人科学会は、「月経開始の3~10日位前から始まる精神的、身体的症状で月経開始とともに減退ないし消失するもの」と定義しています。