「胃腸にくるかぜ」って何? 最終更新日 2018年09月10日

熱があってだるく、おなかの調子もよくない状態のことを、一般に「胃腸にくるかぜ」と呼ぶことがあります。「胃腸かぜ」「おなかにくるかぜ」「おなかのかぜ」など、いろんな名前で呼ばれていますが、実際のところ、どんな「かぜ」なのでしょうか。ここでは、「胃腸にくるかぜ」とは何か、について解説します。

「かぜ」というけど「かぜ」じゃない!

「かぜ」というのは、主にウイルスの感染により、鼻やのどなどの上気道に炎症が起こった状態のこと。正式には「かぜ症候群」といいます。一方、「胃腸にくるかぜ」も普通のかぜと同じく、ウイルスなどの感染が原因。でも違うのは、炎症が起こる場所です。かぜのように鼻やのどではなく、胃腸に感染して炎症を起こした状態のことで、胃腸炎の一種です。そのため、正式には「感染性胃腸炎」といいます。ではなぜ、胃腸炎なのに「かぜ」と呼ぶのでしょうか。それは、かぜ症候群と感染性胃腸炎に、似ているところがあるためです。たとえば、どちらも発熱やだるさなどの症状が現れることがあります。また、人から人へと感染するところも同じです。ときには広範囲にわたって流行することもあります。このような理由から、感染性胃腸炎のことを一般的に「胃腸にくるかぜ」「胃腸かぜ」などと呼ぶことがあるのです。

おなかの症状に注目。

名前に「かぜ」とついているなら、胃腸にくるかぜになった場合でも、かぜのときと同じ対処法でいいのでしょうか。
先にも述べたとおり、発熱やだるさなどは、どちらにもみられる症状です。だからといってかぜ薬を飲んでも、もしその症状が胃腸にくるかぜによるものだった場合は、あまり意味がありません。それどころか、のどや鼻の症状がないのに、それを緩和する成分が含まれている薬を飲むことによって、副作用などの思わぬ健康被害が起こってしまう可能性もあります。
そうしたことを防ぐためにも、「かぜ」と「胃腸にくるかぜ」の違うところを知っておくことが重要となります。
どちらにも同じような症状が現れることがあるといいましたが、そもそも、ウイルスなどが感染する部位、炎症を起こす部位が違います。そのため、それぞれに特徴的な症状もあります。
たとえば普通のかぜでは、鼻やのどの粘膜に炎症が起こるため、鼻みず・鼻づまり、せき・たんなどの呼吸器系の症状が現れます。
一方、胃腸にくるかぜは、胃腸粘膜に炎症が起こる「胃腸炎」なので、腹痛や下痢、吐き気・おう吐、食欲不振などのおなかの症状が特徴となります。鼻みずやせきなどの呼吸器系の症状はあまりみられません。
必ずしも、鼻やのどの症状は「かぜ」のときのみに、おなかの症状は「胃腸にくるかぜ」のときのみに現れるということではありませんが、両者の特徴的な症状として覚えておくとよいでしょう。
なお、症状の出かたは人によっても違います。感染したウイルスや細菌の種類によっても違いますし、そのときの体調によっても変わってきます。そのため、かぜかどうかわからなかったり、「あやしい」と思ったりした場合は、無理に自分で何とかしようとせず、医療機関を受診することが重要です。

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