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耳鳴り

漢方を用いた耳鳴りの治療法|効果的な漢方薬と日常生活でできる対処法

ここでは、耳鳴りに悩んでいる方に、耳鳴りの原因や耳鳴りに効果のある漢方薬などをご紹介します。症状に合った漢方薬を服用して、耳鳴りを改善しましょう。

目次

耳鳴りって?

耳鳴りとは、実際には鳴っていないのに、周囲で音が鳴っているように聞こえる現象のことをいいます。高齢になると耳鳴りを感じる方が多くなる傾向にあるようです。


耳鳴りの症状

耳鳴りには、大きく分けて他覚的耳鳴と自覚的耳鳴があるといわれています。他覚的耳鳴は聴診器などを使用して音を増幅すれば他の人にも聞くことができるもので、体のどこかに雑音を発生させている原因があります。血管からザーザーなどの雑音が出ていることが多いとされています。一方、自覚的耳鳴は本人にしか聞こえず、その原因は多岐に渡ります。ブーン、ジー、キーンなどの音が特徴です。


耳鳴りが起こる仕組み

耳鳴りを経験している人の多くに聴力低下の傾向がみられることが報告されています。耳鳴りと難聴には密接な関係があり、音を聞くしくみの障害(難聴)が、耳鳴り発生のきっかけになっていると考えられています。人によって聞こえにくい音は違いますが、加齢によって起こる難聴では、高音域から聞こえにくくなるといわれています。音を電気信号に変える蝸牛(かぎゅう)の中には低音域、中音域、高音域などを担当している部位があって、その担当部位に異常があると電気信号に変える機能が弱くなり、脳が音を認識しづらくなります。

聞こえにくい音があると、脳に変化が起こります。脳は電気信号が少なくなったことを感知し、聞こえないことを補うために過度に反応し、電気信号を増幅させます。この反応は音が鳴っていない時にも起こり、「音が鳴っている」と勘違いしてしまうのです。このように、耳鳴りは聞こえなくなった状態を補おうとする脳の反応だといわれています。

耳鳴りの原因

日常生活から考えられる原因としては、ストレス、大きな音を聞く、耳に異物が混入したり、耳垢がたまったりしている、などが考えられます。

・ストレス
仕事や人間関係などによる精神的ストレスや、睡眠不足などの生活習慣が体に与える身体的ストレスが続くと、耳鳴りが起こることがあります。

・大きな音を聞く
ヘッドホンで音楽を大音量にして聴いたときなどに、直後から耳鳴りが起こり、聞こえが悪くなったり耳が詰まった感じになったりすることがあります。これは、内耳の蝸牛が大きな音や衝撃により損傷を受けたことによって起こるものです。外傷性難聴は薬では治せないので、できるだけ早めに耳鼻科を受診するようにしましょう。

・耳に異物が混入・耳垢がたまっている
耳垢がたまっていると、耳が詰まったような感じがしたり、聞こえが悪くなったり、ガサガサなどといった耳鳴りが起こることがあります。また、耳に水が入ったり、ダニなどの小さな虫が耳に入ったりしたときにも耳鳴りが起こることがあります。

耳鳴りに効果がある漢方薬

次に、耳鳴りに効果のある漢方薬をご紹介します。


高血圧による、耳鳴り、肩こりの方

七物降下湯 第2類医薬品

七物降下湯(しちもつこうかとう)


体力中等度以下で、顔色が悪くて疲れやすく、胃腸障害のないものの次の諸症:高血圧に伴う随伴症状(のぼせ、肩こり、耳なり、頭重)



一般的に「耳鳴り」に使われる漢方薬
「七物降下湯」の解説を見る


めまい、ふらつきがある方の耳鳴りに

苓桂朮甘湯 第2類医薬品

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)


体力中等度以下で、めまい、ふらつきがあり、ときにのぼせや動悸があるものの次の諸症:立ちくらみ、めまい、頭痛、耳鳴り、動悸、息切れ、神経症、神経過敏



一般的に「耳鳴り」に使われる漢方薬
「苓桂朮甘湯」の解説を見る


貧血や疲れやすい方の耳鳴りに

当帰芍薬散 第2類医薬品

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)


体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り



一般的に「耳鳴り」に使われる漢方薬
「当帰芍薬散」の解説を見る


血圧が高めの方の耳鳴りに

八味地黄丸 第2類医薬品

八味地黄丸(はちみじおうがん)


体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ



一般的に「頻尿」に使われる漢方薬
「八味地黄丸」の解説を見る

日常生活でできる耳鳴りの対処法

日常生活を見直すことで、耳鳴りをやわらげたり、予防できたりする場合があります。


ストレスを取り除く

ストレスが原因となって耳鳴りが起こるケースがあるので、普段から悩みを1人で抱えこまず、気軽に相談できる人をもつことや、趣味やスポーツ、旅行など、楽しむ機会を多くもつことが大切です。また、一日のなかで少しでも心身をリラックスさせる時間をつくって、ストレスを溜め込まないようにしましょう。


生活習慣を整える

不規則な生活は自律神経の乱れを引き起こして、耳鳴りを起こす場合があります。1日3食の規則正しい食事、十分な睡眠、休息で体と心のバランスを整えられるよう心掛けましょう。また、ウォーキングなどの軽い運動も、自律神経のバランスを整えるのに効果があるとされています。

まとめ

耳鳴りに効果のある漢方薬や日常生活での予防法などをご紹介しましたが、いかがでしたか? ストレスが原因などで起こる耳鳴りは比較的やわらげやすいですが、耳鳴りを伴う疾患の場合もあるので、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

よくある質問

Q 耳鳴りの原因はなんですか?
A 耳鳴りは、周囲に音がしていないにもかかわらず、「キーン」という金属音や「ブー」という音が聞こえる症状をいいます。感じる音は個人差があります。
空気の波である音は、外耳を通り、内耳のリンパ液、さらに有毛細胞を振動させて聴神経に伝わり音と認識します。しかし外部からの刺激がないにも関わらず聴神経が反応し、音を感じている状態が「耳鳴り」です。原因のひとつとして、難聴などで音が伝わりにくくなった脳が音の不足を感じ、本来ない音を作り出している状態が挙げられます。
Q 耳鳴りはどんな人がなりやすいですか?
A 精神的・身体的ストレスが続くと自律神経が乱れて耳鳴りをまねくことがあります。また、加齢により聴力が低下すると耳鳴りを伴うことがあります。 音を大きな音が耳の内部にダメージを与えることで起こることもあります。そのほか、薬の副作用や別の疾患によって起こることもあるので、長期間にわたったり日常生活に支障をきたす場合は早めに医療機関を受診するのがよいでしょう。