漢方薬を選ぶ

冷え症

冷え症を漢方で改善|冷えにおすすめの漢方薬も解説

季節を問わず、冷え症や冷えによる体調不良に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。この記事では冷え症を改善したい方に向けて、冷え症に適した漢方治療、日常的に続けられる対策を取り入れた、体質改善を紹介します。

目次

冷え症とは

冷え症とは、寒さを感じないくらいの温度でも、全身や手足、下半身など体の一部や全身が冷えてつらい症状といわれています。血行不良の状態である冷え症の原因は、自律神経や心臓、筋肉などのはたらきが関係していると考えられています。女性に冷え症が多いといわれていますが、それは月経の影響などで、血が少なくなり全身に熱を運べなくなったり、腹部の血流が滞りやすくなったりすることも理由とされています。男性の場合は、運動不足による筋肉の減少やストレス、生活習慣病による動脈硬化などがかかわっている場合が多いといわれています。

冷え症からくる症状には、肌荒れ、腰痛・頭痛、皮膚疾患、下痢・便秘、膀胱炎、などがあげられます。

複数ある冷え症のタイプ

それでは、冷え症のタイプや症状について見ていきましょう。


手足のみが冷えるタイプ

手足のみが冷えるタイプの冷え症は、食が細く、やせている女性に多いといわれています。体を温める食事を心がけ、日頃から軽い運動を取り入れましょう。


のぼせと手足、下半身が冷えるタイプ

のぼせと手足、下半身が冷えるタイプの冷え症は、更年期の症状のひとつともされている「冷えのぼせ」があることが特徴です。自律神経の乱れから起こりやすいといわれています。ストレスを解消し、リラックスできる時間をつくるようにしましょう。


おなかが冷えるタイプ

おなかが冷えるタイプの冷え症は、内臓が冷えることで消化機能低下や、月経不順・月経痛などの症状がみられるといわれています。温かいものを飲むなどで改善することがあります。


全身が冷えるタイプ

全身が冷えるタイプの冷え症は、エネルギーを作り出す力も、エネルギーの材料となる飲食物を消化する力も滞ることから、症状が出るといわれています。食事量の少ない人や過度なダイエットを行っている人などに多いようです。たんぱく質をしっかり摂り、バランスのよい食事を心がけて、運動不足を改善しましょう。

冷え症の原因

冷え症の原因は内因と外因の2つに大きく分けられるといわれています。

内因としては、貧血、うっ血、自律神経のバランスの乱れ、ホルモン分泌の異常、新陳代謝機能の低下などがあります。

外因としては、薄着、湿気、冷房、夜ふかし、睡眠不足、偏った食生活、体を冷やす生野菜や果物と、甘いものの食べ過ぎなどがあります。

冷え症の改善方法

次に、冷え症の改善方法について見ていきましょう。


食材・食事による改善

食事では冷たいものをなるべく避けて、体を温める作用のあるものを摂るのがよいでしょう。良質のたんぱく質である羊肉は、漢方では「気」を補ったり、「血(けつ)」を増やしたりする作用があるといわれています。魚介類で体を温める効果が高いとされているのはエビです。また、サフランやショウガも体を温める食材として有名です。また、お酒を飲み過ぎると血管が拡張し、皮膚から熱が放出されて体温が低下しやすくなるため、飲み過ぎには注意しましょう。


衣類による改善

血流が滞ると冷えにつながりますので、体を締め付ける服や下着は避けるようにしましょう。また、ひざから下全体を締め付けるようなブーツは、足の血流を滞らせる場合がありますので注意が必要です。くつ下やレッグウォーマーをはき、スカートの下に厚手のタイツを重ねるなどして、下半身の保温を心がけましょう。最近では保温や汗が冷えにくい速乾といった機能性のあるインナーも出ているので、上手に利用するとよいでしょう。


運動による改善

筋肉量が少なく、体の熱を多くつくることができない、といった冷え症の原因とされる状態は、生活に運動を積極的に取り入れて筋肉を鍛え、冷えない体づくりに取り組んで乗り越えましょう。ウォーキングやストレッチ、ヨガなどは冷えだけでなく健康にも役立ちます。また、体を動かせば、より質の高い睡眠もとりやすくなると考えられます。


入浴による改善

入浴は血行を促進して体を温めるのに効果的です。ただし、入浴が長時間続くとのぼせてしまうため、長湯は禁物です。入浴時の足のストレッチやマッサージなども効果的です。なお、意外と冷えやすい風呂場の脱衣所などでは小さな暖房器具を置くなどして、体を冷やさないように工夫をしましょう。


漢方による改善

漢方では、人の体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つで構成されていると考えられています。「気」は目には見えないが人の体を支えるすべての原動力のようなもの、「血(けつ)」は全身の組織や器官に栄養を与えるもの、「水(すい)」は飲食物中の水分からできた、体をうるおすもののことです。この3つは、お互いに影響しあっています。大切なのは、この3つがバランス良くめぐっていることです。

漢方では、冷え症の場合、「血(けつ)」の不足を補って、めぐりを良くし、余分な「水(すい)」の偏りを改善したり、悪くなった「気」の流れを良くしたりして改善していきます。

冷え症に効果的な漢方薬

次に、冷え症に効果的な漢方薬をご紹介します。

就寝時などに足や指先が冷えるつらい冷え症の方に

末梢冷えタイプ

  • 当帰四逆加呉茱萸生姜湯のイメージ
  • こんな症状に心当たりはありませんか?

就寝時などに足や指先が冷えるつらい冷え症におすすめする漢方処方

当帰四逆加呉茱萸生姜湯 第2類医薬品

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)


体力中等度以下で、手足の冷えを感じ、下肢の冷えが強く、下肢又は下腹部が痛くなりやすいものの次の諸症:冷え症、しもやけ、頭痛、下腹部痛、腰痛、下痢、月経痛



一般的に「冷え症」に使われる漢方薬
「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」の解説を見る

まとめ

いかがでしたか? 冷え症はいつものことだから…とあきらめずに、症状が重くならないうちに対処することが大切です。食事や運動といった生活習慣の見直しから始めてみましょう。また、漢方薬でのケアも効果的です。





冷え症Q&A 漢方のギモンを解決!

Q 体を冷やさないために日頃から気をつけることを教えてください。
A 過度な薄着、体を締め付ける下着などは避けるようにしましょう。女性は体の中心部に血液が集まりやすいので、おなかを温めると冷えが改善されることがあります。また、動脈が4本通っている首を温めるのも、全身を温かくするコツです。
その他の漢方に関する疑問をご覧になりたい方はこちら!