
「インフルエンザ」とは? 種類や症状について
最終更新日 2025年12月26日
目次
毎年、冬になると流行するインフルエンザ。高熱が出たり、全身の節々が痛くなったりするというのは知っているけど、具体的にはどのような病気なのでしょうか。ここでは、インフルエンザの種類や症状、かぜとの違い、重症化するとどうなるかなどについて解説します。
また、インフルエンザの予防や対策、初心者の方が気になるQ&Aもあるので、ぜひ参考にしてみてください
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インフルエンザとは?
インフルエンザとは、「インフルエンザウイルス」に感染して起こる病気です。普通のかぜと同じようにのどの痛みや鼻水、咳などの症状も出ますが、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が比較的急速に現れるのが特徴です。11月頃から5月頃まで発生がみられます。例年11月〜12頃から始まり、春頃までが流行シーズンです。 ヒトに感染するのは主にA型、B型、C型の3種類で、そのうち流行的な広がりを見せるのは、A型とB型です。
インフルエンザの種類
A型インフルエンザウイルス
流行の原因となるウイルス。日本では毎年11月から3月頃にかけて流行します。ウイルスの表面にあるたんぱく質の種類(H、N)によって、さらに細かく分類(亜型)されます。近年、国内で流行しているA型インフルエンザウイルスは、H1N1型と、H3N2型です。
B型インフルエンザウイルス
A型と同様、流行的な広がりの原因となるウイルス。日本では早ければ毎年12月から3月頃にかけて流行します。大きく、山形型とビクトリア型の2種類に分けられます。
C型インフルエンザウイルス
一般に、感染しても軽度の呼吸器疾患を引き起こす程度で、ヒトでの流行は起こりにくいと考えられています。
インフルエンザの活動時期

インフルエンザは毎年だいたい、11月〜12月頃にA型から流行が始まり、1月〜3月の間のどこかでピークが訪れます。A型と同じくらいの時期か少し遅れてB型の流行が始まり春先にかけて徐々に流行が収束するのが一般的です。
流行が早く始まる年もあれば、遅く始まる年もあり、流行が大きい年、小さい年などその年により流行り方はさまざまです。しかし流行が全くないという年はあまりありません。また、ごくまれに季節外れにインフルエンザが流行する年も発生します。
新型インフルエンザとは?
新型インフルエンザは、多くの人が免疫を持っていないため、感染が急速に拡大するリスクがあります。
ここでは、新型インフルエンザの定義や過去に発生した主な事例について解説します。
新型インフルエンザの定義
主に、動物(特に鳥類)同士で感染するインフルエンザウイルスなどがヒトや豚の体内で変異し、ヒトからヒトへと感染できるようになったものです。毎年のように流行する季節性のインフルエンザと違って、ほとんどのヒトが免疫を持っていないため、世界的大流行(パンデミック)を引き起こすリスクがあります。なお、多くの人が免疫を獲得し、季節的な流行を繰り返すようになると、季節性インフルエンザとして取り扱われます。
過去の新型インフルエンザの例
1918年スペインかぜ(A/H1N1)
20世紀初頭に発生し、世界的に大流行(パンデミック)を引き起こしました。推計で数千万人規模の死亡者が出たともいわれています。
1957年アジアかぜ(A/H2N2)
中国南部で新型ウイルスが発生し、急速に世界中に拡大。数百万人が感染し、数十万人規模の死者が出たとされています。
1968年香港かぜ(A/H3N2)
香港から広がった新型インフルエンザで、急速に世界へ拡大。過去の新型インフルエンザの世界的流行に比べると比較的致死率は低かったものの、高齢者を中心に多くの死者を出しました。
2009年新型インフルエンザ(A/H1N1pdm09)
豚由来のウイルスが変異し、ヒトから人 へ感染しました。若年層を中心に広がりましたが、全体の致死率は比較的低かったと報告されています。
主なインフルエンザの症状
インフルエンザは、突然38℃以上の高熱が出たあとに強い寒気や悪寒、頭痛、関節の痛み、筋肉痛、全身のだるさなど、全身にわたる症状が急激に現れることが多いのが特徴です。インフルエンザに特徴的な症状が4〜5日程度続くのが一般的です。完全な回復には7日〜10日程度かかることもあります。
これに加えて、のどの痛みや咳、鼻水といった、いわゆる風邪のような症状もみられることがあります。また、流行の型によっては、下痢や吐き気、嘔吐などの消化器症状がともなうこともあります。
インフルエンザにかかった場合特に注意が必要なのは、子どもや高齢者、基礎疾患のある場合など免疫力が低下している患者さんです。子どもではまれに「インフルエンザ脳症」と呼ばれる急性脳症を発症することもあり、高齢者や基礎疾患のある人では肺炎をはじめとした合併症を引き起こしやすいため、重症化するリスクもあります。
インフルエンザとかぜの違いは?
インフルエンザとかぜの主な違いは、その症状です。
一般に「かぜ」と呼ばれている病気は、正式には「かぜ症候群」といい、その多くがウイルスの感染によって引き起こされます。原因となるウイルスは200種類以上ともいわれているため、年に何度も感染することがあります。かぜの症状は、のどの痛み、鼻みず、くしゃみ、咳などが中心です。 インフルエンザも、ウイルスの感染によって引き起こされる病気です。かぜと違って、38℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感などの全身症状が、比較的急速に現れます。
| インフルエンザ | かぜ | |
|---|---|---|
| 主な原因 | インフルエンザウィルス(A型・B型) | ライノウィルス、コロナウィルス、アデノウィルスなど200種類以上のウィルス |
| 主な症状 | 38℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感、食欲不振など | のどの痛み、鼻水、くしゃみ、咳、発熱(軽度) |
| 主な現れ方 | 急激 | ゆるやか |
※インフルエンザウィルスに感染した人すべてに、これらの症状が現れるわけではありません。
インフルエンザが起こる仕組みは?
感染経路:ウイルスはどのように体内に入るの?
インフルエンザウイルスは主に「飛沫感染」と「接触感染」で広がります。
咳やくしゃみで飛び散ったウイルス入りの小さな水滴(飛沫)を吸い込んで感染するのが「飛沫感染」、ドアノブやスイッチなどに付着したウイルスが手にうつり、その手で口や鼻を触って感染するのが「接触感染」です。
ウイルスの増殖:体内でどう増殖するのか?
インフルエンザウイルスは、直径約100ナノメートル(1万分の1ミリ)ほどの非常に小さな球形のウイルスで、主に鼻や喉の奥の粘膜で増殖します。1つのウイルスが感染すると、約8時間で100個に、24時間で100万個にまで急激に増えるといわれています。この爆発的な増殖が、急な発熱や強い全身症状を引き起こします。
免疫反応:なぜ熱や痛みが出るの?
体に入ったインフルエンザウイルスが増えると、それを排除しようとして免疫が働きはじめます。ウイルスを排除するための免疫の動きによって、熱が出たり、のどが痛くなったり、関節や体がだるくなったりするのです。
こうしたつらい症状は、「炎症反応」と呼ばれていて「体の防御反応」の一つであり、体がウイルスと戦っているサインです。
インフルエンザが原因で引き起こされる病気は?
通常、健康な成人であれば、インフルエンザを発症しても1週間程度で回復することが多いです。しかし、体力のない子どもや高齢者、免疫力の低下した人では、次のような病気を併発することがあります。
急性脳症(インフルエンザ脳症)
インフルエンザウイルスが脳に侵入して炎症を起こし、発熱、おう吐 、けいれんなどの症状が現れる病気です。発生はまれですが、死亡率が高く、生存した場合でも脳に重い障害が残ることがあります。子どもに多くみられる症状で、特に15歳未満の子どもは注意が必要です。インフルエンザ脳症を予防するには、インフルエンザにかからないこと、かかっても重症化させないことが重要となります。日頃から手洗いや消毒を心がけ、流行シーズン前にはワクチン接種をおこない、インフルエンザが疑われる場合は早期に医療機関を受診しましょう。
肺炎
インフルエンザウイルスや細菌などの感染により、肺に炎症を起こす病気です。咳、たん、息切れ、胸の痛み、発熱などの症状が現れ、重症化すると、死に至る場合もあります。特に高齢者や免疫力の低下した人がインフルエンザにかかると、肺炎球菌などの細菌にも感染しやすくなるので、注意が必要です。
急性心筋炎
インフルエンザウイルスなどが、心臓を動かす筋肉(心筋)に感染して、炎症を起こす病気です。のどの痛み、咳、発熱など、かぜのような症状から始まり、胃のむかつき、腹痛、全身倦怠感、不整脈、心不全、ショックなどさまざまな症状が現れます。重症化すると、死に至るほどの症状の変化を示す「劇症型心筋炎」になることもあります。
予防策・対策法はある?
インフルエンザは毎年多くの人がかかる感染症ですが、日常生活の中でできる対策を取ることで、感染リスクの低減につなげることができます。 ここでは、日常生活でできる基本的な予防策や、家庭内での感染拡大を防ぐためのポイントについて詳しく解説します。
日常生活でできる予防
インフルエンザを予防するためには、日ごろからの生活習慣や衛生対策がとても大切です。以下のポイントを意識しましょう。
①外出後・食事前の手洗い
インフルエンザなどの感染症を防ぐための基本でもあり効果的なのが「手洗い」です。最低でも15秒以上かけて洗い、流水でしっかりすすぎましょう。また、外出先など水道がない場所では、70%以上のアルコール入りの消毒液で手指を清潔に保つことも効果的です。
②適度な湿度の保持
乾燥した空気は、鼻やのどの粘膜の防御機能を低下させます。室内では加湿器などを使い、50〜60%程度の適切な湿度を保つことが効果的です。
③十分な休養とバランスのとれた食事
インフルエンザ予防には、十分な休養と栄養バランスの取れた食事も意識しましょう。毎日の生活リズムを整えることが大切です。
体の調子を整えたい場合、睡眠は大人で7〜8時間が一つの目安です。また、たんぱく質やビタミン、発酵食品などを意識して摂り、身体の抵抗力の向上アップにつなげましょう。
④人混みや繁華街への外出を控える
流行時には、人混みへの外出をできるだけ避けることが大切です。なかでも高齢者、基礎疾患のある方、妊婦さんなどは注意しましょう。やむを得ず外出する際は、飛沫感染を防ぐために不織布製のマスクを着用することも有効な対処法の一つです。
ワクチン接種
インフルエンザワクチンは、流行前に接種することで「発症の予防」と「重症化の防止」が期待できます。接種から効果が出るまで2週間ほどかかるため、流行前の接種が重要です。特に高齢者や持病のある人、小児や妊婦さんなどは万が一かかった場合の重症化が心配なのでワクチン接種を検討しましょう。
家庭内感染防止のポイント
インフルエンザは家族間での感染リスクも高く、小さい子どもや高齢者がいる家庭では、感染が広がることや重症化を防ぐために対策が必要です。
以下のポイントを意識して、日常生活の中でしっかりと予防を心がけましょう。
①マスクの着用
インフルエンザウイルスは主に飛沫感染で広がります。咳やくしゃみ、会話の際に飛ぶ飛沫を防ぐために、家の中でも感染者と接するときは不織布マスクを着用しましょう。
マスクで鼻や口をしっかり覆い、正しく着用することが大切です。小さい子どもがいる家庭では、園や学校など集団生活を通じた感染の持ち込みに注意し、帰宅後、マスクを外した後の手洗いを習慣づけすることをおすすめします。

②生活スペースを分ける
家庭内で感染を広げないためには、できるだけ生活空間を分けることが望ましいです。
感染者がいる場合は、別の部屋を用意して隔離するのが理想です。特に感染者が療養する場所を分けることで、夜間を含めた接触リスクを減らせます。また、リビングやキッチンなど共有スペースの利用は最小限にして、可能な限り接触を避けるようにしましょう。

③共有アイテムの管理
タオルや食器、歯ブラシなどの個人用品は分けて使うようにしましょう。感染者と非感染者で物を共用しないことで、ウイルスの間接的な伝播を防げます。共有のタオルや食器などは使わずに、使い捨てのペーパータオルや紙コップ、紙皿などを活用するのも有効です。共有する場合は必ず使用後に洗浄や消毒を徹底しましょう。

④こまめな消毒
ドアノブやスイッチ、テーブル、リモコンなど、手がよく触れる場所にはウイルスが付着しやすいです。エタノールなどの消毒液でこまめに拭き取り、感染リスクを減らしましょう。特にトイレや洗面所など、家族全員が使う場所の消毒は意識的に行いましょう。

⑤加湿と換気の実施
乾燥した空気は気道の防御機能を低下させ、ウイルスが活発になります。また、飛沫により飛散したウイルスは、空間内に停滞しやすくなります。
加湿器や濡れタオルを干すなどして室内を適切な湿度(50〜60%程度)に保ちましょう。
また、ウイルスを外に排出するために、冬でも1日数回、短時間で良いので換気をおこなうのも効果的です。
こうした家庭内での感染防止のポイントの実践と共に、家庭内に小さなお子様や高齢の方が同居している場合は、特に注意が必要です。特に子どもたちは学校や保育園など家庭外での集団生活においてでの感染リスクが高く、家族内にウイルスを持ち込む可能性も少なくありません。また、高齢者はインフルエンザが重症化しやすい傾向があります。そのため家族全員で感染防止対策を意識的に取り入れましょう。

インフルエンザのQ&A
インフルエンザに関しては、「潜伏期間はどのくらい?」「いつまで人にうつる?」「学校や仕事はいつから行ける?」など、気になるポイントがたくさんあります。 ここでは、インフルエンザに関するよくある質問をまとめました。
インフルエンザの潜伏期間は?
体の中に入ったインフルエンザウイルスは、細胞に侵入して次々と増殖していきます。1日~3日ほどの潜伏期間をおいて、突然、発熱や全身症状などが現れます。症状の現れ方はかぜよりも急激なので、「熱っぽい」「だるい」などの感覚を覚えてから、時間をおかずに38℃以上の発熱や関節の痛みなどの全身症状が現れることがあります。
インフルエンザはいつからいつまで感染力を持つの?
インフルエンザに感染後、ウイルスが鼻やのどから排出される、つまり周囲へ感染させる可能性が出てくるのは、一般に発症の前日からとされています。ウイルスが排出される期間は人によって異なりますが、発症後3日から7日くらいまで排出し続けるといわれています。熱が下がるとともに排出されるウイルスの量は減少しますが、平熱まで戻ったあとでもすぐにウイルスが排出されなくなるというわけではありません。
インフルエンザを発症してから何日で登校・出勤を再開できる?
インフルエンザウイルスの排出は、感染直後から、熱などが治まったあとまで続きます。そのため、現在、「学校保健安全法」では「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」を、出席停止期間としています※。なお、社会人の場合でも基本的には同じと考えていいですが、企業ごとに決まりがあることもあるので、それぞれ確認をしましょう。
※ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りではありません。
インフルエンザの検査方法は?
インフルエンザかどうかを早く見分けるには、「迅速抗原検査」という方法が使われます。迅速抗原検査は鼻の奥の粘膜を綿棒でぬぐい、ウイルスの有無を調べる検査です。結果は5〜15分ほどで出るため、その場で診断を受けて帰宅できます。
迅速抗原検査で正確な結果を得るには検査のタイミングが大切です。発熱してすぐは体内のウイルスがまだ少なく、検査をしても「陰性」と出てしまうことがあるためです。より正確な検査結果を得るためには発熱から12〜24時間経った頃が、最も検査に適したタイミングとされています。
もし早すぎるタイミングで検査して陰性だった場合でも、症状が続くようなら翌日に再検査が必要になることもあります。医師の判断を仰ぎ、適切な時期に検査を受けましょう。
出典:イムノクロマトグラフィー法によるインフルエンザウイルス迅速検査キットの評価
インフルエンザワクチンの接種はいつ頃がいい?
インフルエンザは、例年1月~4月頃に流行し、1月末~3月上旬が流行のピークの時期なので、12月中旬ごろまでに接種を終えることが理想的でしょう。
インフルエンザワクチンの接種回数は年齢によって異なります。
(13歳以上の方)
原則1回接種です。健康な成人や基礎疾患がある方でも、1回接種で十分な抗体の上昇が得られるとされています。
(13歳未満の子ども)
原則2回接種です。1回目接種後よりも2回接種後のほうが、より高い抗体価(感染を防ぐ抗体の量)が得られるとされています。
出典:厚生労働省インフルエンザQ&A
まとめ
インフルエンザにかかると、仕事や日常生活へ影響が出るだけでなく、場合によっては、重篤な症状になる場合もあります。正しい知識と予防法、対処法を理解することで、自分や家族を感染から守り、また、感染しても、被害を最小限に食い止めることも可能です。
インフルエンザの流行は毎年やってきます。インフルエンザのことを知って、インフルエンザに対抗できるようにしておきましょう!
※インフルエンザは病院で診断・治療が必要です。まずは、病院での受診をお勧めします。
出典
「新型インフルエンザ」入門
厚生労働省インフルエンザQ&A
イムノクロマトグラフィー法によるインフルエンザウイルス迅速検査キットの評価
繁和泉
看護師・予防医学指導師。医療現場での看護師経験を生かし、予防医学の視点からわかりやすく正確な健康情報を届けることを心がけています。日常生活で実践しやすい感染症予防やセルフケアのポイントを発信しています。

