痰(たん)がからむのはなぜ?原因と対処法のすべて - かぜに効く漢方薬 | クラシエの漢方 かぜシリーズ

痰(たん)がからむのはなぜ?原因と対処法のすべて

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この記事の概要
痰(たん)は、気道に入ったほこりやウイルスを絡め取って外へ運び出すための分泌物で、健康なときにも毎日つくられています。
かぜやアレルギー、乾燥などで量が増えたり粘り気が強くなると、のどに「からむ」と感じます。
水分補給と加湿で痰(たん)を出しやすくし、無理に咳き込まずに排出するのが基本です。3週間以上続く、血が混じる、息苦しさをともなうときは医療機関に相談しましょう。

のどに何かがへばりついて、咳払いをしても取れない——。痰(たん)がからむ不快感は、かぜのひきはじめから長引く咳まで、さまざまな場面で起こります。

ここでは、痰(たん)が出るしくみと、からむ原因、今日からできる対処法までをまとめて解説します。

痰(たん)とは?じつは毎日出ているもの

痰(たん)とは?じつは毎日出ているもの

痰(たん)は、鼻からのど、気管、肺へと続く「気道」の粘膜から分泌される粘液です。健康なときでも1日あたり100mLほどがつくられていて、吸い込んだほこりやウイルス、細菌を絡め取り、粘膜の表面にある線毛(せんもう)という細かい毛の動きでのどのほうへ運び出しています。

運ばれた粘液のほとんどは、無意識のうちに飲み込まれています。そのため、ふだんは「痰(たん)が出ている」と意識することはほとんどありません。

つまり痰(たん)そのものは、からだを守るための正常なはたらきです。問題になるのは、量が増えたり、粘り気が強くなって、スムーズに運び出せなくなったときです。

痰(たん)が「からむ」と感じるのはなぜ?

痰(たん)が「からむ」と感じるのはなぜ?

気道に炎症が起きると、粘液の分泌量が増えます。それと同時に、炎症やウイルス・細菌の影響で線毛の動きが鈍くなり、さらに水分が足りないと粘液の粘り気が強くなります。

「量が増える」「粘り気が強くなる」「運び出せない」——この3つが重なると、痰(たん)が気道にとどまり、のどにからむという感覚になります。対処法を考えるときは、この3つのどれを改善するかで整理するとわかりやすくなります。なお、痰(たん)の色から原因をさぐる考え方については痰(たん)の色でわかることで解説しています。

痰(たん)がからむ主な原因

痰(たん)がからむ主な原因

かぜ・インフルエンザなどの感染

もっとも多い原因です。ウイルスや細菌が気道の粘膜で炎症を起こすと、異物を外へ出そうとして粘液の分泌が一気に増えます。炎症が強くなると、黄色や緑色で粘り気のある痰(たん)がみられることもあります。

後鼻漏(こうびろう)——鼻水がのどに流れている

鼻かぜや副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、花粉症などで鼻水が増えると、その一部が前ではなくのどの奥へ流れ落ちます。これが後鼻漏です。本人は「痰(たん)がからむ」と感じますが、実際にはのどではなく鼻が原因であることも少なくありません。また、後鼻漏によって、のどへの刺激で咳や痰(たん)が出ることもあります。朝起きたときに強く感じる、横になると増える、といった場合は後鼻漏を疑ってみてください。

空気の乾燥

空気が乾くと粘液の水分が奪われ、粘り気が強くなります。同時に線毛の動きも落ちるため、運び出す力が弱まります。冬場やエアコンの効いた部屋、口呼吸で寝ている朝などに痰(たん)がからみやすいのはこのためです。

たばこ・ほこり・大気の刺激

たばこの煙は線毛の動きを鈍らせ、粘液の分泌を増やします。ほこりの多い環境や排気ガスなども同様に気道を刺激します。

胃酸の逆流(胃食道逆流症)

胃酸がのどまで上がってくると粘膜が刺激され、痰(たん)がからむ・声がかれる・咳払いが増えるといった症状が出ることがあります。食後や横になったときに強くなる、胸やけをともなう場合はこちらも考えられます。

長引くときは、ほかの病気が隠れていることも

気管支炎、副鼻腔気管支症候群、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など、痰(たん)が続く背景に別の病気があることもあります。3週間以上たっても改善しない場合は、自己判断せず受診しましょう。

何週間も痰(たん)が残っているときの考え方は喉に痰(たん)がずっとある・止まらないときの対処法で整理しています。

痰(たん)は出した方がいい?飲み込んでも大丈夫?

痰(たん)は出した方がいい?飲み込んでも大丈夫?

痰(たん)は異物を外へ運び出すためのしくみですから、出せるのであれば出した方がすっきりします。「痰(たん)は出した方が早く治る」と言われるのはこのためです。

一方で、飲み込んでしまっても心配はいりません。飲み込まれた痰(たん)は胃に入り、胃酸によって処理されます。もともと健康なときの痰(たん)も、ほとんどは無意識に飲み込まれています。

注意したいのは、出ないときに力づくで出そうとすることです。強く咳き込むとのどの粘膜を傷つけ、かえって炎症が長引くことがあります。まずは痰(たん)をやわらかくして、出しやすい状態をつくることが先決です。

痰(たん)がからむときの対処法

痰(たん)がからむときの対処法

①水分をこまめにとる

もっとも手軽で効果的なのが水分補給です。からだの水分が足りていると粘液もやわらかくなり、線毛が運び出しやすくなります。一度にたくさん飲むより、コップ1杯程度をこまめに飲むのがコツです。

②部屋を加湿する・マスクをする

室内の湿度は50〜60%を目安に保ちましょう。加湿器がなければ、濡れたタオルを干す、洗面器に湯を張るだけでも違います。就寝時にマスクをすると、自分の呼気で口元の湿度が保たれ、朝の痰(たん)のからみがやわらぐでしょう。

③息をゆっくり吐いて出す

強い咳で出そうとするより、息を使って押し出す方がのどに負担がかかりません。大きく息を吸い、少し止めてから「ハーッ」と速めに長く吐き出します。これを数回くり返すと、痰(たん)がのどの上の方まで上がってきます。上がってきたところで軽く咳をして出します。

④寝る姿勢を工夫する

後鼻漏や胃食道逆流症など痰(たん)の原因によっては、あお向けで寝ると痰(たん)がのどの奥にたまりやすくなります。横向きで寝る、枕を少し高くして上半身にゆるやかな傾斜をつけるなど寝る姿勢を工夫すると、痰(たん)が流れやすくなり、夜間の咳き込みもやわらぎやすくなります。

⑤のどを刺激するものを避ける

喫煙、アルコール、香辛料の強い食べ物、冷たい空気の吸い込みは、いずれも気道への刺激になります。症状が出ている間はできるだけ控えましょう。

⑥漢方薬を活用する

生活面の対策とあわせて、症状に合った漢方薬や生薬製剤を使うという方法もあります。のどの乾燥をともなう切れにくい痰(たん)、のどの腫れや痛みをともなう場合、激しい咳き込みをともなう場合など、症状のタイプによって選ぶ処方が変わります。
市販薬を選ぶときは、痰(たん)の性状(さらさらか、粘るか)、咳の有無、のどの痛みの有無を手がかりにすると選びやすくなります。迷ったときは薬剤師や登録販売者に相談してください。

手順のくわしい説明と、やってはいけないことは痰(たん)の出し方・切り方にまとめています。

こんなときは医療機関に相談を

こんなときは医療機関に相談を

次のような場合は、自己対処を続けずに受診しましょう。

  • 痰(たん)や咳が3週間以上続いている
  • 痰(たん)に血が混じる、さび色をしている
  • 息苦しさ、ゼーゼー・ヒューヒューという音をともなう
  • 38度以上の発熱が続く、胸の痛みがある
  • 体重が減ってきた、食欲がない
  • 市販薬を数日使っても改善しない

まとめ

痰(たん)がからむときのポイントまとめ

痰(たん)は、気道を守るために毎日つくられている分泌物です。それが「からむ」と感じるのは、量が増え、粘り気が強くなり、運び出せなくなっているサインです。

原因としては、かぜなどの感染がもっとも多く、ほかに後鼻漏、アレルギー、乾燥、たばこの刺激、胃酸の逆流などが考えられます。対処の基本は、水分と加湿で痰(たん)を出しやすくし、息を使ってやさしく排出すること。無理に咳き込む必要はありません。痰(たん)をともなう咳そのものが続く場合は痰(たん)が絡む咳の対処法もあわせてご覧ください。

そのうえで、症状に合った漢方薬や生薬製剤を取り入れると、改善がより期待できます。3週間以上続く、血が混じる、息苦しさをともなうといった場合は、早めに医療機関に相談してください。

今井 茉里

漢方薬や東洋医学の知識を活かした健康サポートも行う。現在は医療ライター・医療メディアの編集者として、専門知識を活かした記事執筆にも携わっている。

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