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動悸

動悸に効果的な漢方とは|原因・対処法とおすすめの漢方薬

突然起こる動悸…、つらいですよね。そんな動悸には漢方薬も効果的です。この記事では、動悸の原因から動悸になりやすいタイプ、動悸に効果的な漢方薬までご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

動悸とは

動悸とは、心臓の拍動を不快感または不安感として自覚する状態のことをいいます。「ドキドキする」「ドキンドキンする」「脈がとぶ、詰まる、抜ける」など、動悸を感じるのは必ずしも心臓病や不整脈などの病的なときばかりでなく、健康な状態であっても運動、あるいは精神的ストレスによって頻脈になったとき、血圧が上昇して心機能が亢進したときに動悸を自覚することがあります。また、精神的要因だけで動悸を訴える場合も少なくありません。動悸の感じ方は人によっていろいろで個人差がかなりあるのが特徴です。

動悸の原因

動悸の原因には、心配のいらない心因性のものから、直接生命を脅かす重篤な器質的心疾患までいろいろのものが含まれます。

動悸の原因として、不整脈、高血圧症、心不全、心臓弁膜症などがあげられます。とくに、脈が速くなるタイプの不整脈では、発作が起こると1分間に140~150回も脈打つことがあるとされています。なかなか止まらなかったり、頻繁に起こったりする場合には医療機関での治療が必要になります。

ほかに、動悸の原因としては、生理的原因(激しい運動、精神的興奮)、不安神経症、発熱、貧血、甲状腺機能亢進症、などがあげられます。たとえば、貧血の場合、原因はさまざまですが、急に貧血状態になったときは「動悸」「息切れ」「めまい」などの症状が現れやすいといわれています。また、更年期障害、甲状腺機能亢進症による動悸は、手の震えや体重減少、発汗多量、頻回の便、疲れやすくなるなどの症状をともないます。

動悸への対処法

次に、動悸の対処法について見ていきましょう。


深呼吸し、安静にする

自覚症状が出たら、深呼吸をしてみましょう。呼吸を整えてリラックスすることが大切です。また、楽な姿勢になって様子をみましょう。


病院を受診する

動悸と共にふらつきやめまいなどの症状があるときは、重症と考えられます。動悸の原因を明らかにするためには病院で心電図検査や血液検査などを受けることが必要です。動悸の起こり方、自覚症状、脈の様子などは動悸の原因を推測するうえで役に立ちますので、動悸を感じたときには可能な範囲で脈拍数や脈の間隔、強さなどをチェックして、受診時に伝えるようにしましょう。

動悸が発生しやすいタイプ

漢方の考え方では、動悸は、多くの場合、五臓の「心(しん)」の機能が乱れたときに生じるとされています。「心」は血液循環と、思考や判断などの精神活動をつかさどります。五臓の「心」などが、どのような乱れ方をしているかを把握することが大事になります。動悸が出やすいタイプを見ていきましょう。


「心血虚(しんけっきょ)」
不安感、不眠、記憶力や集中力の低下といった精神症状が現れやすくなるといわれています。


「心気虚(しんききょ)」
動悸、息切れ、不整脈、胸苦しさ、発汗過多などが現れやすくなるといわれています。


「痰湿(たんしつ)」
体内に過剰な水分や湿気がたまり、胸が苦しい、胃がつかえるなどの症状が現れやすくなるといわれています。


「血瘀(けつお)」
「血(けつ)」の巡りが悪くなり、体に栄養素が巡らない状態で、動悸が現れやすくなるといわれています。

動悸に効果的な漢方薬

次に、動悸に効果のある漢方薬を見ていきましょう。


めまい、立ちくらみでお悩みの方に

苓桂朮甘湯 第2類医薬品

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

(自分や周囲がグルグル回る感覚がある方、フラフラしてまっすぐ歩けなくなることがあるという方、ストレスをためやすい方などにおすすめです。「気」を補ってその上昇を助けるとともに、たまった「水(すい)」をとり除く処方で、「心(しん)」にもはたらき、動悸や息切れなどを改善します。)


体力中等度以下で、めまい、ふらつきがあり、ときにのぼせや動悸があるものの次の諸症:立ちくらみ、めまい、頭痛、耳鳴り、動悸、息切れ、神経症、神経過敏



一般的に「動悸」に使われる漢方薬
「苓桂朮甘湯」の解説を見る


ストレスなどでイライラする不眠症の方に

柴胡加竜骨牡蛎湯 第2類医薬品

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

(仕事や人付き合いなどでイライラし、思い悩んでしまう方、テスト前や試合前などに緊張して眠れない方などにおすすめです。「気」をめぐらせ、体にこもった熱を冷ますとともに、心を落ち着かせる処方で、脳の興奮からくる不眠や、精神面がかかわる動悸などを改善します。)


体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、小児夜泣き、便秘



一般的に「動悸」に使われる漢方薬
「柴胡加竜骨牡蛎湯」の解説を見る


口内炎、赤みのある皮膚の炎症でお悩みの方に

黄連解毒湯 第2類医薬品

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

(体の上部にこもった熱を冷やすことで、熱をとり、機能の亢進をしずめて、動悸などに効果があります)


体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの次の諸症:鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔、血の道症、めまい、動悸、更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎
(注)「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。



一般的に「動悸」に使われる漢方薬
「黄連解毒湯」の解説を見る

まとめ

いかがでしたか? 動悸の感じ方は人によりさまざまで個人差があります。漢方薬でのケアも方法のひとつですが、動悸をともなう疾患の場合もありますので、内科や循環器科などを受診して検査を受けましょう。その際、動悸の起こり方、自覚症状、脈の様子などはできる限りチェックして正確に伝えられるようにしておきましょう。