漢方療法推進会 こころとからだに自然の力

漢方について

漢方ってすばらしい! ~10分で読める 漢方医学コラム~

東洋医学の主役といえる漢方。今、多くの医療機関で漢方薬が処方されるなど、東洋医学の可能性について大きな期待が寄せられています。この秘めたるパワーをもった漢方のことをもっと知りたいという方へ贈る、10分で読める漢方コラムです。

― 第12回 ―

頭痛の予防と治療について 漢方的対処法

上海中医薬大学附属日本校
校長 矢尾 重雄(医学博士)

頭痛にもさまざまなタイプ

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頭痛は、多くの疾患によって引き起こされる症状のひとつです。たとえば、かぜや感染症・急性副鼻腔炎・高血圧・貧血・不眠症・脳炎などがあげられます。

頭痛の原因は大きく「外感」と「内傷」の2つに分けられます。
[外感:人体の外に原因がある。内傷:人体の内部に原因がある。]

外感頭痛とは・・・

外感頭痛とはかぜや感染症など、外部からの侵入(外邪)によって発症する頭痛であり、比較的強めの痛みが多く見られます。急性頭痛の多くは外感頭痛に該当します。

内傷頭痛とは・・・

内傷頭痛とは、体の中からの原因によるもので、体質やストレス、栄養不足や五臓六腑の失調によって引き起こされるものが該当します。


頭痛にはさまざまなタイプがあります。
中医学では、頭痛は主に気血(きけつ)の流れが滞ることで起こると考えます。
主に「ストレスや自律神経の乱れが原因で起こる痛み」「血の滞りで起こる痛み」「気圧や気候の変動による痛み」「疲労、栄養不足などのエネルギー不足による痛み」などがあげられます。
急な気候変動や感染症など外部からの影響によって起こる一時的な頭痛に対して、慢性頭痛の場合は体内の不調が原因と考えられることがほとんどといえるでしょう。

頭痛の予防法として食習慣の乱れ、栄養の偏り、睡眠不足、ストレス、運動不足などの生活習慣の見直しや、気血の流れを良くするなどがあげられます。血流が悪くなると首や肩凝りの原因となり、それにより頭痛が引き起こされる場合もあります。
日常的に適度な運動を行い、身体を温め、気血の滞りを改善することが頭痛の予防に役立ちます。

頭痛改善について

頭部には、多くの経絡が分布しており、その経絡上には多くのツボが存在しています。ツボに対してのマッサージもおすすめします。

頭痛に効くツボ

頭痛に効くツボ


頭痛予防におすすめの食材の一例をご紹介します。

[外感頭痛]

風寒証

主に寒い季節に起こりやすく、寒湿が体内に入り込み、血や気の流れを妨げることで発生する頭痛には・・・
[唐辛子、ニンニク、生姜、ネギ、柚子胡椒など、その他温かいものなど]

風湿証

高い湿度の影響、雨が多い季節や、湿気が多い環境で起こりやすい頭痛には・・・
[山椒、香菜、紫蘇、陳皮、ジャスミン、フェンネル(ウイキョウ)、大葉、パクチー、三つ葉、パセリなど]


[内傷頭痛]

肝気上逆証

気血の流れが上逆して詰まる頭痛には・・・・
[粟・小麦粉・セロリ・セリ・山東菜・白菜・ゴーヤ(苦瓜)・キュウリ・トマト・リンゴ・梨・キウイフルーツ・豆腐・緑茶など]

肝火上炎証

イライラや精神的な疲れ、不規則な生活習慣などが原因で起こる頭痛には・・・
[白菜、セロリ、レタス、キャベツ、純菜、ゴーヤ、キュウリ、ズッキーニ、大根、トマト、スイカ、バナナ、リンゴ、キウイフルーツ、柿、梨、小麦、大麦、玄米、豆腐、湯葉、茶葉など]



漢方イメージ

頭痛予防におすすめの漢方の一例をご紹介します。

釣藤散(ちょうとうさん)

慢性的な頭痛、頭重感、めまい、耳鳴り、肩こりなどがある人向けの漢方薬です。とくに、胃腸が弱っていて、高血圧の傾向のある人に用いられています。

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)

手足の冷えや吐き気を伴う片頭痛に有効な漢方薬です。体を温めることで冷えを改善し、気血の滞りを改善していきます。吐き気をともなう頭痛にも用いられます。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

水分の代謝が悪く、めまいや頭痛を起こしやすい人に有効な漢方薬です。
水分の排泄を促し、頭痛やのぼせをやわらげる作用があります。

上海中医薬大学附属日本校 校長 矢尾 重雄(医学博士)

上海中医薬大学附属日本校
校長 矢尾 重雄(医学博士)

矢尾重雄先生プロフィール

  • 1958年3月生まれ(中国名 姚重華)
  • 1978年2月上海中医薬大学医療学部入学。1984年7月卒業。
  • 1984年8月より上海市第一人民病院で臨床医として勤務。中国の国宝級の名老中医に師事。臨床医として経験を積んだのち日本に渡る。
  • 1994年3月神戸大学大学院医学研究科(分子病理学)で医学博士の学位を取得。
  • 1994年4月よりP&G(プロクター・アンド・ギャンブル社)、1997年9月より大塚製薬株式会社にて二十数年間にわたり医薬品開発と臨床開発に従事。
  • 2017年12月より上海中医薬大学附属日本校校長に就任。長年培った医薬経験を生かして、日本の東洋医学の発展に貢献している。

上海中医薬大学付属日本校ホームページ