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エアコンの温度はどうする?
熱中症を予防する環境をつくろう

近年、地球温暖化の影響を受けて熱中症発症者は増加傾向にあります。
総務省消防庁が公表した「熱中症による救急搬送状況(平成30年)」では、平成30年5月から9月までの間に熱中症によって救急搬送された方は全国で9万5000人にも上ることが示されています。

総務省消防庁 熱中症による救急搬送状況(平成30年)
https://www.fdma.go.jp/publication/ugoki/items/3011_05.pdf


熱中症は適切な対策を徹底すれば発症するリスクを減らすことができますが、屋外での対策は徹底しているものの、「屋内ではまさか熱中症にならないだろう」と十分な対策をしない方も多いのではないでしょうか?
しかし、熱中症は屋内でも発症します。
今回は、「屋内の熱中症」の特徴と対策について詳しく解説します。

熱中症は屋内でも起きる!
こんな環境に気を付けよう

熱中症は気温や温度が高い環境で、体温を調節する機能がうまく働かなくなることで起こる健康障害です。
めまいや手足のしびれなどの軽度な症状から発現しますが、重度になると意識障害や発汗の停止などから命を落とす危険もあるため、夏場は十分に対策を行いましょう。

熱中症は、炎天下の屋外だけではなく、高温、多湿などの条件が揃えば屋内で発症することもあります。具体的には以下のような場合に注意が必要です。

冷房や扇風機などを使用しない

暑い時期は、屋内も屋外と同様に気温が上昇します。
遮熱性の低い建物では、風通しのある屋外よりも気温が高くなることも少なくありません。
現在では、多くの家庭や施設、公共機関などで、空調を効かせて過ごしやすい室温をキープしているのが一般的です。
暑い屋外から冷房の効いた屋内に入るとホッとした経験がある方も多いでしょう。

しかし、中には冷房や扇風機などの人工的な風が苦手という方もいるでしょう。
高齢者に多い傾向ですが、そのような方は暑い日でも冷房や扇風機を使用せずに窓を開けているだけということも。
風通しがよい室内で、気温が下がりやすい夜間などは窓を開けるだけで屋内の温度も下がりますが、気温が高い日中や熱帯夜には単に窓を開けただけで屋内の温度を下げるのは不可能です。

窓を閉め切る

暑い日は汗が止まらず不快に思う方も多いでしょう。
しかし、汗は皮膚の熱を奪いながら蒸発するため結果として体温を下げてくれる効果があります。
汗は体温を調節する上で非常に重要な働きをしているのです。

このため、湿度が高く汗が蒸発しにくい場所にいると、汗による体温調節がうまくいかず体温が上昇してしまい、熱中症を引き起こす原因になります。
現在の住宅は気密性が重視されているため、窓を閉めると風の通り道がほとんどなくなります。
十分に空調を効かせて熱中症を発症する危険のない室温にキープされている場合は風通しがなくても問題になりません。

しかし、空調の効きが十分でない部屋や空調のない部屋で窓を閉め切ると気温と湿度が同時に上がって熱中症を発症するリスクが高くなります。

直射日光が差し込む

日中はカーテンを開けて自然な光を取り入れるご家庭も多いですが、夏場の直射日光は窓を隔てていても室内の温度を上昇させるものです。

特に気温が高くなる正午から二時頃までの間に室内が直射日光で照らされていると、気づかない間に室内の温度が上昇していることも少なくありません。

そのため、リビングなど常に人がいる部屋はブラインドなどで直射日光を避けるようにしましょう。

また、熱中症は寝ている最中にも発症するもの。実は、寝ているときは多くの汗をかくため、熱中症になりやすい状態になっているのです。
日中に仮眠するときなども直射日光には十分注意する必要があります。

熱中症対策はお部屋から!
涼しい環境づくり

熱中症は暑さや湿度などの条件がそろえば屋内でも発症するリスクがあります。
私たちは睡眠時間を含めれば一日の大半を自宅で過ごします。
このため、熱中症対策をするにはまずお部屋の環境を整えて、熱中症になりにくい空間づくりをすることが大切です。

冷房や扇風機を活用する

気温が高いときは暑さを我慢せずに冷房や扇風機を活用して室温を快適な状態に保つようにしましょう。

特に高齢者は暑さや寒さを感じにくい方も多いため、自覚がないまま自宅で熱中症を発症する方が多いとされています。
春から秋にかけては天気予報をチェックし、気温が高い日は暑さを感じなくても冷房や扇風機を使うようにしましょう。

日差しよけを作る

直射日光が原因の熱中症を防ぐためには、窓に日射遮断フィルムを貼ったり、カーテンやブラインドなどを活用したりして日差しを避けることが大切です。

なお、直射日光が強く入り、熱がこもりやすい室内ではカーテンよりもブラインドやすだれ、シェードなどがおすすめ。

カーテンの布地は直射日光によって温められやすいため、たとえカーテンを閉めたとしてもその熱が室内にこもりやすくなるためです。

一方、ブラインドやすだれ、シェードなどは直射日光の熱を吸収しにくく、窓枠やガラスなどと適度な隙間があるため熱がこもりにくい性質があります。
冷房を使っても涼しくならないという悩みがあるときはカーテンを見直してみましょう。

湯気や熱を発する家電などは
居室から遠ざける

ガスコンロや湯沸かし器など湯気や熱を発する家電は室温や湿度をアップさせる原因になります。
このため、これらの家電は長い時間を過ごす居室から遠ざけるのが理想的です。

構造上、居室から遠ざけられない場合は家電を使っている間だけでも冷房の設定温度を下げるなどの対策ととりましょう。

自宅で熱中症が起こりやすい場所の一つにキッチンが挙げられます。
キッチンは特に熱がこもりやすく、湯気で湿度も上昇しがちになるため特に注意が必要です。

風の流れを作る

熱中症対策として冷房を使用する際には、単に部屋を冷やすだけでなく冷房自体のスイング機能や扇風機などを活用して風の流れを作ることが大切です。
冷たい空気は下にたまりやすいため、温度のムラができないよう空気を循環させましょう。

温度は何度?
エアコンの使用ポイント

一般的に、室内の温度が28℃を上回ると熱中症を発症しやすくなるといわれています。
このため、環境省は「室温28℃」で快適に過ごせるようなクールビズを推奨しています。

しかし、この「室温28℃」は冷房の設定温度を28℃にするということではありません。
冷房の効き具合は外の気温に左右される部分が多く、その日の気温に合わせて設定温度も変えていく必要があります。
熱中症は気温が24℃以上になると発症する危険が生じます。
天気予報などで気温が24℃以上の日は室温に注意しながら適宜冷房を使用するようにしましょう。

また、直射日光が入りやすい、断熱性が悪いなどの要因で、冷房を使用しても室温が上がりやすいケースもあります。冷房の効きが悪いと感じる場合は、扇風機とエアコンを併用し冷風の循環を良くするなどして、室温を調整しましょう。

大切なのは、家事など日常的な活動をしていても水分補給を心がけ、快適に過ごせる室温に設定することです。

まとめ

熱中症は思いのほか室内で発症することの多い病気です。
室内の熱中症が重症化する方も少なくありませんので、涼しく過ごしやすいお部屋づくりは熱中症対策に必須です。
今回ご紹介したお部屋づくりのポイントを参考に、室内でも熱中症をしっかり予防していきましょう。