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わが子を暑さから守る!
子どものための熱中症対策・予防法

熱中症は暑い場所にいることによって、体温を調節する機能がうまく働かなくなり、体温が上昇してしまう病気のことです。
近年日本の夏の平均気温は上昇傾向にあり、毎年6~9月頃には全国各地で熱中症が多発します。
熱中症は大人より子どもの方が発症しやすいとされています。

そこで今回は、わが子を暑さから守るために必要な子どもの熱中症対策や予防法について詳しく解説します。

大人より暑さに弱い!
子どもの熱中症対策をしよう

一般的に子どもは大人よりも熱中症になりやすいと言われています。子どもは身体の機能が未熟なため大人よりも暑さに弱いからです。
では、どのようなことが要因で熱中症になりやすいのか、その理由を見てみましょう。

体温調節機能が未熟

子どもは汗をかく機能が未熟であり、汗の通り道である汗管が細いため大人ほど一気に大量の汗をかくことができません。

暑さを感じてから汗をかくまでに時間もかかるため、汗による体温調節機能が十分ではなく、身体に熱がこもって体温が上昇しやすくなるのです。

水分量が多い

大人は身体の約60%が水分でできていますが、子どもの身体は約70%が水分。
子どもの方が大人よりも身体の水分割合が高いのです。
このため、気温が高くなると身体にたまった熱が放出されにくく、逆に体表温度よりも気温の方が高くなると周囲の熱を吸収してしまう恐れもあると考えられています。

子どもは大人に比べて必要な水分量が多いため、脱水状態になりやすく、熱中症を発症すると重症化しやすいのも特徴です。

照り返しの影響

熱中症になりやすい条件の一つとして、「照り返し」が挙げられます。
照り返しとは、地面や建物などに吸収された日光の熱が周囲に跳ね返るもの。
私たちは意識しなくとも、アスファルトやビルからの照り返しによる熱を常に浴びているのです。

照り返しが強くなると、その分余分な熱が身体にあたるため体温は上昇。
熱中症を発症しやすくなります。
子どもは身長が低いため、地面からの照り返しをじかに受けやすく、大人が体感している以上に暑さを感じています。

特にベビーカーはシェードをつけて日光を遮っても強い照り返しを受けますので、暑い時期の長時間使用には注意が必要です。

症状を訴えられない

熱中症を発症すると立ちくらみやめまい、ふくらはぎの痛みなどが初期症状として現れます。
また、身体が暑く火照ったり、のどが渇いたりといった身体の変化も見られるため、大人であれば発症した段階で適切に対処できるので、大事に至ることはないでしょう。

しかし、子どもは何らかの不快な症状に襲われてもそれを正確に訴えることができないことがあります。
そのため、症状が進行してから発見されることも少なくないのです。

子どもの熱中症の症状

熱中症は重症度によって3つの段階に分類され、それぞれ現れる症状が異なります。
子どもに起こる熱中症の特徴を、重症度別に見てみましょう。

① Ⅰ度(軽度)
意識に異常はありませんが、暑さによる大量の発汗が原因で体内の水分と電解質が失われた状態です。
体温は徐々に上昇し、立ちくらみやめまい、ふらつきなどの症状が見られます。

また、運動をしている最中や運動後には、電解質バランスの乱れによってささいな刺激で筋肉が過剰な収縮を起こし、いわゆる「足のつり」と呼ばれるこむら返りを発症するケースも多いです。
熱中症になった子どもは、口やのどの渇きを自覚して水分を欲しがる、尿の色が濃い、身体が暑いといった症状を訴えることが多いですが、うまく症状を表現できない子はなんとなくぐったりして元気がない、機嫌が悪い、あくびが出る、顔が赤い、大泉門(乳児の額の上部にある骨と骨のつなぎ目)が陥没しているなどの少しわかりにくい症状しか出ないケースもあります。


② Ⅱ度(中等度)
体温は38度前後にまで上昇し、脱水や電解質バランスの乱れもどんどん進行するので、医療機関での治療が必要な状態です。

この段階にまで進行すると、呼びかけに対する反応が薄くなり、いつもと違う行動をするといった意識の異常が目立つようになります。
また、疲れやだるさを感じてぐったりした様子となり、頭痛、吐き気・嘔吐、下痢、寒気などの身体的な症状を伴います。


③ Ⅲ度(重度)
Ⅱ度の段階で適切な応急処置や治療を行わないと、脳にもダメージが残るような深刻な状態に。
体温は40度近くまで上昇し、汗はかかなくなります。
ひどい場合には意識消失や全身のけいれんなどが見られます。

まっすぐ歩けない、ぐったりして起きられない、呼びかけに目を開けない、といった症状があるときは極めて早急な対処が望まれます。
後遺症が残ってしまうケースもあります。

子どもの熱中症対策・予防方法

子どもは熱中症になりやすく、発症した場合は重症化するスピードも速いのが特徴です。
熱中症は暑い時期になるとよく見られる病気であるため軽く考えられがちですが、時には重症化することもある病気です。

子どもは自分自身で熱中症対策をすることはできませんので、わが子を守るためにもご両親が徹底した予防対策を行いましょう。

ここではおすすめの熱中症対策・予防法をご紹介します。

こまめな水分補給

子どもは必要な水分量が多いため、発汗によって失われた水分と電解質をこまめに補給することが大切です。
本人がのどの渇きを訴えたときにはすでに多くの水分が失われている可能性があります。
熱中症を予防するには、のどの渇きを訴える前に水分補給を促しましょう。

具体的には20分おきに100~250mlの水分補給がよいとされています。
外出時は水筒などを持ち歩いてどこでも水分補給ができるよう準備しておきましょう。

気温が高いときは外出を控える

子どもは外で遊ぶのが大好きですが、気温が28℃を越えると熱中症を発症しやすくなります。
特に、31℃以上になると運動などをしていなくても熱中症になる危険があります。
無用な外出は避けた方が無難ですが、外出する場合も午前中や夕方など気温が低い時間帯を選びましょう。

また、暑い日は室内の温度も上昇しますので、エアコンや扇風機を使用して過ごしやすい室温にキープするのもポイントです。

衣類の調整をする

子どもの衣類は気温や湿度によって、その日に合ったものを選ぶようにしましょう。外で遊ぶときには直射日光を避けるための帽子は必須です。
また、大量の汗をかいてぬれたままの衣類を着ていると熱中症になりやすくなります。

というのも、汗にぬれた衣類は汗の蒸発を邪魔して身体に熱をこもりやすくするからです。
外出時には着替えを持ち歩き、汗で衣類がぬれたときは着替えさせてあげるようにしましょう。

こまめに休憩をとる

子どもは夢中で遊んでいると体調の変化などに気づかず、重症化して初めて発見されるケースも少なくありません。
特に外遊びのときは、汗の量や顔の赤さなどをよく観察して15~30分に一度は木陰などの涼しい場所で休憩するよう促しましょう。

正しく熱中症を予防しよう

子どもは体温調節機能が未熟。
体内の水分量も多いため大人より熱中症になりやすいとされています。

わが子を熱中症から守るために今回ご紹介した正しい予防対策を行いましょう。
また、熱中症が疑われる症状が見られるときは、身体を冷やすなどの応急処置を行い、状態に応じて速やかに医療機関を受診することが大切です。